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2014年07月の津南新聞「トピックス」

過去の津南新聞トピックス
看護学校、新病院に併設を、新十日町病院着工   7月25日号
 救急医療の拠点と共に地域医療充実の中核となる県立十日町病院の改築がいよいよ始まった。外来診療棟から建設し、2年後の平成28年3月に供用開始。入院病棟を含む全体の完成・開業は6年後の平成32年4月。全国的にも稀な高規格救急車(救急救命士)常駐の「救急ステーション」を内包し、総合診療科など4科新設の17科体制となり、家庭医(総合診療医)育成の後期研修プログラムを県内初導入。さらに県立病院初の地下駐車場を設備するなど、豪雪山間地を抱える十日町地域の事情に対応する新病院となっている。20日の起工式で泉田知事は「命の尊厳と信頼と安心をめざし、地域医療機関との連携ネットワークによる診療機能を備えた未来志向のモデル的な病院をめざす」と県の姿勢を述べた。一方、地元の関口市長は「中越地震後、十日町病院の建て替えが震災復興のシンボルだった。いよいよ悲願が実現へと向かい感無量だ。」と地元の期待感を代弁した。

 県立病院では初の取り組みがある。『総合医や家庭医を志す医師確保』では、医師資格取得後の初期研修の他に、後期研究プログラムを県立では初導入。すでに同病院・塚田院長が主導し、研修プログラム作成に取り掛かっている。中山間地を多く抱える地域にとって必要となる「総合診療医」の育成と確保に取り組む。
 さらに『回復期リハビリテーション病棟』と末期ガン患者などの『緩和ケア病棟』を設ける。患者の容体に対応した切れ目のない病棟整備を行い、集中的なリハビリを行う回復期リハビリ病棟を作る。さらに末期がん対応では緩和ケア病棟で心身の辛さを和らげる。

 全国的にも注目を集めるのが病院内に設ける「救急ステーション」。十日町地域消防本部と連携し、高規格救急車と救急救命士がステーションに常駐し、災害時の救急医療の強化にもつながる。
 新病院の建物は、免震構造を採用し、災害時の拠点病院を果たす。大災害時には1階講堂が被災者に適切医療をするトリアージスペースとなる。病室は従来の6人室から主体を4人室(47室)にし、1階から2階の外来診療階にはエレベーターを設置する。積雪地の課題の駐車場は、県立初の地下駐車場ができ、全体では288台可能(現在164台)。
 
 課題の医療スタッフの確保、特に看護師養成について、十日町・関口市長、津南・上村町長は先月2日、泉田知事に看護師要請施設の設置を『県立十日町病院に併設または隣接する形で設置』で要望している。現場の十日町病院・塚田院長は「県立となって65年が経過する十日町病院。(看護師要請施設は)白羽の矢が立てば、いつでも受け入れられる状態にある。かつて十日町病院には看護学校があった。地域で育てた看護師が、地域に残り働いてくれる人材を育てる施設は必要だろう。その条件は整っている」と地元自治体の積極的な取り組みを期待する。

 看護師養成をバックアップする動きも始まっており、津南町は自治体では全国で最高額の奨学金となる月額12万円(看護師)を3年前から実施。毎年2、3人が受給対象となり、これまでに8人が受給している。

【新十日町病院】診療科は4科新設(総合診療科、漢方内科、心療内科、歯科口腔外科)。現状13科(内科、神経内科、外科、整形外科、脳神経外科、小児科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、麻酔科)を加え17科体制。病室は4床室(47室)が中心。一般222床、回復期リハビリテーション33床、緩和ケア20床、合計275床(現病院と同数)。建物7階建、敷地面積2万2千平方b、建築面積4千4百平方b(延床面積2万4千平方b)。県立初の地下駐車場など約288台(現164台)。建設総事業費約100億円を見込む。

写真・十日町病院に展示中の完成模型

明日へ「柳和夫さん・ランプ職人」  7月25日号
 自然の木が創りだす曲線、枝ぶり、木肌。その木の特性を生かしながら組み合わせる。「最初にイメージがあるわけではないんです。木に聞きながら、なんです」。優美な曲がりぐあい、何か訴えるような鋭角的な枝の分かれぐあい、それを組み合わせ独特の世界を作り出している。名刺には『ランプ職人』とある。柳和夫さん(68・十日町市)の初めての作品展が、津南町「モリクラフト」で開かれている。

 山によく行く。「自然の中にいるのが好きなんですよ」。26年前、仲間たち4人で、長野県境に近い津南町山伏山の山麓に「山小屋」を建てた。
 少年の頃、誰もが抱いた「秘密基地」のような感覚の小屋。まったくの手作りで、いまも時間をみつけ、『小屋こもり』している。
 ランプ作りは、その山小屋を工房に行っている。「木を伐採すると、不要の枝などが出ますが、そういうものを譲り受け、活用しています」。そのため樹種はさまざま。各所から集め、4d車1台分の木の端材がある。
 10年余り前。「ふと思ったんです。ランプが作れないかと」。試作を繰り返し、本格的に作り始めたのは5年ほど前から。

 豪雪に耐えられずに折れた桜。一方で豪雪に押されながらも、しなやかな弾力性で幹を伸ばすリョウブ(ヤマサルスベリ)。「対照的な二つを使い、ランプや小物などを作ります。折れた桜も自然の雪で折れたもの。リョウブは、雪の力を受け入れるしなやかさがあります。どちらも自然そのものなんですね」。
 ランプ作りは、その形と和紙の色合いで、雰囲気が決まる。「和紙も自然の素材でできています。和紙は20年ほど前から集め、旅先でよく買ってきました」。ランプに使う和紙は、いまは飯山市の内山和紙、松代の伊沢和紙、高柳の門出和紙を使っている。

 今年5月、初めてクラフト展に出店した。柏崎であった。インテリアに合う手作りで雰囲気あるランプは、女性の関心を引いた。9月のニュー・グリーンピア津南である「越後妻有クラフトフェア」にも初出店する計画だ。
 「小枝でも、端材でも、みんな自然の木です。それを組み合わせ、そこに和紙を張る。それに明りを灯すと、なんともいえない世界が生まれます」。
 自然の木と和紙が織りなし、創り出す雰囲気ある灯り。見ているだけでホッとするランプの灯に、言葉は必要ない。
                      (恩田昌美)

あわや民家直撃、松之山で土砂崩れ  7月25日号
「これ以上、何も起きなければいいが」。18日未明、十日町市松之山五十平(いがごだいら)地区で土砂崩れが発生。山の斜面高さ約18b、幅約14bに渡り土砂が崩落。民家まで5、6b余まで近づいたが、大きな被害はなかった。同日に土砂は撤去し県が土のうを積むなど応急処置。現在崩落は落ち着いているがセンサーを設置し様子を見ている、同地の1世帯2人が自主避難、公民館で一晩過ごした。住民は「最近は強い雨が突然降る。大きな災害が起きなければいいが」と不安視している。

 同所の涌井正二さん(84)は17日深夜、どどっと何かが崩れる音を聞いた。「日付が変わる時間に音がしてどこか落ちたな、と思って翌朝5時頃外に出るとうちの近くまで土砂が来ていた。今までこんなことはなかった」と驚く。涌井さん方裏の崖の上はかつて住宅があったが、今は撤去されている。大型の台風8号が来襲した9日夜も大雨で崖の上部が一部崩落していたと言う。涌井さんは「震災以来、地盤は緩んでいる。最近はいきなり豪雨となる。もう酷い雨にならなければいいが」と話した。

天然酵母でパン作り、工房は自宅で、角山ひとみさん  7月25日号
 甘いこうばしい香りが広がる。こんがりと焼けた、出来立てのパン。手づくりパンの魅力に惹かれて6年余り、8月には自宅に工房「CoCoParne(ココパーネ)」を構える。「注文販売やイベント販売を行っていきます」と話すのは角山ひとみさん(41、十日町市下条)。レーズンを基にした自家製天然酵母と国産小麦で作るパンが特徴で、天然酵母を使ったパンの注文販売は、妻有地域では初めてという。

 元々お菓子づくりが得意だった角山さんがパンづくりにのめり込んだのは、自宅で簡単にパンが作れるホームベーカリーを手にしてから。焼きたてのパンが家族に好評で、「もっと上手に、もっといろんな種類のパンを作ろう」と毎日のように取り組んだ。家族から近所に、友だちにと輪が広がり、注文が相次ぐようになった。昨年5月には津南町の村山物産とのコラボにより津南観光物産館でライ麦サンドパンの製造販売を行ったほか、10月には十日町産サルナシを使ったパンを依頼され製造。今年は十日町雪まつり会場や市内飲食店でのランチセットにパンを提供するなどしてきた。また昨年から開催の十日町米粉パンプロジェクトにも参加、国内を代表するパン職人の指導も受け、十日町ならではのパンを作ってアピールしていきたいとしている。

 角山さんは「最近、若い世代に人気が出ている天然酵母と、必要以上の添加物は使わずに作るヘルシーで人にやさしいパンを提供していきたいです」と話している。

アベックで全国へ、津南ゴート「山伏」と「ハツラツマザー」  7月25日号
 初の津南勢全国アベック出場決める―。新潟県ゲートボール連盟設立30周年記念「UXカップ第27回県選抜GB大会」は今月6、7日、魚沼市の広神野球場で開催。男子シニア(65歳以上)で津南町の「山伏」、シニアレディース(同)は「ハツラツマザー」が優勝。来年5月に宮城・蔵王町で開く全国大会に挑む。全国アベック出場は県内初の快挙だ。18日に回村町長を表敬訪問し、優勝を報告した。

 山伏(佐野庄一主将、5人)の県大会優勝は6年振り2度目。県内の強豪20チームが出場、予選を2位通過で決勝トーナメント進出。1回戦荒沢(三条市)を18対6、準決勝みなみ風(新潟市)を12対10で下し決勝へ。見附新星と全国を賭け決戦、11対11の同点数ながら、第3ゲートを通っている選手がいる内容勝ちで、接戦を制し優勝を決めた。佐野主将は「毎朝、中津川運動公園で練習している成果。6年前は全国で1勝2敗。皆でケガをしないよう練習を積み、前回を上回る成績にしたい」と意欲を語る。
 山伏メンバーは次の通り。◆佐野庄一(72、外丸)福原太作(78、同)桑原正勝(73、船山)中沢久征(71、中深見)鈴木宣好(76、船山新田)
    ◎
 一方、女子シニアの県制覇は津南勢3回目。9年前に「ビューティ・ババ」、7年前に「ビューティ津南」が優勝。今回の「ハツラツマザー」(佐野良子主将、6人)は、かつて優勝を経験した選手2人もメンバーに入る。県大会は10チームが出場。予選2位で通過し決勝トーナメントへ。準決勝三条フレンドを12対8で勝ち、決勝は加茂KBBを18対5で破る圧勝で優勝カップを掲げた。佐野主将は、男子「山伏」の主将の妻で「夫婦で全国出場を成し遂げることができました。全国に向け皆と一丸となり練習し、本番を楽しめれば良い結果が出ると思います」と笑顔を見せた。
 ハツラツマザーのメンバーは次の通り。◆佐野良子(68、外丸)志賀良子(76、船山)山田マサ(75、大割野)福原操(72、外丸)福原マツ(78、同)半戸テル(65、中深見)

東京五輪。縄文を世界に、信濃川りゅういき5市町が連携し  7月18日号
 縄文研究の第一人者で新潟県立歴史博物館長の小林達雄氏(國學院大名誉教授)の呼びかけでスタートした『2020年・東京五輪の聖火台に火焔型土器を』の運動がさらに広がることになった。信濃川流域で火焔型土器が出土する津南町・十日町市・長岡市・三条市・新潟市の5市長で13年前に作った「信濃川火焔街道連携協議会」の第13回縄文サミットを10日、三条市で開き、改めて「火焔型土器を2020年東京オリンピック・パラリンピックの聖火台に」をアピール宣言した。今後、11月3日には東京国立博物館でアピールイベントを開くほか、賛同する著名人など応援団を増やし、実現への連携を広げる方針だ。

 アピールでは「縄文土器を代表する火焔型土器は、日本文化の源流であり、浮世絵や歌舞伎とならぶ厳然たる存在である」として「オリンピック聖火台の造形に昇華するという提案は、日本文化の意志を国際舞台は発言することにほかならない」と宣言。今回のサミットには5市町長全員が揃い、出土の火焔型土器前に、実現への思いを語った。

 「煮炊きに邪魔な突起物が口縁につく火焔型土器。これこそ縄文人の心・世界観。この日本文化を世界に発信する意味は大きい」と小林教授。津南・上村町長は「これが聖火台になる、そのために縄文人がつくってくれたとさえ思う。我々の誇りだ」。十日町・関口市長は「日本文化の源流の縄文文化。日本そのものを世界に発信する好機だ」、長岡・森市長は「日本が誇るべき縄文文化。世界への発信のチャンスだ」、三条・國定市長は「連携して仲間を増やし、ぜひ実現したい」、新潟・篠田市長は「前例が在る。50年前の新潟国体の聖火台は火焔土器だ」など、実現への思いを述べた。

 今後の活動では、各市町のイベントなどで積極的にアピールすると共に、各市町と関係する著名人などから応援団に入ってもらい、連携を広げる方針。さらに東京五輪組織委員会の理事会(森喜朗会長)などと接触をはかり、情報集中と共に要請活動を展開する。11月3日には東京国立博物館で今春、津南町などを訪問した俳優・津川雅彦氏と小林教授の対談講演会を企画し、五輪聖火台への実現をアピールする。

10代のまなざし「中島祐人さん・十日町定時制2年」自分にかにができるか  7月18日号
 6歳の時に中越地震、3年前の中学2年の春に東日本大震災。「あの大震災の映像は忘れません」。3月11日。春近いとはいえ、東北はまだ冬。あの日も雪が降っていた。被災地の惨状の映像が連日、TVで流れた。
 お年寄りを背負い避難所まで行く姿、雪降るなか被災者に温かい食事やお風呂を用意する姿、一方で自分たちの食事はレトルトの冷たいもの。 

 「それが仕事なのかもしれませんが、自分たちを犠牲にし、被災された方々のために働く姿に、とても感銘を受けました。自分も何か役立ちたい、そんな思いからです」。
 高校卒業後、自衛隊への入隊をめざす。中学3年を目前の3月11日の東日本大震災、そして翌日発生した長野新潟県境地震。「自分はあの地震を体験しています。ですから、いざという時に役立ちたい。今はそのための勉強と体力づくりです」。

 昨年から始めた陸上3000b障害。先月14日、村上市で開いた県大会で3位に入り、来月7日、東京で開く全国大会に出場する。高校では障害の一つ「水壕」の練習ができない。「大会で初めて飛びましたが、膝くらいまで水に漬かります。結構、大変でした」。
 この3000b障害も、実は自衛隊を視野に入れた体力トレーニングだ。自主練も欠かさない。家の周りのランニングや、駅まで4`の通学も、急坂を自転車で通う。練習で遅くなる時は、学校まで父が迎えに来てくれる。
 「自分に何ができるか分かりませんが、いざという時、力になりたいです」。   (恩田昌美)

医師・看護師に感謝、「応援し隊」が病院運営バックアップ  7月18日号
 地域医療の拠点、県立十日町病院の新築工事がいよいよ始まる。20日、建設地で起工式を行い、2年後の外来棟完成、6年後に全体開業の計画だ。一方で「地域医療の充実には、働く医師や看護師など医療スタッフへの感謝が大切」と3年前に結成した『妻有の里 地域医療・地域ケアを支え隊』の活動が大きなバックアップになっている。同病院では改築で、7日から外来玄関が変更となり、14日から同支え隊の「病院の応援し隊」の12人余が来月末まで、交代で案内係を担当している。さらに同隊内部グループ「妻有の味さしあげ隊」は毎週水曜に昼食弁当を提供し、9日には「手作りチマキ」270個を医師に提供し、喜ばれている。同病院では「ありがたいことです。改築でご不便をおかけしますが、地域の皆さんのご協力に感謝します」としている。

 変更された外来玄関は、これまでと反対側の、裁判所側に移った。仮設玄関のため入口は狭く、車椅子用のスロープもある。初日の14日、応援し隊の担当のひとりで同病院職員OBの小野塚民治さん(66)は、「玄関が変わると、病院内の方向が分からなくなる場合があります。受付や検査室への案内や、歩行が困難な方には車椅子を用意するなど、少しでも役に立てればと思っています」。
 今回の応援し隊の案内係は、病院職員OBなどがボランティア協力し、来月末まで土日以外、毎日2人交代で朝8時から同11時まで行う。初日14日のもうひとり、星野景子さん(67)は、1級ヘルパー資格を持つ。「タクシー利用者も多く、お年寄りひとりで来る方も多く、スムースに入れるように補助します。冬場の雪対策が必要ですね」。同病院では、玄関前の階段に手すりをつけ、雪対策のひさしなどを設置する方針だ。

 一方、妻有の味さしあげ隊は、地元の十日町飲食店5店(入舟、松喜屋、まえじま、豊吉、文よし)が協力し、毎週水曜に昼食弁当などを提供している。今月9日には、同メンバー総出で作ったチマキ270個を提供した。支え隊の高橋孝男代表らが自生の笹取りから取り組み、チマキを作った。
 同病院の田辺事務長は「大変ありがたいことです。通いなれた病院でも、玄関が変わると方角が分からなくなる場合があり、今回の案内係ボタンティアはとてもありがたいことです」と、昼食提供と共に感謝している。  

 同病院職員OBで同支え隊の高橋代表は、「大切なのは医師や看護師など医療スタッフの皆さんが気持ちよく働いていただくことが、地域の医療の充実につながることです。『ありがとうポスト』には多くの感謝の言葉が寄せられています。地域みんなで地域の医療機関を支え、感謝することで、医師や看護師の定着につながり、確保になるはずです」と話す。なお、仮設玄関は外来棟完成(平成28年3月)、さらに全体開業(同32年4月)まで使用する。

写真・病院玄関で訪問者を案内、介助する案内ボランティアの応援し隊のふたり

明日へ「高橋貢さん・十日町市外国語指導助手」 「なぜ英語を学ぶのか」  7月18日号
 2001年9月11日。世界史に刻まれるあの日、橋貢さん(55)は、あの現場から5`の証券会社オフィースにいた。
ニューヨーク暮らし11年。十日町市教育センターの外国語指導助手として、いま子どもたちの前に立ち、「なぜ英語を学ぶのか」を伝えている。
 地上417bのワールド・トレードセンタービルに旅客機が突っ込み、積み木が崩れるように崩落した「911テロ」。テロの1年前まで崩落したセンタービル83階が職場だった。「あのまま以前の会社にいたら、今の私はいません」。幾人かの友知人が犠牲になった。

 6歳上の兄は、建設機械のエンジニア。仕事で数度の海外勤務。「高校生の私に、外国という世界を身近にしてくれました」。
 その思いは大学時代にも体感。ホテル・オークラで後輩とアルバイト。「その後輩が『オーストラリア語学留学の資金集めです』と言った時、そうか俺も行けるんだと留学を身近に感じました」。卒業後も同ホテルで、「365日のうち361日は働きました」。1年間の語学留学資金を貯めた。
 アメリカの州立大の語学集中講座を1年間受講。大学近くのスーパーの掲示ボードに『ホームスティ希望します』を掲げ、連絡が来たユダヤ系の家族に世話になった。
 半年が過ぎ、自分の変化を感じた。「私が話すことが相手に通じ、相手の話すことが分かるようになり、嬉しかった」。あっという間の1年。
帰国後、働きながら専門的な「国際通訳養成学校」に入る一方、外国ラジオ『FEN』を聞いた。「ニュースを録音し、何度何度も聞くうちに聞き取れるようになりました」。英語漬けに身を置いた。
 
 1986年、時はバブル。特に証券会社は次々と外国進出。「海外で働く」近道だった。得意な語学力は大きなアピールポイント。和光証券(現・みずほ証券)に入社。2年間の国内勤務の後、ニューヨーク支店勤務が決まったのが29歳。その支店が、あのトレードセンター83階だった。テロ1年前に東京三菱証券(現・三菱UFJ証券)に転職。センタービル崩落を、5`離れたオフィースから見た。

 転機は突然訪れた。『世界』を意識させてくれた兄の死。役員就任目前の56歳だった。3人兄弟。すぐ上の兄は、新潟市内の大学教授。「結局、私が帰り、家を継ぐことになりました」。父は4年前に他界。今は母と2人暮らし。
 11年の外国生活は、日本の、この地の「次代を担う子たち」を意識させた。夏休み1ヵ月、近所の子たちに英語を教えた。その実践が今に通じる。

 5年程前、市教育委員会に声をかけられ、外国語指導助手に。小学校・中学校で、自身の体験を活かしながら英語授業に取り組む。
 小学校の年度末の最後のレッスンで毎年学ぶ表現がある。「何になりたい」と英語で問う。「I want to be a○○と答えるんですが…」。子たちの答えが気になっている。
 「時々、私の体験を話しますが、興味津々で聞いてくれます。でも自分のことになると…、なんですね」。社会が、地域が、家庭がと、その要因は様々だが、「自分の将来の夢が、現実的すぎるように、ちょっと感じますね」。『ボーイズ・ビ・アンビシャス(少年よ大志を抱け)』を期待する。     (恩田昌美)

信濃川をよみがえらせる会、会員に「放流量と更新期間」アンケート実施  7月18日号
 信濃川の「水なし川」の改善をめざし30年前に立ち上がった市民運動グループ「信濃川をよみがえらせる会」は今年、運動の正念場を迎える。水なしの原因になっているJR東・宮中取水ダムの水利権(来年6月末)の期間更新が迫り、地元十日町市が「信濃川のあり方」を全市体制で研究、協議しているなか、「信濃川に水を取り戻そう」と先導的に運動してきて同会だけに、今年度の活動が注目される。同会では近く全会員対象に「更新後の維持流量と更新期間」についてアンケートを行い、同会としての意見を出す方針だ。

 活動方針を協議する新年度総会を10日、ラポート十日町で開き、会員70人のうち20人余が出席。役員改選で再選された長谷川克一組合長は、今回の期間更新が、不正取水で水利権取消しとなった5年前の時との違いを強調。「あれから5年間の試験放流を行い今年が最終年。今回の水利権の期間更新は、現状より維持流量(放流量)が多い申請なら、地元同意など何もいらない」と期間更新の意味を話す。

 さらに「JR東の更新申請後、河川管理者の国交省が地元知事、泉田知事に意見を求め、知事が地元に意見を求め、関口市長が意見陳述するだけ。これが地元意見となる。これまでの我々の運動成果を無にしないためにも、市長からは我々の思いをしっかり知事に届けてほしい」と強く要望した。

 このためよみがえらせる会は、近く水利権の期間更新に関係する会員アンケートを行う。その内容は、「5年間の試験放流後の放流量(維持流量)はどうあるべきか」や「水利権の期間更新の許可期間(水利権更新期間)の長さは」などを予定している。長谷川会長は、「アンケートは早々に実施し、論議が本格化する9月にはこの会としての方針をまとめたい」としている。

 一方、JR東との共生をはかり、「信濃川のあり方検討委員会」などを設置し、市主導で同問題に取り組む十日町市の関口市長は、「大事な年となる。国交省からも指導をいただくなかで、しっかり頑張っていきたい。水問題は新たな段階に入ろうとしている」と総会で話した。さらに、「30年の活動、オピニオンリーダーとしての活動に感謝する。サケ遡上数が4百尾を超えており、河川環境が整えられてきていることは間違いない。河川利用の動きもあり、可能性はまだまだこれからだ」と行政主導で同問題に取り組む姿勢を見せた。
 総会では、ふるさとの川にサケを呼び戻す活動に取り組む飛渡小の4、5年生4人が、これまでの活動発表を写真や資料を示して行い、出席者から大きな拍手を受けた。

茅葺民家を文化財に、画家・早津剛氏が作品展で訴える  7月18日号
「茅葺き民家は今失われている。今でも残るものは町文化財として残さなければ」と、茅葺き民家を書き続ける画家・早津剛氏(南魚沼市在住)は保全を求めた。津南町なじょもん館の夏季企画展「苗場山麓に広がる秋山郷の民家〜早津剛展 未来に伝えたいかやぶき民家のある風景」は12日開幕。初日は早津氏がギャラリートーク。自身が描いた30年余前の町内大赤沢の民家を例に挙げ「先日見たら今でも残っていた。いま住んでいる方がいなくなれば、皆無くなる。大事に守ってほしい」と呼びかけた。

 同展は早津氏が描いた津南町、栄村、旧中里村の茅葺き民家の油絵25点余を展示。今春製作した最新作のマウンテンパークからの河岸段丘を描いた作品も。前期、後期で5作品を入れ替える。40年余前から早津氏は奥信越を探訪。「最初は秋山郷など、移動が大変だった時代。私は必ずその場で絵を書く。一枚3時間余かかる。人間の目でその場で描く絵は写真と違い立体感がある」。四季の茅葺き民家は今では失われた風景。津南町の上野、樽田、大赤沢、さらに栄村の程久保や森、中里の倉俣や重地など、原風景が絵画には残っている。「日本には誇るべき風景がある。純粋に先入観を持たず絵を見て、皆さんが物語を感じてほしい」などと語った。
 会期は来月10日まで。ギャラリートークは来月10日1時半にも実施。関連企画「写生会〜見玉不動尊周辺を描く」は来月7日午前10時、早津氏指導で行う。同館рO25‐765‐5511。

約1億円で空校舎大改修、芸術祭の拠点に、津南・旧上郷中   7月11日号
 閉校校舎を演劇などアート活動の拠点にする取り組みを津南町がスタートする。3年前の長野新潟県境地震で被災し、翌年に閉校した上郷中学校。2年前の大地の芸術祭で劇団の練習場に活用後、地元組織などが活用策を検討し、来年夏に開く第6回大地の芸術祭に向けたアート・芸術活動の拠点に改修し、地元組織が運営する構想で動き始めている。今月22日開会の町議会定例会に改修補正予算約1億円を提案し、可決後、改修に入り、来年3月の完了後、芸術祭に向けての取り組みを始め、芸術活動の拠点と共に、交流拠点に育てたい方針だ。

 上郷校舎は県境地震で旧耐震基準の体育館棟は被災し、以降、使用禁止にしてきた。一方、隣接の特別教室棟は新耐震基準のため、使用が可能。今回の芸術活動の拠点への改修では、体育館棟の耐震診断と補強工事(約1779万円)を行う。校舎全体の改修費は約6156万円を見込み、さらに演劇練習や発表の場としての照明・音響整備を約2千万円で行い、全体事業費約9936万円で取り組む計画だ。

 計画では各教室をミーティングルームや談話室にし、家庭科室はキッチンと食堂に、理科室は温水シャワールーム、校長室は上郷中の歴史展示室に、特別教室は宿泊室、多目的スペースはそのまま活用し、体育館は練習場や発表ステージなどを整備する方針だ。事業費約1億円は、国補助で対応し、町財源支出は千7百万円程度と見ている。震災交付金活用の関係で、照明・音響設備約2千万円は、管理運営を委託する上郷地区振興協議会(島田福男会長)が事業主体となり行う。

 町では、上郷地区振興協議会への委託費は、現状の維持管理費(年間約78万円)に百万円前後の上積みを予定している。7月議会で可決後、3月末を工期に改修工事に入る。なお、来年夏の第6回大地の芸術祭では、「エリア全体の中の一つの拠点とする」(北川フラム氏)方針で、同所の名称と共に活用する劇団やアーティストの具体化に関心が集まる。

10代のまなざし「風巻駿也君・13歳・津南中2年」 箱根をめざす  7月11日号
「いつか、箱根を走るのが目標です」。
 身長150a余、体重37`。津南中陸上長距離部でもかなり小柄な方。だが走りたいと言う気持ちは誰にも負けない。
 「走るのが好きなんです。特に辛い練習。体が動かなくなるぐらい疲れ、頑張った、と感じるのが良いですね」。
 先月26、27日は中越大会で1500bと3千bに出場。3千bは13位だった。
 「12位まで県大会に行けるんですが、あと一歩届かず、かなり悔しかったです」。
 徐々にタイムは上がっている。いま3千bのベストは9分36秒。通信陸上大会の県参加標準記録は9分40秒。
 「全国は8分59秒、あと37秒です。少なくとも来年には全国レベルにたどり着きたい」。

 5月から長距離部のキャプテンに就任。3年生4人、2年生8人、1年生9人の同部を引っ張る。
 「先生にやってくれと言われビックリしました。不安ですが先輩もいるし、やれることを頑張ろうと思います」。
 秋は駅伝がある。昨年、男子は県大会への切符を惜しくも逃した分、士気は上がっている。
 「今年こそ、とみんな言っています。男女共、目標は北信越出場です」。

 陸上が『動』なら、小学2年から取り組む書道が『静』。今年の県書道教育研究会主催の第59回県書初め大会では朝日新聞新潟総局長賞を受賞。初めての上位賞を取った。
 「静かに心を落ち着けて書く。嫌いじゃないので、これからも書道を続けますよ」。       (石沢修一)

JR東・宮中取水ダム、来年6月水利権期間更新、協議で誰が主導権を  7月11日号
 来年6月末に水利権の期間更新を迎えるJR東・宮取水ダムは、試験放流最後の5年目の今年、昨年に続き「変動型放流」に取り組んでいる。7日には、6年目の放流方法を検討する「第6回信濃川あり方検討委員会」を市役所保健センターで開いた。この中で6年目の放流量(維持流量)をどう具体化するかで意見が交わされ、「放流量はJR東が決め、それを河川事務所(国土交通省)が認可する」ことは確認されたが、その具体化を検討協議する「専門部会」のあり方が大きな課題となる見通しだ。

 専門部会は、十日町市、中魚沼漁協、信濃川をよみがえらせる会、十日町商議所、JR東の5人の他に大熊教授がアドバイザー参加する。会合は非公開で行っている。今後のスケジュールでは、8月から3ヵ月を要して協議を重ね、11月までには一定の方向性を出す。それを受け「あり方検討委員会」を開く方針。

 一方、JR東は7日の検討委員会で期間更新後の放流量を協議する専門部会への出席は「申請者であるJR東が具体的な協議の場に出席するのはどうか」と疑問を呈した。だが、市担当者から「どういう検討が行われたか、JR東からよく聞いてほしい。地元の思いをしっかり受け止めるためにも、専門部会にはこれまで通り出席を」と話し、これまで通り専門部会に出席することになった。
試験放流最後の今年は、7月26日〜9月5日の間、水温が「28度を超えることが想定される日」に100d放流し、水温上昇と放流量の関係をデータ収集する計画だ。
 さらに十日町市独自で、放流量の増減によるラフティング試験を行い、今後の川利用に役立てたい方針だ。

 検討委員会では、川の景観などの住民アンケート結果も示され、同委員会のアドバイザー・大熊孝新大名誉教授は「20代など若い世代が、水力発電ダムを評価している点は興味深い。我々の世代とは感覚が違うのか」、さらにJA十日町の田口直人経営管理委員会長の「川遊びは本流より流れ込む小河川が主だ。小河川の調査を行わないのか」と発言を受け、大熊教授は「本流しか考えていなかったのは事実だ。小河川も対象に考えるべきだった」と反省点を述べた。

 さらに今回、宮中取水ダムの最低取水量が明らかになった。委員に質問に答え、JR東の佐坂秀俊所長は「(千手発電所までの)水路トンネルの途中でかんがい用水しているので、自然流下の箇所もあり、最低でも発電するには毎秒35d弱の確保が必要」と話した。一方、国が認めている最大取水量は「毎秒316・96d」。この取水は、3,4月の雪解けシーズンの頃の限られた時期という。

明日へ「姫田作品を連続上映、過去を知ることは未来を見ること」、門脇洋子さん  7月11日号
『昔のことを撮っているのは、未来のためなんだ』。全国の農山漁村の伝統行事や人々の暮らし、失われゆく風習などを、克明に映像記録する民族文化映像研究所(民映研)の所長であった姫田忠義氏。その言葉が忘れられない門脇洋子さん(63)は、昨年10月から、その民映研作品の連続上映会を開いている。「あの映像の中に生きる人たちは、実はここ十日町に生きる人たちでもあります」。
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 民映研所長だった姫田氏。昨年7月末に惜しまれつつ他界。実は、連続上映会の初日を10月に決めていた。そのメインゲストに姫田氏を迎える予定だった。「ショックでした。でも、それだけに民映研の作品上映の大切さが増したように思います」。
 その初回は、新潟・三面川上流、朝日村(現村上市)の「奥三面」の暮らしを記録した『越後奥三面〜山に生かされた日々〜』(1984年作品)。3時間余りの大作。ダムに沈むムラの暮らし、人々の思いを、冬から春、春から夏、夏から秋、そして再び冬への、自然豊かな暮らしを淡々と映す。
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 40年余前の立教大3年の時、初めて十日町市を訪れた。学芸員をめざす実習授業で「鉢の石仏」の調査だった。卒業後、研究室に残り再三、鉢を訪問。その中で夫が木挽き職人(木地師)だった尾身ミヨさんと出会う。職人の道具や資料などを大切に保管していた。
 体調を崩し、新潟市の娘夫婦の所に移ったミヨさんだったが、木挽き職人資料を気にかけていた。「2009年の芸術祭の時、1ヵ月間、空家だった民家を開け、職人資料などを展示しました」。今も資料は大切に保管され、ミヨさんとも連絡し合っている。昨年5月まで地域おこし協力隊を3年間務め、今は市民活動ネットワーク「ひとサポ」の事務局を務める。
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 民映研作品は119本ある。民映研理事の中川誼美さんの協力を受け、これまで『奥会津の木地師』『金沢の羽山篭り』、山に生きるまつり』、『竹縄のさと』、『茂庭の暮らし』、『椿山〜焼畑に生きる〜』などを上映。会場は「まつだい郷土資料館」(ほくほく線まつだい駅前)。上映日は毎回土曜日。大地の芸術祭でも作品上演される拠点だ。
 姫田作品がつなぐ人たちが、県内外から参加している。「単なる上映会ではなく、運動として捉えています」。映像の中に生きる人たちは、ここ十日町や津南でも生き抜いている。
 「生きる知恵を持つ70代、80代の人たちは元気です。でも、20代、30代の人たちの元気があまり感じられません。何が違うのか、そのヒントがこの姫田作品にあると思います」。
 第6回上映会は、初の出張上映会を高柳・門出で開く。第7回は10月18日、『イヨマンテ〜熊送り〜』を、アイヌ民族の血を引く方を招き、講演会も開く計画だ。津南町でも上映会を予定する。
「暮らしそのもの、日常をもう一度見直すことが大切です。過去を知ることは、未来を見ることでもありますから」。
                  (恩田昌美)

完熟堆肥で高品質野菜を、水素水使った特許で  7月11日号
 ミネラルバランスを餌に混ぜて飼育する牛や豚の糞に水素水を混ぜることで、栄養価が高く臭いがほとんど出ない有機完熟堆肥を製造。その堆肥で市場価格の1・5倍で販売できる野菜を生産する県内初の実証栽培が十日町市下条地区の水落住建(水落靖生社長)で始まった。無臭に近い堆肥の製造は、課題となっている同市の堆肥センター建設問題にも一石を投じそうだ。

 有機完熟堆肥を使った農法は、全国の工務店有志が「冬季間の仕事確保、年間収入の安定」などを掲げ静岡の堆肥専門会社・有機産業との連携で広がりを見せ、県内ではいち早く水落住建が取り組む。生産した野菜は通常の1・5倍の価格で全量、全国住宅住環境改善事業協会が買い取るシステムが特徴だ。

 水落住建では今年度、「畜産部会」「野菜生産部会」「福祉部会」を組織。静岡の有機産業から完熟堆肥を仕入れ、下条地区の専業農家ら13軒とトマトやナス、ショウガなど野菜のブランド化をめざす一方、にいがた産業創造機構の支援を受け今秋にも堆肥製造用の水分調整機を購入、畜産農家との連携で完熟堆肥づくりにも乗り出す。生産量が増えれば地域農家にも販売、市堆肥センター建設の動向にも注目していく意向だ。野菜の栽培面積はまだ45e程度だが、将来は1f規模に広げたい考えで、栽培管理は「障がい者の雇用の場になる」として十日町福祉会とも連携していく。
 水落社長は「建築業と農業の異業種展開で従業員の年間を通した仕事確保にもつながる。地域循環型システムの確立をめざし、地域の新たなビジネスに発展させたい」と話している。

炭で妻有の森林保全を、松之山で実証実験  7月11日号
 日本海側を中心にナラ枯れなど樹木被害が広範囲に広がっているなか、炭の活用で森林の復活を実証しようと6日、松之山の鶴田豊子さん(赤倉)らの呼びかけで「野にも山にも炭を撒こう会」が開かれ、炭文化の普及に努める市民組織「森林(やま)の会」を主宰する宮下正次氏を講師に招き大厳寺高原で樹勢の弱ったブナやミズナラの根元に炭や木酢液を撒いた。同会では「来年は樹勢が回復しているはず」として健康状態を観察する方針だ。

 ナラ枯れは、大学教授や研究者らが「虫の被害によるもの」と断定、各地で農薬散布などを行ってきたが効果は現れなかった。そんななか、当初から炭の活用を訴えていたのが30年余りに渡って炭文化の普及や植林活動に取り組んでいる森林の会」の宮下氏。宮下氏は「空気汚染や大陸からの酸性雨で土壌は極度に酸性化している」と警鐘を鳴らし、「炭を撒くことでミネラルが注入され土壌は中和、それによって樹木の樹勢が回復する」と訴え、実際に佐渡や桐生市などで行った実証実験では樹木の活性化が顕著に現れた。これら炭による樹木活性化は元大阪大学客員教授・小川真氏が成果発表、林野庁も炭の効果を認め、補助金を出すようになった。

 炭を撒こう会では、ナラ枯れ対策として林野庁が炭利用に補助金を出すようになった一昨年から実証実験を進め、「これまで実際に樹勢が回復していることを確認している」として「公的にももちろん、個人でもあちらこちらの山で炭を撒く運動を進め、大事な水を生み出す森林を守っていきたい」と呼びかけている。

 松之山では年間10万人の観光客が訪れるブナ林「美人林」で、約4割に枯れ枝があることが確認され、同市では間伐などによる保全を検討しているが、同会ではこれまでの実証実験を指摘。炭の活用を促す考えだ。

フリースペース「ねころんだ」開所、親の会・フォルトネットが開所  7月4日号「
 さまざまな理由で学校へ行けない子たち、社会との交流から遠ざかっている若者たち。「ひきこもり」という言葉で表現されているが、悩み続ける子たち、若者たち、そしてその親たちは、「居場所」を求めている。その辛い体験を10年余り経験した親たちが自ら動き、先月29日、十日町市の中央部、昭和町に「誰でも、いつでも気軽に寄れる場」となる『ねころんだ』を開所した。その名称の通り、「寝転んでいていいんだよ」と、親たち皆がいつも考えていたフリースペースを設けた。「まだまだできたばかり。ここに来る人たちで、これからを考えていけばいいのでは」。運営する親たちや協力するスタッフは話している。

 親たちは2年前、思いを共有し、共に考え、時には講師を招き、時には歌や体操、工芸など楽しいことをしようと、親の会「フォルトネット」を立ち上げた。フォルターナ(未来)というイタリア語と、ネットワークという言葉を合わせた造語を皆で考えた。
 関口美知江さん(58)は、息子が15歳から約10年間、ひきこもり状態だった。十日町高定時制から新潟大に進み、現在は小学校講師。同じように我が子が学校へ行けず、親子で10年余り悩んだ小林幸子さん(65)らが主体で作ったフォルトネット。毎月第1土曜午後と第3水曜夜、月2回、『お茶にしようじゃねえ会』を市民会館で開く。毎月の会報は十日町地域振興局が印刷を引き受けてくれている。
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 今年1月、フォルトネットの仲間たちは「ちょっと勇気を出して」、関口市長が毎週土曜に開く「サタデー市長室」に申し込んだ。1月24日、8人で市長室を訪問。「ひきこもり」の実情を話すなかで、「ひきこもりを担当するのはどこですか」とストレートに聞いた。保健福祉、教育委員会など年代に応じ、分野別での担当はいるが、学校卒業後の窓口はばらばら。実情を聞く中で『福祉課が担当します』。関口市長の即答に参加メンバーは驚き、喜んだ。
 「ちょっと自信をもらいましたね。あのひと言が私たちの背中を押してくれました」。親たちは、そのささやかな自信で次なる行動に出た。福祉事務所などの情報として知っていた先進事例があった。それが秋田県藤里町の社会福祉協議会の活動だ。
 3月、はやる思いを抑えられず関口さんは、ひきこもる若者を含め5人でひと足先に現地を訪れた。「これはぜひ皆に見て、感じてほしい」。予感は確信に変わった。

 行政が用意したマイクロバスに17人が乗り込み4月23日、藤里町へ。親たち、地域活動グループ代表、障がい者支援センター関係者、市教育委員会、そして市議も参加。 
 藤里町は白神山地の山麓。日帰りは無理で1泊。東北電力の旧官舎施設を活用した『くまげら館』では宿泊5室のほか地元食材を調理提供する食堂、くつろぎルーム、共同事務所などがあり、隣接の遊休施設を活用した「こみっと」では、「白神まいたけ」を使った創作スイーツ「キッシュ」を製造する工房があり、若者たちが働いている。運営スタッフはボランティアを含め50人余り。
 以前から考えていた「居場所」の具体的な姿を見た親たちは、さらに自信をつけた。その居場所づくりの第一歩が、先月29日に開所した『ねころんだ』。名称とデザインは、ひきこもる若者たちが話し合い作った。

 十日町高校の近く、昭和町1丁目。関口さん自宅前の遊休室を活用。会計事務所が利用していただけにスペースは広い。親たちの思いに市教育委員会も動いた。閉校小学校の不要備品を提供。担当となった市福祉課も連携。「行政がなかなか手を出せない分野。活動に大きな関心を持っていますし、様子を見ながら支援していきたい」と、藤里町へ同行した水落久夫課長は話す。
 開所の一報は県内を駆け巡った。妙高市で同様なフリースペース「ぷらっとほーむ」を設けるグループや、南魚沼市の親の会グループなどから、連携や励ましの連絡が入っている。
 「自分の子が、社会とつながろうとした時に、行く所があるんだよ、その居場所があるんだよ、これが親の安心感につながり、その安心感が子たちに伝わるんです。その場がねころんだです」。関口さん、小林さんは顔を見合わせ、うなずき合った。
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 十日町市が今年3月までに民生委員などを通じて把握した「ひきこもり」の人たちは約114人としている。だが、「実際の数は調べようがありません」(福祉課)が現実だ。居場所の誕生は、「未来」への一歩につながるだろう。『ねころんだ』連絡先・関口美智江さん090・4955・4169。      (恩田昌美)

あと206bで貫通、八箇峠トンネル  7月4日号
 ◎…通行の難所、国道253号・十日町市八箇で掘削が進む高規格道路・八箇峠道路の「八箇峠トンネル」は、年内のトンネル貫通をめざし、掘削工事が進む。国内でも有数の難関工事の現場で、通常のトンネル掘削の倍以上の時間と予算を費やす。日本のトンネル掘削技術は世界的にもトップレベルで、外国から視察が相次ぐ。八箇峠トンネルも関心が高い現場で、1日には長岡科学技術大への留学をめざすメキシコの大学生8人が現場視察した。学生らは「将来は日本の企業に入り、日本で働きたい。日本の技術は素晴らしい」と難工事に取り組む現場を視察し、その思いをさらに強くしていた。

 ◎…八箇峠トンネルは全長2840b。平成19年に南魚沼側から掘削、同21年には十日町側からも掘削。これまでに十日町側から1200b、南魚沼側から1434b掘り進み、貫通まで残る206b。視察はトンネルの掘削最深部まで行き、現場で説明を受けた。同トンネルの難関工事の要因は、十日町側の地層。「和南津層」と呼ばれる砂層が掘削を困難にしている。和南津層は砂の層で掘削は容易だが、補強しないとすぐに崩れてしまう。このため1bごとに地層を特殊な方法で固め補強しながら掘削し、すぐにトンネル内面をコンクリート補強する。

 ◎…現場を担当する大成建設によると、通常の地層の場合、月100b掘削が可能だが、この和南津層は45bがやっと。このペースで掘削し、「年内の貫通が目標」。だが、「まもなく南魚沼側の魚沼層に入ると礫が多く、出水も予想される。地層の変わり目の掘削が難しい」という。メキシコ・ヌエボレオン州立大のサンチェス・ラミレスさん(19)は、地層を補強しながらの掘削に驚き、「アイデアが素晴らしい。日本の技術はやはりすごい」と日本語で答えた。将来は土木技術を習得し。日本企業での就職をめざす。長岡技科大の高橋修教授は「日本とメキシコの両方の大学で2年間学ぶことで両方の卒業が認められる制度を技科大でも導入(ツイニング)。日本の土木工学は世界トップクラス。彼らは良い勉強ができるだろう」と学生らに、現場の大切さを話していた。

10代のまなざし「村山夏穂さん・十日町空手部」  7月4日号
 ライバルはずっと身近にいた。それが長く続けることと、負けたくないという気持ちを生んだ。
 「洋服店の店員さんから『空手をやってみないか』と誘われたんです。それが小学1年の時。面白そうだなと。同じ世代が3、4人いて、お互い負けたくないという気がありました」
 小学2年から5年まで全国大会に出場。小学生最後の6年の時は少年初段を取ったものの、大会では県3位で全国出場を逃した。悔しい思いが次につながった。

 「中学では部がなかったので、中里の水翔塾に入塾したんです。それが高校でも続けるということにつながりました」
 高校1年に青年初段を獲得。昨秋は全国選抜大会にも出場した。今年が高校時代最後の大会。県総体では個人の形・組手、団体組手とも3位で全国出場を逃した。そして自身の『空手道卒業記念』となった北信越大会は先月21、22日に石川で開かれ、出場してきた。
 「空手は高校までと思っていたので、北信越が最後の大会。個人形ではベスト8に入れたのですが、団体戦は1回戦負け。悔いがない試合だったかと言われると嘘になるかな。その分、後輩に思いを託します。全国大会をめざしてほしい」

 小学生からずっと「一緒」だった空手。新たな一歩を踏み出すための大きな節目に立っている。
 「新たな目標は、看護師になることです」。
 看護専門学校に進むため受験勉強中。空手で鍛えた精神はどんな場面でも生きると信じている。
                      (村山栄一)

駅名変更を、「まつだい・松之山温泉駅」に、ほくほく線まつだい駅  7月4日号
 要望は観光振興に重点。『お客様に松之山温泉の玄関口である「まつだい駅」に松之山温泉の名が無いことに不安を抱かせることは地域として観光サービスの欠如』と指摘し『人口減少が進むなか、松代・松之山地域の絆を深めていく以外に地域振興策はない』と駅名変更を求める。請願者代表は村山達三(NPOほくほく村事務局長)、柳靖治(市観光協会松之山支部長)、小堺清司(同松代支部長)の三氏。署名は松代388、松之山192の計580筆を集めた。

 呼びかけ人の村山さん(69、松代)は地域の将来に危機感を募らせる。「いま松代の人口は3千人、松之山は2千人。昔のしこりを残す必要はなく、外から来た人には松代も松之山も関係ない。元々は同じ『松之山郷』。手を組まねば次代にこの地域を渡せない」。さらに2年前に『日本の里百選』に選出された両地域。「メイン観光客層の60〜70代は本物志向。みな忘れ去った風景をまた感じたいと思い田舎に来る。その素材があるこの地域は、観光振興こそ生き残る道だ」と強調する。

 一方、日本三大薬湯を有し、市のメイン観光地である松之山ではこの松代発の動きを歓迎する。柳さん(74、松之山湯本)は「地域の高齢化は進み、北陸新幹線開通で特急はくたか廃止が濃厚なほくほく線も変わる。沿線活性化のためにもお客様目線の駅名変更は効果がある」と指摘。さらに「変更には数億円かかるとも言われ、容易でないことは分かっている。だが過去の経緯を乗り越え、両地域の連携を進める第一歩がこの要望だ」と話す。来夏の大地の芸術祭に合わせ、両地域連携でまつだい駅に共同案内所設置なども検討中だ。

 人口(5月末付)は松代3435人、高齢化率44・8%。松之山2244人、高齢化率46・8%。一方、観光交流人口は両地域で年間60万人を超え、2年前の第5回大地の芸術祭時は約80万人が来訪。駅名変更要望を地域の生き残りを賭けた活動に繋げる意向だ。
 なおJR飯山線では「魚沼中条駅」が国宝出土の笹山遺跡の最寄駅であり、それにちなんだ名称変更を求める運動を地元振興会が進めている。

元気な復興願い、杉郎太郎さんら栄村へ  7月4日号
 ○…「皆さんが元気になってくれるのが一番です」。東日本大震災の被災地で慰問活動続ける俳優・杉良太郎さんと妻の伍代夏子さんら5人が出演の「復興支援コンサート」は25日、栄中体育館で開催。村内で来場を呼びかけたが当初予定の5百人を上回る7百人余が応募。「できるなら全員に来て貰いたい」と全員を招待。人口2100人余の村民の3分の1が会場に参集し、プロによるコンサートを満喫。会場に1番乗りした島田忠雄さん(79、青倉)は「テレビで見るような人が来てくれる。こんなにありがたいことはない」と感謝していた。

 ○…栄村を訪ねたのは、杉、伍代、田辺靖雄、山本譲二、コロッケの各氏。5人は3年前の震災発生後に岩手や宮城など東北で支援コンサートを継続。「長野県北部地震の栄村にもぜひ来たい」と昨夏に申し出があり調整してきた。デビューから55年間ボランティア公演を続ける杉さんは「雪深く、高齢化が進む村の震災。
必ず栄村に行こうと思っていた。お年寄りの方々に少しでも楽しんで貰える時間を持ってほしかった。これからも元気で楽しい毎日を過ごせるよう祈る」と想いを語り、最後は全員で「故郷」を合唱。コンサートを盛り上げた。

56年ぶり再開、閉校前に恩師を囲み教室で授業、外丸小学校  7月4日号
 ◎…56年前、昭和33年春の卒業以来の再会が実現した。津南町の外丸小は来春閉校し、中央部の津南小と統合する。学校がなくなる前に当時の恩師を囲み、もう一度、教室で授業をしようと卒業同級生の呼びかけで先月26日実現した。上越市から当時の恩師を招き、12人の同級生が顔を揃え、当時の木造校舎ではないが外丸小の教室で、あの時のように名簿で出席を取り、生徒が手を上げて返事をし、思い出多い校歌を歌った。

 ◎…当時の全校生徒は280人余。昭和20年、21年生まれの同級生は38人いたが今は29人。幹事の福原博夫さんや地元の田中詔二さんの呼びかけに町内はじめ横浜などからも参加。中島佐千子さん、中沢豊子さんら女性も参加。恩師は新採用で外丸小が初赴任校だった新潟大卒の保坂圭介氏(82)。高田大手小校長で退職したがこの間、新潟県小学校長会長や全国連合小学校長会副会長を歴任。今回の教え子は5、6年の2年間担任。「よく覚えていますよ。卒業式の時、子どもたちを送り出すのが悲しくて、悲しくて、『こんな悲しいことには耐えられない。先生を辞めたい』と言ったら、当時の教頭が『先生とはそういうものだよ。そうして皆、大きくなっていくんだ』と慰められた。その子どもたちですよ」。

 ◎…学校のはからいで机と椅子が用意され、保坂先生を囲み、当時の授業を再現。さらに同校のシンボルで津南町の文化財・八本杉に行き記念写真。「ここから氷山へ登ったな。結構、きつかったな」など思い出話しは尽きない。卒業以来の再会となった中沢豊子さんは「先生は変わっていない。声などそのまま。みんな年を重ねたけど、元気でこうして会えることがなにより」と話していた。

過去最高、北信越ベスト4、十日町バスケ   7月4日号
「全国出場は後輩に託す」―。十日町高バスケットボール部(樋口聖主将、30人)は福井・敦賀市と美浜町で先月21.22日開いた第53回北信越選手権大会に出場。5県の強豪16チームが出場するなか勝ち進み、過去最高の3位入賞を果たした。3年生は同大会で引退、後輩に「夢の全国をめざしてほしい」とバトンを託した。
 全国大会シード権を決める北信越大会。惜しくも県大会3位で全国出場を逃した十高バスケ部にとっては、全国レベルの相手にどこまで戦えるかの挑戦。1回戦は富山商業(富山1位)を87対64、準々決勝は金沢市立工業(石川1位)を74対49で全国出場を決めている両校を撃破。準決勝では北陵(福井1位)に85対63で敗退したが、3位入賞が確定。順位とは関係ない全国シード決定戦では宿敵の帝京長岡(新潟1位)と昨秋以来4度目の決戦。一進一退の攻防だったが最後は帝京長岡に63対64、わずか1点差で涙を飲んだ。

 全国をめざしチームをまとめた樋口聖主将(3年)は「最後に勝って終れず悔しい。十高バスケは気持ちで負けないのが伝統の強さ。後輩たちには果たせなかった全国をめざしてほしい」と話す。今月1日、新たにキャプテンに選ばれた風巻竜飛君(2年)は「間近でチームワークの良い3年生たちの姿を見てきました。良い部分を引き継ぎ、全国めざして日々の練習に励みたい」と託されたバトンの重みに気を引き締めていた。

頼もしい警察犬、3頭を委嘱、十日町署   7月4日号
 頼りになります、三頭の警察犬―。新潟県警は行方不明者捜索や逃走犯人捜査に活躍する警察犬を1日付で委嘱。十日町署(佐藤公夫署長)管内では十日町市宮中の藤田真治さん(46)のマーク号(8歳、オス)、同市中条峠の佐藤喜八さん(72)のオルガ号(7歳、メス)、同市尾崎の水落憲明さん(29)のクサンビィ号(9歳、同)の3頭。犬種はすべてシェパード。マーク号は7年、オルガ号は5年、クサンビィ号は4年連続。1日の委嘱式では臭いを嗅ぎ当てる足跡追求の実演訓練を行い見事的中させるなど、心強い味方だ。

 警察犬は県内17頭、同署の3頭の民間委嘱は村上署の6頭に次ぐ頭数。 昨年の出動は1件、10月に行方不明事案で松代・儀明に水落さんとクサンビィ号が出動。行方不明者の遺体発見に貢献した。水落さんは「犬の9歳は60代ぐらい。次の若手も育成している。できる限り警察の要請に応え、協力していきたい」と意気込みを語った。

津南町・上村町長再選、スピード感ある施策を  6月27日号
「施策のスピード化による早い成果を望んでいる」。再選した津南町の上村憲司町長(65)は、選挙戦を通じて住民の思いを強く感じた。日焼けした上村町長は23日朝、町職員から花束を受け、2期目の職務をスタート、同日共同会見に応じた。

 現新一騎打ちとなった今回の町長選。相手新人に3011票(得票率44%)入った。「逆に言えば56・11%の得票率はありがたいこと。前回得票を伸ばせたことは本当にありがたいことだ」。一方で『種をまき、育て、花を咲かせ、実をならせる』具体的な政策では、「いろいろ仕掛けている。すべての施策が若い人たちからこの町に住み続けていただくことに通じる。そのためには所得の確保。町づくりのすべてに関係し、そのための準備をしている」と高齢者対策、子育て、さらに産業起こしなど、すべて若者定住につながるとする。

 選挙期間中、40会場で町政報告会を開き、約千2百人に語りかけた。「町政報告会ではかなり具体的な施策の話をした」と、街宣では理念や抽象論が多かったという指摘に対し、「政策はソフト、仕事はハードと思っている」と、従来からの基本的な姿勢を話した。

 公開討論会で明らかになった町立津南病院の全面的な検討を専門コンサルタントに依頼している点について、「年内か年度内に報告が出るだろう。津南病院の健全運営のあり方、公立病院としての存在意義、経営内容、診療科などすべての分野について研究してもらう」。その報告を受け、「病院運営審議会や県の医療関係者などのアドバイスをいただき、今後の津南病院の方向性を検討する」と方針を話す。

 一方で論点の一つになった原発問題では、「原発の安全性の検討は、第一義的には国が行うべきこと。この町は検討する能力も技術的な知見も持っていない。次は新潟県の認識を一つの指標として持たせてもらう。この上に立って津南町のあり方を考えていく」と改めて基本姿勢。さらに、「万一の場合、可能な限り自力で対応できることを確保している。それは安定ヨウ素剤であり避難先との契約である」としている。
 町長選後に開会する津南町議会定例会は来月22日に開会し、冒頭、再選した上村町長の施政方針演説がある。

ほくほく線、「マイレール」自覚を大熊社長要請、130億円の蓄え   6月27日号
 来年3月、長野―金沢が延伸開業する北陸新幹線の影響で、収益の大部分を占める特急はくたか廃止が濃厚な「ほくほく選」(六日町―十日町―犀潟)の営業悪化が心配されるなか、経営する北越急行は第30期決算を20日発表した。平成9年の開業以来、黒字経営を続け、30期も11億円余の黒字決算。来年の北陸新幹線開業までに130億円の蓄え(内部留保)が確実となっている。一方、来年3月の同新幹線開通により、ほくほく線のドル箱「特急はくたか」が廃止された場合、同社運輸収入は10分の1になると予測し、向こう30年間の収支見通しも発表した。大熊孝夫社長は「30年間は蓄えで運営できるが、将来見通しの中で早い段階から線路やトンネル、橋など地元自治体への寄付で固定資産税軽減など経営経費削減が必要で、経営改善策を沿線自治体と協議することが必要だ」と、地元自治体に『マイレール(おらが鉄道)』意識の自覚を促している。

 第30期決算によると、内部留保は前年比13億6千万円増の118億4千万円。平成9年の開業から連続17期連続の黒字経営を維持している。さらに30期は、運輸収入が前年比1億4千万円増の39億5千万円で、過去最高の昨年を上回る開業以来の最高収入を上げている。これは乗客数にも表れ、総輸送人員は過去最高の401万5千人を記録。一日平均約7960人が乗車。普通列車も111万人と5年連続の100万人突破で、これも過去最高だ。

 好調を維持してきたほくほく線だが、来年3月の北陸新幹線開業は、社運を左右する。全収入の93%を占める特急はくたかが廃止された場合、同社試算では収入は10分の1に激減すると見ている。
 そこで同社は向こう30年間の経営見通しを同時に発表した。改善策では「3ヵ所ある行き違い設備の廃止」、「変電所3ヵ所廃止」「信号設備の削減」「要員の大幅削減(90人体制から65人)」の4項目を挙げている。人員削減はすでに実施しており、3年計画でJR出向組などの削減を進めることで実現するという。

 一方で特急はくたか廃止の増収策も発表した。時速110`の普通列車を活用した「超快速」列車を運行。現在の湯沢―直江津間の最速普通列車は75分。「看板列車として1時間を切る超快速」を計画する。この背景には、現在の特急はくたかの一日平均利用約7千5百人のうち、15〜20%が直江津下車のビジネス利用で、超快速運転により、ほくほく線の継続利用が期待でき、試算では年間1億円余の収入増が期待できるとしている。

 30年間の経営見通しでは、26年度末の内部留保を130億円で試算した場合、10年後に90億円、20年後に49億円、30年後には7620万円と試算。このため経営経費の節減が大きな課題。その一つが地元自治体に支払う固定資産税。30期は約1億8千万円を支払っている。

 決算発表で大熊社長は、この固定資産税に言及した。「全国40路線ある3セク鉄道では減免や資産寄付など様々な形態がある。ほくほく線は橋やトンネルの固定資産を地元自治体に寄付することや、線路や駅舎などを自治体所有、列車運転を民間が行う『上下分離』を考える必要がある」。同社では今後、沿線自治体で作る公共交通沿線自治体協議会などの場での検討を要請していく方針だ。

10代のまなざし「滝沢悠斗くん、津南中等6学年」 世界を視野に   6月27日号
 ニュージーランドでのホームステイ、学校に来たオーストラリアの留学生との交流で、『世界』が視野に入ってきた。そのための準備も怠らない。すでに英検2級を取得し、日々の学習でも、英語には一段と力が入っている。

 「ホームステイでも、留学生との交流でも、やはりコミュニケーションの大切さを感じました」。学業で刺激になっているのは、学友の取り組む姿。全国試験や校内テストの結果が校内に張り出される。トップクラスにいる友の姿が自分を鼓舞する。

 「ちょっとした時間でも、無駄にしていないです。その姿を見ていると自分も、と思います」。津南中等は4学年の夏休み前に進路選択する。文系に決めた中には、「外国=世界」という思いを秘めている。

 小学2年から取り組む野球。この夏がラスト・サマー。7月末に県大会、優勝すると8月上旬に北信越大会。津南中等は北信越出場の常連校。部活と勉強。一日の限られた時間のなか、チームメイトとの時間を大切にし、一方で勉強も。この6年間の学校生活は、その切り替えスイッチを自ら操作することで、自己管理の鍛錬にもなっている。

 受験本番が迫るが、大学の4年間が待ち遠しい。「外国への留学や旅をしたい。まだ漠然としたイメージですが、外国で仕事をしたいです。そのためのステップが大学です」。この6年間、多くの刺激を受けた。「もっといろいろな刺激を受けたいです」。大学生活で、自分の中でどんな『化学反応』が起きるか、楽しみにしている。                (恩田昌美)

防災拠点、2年後完成、消防本部新庁舎   6月27日号
 中越大地震や長野新潟県境地震、新潟福島豪雨、豪雪など度重なる災害を受けた妻有地域にとって「安心、安全への拠点」として期待される十日町地域消防本部新庁舎と新県立十日町病院の外来棟や救急ステーションが平成28年4月までに建設される。人命救助など災害時の主力となる両施設の近代化で、地域住民の期待も高まっている。

 十日町地域消防本部の新庁舎安全祈願祭は25日、同市四日町新田地内で行い、28年4月のスタートに向け建設に着手した。本署と西分署を統合して建設。約1万1千平方bの敷地に庁舎棟(鉄筋コンクリート3階建て延べ約2930平方b)と車庫棟(鉄骨2階建て延べ約1037平方b)、エネルギー棟(鉄骨平屋建て延べ約60平方b)を建てる。総事業費は約15億5千万円。来年10月末には完成予定だ。地中熱を利用して冷暖房や融雪を行うヒートポンプシステムや、太陽光発電での再生可能エネルギー、さらに豪雨時に対応する雨水貯留槽(約200d)など環境対策にも取り組んでいる。
 建物はすべて耐震構造だが、特に通信指令室や通信機械室、災害対策作戦会議室は大きな地震にも対応できる免震床を採用する。ヘリポートは設けていないが、敷地内での離発着が可能と見て完成後に検証する方針。

 配置車両は消防ポンプ自動車3台、はしご付消防自動車1台、救助工作車1台、化学消防車1台、高規格救急車2台などで66人の職員体制で業務にあたる。また新十日町病院・救急ステーションに9人を配置し対応する。
 安全祈願祭で関口市長は「新庁舎は大規模災害時の拠点となる。被災住民の一時避難場所にもなる。地域防災活動の強化と総合的な消防力の進展が期待される」と話した。

通行止め十二峠、梅雨豪雨心配、夏休み前再開めざす  6月27日号
 大規模な土砂崩れで通行止が続く国道353号十二峠は来月中旬、夏休み前に仮復旧による通行再開の見通しだが、23日早朝に再び土砂崩れが発生し、現場の第2猿倉スノーシェッドの半分ほどが土砂に埋まった。今回の土砂崩れは、山側上部で土砂排出し、移動した土砂がずり落ちたもの。地元説明通りの夏休み前通行再開には影響はなさそうだが、梅雨期でもあり今後の降雨が心配される。十日町地域振興局によると、恒久的な本格復旧は来年いっぱいかかる見通しで、それまでは仮復旧による交互通行を実施し夜間は通行止め。さらに豪雨や集中降雪による通行止措置も、通常の半分の数値で交通規制をかける方針だ。

 22日夜9時頃の土砂流失は、山側の不安定土砂の排出作業で出た土砂を移動していたものが、23時早朝の時間雨量7_から10_の雨で滑り落ちたようだ。管理する十日町地域振興局は、今後の工法を含め現場確認をしている。
 
 一方で今月12日夜には中里地域の関係集落を対象に今後の見通しを説明した。現場では崩落上部の不安定土砂の排出を遠隔操作の無人重機で行っている。一方、厚さ5bほど土砂堆積したスノーシェッドの排出はほぼ完了し、土砂崩落で損傷したスノーシェッド支柱17本の改修に今後取り組む計画だ。

 損傷したスノーシェッド支柱は、ひび割れ状態で、新たな補強が必要。一方、通行再開はスノーシェッド坑口から20bにボックス型道路(高さ・幅4bの立方体)を設置し通行確保をはかる。大型観光バスも通行できる大きさだ。
 仮復旧による通行再開の見通しは、「夏休み前には通行再開したいが、梅雨豪雨などの影響も心配され、慎重に取り組んでいる」(十日町地域振興局地域整備部)と来月20日から25日前後をめどに仮復旧を進めている。

 説明会に参加した住民のひとりで旅館経営者は「今春、夏のプランを旅行会社に提出したがこの災害。秋の紅葉シーズンのめども立たず、影響は大きい」、あるいは「南魚沼側の道路案内が分かりにくい。もっとていねいな案内看板が必要」など切実な声が聞かれた。同振興局では、道路案内などの再点検をする方針だ。

国道405号秋山郷整備、「原発避難路」で重点要望  6月27日号
 秋山郷国道整備促進期成同盟会(吉野徹会長)の第38回総会は10日、のよさの里で開催。十日町地域振興局・小泉良彦部長、北信建設事務所・新家智裕所長らに地元住民が国道405号の早期改良を要望。吉野会長は「高齢化が進み集落維持が難しくなるなか、我々の地域を守るには皆さんの力が必要。さらに原発事故時の避難路に未開通の切明―野反湖間の整備を」と群馬県との連携による早期開通を求めた。

 同会は国道405号線の未開通区間の工事着手をめざし独自調査。3本のトンネルと2本の橋梁で野反湖まで約12`間を結ぶルートを算出。約20分の短時間で群馬―長野間を繋げられるとし、昨年末に尾身孝昭県会副議長同行で参院・佐藤信秋、中原八一両氏に要望書を提出した。吉野会長は「以前も未開通区間開通を求めていたが気運は低調だった。だが柏崎刈羽原発に何かあった場合、避難経路となるルート」と強調。参集の村松二郎県議、宮本衡司長野県議、さらに両県担当者に必要性を訴えた。

 一方、昨年9月の台風18号被害で崩落、現在は片側相互交通で仮復旧中の県境・堺橋付近の本格復旧時期を同整備部は「延長56b余、約5500万円の査定を受け、今は夜間交通止めで作業している。交通開放しながらの作業で工程的に厳しいが、今年中に完成させたい」(樋口利行維持管理課長)とした。なお今年度新潟県側は雪崩危険箇所の清水川原地内のスノーシェッド延長工事など継続。長野県側は小赤沢地内ガソリンスタンド付近の道路拡幅工事など改良工事を進めている。


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