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2014年04月の津南新聞「トピックス」

過去の津南新聞トピックス
新トンネル必要を証明、国道353号十二峠の土砂崩れ  4月25日号
 大規模な土砂崩れで通行止が続く国道353号・十二峠。新潟県南部や長野県北部、さらに北陸圏と首都圏をつなぐ重要ルートのため影響は日ごと大きくなっている。国県の関係者が現場視察に訪れ、17日には十二峠・新トンネル開削期成同盟会長の水落敏栄参院議員も視察。管理する十日町地域振興局・桐生局長や地元関口十日町市長らと今後の対応を協議したが、仮復旧含め通行再開の見通しは立っていない。大型連休の通行再開は絶望的で、清津峡など沿線の観光地への影響が心配される。

 十日町市出身の水落氏は平成9年設立の「国道353号新十二峠トンネル開削期成同盟会」の会長。昨年1月、中里で開いた定例総会では「残念なことに十二峠の新トンネルの必要性が地元に十分に伝わっていないのではないか」と運動の盛り上がり不足を話し、同ルートの重要性と共に新トンネル開削の早期実現へ積極姿勢を見せた。今回の現場視察は水落会長が要請。地元行政など関係者が同行し、清津峡入口から約1`先の猿倉第2スノーシェッドの崩落現場を視察。水落会長は「イタチごっこだな」などと話し、自然災害への対応の困難性を指摘していた。

 水落会長は本紙取材に対し、「人的被害がなかったことは不幸中の幸いであった。大規模な土砂災害で復旧の見込みが立たない現状を把握した。雪崩防止柵やスノーシェッドなど、ある程度の整備は進んでいるが、やはり地形的な問題があり、年間通じて安心・安全に交通できるよう十二峠新トンネルを早急に進めなければならない」と新トンネルの必要性を強調した。

 さらに「十日町市、津南町、長野県北部地域と上越新幹線・関越自動車道を最短でつなぐ国道353号、そして上越魚沼地域振興快速道路は、まさに基幹道で、暮らしを守る「命の道」。11年前にも同様の大規模土砂災害があり、冬期間の雪崩を考えると十二峠新トンネルの建設は待ったなしの状況であることが証明された」と同盟会活動通じて新トンネルの早期実現へ積極的に取り組む姿勢を見せている。

理系女子、理系男子、人材育てる、十日町が3年連続文部科学大臣表彰  4月25日号
 未来の理系女子、理系男子が育っていますー。創立50年を迎える十日町市の「理科教育センター」。十日町市と津南町の小中学校の理科教育をバックアップする同センター。毎年開く発明工夫模型展は千2百点余が出品され、3日間で5千人を上回る来場の人気を集める。同展の優秀作品が新潟県大会、さらに全国大会へ出品され、全国入賞する実績を積み上げる。同理科センターの支援活動を受ける小学校の一つ、十日町市の下条小学校が今年度の文部科学大臣表彰を受けた。同市では3年連続の表彰。理系分野の人材を育てる取り組みが、成果を挙げている。

 今年度の科学技術分野の文部科学大臣表彰は全国で小学校10校、中学校13校が受賞。新潟県内では下条小学校(池田正義校長、159人)だけ。同校は伝統的に理科学習に重点を置き、国立天文台や上越教育大などから専門講師を招き、理系分野への関心を高める一方、「1人1コンクール応募」運動に取り組み、子どもたちの自主性を育て、理科分野への創造性を引き出している。
 池田校長は「多くの先輩たちがチャレンジしてきた成果で、この学校に関わる多くの皆さん全員で受賞したものです」と話す。日頃から子どもたちには「おやっと思うこと、不思議に思うことを大切にして、疑問を大切にしてください」と呼びかけている。
    ◎◎◎
 理科教育は、学校活動の中で準備などで時間が求められる分野だ。そこで新潟県は50年前、全県をカバーする「県立理科教育センター」を設立。その後、各地区に設置して28地区に置かれたが、再編などを行い現在は14地区になっている。

 なかでも十日町市の理科教育センターは地域活動を広げ、昭和58年には「十日町少年少女発明クラブ」を結成。県内初で、多くの発明品を創出している。同時に一般市民による「発明協会」もでき、市あげて「理系」人材の育成に取り組んでいる。
 現在の理科教育センターの選任所員で元千手小学校長の村山実さん(63)は「理科センターの活動は、きっかけづくりです。理科の分野に少しでも関心を持ってくれたらと思います」と話す。十日町市と津南町の小中学校に人材派遣し、理科教育のサポートなどを行っている。その実績が今回の3年連続の大臣表彰に結びついている。
 大臣表彰は、昨年は川治小学校、一昨年は水沢小学校が受賞し、津南小学校も2004年、2008年に受賞している。

今度は元気づくりに挑戦、地域おこし協力隊退任の高木さん  4月25日号
 地域活動や住民の暮らしをサポートする「地域おこし協力隊」として十日町市で活動した女性が、住民との絆や地元の食材に魅かれ、十日町での定住を決め、その拠点となる飲食店を今月20日、開店させた。先月末で同隊を退任した高木千歩さん(40)。市内の市街地空店舗を活用し、協力隊で知り合った農家から食材を仕入れる。開店日には、協力隊仲間や世話になった農家など多数が来店し、新たな門出を祝った。

 市内本町2丁目から小路に入った空店舗を改宗して開店した「ALE(エール)」。高木さんは「地域の美味しい食材を使い、この地域の良さをもっと知っていただきたいです」と話す。同店を様々な活動の拠点に活用したい方針だ。

 協力隊では市内飛渡地区を担当した高木さん。協力隊活動を通じて「どこにも負けない美味しい食材を活用したい」と飲食店構想を考え、退任を機に決断。飲食店の他にも「地域の元気を作り出す事業」などにも取り組む方針。その運営会社「株式会社YELL(エール)」を親族や仲間ら4人と設立。代表取締役は高木さん。同店スタッフは、イタリアン・シェフら女性4人で運営する。

 メインは地ビールとアメリカン料理。特にトマトソースをふんだんに使う料理が多く、「十日町産のカルビタトマトをたくさん使い、トマトソースには十日町産のニンニクを使うなど、地元食材を使っています」。地ビールは、国内7蔵から樽ビールを仕入れ、個性ある芳醇な香りや味が楽しめる。アメリカン料理は、大豆やポーク(妻有ポーク)などを使い、ピリッと辛いテイスト感が楽しめる。地元の地酒やワインもあり、料理バラエティも豊富だ。
 飲食店経営のほかフラワーアレンジメント教室や音楽活動、さらに会社メンバーにはMBA(経営学修士)資格者もおり、経営研修や指導活動にも取り組み方針で、新たな事業展開の会社経営も視野に入れている。

 ALEは毎週水曜休み。午後5時の開店。音楽好きで、サックス奏者でもある高木さん。「ピアノも入ります」。6月27日には協力隊仲間の紹介で、アルゼンチン・タンゴライブを同店で開くなど、ライブも開く方針だ。

温泉トラフグ、雪国特産に、新会社「エヌプラス」設立  4月25日号
 遊休施設のミオンなかさとのプール棟を使い育てた「とおかまち温泉トラフグ」の特産化に取り組む十日町市中里地域。先月10日付で地元企業や個人15人が出資し「株式会社エヌプラス」(資本金1200万円)を設立。社長には中里商工会長で「温泉トラフグ研究会」の会長を務める杉谷清之氏(大村建設社長)が就任。専従職員1人を雇用し、「とおかまち温泉トラフグ」のブランド化を図る。初出荷は12月予定。さらに7月13日はクロス10でのPRイベントを企画、特産化に向け本格始動している。

 温泉トラフグ特産化は、昨年から中里商工会中心に十日町市、津南町の6商工会が連携し研究会を発足。国6次産業化事業を受け、約2千万円で3年前から未使用のミオンプール棟を改修。水槽5基で、年間約3700尾の養殖に取り組む方針。プール改修工事は大型連休明けに行う予定だ。共同出資の新会社「エヌプラス」の『エヌ』は中里の頭文字で、さらに発展できるよう『プラス』を組み合わせた。大村社長は「海のない、雪国で作るトラフグは大きな特産になる。地域の若者の雇用促進をという要望も受けている。県内で養殖に取り組むのはまだ中里だけ。県下でもシェアを確保するチャンスで、さらに魅力を全国に発信できる取組みだ」と意欲を語る。

 今月22日はミオンで研究会主催の試食会を開き、会員や市職員ら30人余が参加。寺泊産の天然物、長崎産の海洋養殖物、今回の養殖事業のモデルとしている栃木・那珂川町の「里山温泉トラフグ」の3種を味比べ。産地を明かさず試食すると、「天然」と「温泉養殖」が一番旨いとした参加者がほぼ同数だった。津南町で居酒屋を運営する高波覚栄さんは「山で撮れたフグを食べるというのは夢があり、魅力ある商品。あとは値段だが、地元の特産に協力したい」と話す。研究会では今後モニター店を会員から募り試食やアンケートなど採り、これを参考に金額などを決める方針だ。

フオークでおもてなし、JR企画列車の誘客で  4月25日号
 懐かしのフォークソングと、十日町の地酒・地そばでおもてなし―。5月から運行が決まったJR東の快速列車「越乃Shu*Kura」運行に合わせ、妻有地区で活動するフォークサークル・妻有オールウェイズ(宮政広代表)と十日町小嶋屋(十日町市本町4)が「おもてなし実行委員会」を発足。同列車をタイムマシンに見立て、十日町に立ち寄る乗客を懐かしのフォークソングで70年代へと誘い、さらに地酒と地そばを堪能してもらおうとスペシャルコンサートを企画した。

 開催は5月17・24日、 6月15・29日の4回で各日午後12時45分から。会場は小嶋屋本店3階大広間。食事つきの事前予約制(先着48席)で、一人2300円(税込)の地酒呑み比べなど3つのコースを用意する。食事なしでも入場は無料。出演はパピエ、父辛子、和SABI(わさび)。同会事務局では飯山線十日町駅(大瀧芳彦駅長)に協力を依頼し同列車の停車駅にチラシを設置。また市内外の観光施設・案内所にも同様、ポスターなどの掲示を行っている。
 事務局を務める小嶋屋・小林房子専務は「十日町を訪れる乗客の皆さんと地元の方と、一緒に歌って食べてよき交流の場になれば。昔の歌声喫茶ならぬ『歌声そば屋』で懐かしい歌とともに、あの頃のあなたにもう一度逢いに出かけましょう」と参加を呼びかけている。参加申込、問い合わせは事務局рO25-757-3155。
  ◇◇◇
この企画に先立ち、妻有オールウェイズ主催の「畳の上で歌おう会」が13日、日本料理まえじま(同市袋町中)で開かれた。同会は毎年春と秋に開催され、毎回チケット販売開始と共に売り切れになるほどの盛況ぶり。今回も60枚のチケットは即日完売。特別に2席を追加した。
 当日会場は開演早々から盛り上がりを見せ、終始アットホームな雰囲気。レギュラーバンドのほか初参加ユニットや飛び入りなどもあり、集まった参加者とスタッフは春の夜を謳歌した。

復旧に困難性、「新トンネルを」、国道353号十二峠土砂崩れ   4月18日号
 今月5日発生の大規模な土砂崩れで通行止が続く国道353号・十二峠。管理する十日町地域振興局は14日から遠隔操作できる重機を現場に導入し、崩れた土砂排出を始めているが、山上部が依然として不安定のため、通行再開の見通しは立っていない。同国道十二峠は新潟県南部と長野県北部、さらに北陸地域などと首都圏をつなぐ重要ルートで、関係機関から「早期の復旧」を求める声が、県や国に多数寄せられている。今月末からの連休までの仮復旧は難しいなか、新トンネルなど抜本改良の声も高まっている。

 十二峠は、冬は雪崩で、夏場は豪雨による土砂崩れで、これまでにも再三通行止になっている。雪崩防止柵やスノーシェードなど整備は進むが、地形的な困難性がある。深い谷を縫うように傾斜地を段切して作った道路のため、片方は切り立った山崖、一方は深い谷の地形。発生する土砂崩れは、山に張り付いている土砂が再三崩れ、それが道路を埋める。一定の降雨量、降雪量を超えると通行止の措置を取る。

 「国道353号十二峠新トンネル開削期成同盟会」は、16年前から活動する。昨年11月、地元中里で総会を開き、新トンネルの必要性を再確認。特に「原発事故時の避難ルート」として重要視する意見が出て、同盟会の実現活動の要素に加え、要請運動している。
 今回の土砂崩れは雪解けが誘因していると見られ、清津峡入口から約1`の猿倉第2スノーシェードの山上部、高さ80b、斜面長さ50bが崩れ、約3万立法の土砂が堆積している。復旧工事を主導する十日町地域振興局・近藤友成副部長は「崩落した上部土砂の撤去が必要で、連休までの復旧は難しい。近く見通しを出したい」と話す。

 春の行楽シーズン目前の通行止の影響は大きい。地元「中里まちづくり協議会」の高橋信雄会長は「しばらく通行止がなかっただけに残念。関東との玄関口だけに、やはり安全性が第一で新トンネルが必要だ」と話し、早期復旧を切望する。
 新トンネル同盟会の副会長、津南町の上村町長は「今度の土砂崩れを国土交通省は注目している。新トンネル実現に向け、さらに要請活動を強めたい」と話す。当時の建設省局長を務めた参院議員・佐藤信秋氏や同盟会長の参院議員・水落敏栄氏などへ協力要請し、早期の復旧と抜本改良の新トンネル実現に積極的に臨む意向だ。

津南町長選、現新一騎打ちか、争点作り課題  4月18日号
 7月8日任期満了の津南町長選は、6月17日告示、22日投票で行う。現職で2選めざす上村憲司町長(65)は、後援会主導で町政報告会を今月初めからスタート。1期4年の実績や今後の課題などを話し、住民に町政継続の必要性を力説している。一方、前回出馬で善戦した半戸哲郎氏(63)は先週、役員会を開き、後援会役員の体制刷新を行う共に、「短期決戦」を想定した今後の活動を協議した。同町長選は、現職と新人の一騎打ちの公算が増しているが、「第三の候補」を模索する動きもあり、なお流動的だ。

 津南町の中央部に隣接する割野地区。同地区公民館の同じ会場を使い、4日違いながら、今月9日に半戸後援会が役員会を開き、13日には上村後援会が町政報告会を開いた。両方の会場に参加した人はいないが、取り組み姿勢の違いが見えた。
 半戸後援会は、4年前の町長選以降、この日が初めて後援会役員会となった。涌井益夫会長らが顔を揃えた。「今日は幹部役員だけ」ということもあり、参加者は10人余り。前々回の町長選で5期目の小林前町長と対戦した滝沢元一郎氏(63)が参加し、町議2人も加わり今後の取り組み方針を協議した。
 すでに半戸氏は、町内活動を始めており、各所で住民と直接対話し、現町政の課題などを話し合い、臨む町長選の政策などを訴えている。今後は、来月の連休中に事務所開きを行い、地区座談会を開き、「現職との違い」をアピールする計画だ。

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 今月初めから町政報告会をスタートした上村町長。後援会(大平豊道会長)が主導し、「準備ができた所から」町政報告会を開いている。13日の割野公民館には25人が参加。人口問題から入った上村町長。全世界で毎年7千5百万人増え、2050年には100億人に迫る一方で、日本の人口は年間40万人余減少、新潟県は年間1万3千人余減少。「津南町はこの60年で人口が半減。若い人が出て行き、高齢者が残る典型的な形態。特に昭和39年の東京オリンピックの前後10年間の減少が大きい。再び東京オリンピック。さらに東北復興。国の多くの予算がここに集約されるだろう。おかげさまでこの4年間で財源を確保させていただいた」。4年前の就任時の倍以上の財政町政基金を積み上げた実績を述べた。

 4年前に掲げた公約『域内所得の向上』。就任の年の豪雪、県境地震、豪雨災害、台風被害など「1年間通じて災害対策本部の看板をはずすことがなかった年」と、公約実現への遅れ要因を話し、「若い人たちがしっかり残れ、親をしっかり見送れること、それには安定した所得が必要」と、産業育成と共に子育て支援への積極姿勢を見せた。

10代のまなざし「滝澤小遥さん・栄中学3年」  4月18日号
 5歳から始めた野球。今も少年野球クラブ『栄中ドリームス』に入り、続けている。
 「メンバーは12人ですが、中学3年生4人のうち3人は女の子でずっと一緒の仲間。キャプテンも女の子なんですよ」。
 5歳年上の兄が野球をしており、自然に親に勧められた。最初はあまり乗り気ではなかったが、現チームの監督である斎藤大輔さんがプライベートで自宅に遊びに来て、外でキャッチボールなどするうち、次第にのめり込んだ。

 「今は野球が好きです。ポジションはセカンドで、打つより守る方が合っていますね。ノックとかでボールを取れるようになったり、自分が上手くなったと実感できると嬉しくなります」。
 チームの目標は『ジャイアント・キリング』(番狂わせ)。持ち前の結束力で強いチームを倒すことにやりがいを感じる。
 「人数が多い地域はやはり強いです。そんななか、人口の少ない栄村のチームで勝てるようにと、毎日みんなで一生懸命練習しています」。

 中学では陸上長距離部。部活後、週4回は野球の練習。さらにヒップホップダンス、書道、塾など、毎日忙しく過ごす。
 「でも一番好きなのは野球かな。試合でもう少しで勝てそう、という瞬間が良いんです」。
 最高学年となった今春。地元の学校で過ごす、最後の1年となる。
 「野球、陸上、ダンス、そして学校行事など、取り組んでいることすべてに一生懸命全力を尽くし、楽しみたいです」

明日へ「暮らしに生きるマタギ魂」秋山郷・藤ノ木宣重さん  4月18日号
 秋田・阿仁マタギが秋山郷に伝えた「熊狩り」。江戸期から続く歴史的な民俗文化。雪消えを迎え「春熊」が始まっている。2年前に狩猟銃を返上した藤ノ木宣重さん(77)。秋山郷の春山のどこに、いつごろ、熊が出てくるか分かる。「今は春マタギだけだが、かつては『寒マタギ』といって、雪深い1月、2月に山に入った」。民俗文化映像研究所が撮った映画『山に生かされた人々』に出てくる熊猟の世界そのまま。20歳から始めた熊猟。秋山郷に伝わる暮らしを語ってくれた。

 祖父・音蔵の語りと、42歳で急死した父・政五郎の熊猟を聞きながら育った宣重さん。阿仁マタギが伝えた熊猟は、親戚から教わった。それは厳しい秋山郷の冬を乗り切る生活の術だ。
 『死の行軍』で知られる『203高地・八甲田山』。あの隊員の中に、マタギ出身者がいた。「多くが寒さと飢えで凍死したが、マタギの教えを知っていた人たちは、猛吹雪と寒さの中を生き抜いた」。祖父の親戚から聞いた話に引かれた。
 小松原や苗場山の高山には針葉樹のコメツガ、アオモリトドマツ、ネズコがある。その幹に『サルオカゼ』という苔に似た植物が繁茂する。

 「1月、2月の真冬の山は、深い雪と吹雪や霧で方角が分からなくなる。下手に動けば死んでしまう」。吹雪で方角が分からなくなった時、マタギはこのサルオカゼを木から取り、ズボンの中に押し込めて防寒し、じっと寒さに耐える。緑色のサルオカゼは、雪を溶かした水に浸すと海草のようになり食べられる。コメツガやトドマツの葉は火であぶり、長靴の中に入れると発熱する自然のカイロだ。
 言い伝えは守る。『北風を背にするな』。雪山では風が雪尻(せっぴ)を作る。北風を背に進むと、いずれ崖の雪尻から谷に抜け落ちる。「進むなら北風に向かうこと」。この教えに従い何度も助かった。

 「真冬の熊猟は命がけだった。だがマタギの教えを守れば大丈夫。それでずっと続けられた」。今は猟友会という市町村単位の組織があり、狩猟許可も市町村。長野県は「マタギ文化継承」を認め、熊の捕獲数が特別枠になっている。だがマタギ文化は、実は秋田・阿仁から津南町大赤沢に伝わり、それが隣接の長野・栄村小赤沢に伝わった。
 
 宣重さんは、昭和47年4月30日、140`の大熊を仕留めた。貴重な胆嚢を乾燥した「イ」の実物大の墨拓を大切に保存している。「これが一番の大物だったな。教えの通り3bまで近づいた時、仕留めた」。生で123匁、乾燥して29・7匁。大人の手の平がすっぽり入る大きさだ。熊は2bを超える大物だった。
 「毛皮、肉、胆嚢など、それぞれ買い取る仲買人がいて、俺たちが戻ってくるのを待っているんだ」。売上はすべて均等割り。40年間の熊猟、危険な場面にも遭ったはず、と聞くと、「そんな危ない場面はなかったな。しっかり教えを守ったからな」。
 いちばん危険なのは『ハンヤ(半矢)』。江戸期からの言葉で、熊に矢が半分刺さった状態をいう。つまり急所をはずし、手負いの熊になった状態で極めて危ない。マタギの教えは、仕留める急所、仕留め方をしっかり伝えている。そして「山の神への感謝」も。
 

真っ白な苗場山が見える自宅わきの作業小屋で時々、狩猟仲間や地元の仲間に声をかけ、囲炉裏を囲む。「昔話になるが、今も役立つ話が、マタギの伝えには多いな」。山に生かされた人々、その語り部だ。  (恩田昌美)

キラリ光る高校生感性、スマホカバーに和を創作  4月18日号
 ○…「私たちのアイデアが商品になったよ」―。昨年の十日町市ビジネスコンテスト(トオコン)で特別賞を受賞した十日町高2年5組(当時)のチームゆきんこ(丸山遥香代表、6人)が考案した「十日町の着物地を使ったスマートフォンカバー」が商品化され、今月7日から『ス和ホ』の愛称で発売された。アイデアを発表した高校生たちは「思った以上にかわいい。これをきっかけに十日町のきものに興味を持ってもらえればうれしいです」と喜んでいる。

 ○…同校2年生は、政治経済の授業を通して一昨年から高校生版トオコンにチャレンジ。トオコンは大学生が対象だが、今回特別に参加し、特別賞を獲得した。このアイデアを、織物業に携わる市内の染織工房きはだや(関口憲太社長)が事業化を申し出、既成のプラスチックカバーに振袖や紬などの端切れを貼り付けて製品化した。

 ○…商品名は「きもの・ふ」。米アップル社のスマホiPhоne5とiPhоne5s用で、販売価格は税込み1620円。華やかな図柄58種類がある。ソフトバンク十日町店はじめ近隣店舗、さらに新潟空港や全国の百貨店などでも販売を予定している。関口社長は「高校生のすばらしいアイデア。販売を拡大させ、十日町のPRにつなげていきたい」と話している。

どう増やすか雪下ニンジン、加工品化を研究  4月18日号
 津南、中里地域の特産で春の風物詩「雪下にんじん」のアピールをと、上村町長、桑原悠町議、生産農家の町ニンジン部会の滝沢芳則会長らが16日、20`の雪下ニンジンを持参し県庁を訪問。泉田知事と30分余会談し、生スティックや天ぷら、ゼリー、ロールケーキなど試食。泉田知事は「天然の甘味が口の中に広がる。こういうのを食べて育ったら幸せ。地元で食べるだけでなく、生産を増やして欲しい」と絶賛し、供給増を求めた。

 雪下ニンジンは昭和60年に試験栽培、翌年から出荷開始。町農林水産統計によると、平成25年は51農家で栽培面積13・7f、出荷量547d、販売額約9300万円。一方、JA十日町によると中里地域は13農家で栽培面積5・2f、出荷量162d、販売額3700万円。生産者はやや増加傾向。近年の知名度アップによる需要増に加え、販売価格が平成25年は1`平均169円(平成20年1`149円)と上がっているのが要因だ。

 だが供給増は難しい側面も。積雪2b余の除雪費、手作業での収穫、運搬作業が容易な道路わきの耕作地確保などが課題となっている。生産者は「休耕する冬の後、最初の収入になるため作るが、費用と労力がかかりすぎる。雪が無くなるとニンジンがすぐ傷み、出荷期間が短いのも厳しい」と、規模を増やせない難しさを指摘する。

 一方、関心が高まっているのは「雪中貯蔵ニンジン」の活用。まだ研究段階だが、雪室で長期熟成したニンジンは甘さなど味の品質は雪下ニンジンに近くなるという。JA津南町などは、雪下ニンジンの規格外品や雪中貯蔵ニンジンのペースト化による加工品出荷を模索しており、今後の展開に関心が集まる。泉田知事との会談後、上村町長は「雪下ニンジンは生食用が多いが、雪中貯蔵ニンジンなど使った一次加工を加えた製品の開発に取り組み6次産業化を図り、津南のブランド力を高めたい」と話した。

300年後に引き継ぐ住民の思い、震災地の栄村小滝が記録集  4月18日号
 今月5日発生の大規模な土砂崩れで通行止が続く国道353号・十二峠。管理する十日町地域振興局は14日から遠隔操作できる重機を現場に導入し、崩れた土砂排出を始めているが、山上部が依然として不安定のため、通行再開の見通しは立っていない。同国道十二峠は新潟県南部と長野県北部、さらに北陸地域などと首都圏をつなぐ重要ルートで、関係機関から「早期の復旧」を求める声が、県や国に多数寄せられている。今月末からの連休までの仮復旧は難しいなか、新トンネルなど抜本改良の声も高まっている。

 十二峠は、冬は雪崩で、夏場は豪雨による土砂崩れで、これまでにも再三通行止になっている。雪崩防止柵やスノーシェードなど整備は進むが、地形的な困難性がある。深い谷を縫うように傾斜地を段切して作った道路のため、片方は切り立った山崖、一方は深い谷の地形。発生する土砂崩れは、山に張り付いている土砂が再三崩れ、それが道路を埋める。一定の降雨量、降雪量を超えると通行止の措置を取る。
 「国道353号十二峠新トンネル開削期成同盟会」は、16年前から活動する。昨年11月、地元中里で総会を開き、新トンネルの必要性を再確認。特に「原発事故時の避難ルート」として重要視する意見が出て、同盟会の実現活動の要素に加え、要請運動している。

 今回の土砂崩れは雪解けが誘因していると見られ、清津峡入口から約1`の猿倉第2スノーシェードの山上部、高さ80b、斜面長さ50bが崩れ、約3万立法の土砂が堆積している。復旧工事を主導する十日町地域振興局・近藤友成副部長は「崩落した上部土砂の撤去が必要で、連休までの復旧は難しい。近く見通しを出したい」と話す。
 春の行楽シーズン目前の通行止の影響は大きい。地元「中里まちづくり協議会」の高橋信雄会長は「しばらく通行止がなかっただけに残念。関東との玄関口だけに、やはり安全性が第一で新トンネルが必要だ」と話し、早期復旧を切望する。
 新トンネル同盟会の副会長、津南町の上村町長は「今度の土砂崩れを国土交通省は注目している。新トンネル実現に向け、さらに要請活動を強めたい」と話す。当時の建設省局長を務めた参院議員・佐藤信秋氏や同盟会長の参院議員・水落敏栄氏などへ協力要請し、早期の復旧と抜本改良の新トンネル実現に積極的に臨む意向だ。

中里中央部で火災、3棟類焼  
 中里の上山で11日夜、住宅火災が発生。国道117号沿いで商店や住宅が密集する中心街で火が広がり、全焼1、半焼2、部分焼1と計4棟が類焼する大火となった。4棟以上の類焼は3年前の十日町市諏訪町の火災(11棟類焼)以来。国道が約4時間通行止めになるなど、現場は突然の大火の対応に追われた。

 11日午後7時半頃、十日町市上山の運転手・佐藤武司さん(39)方から出火していると通報。佐藤さん方の木造2階建て住宅約294平方bを全焼。隣接する山徳商店・上原辰巳さん(82)方の木造3階建て住宅兼店舗、大里電気・清瀧俊彦さん(61)方の木造3階建て住宅兼店舗も炎上し半焼。さらに隣接の会社員・樋口裕文さん(49)方の木造3階建て住宅の外壁を焦がすなど部分焼。消防車両16台、消防署員や消防団員ら2百人余が出動し消火にあたり、約4時間後に鎮火。この火災で上原さん方の77歳女性がショックで十日町病院に搬送されたが、けが人はいない。

 現場は田沢小付近。火災発生時、佐藤さん一家3人は不在。出火場所は1階とみられるが、十日町消防本部で原因を調べている。現場に居合わせた64歳男性は「火柱が山徳商店から上がっていた。こんな大火事は記憶にない。風があったらもっと火は回っただろう。けが人がいないのは唯一の救いだ」と話した。

 中里地区では今月3日にも白羽毛地内で住宅全焼火災が2件発生しており、計5棟が全半焼する異常事態。十日町消防本部は「少しの気遣いで火災は防げる。空気が乾燥し、林野火災も増える時期。火の用心を」と防火広報を強化している。なお今年の建物火災は11件(昨年14件)。内訳は全焼4、半焼2、部分焼3、ボヤ2。すべて住宅火災。注意が必要だ。

残雪の中に春が、ミズバショウ咲く  4月18日号
 ☆…雪国に春を告げる花・ミズバショウが咲き始めた。周辺の田んぼには未だ1b余りの残雪が覆うなか、川西地区野口の「野口水ばしょう公園」では雪消えを待ちかねたかのように、ミズバショウが白い花を広げ始めた。今月27日には同地域の一大イベント「水ばしょうまつり」を開く計画だ。

 ☆…低地には珍しく、自然発生した可憐な花たちがいっせいに咲き乱れる同公園。長さ約150b、面積約190平方bの小川に、周りの山や田んぼから清らかな水が流れ込み、数千株が自生している。花の見頃となる「水ばしょうまつり」では多勢の人たちが訪れて園内を散策。豚汁の中にミズバショウの葉を入れた名物「水ばしょう汁」や、地酒に舌鼓を打ちながら雪国に訪れた遅い春を満喫する。

流通路寸断、国道353号十二峠で土砂崩れ、飯山線もストップ  4月11日号
 春の観光シーズンを目前に、首都圏と結ぶ国道353号・十二峠で大規模な土砂崩れが発生、全面通行止で復旧の見通しが立っていない。現場奥の2集落は通勤路を失い、南魚沼経由を強いられている。さらに飯山線・森宮野原駅と戸狩野沢温泉駅間で線路下が崩落、同区間で運休が続き、飯山線は全通できない状態。このまま不通状態が続くと津南町、栄村、さらに十日町市南部エリアは、春の行楽シーズンを目前に大打撃だ。国道、鉄道ともに関係機関が復旧に取り組むが、雪解けシーズンと重なり、復旧は困難を極めている。 

 十二峠の崩落は5日午前7時半頃に発生。清津峡入口から約1`塩沢寄りの第2猿倉スノーシェード上部の山が幅約50b、斜面約180b崩れ、国道やスノーシェードに約3万立方bの土砂が流失。この土砂でスノーシェード支柱の一部にヒビが入るなどの被害も出ているが、巻き込まれた通行車はない。
 現場から約1`先には倉下(6戸15人)、土倉(12戸26人)の2集落があり、高校生以下の通学者はいないが、十日町市内などへの通勤者は南魚沼経由での不便を余儀なくされている。

 市中里支所では、住民の安全・健康管理を第一に8日は2集落の全戸を保健師2人が巡回。医療機関からの薬は郵送で対応する。緊急時には南魚沼消防が出動。日用品の買物は10分ほどで南魚沼の商店に行ける。江口登支所長は「2集落とは常に連絡を取り合い、住民の安心安全を第一に対応している。一日も早い復旧を」と話す。
 通勤路を突然絶たれた土倉の山田一さん(49)は「買物は塩沢に行けるが、支所には15分で行けたが大沢峠経由で1時間もかかる。なにより住民の健康が心配だ」と早急な復旧を要望している。湯沢行路線バスは大沢峠経由で運行している。

 一方、春の行楽シーズンに期待していた清津峡関係者はショックだ。5今月末からの連休に間に合わせ、温泉街に大型バス乗入れできるロータリーを整備したばかり、湯元の清津館では「湯沢からの送迎は大沢峠経由となり、大変な時間のロス。十二峠が通れないとマイカーも来ないのでは。影響が心配だ」と話す。

 行楽への影響は大きい。新緑が人気の松之山・美人林。雪上桜が人気の津南・中子の桜、さらに雪と新緑の景観に人気の秋山郷などにも影響が出る。すでに十日町市や津南町、栄村の観光協会には問い合わせが多数入り、「大沢峠からの迂回ルートを案内しているが、通行止の影響が心配だ」と問い合わせに追われている。

 同国道を管理する十日町地域振興局では、現場に傾斜計や監視カメラを設置し警戒監視している。雪解けと共にさらに崩落する可能性があり、復旧工事は手付かず状態。安全性が確認され次第、復旧工事に取りかかる方針だが、見通しはまったく立っていない。同局地域整備部・近藤友成副部長は「24時間体制で監視するが、復旧のメドが立つ状況ではないが、早急の復旧に全力をあげる」と話している。
写真・土砂崩れでストップの十二峠。14日から土砂排除が始まる(8日、十日町地域振興局提供)

過去最多30小学校から入学、県立津南中等教育学校  4月11日号
 過去最多の30小学校から第9期生80人を迎えた県立津南中等教育学校(吉原満校長、446人)の入学式は7日開き、開校理念の「夢の実現」を新入生も誓った。吉原校長は「ここには最高の環境がある。だが環境が整っていても待っているだけでは成長はなく、夢が実現することもない。自分に厳しい試練を課し乗り越えるなかで、初めて本物の中等教育学校生になれる」と激を送った。
 出身小学校は2年前の28校を上回る最多30校。特に南魚沼市が10校(昨年4校)と倍増。同市の生徒保護者会が主体となった送迎バスを運行もあり、6年間継続したカリキュラムで学べる中高一貫校への関心がより増している。なお今季の入学動向は十日町市からは35人で比率44%(前年45%)、津南町は23人29%(同33%)、南魚沼市16人20%(同16%)。小千谷市、栄村からは各3人が入学した。

 入学式では十日町小出身の島田理壱(りいち)君が1年生を代表し誓いの言葉。修学旅行で刀工・吉原義一氏の工房を見学し感嘆した経験を話し「玉鋼は叩けば叩くほど不純物が火花となり飛び、強くてしなやかな刀になる。中等校ならそうなれると思った。何事にも積極的に挑戦し、苦手なことにも取り組みたい」と決意を述べた。

 1学年の出身校は次の通り。
《十日町市35人》川治10、十日町4、水沢4、田沢4、橘3、倉俣3、西2、千手2、東1、松里1、馬場1《津南町23人》津南15、芦ヶ崎3、上郷3、外丸1、中津1《南魚沼16人》六日町6、塩沢2、北辰1、第一上田1、第二上田1、城内1、五十沢1、上関1、赤石1、石打1《小千谷市3人》千田1、小千谷1、吉谷1《栄村3人》栄3。

インタビュー「かかりつけ医」で恩返し 町立津南病院に阪本琢也院長  4月11日号
 「久しぶり」「元気でしたか」。20年ぶりに赴任した町立津南病院。看護師など顔馴染みの医療スタッフが迎えてくれた。平成元年から6年まで通算3年半在職。2人の息子は津南生まれ。「自然いっぱいの津南で、いっぱい遊びましたよ」。
 東京・板橋生まれ。昭和32年に父が「阪本医院」を開業。地域医療に取り組む姿を見て育ち、「父の影響でしょうか」と医師の道へ。さらに決定づけたのは、中学2年で読んだ『城砦』(クローニン作)。若い医師が様々な経験をつみ、成長する姿を描いた一冊。「もう絶版になっているので手に入りませんが、3冊持っていますよ」。

 専門は循環器系。東京慈恵医大卒後の3年間、ロンドンの「日本クラブ診療所」(現日本メディカルセンター)に勤務。津南赴任前は東京品川の年間4千〜5千人が健康診断に訪れるメディカルセンターに勤務。
 「津南からの話を受け、真っ先に思ったのは『恩返し』です。大好きな所で、大好きな人のために、好きな仕事ができる。皆さんの役に立ちたい」。20年前より高齢化が進んでいる。「超がつく高齢化社会にあり、ひとり世帯や高齢の夫婦だけの暮らしが増え、通院もままならないのが現状。この地域の中で、津南病院に何ができ、どんな役割ができるのか、しっかり見て、対応したい」。その基本姿勢は「病気があるのと、病名があるのと、具合が悪いのとは違う。病院に来られる方は、安心できる信頼感を求めてきている」。地域の『かかりつけ医』としての役割を、そこに見ている。

 単身赴任でちょっとさみしいのは、猫たちと離れたこと。息子たちが保護してきた3匹、もう9歳になる。大学時代は野球部と写真部に籍を置く。院長室には二眼のローライフレックスを持ってきた。水泳に取り組む一方で映画も大好き。
「なんといっても津南の美味しいお米や野菜、これからの山菜、大好きですね。それに官舎から見える景色、これだけでリフレッシュできます」。
         町立津南病院長、さかもと・たくや、56歳)

運営委託が奏功、貸出25万点突破、十日町情報館運営のNPO法人「らいぶフオーラム」 4月11日号
 開館時間延長や休館日減少など利用者ニーズに対応し、来館者を増やす十日町情報館。昨年度初めて個人貸出数が25万点を越え、「地域の文化交流拠点」の役割がさらに高まっている。指定管理制度で運営する「らいぶフォーラム」(渡邊真人理事長)は2月にNPO法人認可を受け、向こう3年間の運営が決まっている。渡邊理事長は「人々が交流する場でもあり、様々な利用価値をさらに高めていきたい」と話し、法人認可を契機に活動幅を広げたい方針だ。
 
 十日町情報館は1999年開館。当初の市直営から2007年、行財政改革の一環で県外の民間に一部委託。だが市民から「将来的な運営が心配」と地元住民が運営組織「らいぶフォーラム」を立ち上げ、3年前から一部業務受託、翌年から指定管理者として市内11分室を含む全運営を受託。現在、蔵書・資料は15万8千点、10分室を含むと23万9千点の蔵書で、同規模の人口自治体では県内有数の蔵書数だ。

 法人化で活動の充実が期待される。人材確保にも取り組み、現在10分室も含み22人で運営。司書資格8人、学芸員資格2人を確保し、図書に限らず活動の充実をめざす。
 図書館は、個人貸出数が活動充実度を表す一つの指標。同館では3年前までは年間20万点前後だったが、2年前に同フオーラムが全運営してから21万点を越え、昨年度ついに25万点突破している。
 さらに同館は、新たな価値も生まれている。2年前に映画「図書館戦争」のロケ現場となり、雰囲気ある図書開架の空間が全国に知られ、その後には男性ファッション誌が撮影場所に使うなど、「魅力ある空間がある図書館」として全国に知られる存在になっている。

 課題は「貸出数の増加」と斎木文夫館長は話す。「新しい利用者とリピーターを増やすこと。そのためにも資料(蔵書)を増やすこと。利用者は確実に増えていく」。同館の年間資料購入費は約1100万円。増額要求がなかなか実現しない。「年間25万冊の利用は、1冊1500円で試算すると3億7500万円の利用者還元になる。大きな数字ではないか」と貸出数の意味を話す。NPO法人化で今後、市に寄せられる「ふるさと納税」の使途先として「NPOらいぶフォーラム」を明記でき、選択肢に加えるように働きかける方針だ。

 一方、法人化による新たな事業展開を視野に入れる。十日町市が進める中心市街地活性化事業の中で、参画できる事業に積極参加する方針。「何ができるか、それはこれからだが、情報館活動と連携した活動などを考えたい」(渡邊理事長)と話している。

10代のまなざし「上村侑加さん・水沢中学1年」吹奏楽に取り組む  4月11日号
 リコーダーは15世紀頃の中世ヨーロッパで完成し、17世紀頃まで盛んに演奏されていたという。吹けば簡単に音は出る。が、それだけに奥深さもあるのがリコーダーだ。
 「念願の全国大会に出場してきました。すごく緊張して金賞は取れなかったけど、みんなで頑張ってきました」
 馬場小時代最後の大きなイベント。3月30日、東京・江戸川総合文化センターで開かれた全日本リコーダーコンテストに出場してきた。家族や大学生になった先輩、そして会議が東京であったからと応援のため会場に駆け付けた市職員らもいた。

 「お金や楽器を寄付してくれた地域の人たち、そして家族、たくさんの人たちの支援を受けて大会に出られたのだなあと思い、すごく感謝しています」
 合奏は銅賞だったが、6年女子全員の4人で取り組んだ四重奏は銀賞。
 「とてもよい思い出になりました。あのステージに立てたことは一生、忘れません」

 いよいよ中学校生活が始まる。陸上部かそれとも吹奏楽部か、取り組む部活はまだ決めていない。ただ、将来はネイルや美容関係の仕事をしたいという思いもある。『手仕事』が好きだ。それに2歳上の姉に付いていって、近くの英語塾に保育園年長から通っている。英語も好きだ。
 「ギリシャやイギリスなどにも行ってみたいな。これからいろんな経験を積んで、自分の好きな道が見つかるのかな」
 いっぱいの夢を持って中学時代を迎える。ワクワク感いっぱいだ。
      (村山栄一)

最後の新入学を迎える、津南町・外丸小学校   4月11日号
 ○…春の入学シーズン。津南町は5小66人(前年57人)と津南中62人(同61人)、栄村は2小5人(同14人)と栄中13人(同17人)が入学。来年3月閉校が決まっている外丸小と中津小がラストイヤーを迎える。

 ○…明治7年開校の外丸小(樋口広栄校長)は新入生3人(男1、女2)を合わせ、全児童33人で創立140周年の最後の1年を過ごす。入学式は7日行い、最上級生の6年生に手を引かれ新入生が会場に入ると大きな拍手。6年生の福原莉子さんが歓迎の言葉。「わからないことがあれば何でも聞いて下さい。これからの学校生活、一緒に楽しみましょう」と緊張気味の1年生に声をかけた。昭和30年に282人を数えた児童数も少子化で2年前から30人台に落ち込んだ同小。自身も卒業生で、長女が最後の新入生となった江村年幸さん(42、外丸)は「外丸の良さは地域が学校に関わる活動が盛ん。今まで培ってきた地域の輪の良さを娘にも感じてほしい」と語った。閉校記念式典は11月9日だ。

 ○…津南町と同じ、昭和30年4月に誕生した中津小(近藤哲夫校長)。新入生は5年振りに二けた台の11人(男4、女7)。創立時332人だった児童数は、最終年度は42人。入学式の8日、今月着任の近藤校長は「笑顔がいっぱいで最後まで皆が頑張れるようにしたい。中津小で学べてよかったと心から思えるよう、教育の充実を図る」と語った。式では在校生や教諭、保護者らが『さんぽ』を合唱し一体感を演出。次男が入学の藤ノ木綾さん(34、船山)は「私も卒業生ですが、1年から6年まで皆仲が良いのが中津の特徴。学校が無くなるのは寂しいけど、1年間じっくり中津という地域を楽しんでほしい」。閉校記念式典は11月16日に行う。

 ◎…ちょっと緊張気味の39人の新1年生を迎えた津南小。全校で263人となり、入学式では今春赴任した涌井泰二校長が「たくさん友だちを作って、一生懸命に勉強し、いっぱい遊んで下さい」と呼びかけると、大きな声で「はーい」と元気に返事をしていた。なお来年4月に外丸、中津の両小学校と津南小が統合。町教委は3小で計15回の合同学習を予定している。

妻有の食を考えるD「3代目、細腕商売から寿司店に」  4月11日号
 十日町市山崎(中里地区)の国道沿いにある「鮨割烹ちはら」と「スナックちはら」の前身は、現主人の千原正明さん(46)の祖母が一人で始めた食堂だった。
 昭和20年代、早くに夫を亡くし家族を食べさせるために女手ひとつで店を始め苦労した。母の紀子さんが成人してから食堂を手伝いはじめ、昭和30年代にはスナックを開業。当時、旧十日町市と旧中里村にはスナックは2軒しかなく、遠くからも客が来て店は大繁盛した。板前も置くようになった食堂では寿司も出していたが、昭和40年に入婿した父の庄平さんの代で寿司店が本格的になった。

 正明さんは、東京の寿司店で6年間修行、日本料理も身につけたいと柏崎などでも4年間修行した。平成8年の道路拡幅に伴う店の建替えで正明さんは店に入る。2階には座敷を作り日本料理も出すようになった。
 父は寿司カウンターに立ち、正明さんは主に調理場に立ったが、2年前の父の引退でカウンターに立つ。「当初不安もあったが、客層も変わり自分自身の客も増えた。父とやっていた時は仕事上で衝突もあったが父の引退で距離を置いて見てみると尊敬できる面が多い。今でも影で店を支えてくれる」と話す。
 「カウンター越しにする客との会話が楽しい。仕入れには気を付け、美味しい刺身を出せるよう力を入れたい。とにかく忙しいが、料理がマンネリにならないよう工夫する」と3代目の心意気を語った。

甘ーいカルビタトマト、栽培始まる  4月11日号
 ☆…甘くて輝くような鮮紅色が特徴の十日町特産「カルビタトマト」の苗床づくりがパイプハウスの中で始まった。同市城之古の生産者・真霜茂一さん(70)は「出荷は6月から。これを食べれば、他のトマトは食べられないほどうまいんだ」と今年も手によりをかけて栽培していきたいとしている。

 ☆…「華クイン」という品種の中玉トマト。果実糖度は一般的な5度程度に比べ7度以上と高く、皮が薄くておやつ感覚で食べられると人気が高い。カルシウムやビタミンが豊富なトマトから「カルビタ」と名付けられた。6月から9月いっぱいまで主に関東、関西圏に出荷する。500株ほど栽培する真霜さんは「80代の生産者が中心で高齢化している。何とか特産を守っていきたいもんだ」と後継者の育成を呼びかけている。

懸案の堆肥センター、「手上げ方式」に3地区が意欲、「臭気問題」が最大課題  4月4日号
 20年来の行政懸案になっている十日町市の「堆肥センター」建設。候補地が二転三転し、場所選定の困難性が増したため、同市は『手上げ方式』の公募を行い、今年1月から3月末まで地区振興会から募ったが、3月末までに応募した地区振興会はなかった。だが、「3つの地区が手上げの準備をしている」(市農林課)と、同地区からの応募を今月末まで待つ意向だ。一方、地元では『臭気問題』で疑義の声が上がるなど、「手上げ方式」で建設場所が決まるかどうか、臭気問題に悩む地域住民や畜産農家は、その成り行きに大きな関心を寄せている。

 十日町市内に養豚施設は5ヵ所あり、「母豚」100頭から250頭規模で経営。このうち川西地域に3施設あり、母豚数では全5施設の7割を占めている。

 今回、応募準備を進める地区は、川西の上野地区振興会(根津昭一会長)、橘地区振興会(山田常夫会長)、十日町の水沢地区振興会(上村国平会長)。3地区とも市が斡旋した県内の堆肥センターの、村上市「神林有機資源リサイクルセンター」(農事組合法人運営)、新発田市「加治川有機資源センター」(新発田市直営)を視察している。

 一方、市が計画する堆肥センター概要は、「堆肥製造量(製品化)・年間3500d」、「堆肥原料は豚・牛糞、きのこ廃菌床、もみがら」、「施設床面積4千〜5千平方b」、「年間稼動日数約310日」、「用地面積2万平方b(土地買収)」としている。
 応募は、集落か地区振興会からの手上げを求めており、提案書には地権者同意の状況や地元住民の理解度など、施設設置に対する地元の現況を求めている。担当の農林課では「地権者同意を条件にしているわけではない。あくまでも現在の状況を聞かせていただくだけ」としている。

 今回の公募に対し、「手上げの準備」を進める3地区のうち、橘地区振興会は先月26日、市斡旋の2施設を視察。30人ほどが参加し、視察後、地元で意見交換会を開いた。市担当者と建設後の運営を行うJA十日町市も同行し、住民からの意見や質問に答えた。

 関心はやはり『臭気問題』。「集落から離れた場所が必要だが、川西はどこに建てても人家に近い」、「原料の運搬は密閉コンテナのため、臭気の振り撒きは防げるようだ」、あるいは「米作り、野菜作りのためには堆肥センターは必要。それは誰でもが認めている。なんとか臭気対策ができないか」など多様な意見が出た。橘地区振興会では「再度、地域で検討会を開き、どうするか決めたい」としている。

 他の2地区も同様な情勢で、地元理解が課題になっている。市では「臭気対策が最大の課題ではあるが、堆肥センターの必要性は地域の皆さんも理解していると思う。市農業にとって欠かせない施設。理解をいただきたい」としている。一方で、川西地区住民からは「川西に3施設がある。臭気対策のためにも川西地域に作るべきだ。市農業に必要不可欠な堆肥センターであり、市は本腰で実現をめざすべきだ」とする声もある。

写真・県内の2施設を視察後、意見交換する橘地区の住民(先月26日)

津南町長選、半戸氏が再挑戦、現職に挑む  4月4日号
 任期満了(7月8日)に伴う津南町長選は6月17日告示、22日投票で行う。現職の上村憲司町長(65)は3月町議会で「撒いた種が芽を出し、その芽を津南の明日に向けて育てることに全力を尽くしたい」と再出馬表明し、後援会(大平豊道会長)活動を始めている。一方、新人擁立に関心が集まっていたが、前回出馬の元町議・半戸哲郎氏(63)が3月末までに再出馬を決め、前回の後援会(涌井益夫会長)をベースに取り組みを始め、今回の町長選は選挙戦が確実視される。再挑戦する半戸氏は「今の上村町政は、生活者である町民の声を聞いていない」と語り、前回も訴えた『保育料の無料化』や『まちづくり戦略室』などを主政策に支持を訴える方針だ。

 4年前の町長選は5期務めた小林三喜男町長の退任に伴い、新人3人が出馬。県議20年の実績の上村憲司氏が初当選。昨年夏、上村町長は後援会から2期目の出馬要請を受けたが保留し、1月の後援会役員会で「集大成となるこれからの4年間、一緒に歩いていくことを決意した」とようやく再出馬表明。新年度予算議会の3月町議会で正式表明。「大学、町、地域産業界の連携で、若者育成や起業支援、町職員のスキルアップへの新たな可能性を生み出していく」と、上村町長が理事を務める新潟県立大学との連携強化を視野に、2期目の政策的な理念を示している。

 上村後援会は、県議時代の主要役員が残り、高齢化が課題だが、「百戦錬磨」の後援会活動はすでに始まっている。
 一方、再挑戦する半戸氏。津南町職員を退職後、津南町議に初当選、任期途中で町長選に出馬。前回、三つ巴戦ながら上村氏に231票差まで迫る善戦をした。
 だが、この4年間、後援会活動は皆無に等しかった。「私の不徳のいたすところ」と役員などにお詫び行脚している。後援会は維持し、役員体制もそのままだが、「刷新が必要」と人心一新をはかる予定だ。

 特に注目は組織体制。前回共に戦った高橋孝男氏の勢力や前々回出馬した滝沢元一郎氏の勢力との共闘を視野に、『非上村連合』の構築をめざしている。このうち滝沢氏は、「なにをめざすのか、しっかり聞いて判断したい」と話し、高橋氏は「まったく聞いていない」と慎重な姿勢だ。

 半戸氏は30日の本誌取材に対し、「現町政は本当に町民の声を聞いているのか。もっと地域へ、町民の中に入るべきだ。前回も訴えたが、子育て環境の整備が暮らしやすい町につながる。その一つとして保育料の無料化を実現したい。基幹産業の農業面でも、もっと積極的な打って出る政策が必要。それにより津南ブランドが確立する。そのためにも情報発信能力をもっと高める必要がある。町政をトータルに進めるまちづくり戦略室を設けていきたい」など、政策の一端を話している。

写真・再度の出馬を決めた半戸哲郎氏(先月31日)

10代のまなざし「佐藤亜耶さん・早稲田大1年・津南町」 4年後、姉妹で五輪へ  4月4日号
 目標を見い出せたのは津南中等だった。「他の学校に行っていたら、これだけ明確な目標が持てなかったかもしれません」。1日の早稲田大・入学式には全日本スキー選手権で出席できなかったが、新生活がスタート。満開の桜が、門出に花を添えてくれた。

 3歳から始めたスノーボード。小学時代からジュニアに出場し、見上げる背丈の選手たちを抑えて表彰台に上がった。「最近、自分の立場が逆転してきています。私より年下の選手が増え、表彰台に立っています。追われる感じですね」。先月30日は北海道。全日本選手権ハーフパイプで準優勝、1日のスロープスタイルでも4位入賞。ソチ五輪出場選手らが顔を揃えた中での入賞。全日本選手権では初開催の「スロープスタイル」。姉の夏生選手も出場し5位入賞。目標は明確だ。4年後の韓国・平昌(ピョンチャン)オリンピックへ、姉妹そろっての出場だ。

 姉妹でスノーボードに取り組む。ソチ五輪で関心が高まったスロープスタイル。「主流になってきています。選手数も増え、激戦種目になっています」。見る先は4年後。「そのためには、先ずナショナルチーム入りが課題です」。

 所沢で新生活がスタート。共に世界をめざす姉、夏生さんと自炊暮らし。仲良し姉妹だが「けんかもしますよ」。最も身近なライバルでもある。父母の出身地は東京と千葉。「両親より近くなりました。遊びに行きます」。世界へのステップを歩み出した。               (恩田昌美)

明日へ「絵手紙がつなぐ心と心」、栄村「かねく」福島夫婦  4月4日号
 「来たよー」「わぁー」。元気な声と共に、笑顔いっぱいで店に入ってきた。「元気だったかい」、福島博さん(75)、サカエさん(69)は出迎える。
 東京や埼玉、岐阜や山梨、遠くは四国、島根などからやって来る絵手紙の仲間たち。日頃から絵手紙交流するためか、数年ぶりに会っても昨日会ったような感じ。「やっぱり、人と人のつながりですね、大事なのは」。

 JR飯山線の森宮野原駅前。創業は昭和2年。87年の歴史を重ねる衣料品店「かねく」。2代目の博さんが継ぎ50年になる。「信じられないくらいに、この駅前は変わった」。往時の賑わいは、いまも脳裏によみがえる。

 「なにか楽しみが必要だ」。そんな思いから1995年、絵手紙という表現を知り、今も交流する山路智恵さんの「2000日展」を栄村で開いた。その時の仲間と2年後の98年、長野五輪に合わせ「絵手紙世界展」を開き、国内はじめ世界各国から6万通の絵手紙が集まり、大きな反響を呼んだ。
 絵手紙活動グループが誕生し、「絵手紙のむら栄村」が全国ブランドに。国際絵手紙タイムカプセル館ができ、全国から来訪者がくる。2人も入る栄村絵手紙・芽吹きの会などのグループが、絵手紙活動を支える。
 
 3・11東日本大震災の14時間後、3月12日未明、長野新潟県境地震が発生。絵手紙仲間から地震発生当日の「3・12」消印の絵手紙が何通も届いた。北海道の渡邉百合江さん、埼玉の妹尾重夫さん、岡山の小橋智子さんなど、『元気で無事でありますように』、『心配しています』など水仙や地蔵様の絵手紙が届いた。「思いのつながりを感じましたね。仲間がいるんだ、という気持ちが大きな支えになりました」。

 いまも毎日、絵手紙を描く。自分が描いた絵手紙が、相手に届き、その地にある。全国の仲間からの絵手紙はすべて保存している。「面白いですね。訪ねて来た人が、ここにはもう一つの自分の歴史がある、あの頃の自分がよく分かる、なんて訪ねて来る人もいます」。

 昨年10月、絵手紙仲間の誘いで伊勢神宮の式年遷宮に行った。「名古屋の仲間も駆けつけ、楽しい時間でした」。絵手紙がつなぐ心と心。「なにげない普段の生活を、お互いの言葉で描いているだけです。でも、その絵手紙が届くと、なにかホッとしますね」。             (恩田昌美)

地元定住進む、地域おこし協力隊、十日町市  4月4日号
 全国各地から人材を招き山間地域の活性化につなげる活動をめざす地域おこし協力隊。十日町市では平成21年9月から取り組み、これまで延べ36人を委嘱し、退任した19人のうち13人が同市に定住。うち先月31日付で退任した4人も飲食店や美術講師などを職業に、全員が同市に定住する。

 同協力隊を引退し同市に定住するのは飛渡東部地区を担当した高木千歩さん(40、練馬区出身)と中里・清津峡地区を担当の大庭ひとみさん(23、荒川区出身)、松代・山平地区担当の奥平百合さん(40、横浜市出身)、水沢地区担当の中川光嗣さん(36、神奈川県出身)の4人。高木さんは2年半、ほか3人は3年の満期で退任する。

 高木さんは市内宮下町の空き店舗を活用、母や妹夫婦ら親族と株式会社を設立し飲食店を創業する。この飲食店には工房なかさとに勤める大庭さんも手伝うことになっている。また奥平さんは「まつだい地産地消の会」の事務局を担当しながら、高齢者サロンでの健骨体操インストラクターや市内中学校で美術講師も勤める。中川さんは水沢地区森林整備活動の経験と実績を生かし、魚沼木材協同組合への就職が決まった。

 引退式で関口市長は「それぞれの地域で仲良く活動していただいた成果が出ている。さらに皆さんのライフスタイルを発信していってほしい」と激励。清津峡樽ばやし保存会のメンバーにもなっている大庭さんは「引き続き保存会の一員として活動していき、地域と共に歩んでいきたい」と定住への意欲を話している。
    ○
 同市には今年度、新たに3人が地域おこし協力隊となり1日、市役所で委嘱状交付式が行われた。市の同協力隊はこれで男性12人、女性5人、計17人が山間13地区に配属となっている。

 新協力隊員は、水沢地区を担当する矢坂千尋さん(24、上越市出身)、清津峡地区担当の西潟いずみさん(26、北海道函館出身)、飛渡地区担当の横澤祥太郎さん(24、仙台市出身)。矢坂さんは「地域を活性化させる仕事がしたい」と選び、「都会の人に田舎暮らしを提案できるようになりたい」と話し、西潟さんは「東京での大学時代からスノーボードでよく新潟に来た。活性化に対して積極的だった十日町で生活したいと思った」と話した。また横澤さんは「大学時代は現代アートに取り組み、大地の芸術祭に関心があった。昨年10月に、1ヵ月間、池谷集落にインターン参加し地域のよさを感じた」と同協力隊を選んだ動機を語った。

「魔の時間帯」、また死亡事故、高齢者が  4月4日号
 また高齢者の交通事故が津南町で発生。31日夕方、津南町の83歳女性が普通車と衝突し亡くなった。十日町署管内では今年初の死亡事故。昨年の死亡事故は5件、うち3件は道路横断中の高齢者が跳ねられたもので、いずれも午後5時半から7時の夕暮れから夜間にかけ発生。今回の死亡事故も午後6時半頃。魔の時間帯となっている。

 事故は町内正面地内の国道117号線で発生。31日午後6時38分頃、町内上野の農業・石沢正美さん(47)運転の普通車が長野県方向に進行中、歩行していた町内正面の無職・山田アサさん(83)と衝突。山田さんは約2時間半後、出血性ショックで死亡。山田さんは車の左前部と衝突したとみられ、同署で事故原因を調べている。

 同署管内では今年に入り人身事故が急増。先月31日付で44件(前年同時期22件)、傷者数53人(同23人)と倍増。うち高齢者が被害者、加害者となる事故は4割余。同署では死亡事故を受け、町や十日町交通安全協会と連携、現場付近の民家を個別訪問し事故防止呼びかけチラシを配布するなど注意喚起する。同署では「夜間はなるべく出歩かず、外出時は反射材着用や明るい服装を。ドライバーはライトのこまめな切り替えで歩行者の早期発見を心がけて」と注意を呼びかけている。

写真・事故発生時間と同じ頃の事故現場(国道117号、津南町正面で)

インタビュー「十日町地域振興局長に桐生裕子局長」  4月4日号
 「十日町赴任が決まり、周りの方々から『十日町はいい所だよ』と言われました。本当にそう思いますね。雪解けと共に春を迎える喜びは格別。食べ物もおいしく、きもの文化や里山の文化もあります」。十日町地域振興局長としては初の女性局長。本庁では国際課や観光、産業分野を担当し、前職は産業労働観光部の副部長。「地域政策や産業を担当していた頃、十日町にはよく来ていました。今度は一市民として、皆さんの仲間入りをさせていただきます」。

 長岡市生まれ。「38豪雪の頃、商店街の雁木にトンネルを掘って、行き来していたこともあります。今はそれほど降らなくなりましたが」。雪にはなじみ深い。東京の大学卒業後、県庁へ。国際課では姉妹校流の中国・黒龍江省や韓国、アメリカなどとの産業や文化交流を担当。英語のほか韓国語も「少し」。あの『冬ソナ』に魅かれ、そのまま趣味で韓国語を始めた。

 豊かな自然、里山の暮らし、大地の芸術祭に代表される個性的な文化、さらに悠久の縄文文化など、「地域の皆さんは、この地域に誇りを持って話してくださいます。一方で人口減少や高齢化の現実もあります」。新潟県の有効求人倍率が1倍を超えているが、十日町地域は依然として低迷。「地域の皆さんの安心安全が第一の仕事です。その上で地域の良さの発信をバックアップしたい」、さらに「外の地域や人と交流することで、この地域の良さをさらに知ることになり、それにより地域の総合力がアップしていけばいいのでは」。

 きもののイベントやお茶会には、きものを着て参加したいという。「好きなきもの」を着る機会が増えそうだ。
          (十日町地域振興局長、きりゅう・ゆうこ)

「がんばる中小企業に「きものブレイン」選ばれる、五年連続   4月4日号
 5年連続の受賞―。きもの総合加工「きものブレイン」(岡元松男社長、従業員255人)は、3月27、28日、経済産業省の「がんばる中小企業・小規模事業者300社」と「おもてなし経営企業選」に選ばれた。
 経産省のがんばる中小企業は、全国384万社の中から「革新的な製品開発や地域経済の活性化の模範となる取組みを行っている事業者」300社を選定。またおもてなし経営は「社員の意欲と能力を最大限に引出し、地域との関わりを大切にしながら顧客に対して高付加価値を提供する経営」を行っている企業で、全国165社の応募の中から28社が選定された。

 同社は、従業員のうち障がい者28人を雇用。きもの業界が低迷している中にあってもきもの丸洗いなど「きものアフターケア」の事業化、さらにシルクやウールなどの水洗いを可能にする「超撥水ドリームケア」や「未来染色システム」など革新的な経営手腕で業績を伸ばし、平成18年にはベトナムで直営の縫製工場を稼働しているほか、中国・上海にも事業展開するなど海外事業にも力を入れている。一昨年4月からは水で洗える絹の長襦袢やきものを全国450店舗で販売、事業全体では年商約21億円と業績を伸ばし、その経営手腕が高く評価された。
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 毎年新入社員を採用しているきものブレインは先月27日、新年度入社の6人を迎え入社式を行った。新入社員たちは「難しい問題にも取り組み、日々努力していきたい」と決意を新たにしていた。
 岡元社長は「18年間、ずっと新入社員を採用し続け、2%の成長を続けている。商品の開発と加工、共に成長の種を撒いていこう」と呼びかけた。新年度には、きものを預かる総合的な収納管理事業も行う方針だ。

写真・先月27日の入社式で


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