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2013年07月の津南新聞「トピックス」

過去の津南新聞トピックス
原発再稼動問題、「安全性が絶対条件」3市町村長語る  7月26日号
 参院選の政策課題にもなった「原発再稼動」は、国の原子力規制委員会への再稼動申請を受け、同委員会が審査・評価しているが、世界最大級の柏崎刈羽原発は、地元新潟県との事前協議が整わず、事業者の東京電力は再稼動申請を延期している。だが、東京電力は申請環境が整えば再稼動申請を行う方針で、その際の「地元同意」に焦点が集まる。柏崎刈羽原発から30`圏の十日町市の関口芳史市長は、「新潟県、柏崎市、刈羽村の立地自治体の同意は絶対になる。それがないと前に進めない」と、再稼動のための条件を示し、「県から我々の意見も聞いていただける可能性がある」と、十日町市として問われれば意見具申する意向を示した。

 新潟県では、原発立地自治体の県・柏崎市・刈羽村が東京電力と安全今協定を結び、全県自治体で作る「市町村による原子力安全対策に関する研究会」(代表幹事・長岡市長)も昨年2月、安全協定を結んでいる。再稼動申請へは新潟県・泉田知事が求める「事前協議・事前合意」と東京電力との認識の差で協議が進まず、再稼動申請は棚上げ状態が続く。

 再稼動について原発30`圏の十日町市・関口市長は、「当然、原子力規制委員会の『安全』という判定が必要だ。それを元に地域の同意だが、法律では必ずしも必要としているわけではないと伺っているが、やはり当初から安全協定を結ぶ新潟県、柏崎市、刈羽村の同意は絶対になる。それがなければ前に進めない。30`圏の市長として、どう行動するかということだが、非常に大事な問題であり、しっかり考えていきたい」と基本姿勢を示す。一方で「特に新潟県の同意は、希望的な観測かも知れないが県として、我々自治体の意見を聞いていただける可能性があるかなとも考える」と、県から意見を求められた場合、地元意見を述べる意向を示している。

 30`圏外だが、影響度は変わらない津南町の上村憲司町長は、再稼動対応につて「国県の動きを注視するのが第一。監視し、分析し、読解する能力を我々は持ちえていない」と基本姿勢を示す。全県での協議会でも論議になっている『地元同意』については「悩ましい問題だ。同意は必要だと思うが、それを判断する知見を多くの市町村が持ち得ていないのが実態。その中で判断することへの責任には疑問が生じる」と話す。

 ただ、原発事故対応、さらに震災など防災対応は進める。友好交流都市の狭山市とは防災相互応援協定を結び、年内には東京都内の区と同様な協定を結ぶ。

 同様に県境ながら30`圏外で影響度は同じ長野・栄村の島田茂樹村長は、明確だ。「完全に安全性が証明されなければ、再開はありえない」。特に県を越えているため、柏崎刈羽原発との直接関係がなく、情報不足はゆがめない。長野県も原発事故対応や情報収集には、これからで同原発に一番近い栄村にとって、最大課題は迅速な情報収集。島田村長は「防災計画の中に盛り込むが、やはり広域連携が必要になる」と、県を越えた対応の必要を話す。

写真・柏崎刈羽原発の再稼動に地域の関心が集まる(昨年11月撮す、海抜15bの防潮堤は今春完成している)

参院選、絶対得票率を見る、投票率低下、有権者の思いは  7月26日号
 参院選は予想通り、自民の圧勝に終わった。新潟選挙区は自民・塚田一郎氏(49)が二番手の民主・風間直樹氏(46)にダブルスコアの差をつけ再選を果たした。一方で得票率は、3年前の前回を下回り、新潟県で選挙区で55・82%とかろうじて過半数を上回っているが、全国的には52・61%(3年前57・92%)と低い投票率になっている。投票前、有権者からは「結果が分かっている選挙、投票には行かない」とする声をよく聞いた。一方で、「原発再稼動には反対だが、どこに入れればいいのか分からない」とする声も聞いた。今度の参院選、得票率を切り口に、検証する。


「得票率」。これには2つの数値がある。『絶対得票率』と『相対得票率』。選挙当日の総有権者数に対する得票率をしめすのが『絶対得票率』。一方、各候補が得票した有効投票数から算出するのが『相対得票率』。現在、一般的には相対得票率を用いる場合が多い。
 だが今回、有権者は「投票しない」という「投票行為」を選んだ有権者が相当数あるといわれる。その背景は、「結果が分かっている」や「入れたい政党がない」、あるいは「野党は原発問題をいうが、これだけ分裂したのでは、自民党が有利になるのは明らか」などと、問題意識を持ちながらも投票に行かない選択を選んだ有権者もいる。

 今回の参院選結果をこの絶対得票率で見ると、有権者の思いの一端が見えてくる。
 新潟選挙区の場合、トップの塚田氏は、一般的に使われる相対得票率では「十日町市50・36%」「津南町56・97%」と過半数を超える。全県でも43・01%と圧勝している。だが一方で、絶対得票率で見ると、塚田氏は全県では有権者の「23・39%」しか支持を得ていない。十日町市では「32・28%」、津南町でも「38・47%」の支持にとどまっている。

 この2つの得票率の数値開きは、投票率の低さが主因だ。全県レベル、さらに全国レベルになると、この2つの得票率の開きはさらに顕著になる。「投票しない」という「投票行為」をどう判断するか、ここが問題となる。

 21日の投票当日、津南町内の投票所で有権者に聞いた。「結果は分かっているが、投票は有権者の義務だからね」、「投票しないのは、今の政治を認めていることになる。しっかり投票はすべきだ」。一方で、投票を済ませた男性は「今回の選挙、投票しない人の気持ちも分かる。自民のひとり勝ちは分かっていること。それに対する野党のだらしなさ、これではどうしようもない」と話していた。

 選挙結果は、法的に認められた結果。その中身を考える時、今回の「絶対得票率」に有権者の思いが出ているともいえる。5割の支持と、2割程度の支持では、その政治的な立ち位置、臨む姿勢や思いも違うだろう。
 今回の選挙に限らず、この絶対得票率は、有権者の一つの声として、選挙結果に反映していると見ることができる。
                       (恩田昌美)

写真・参院選、有権者は何を託したのか(21日、津南町役場投票所で)

ラフティング川くだり、最高です、信濃川・体験記  7月26日号
 ○…日本一の大河を東京の子どもたちが満喫―。十日町市と上越市で農村体験ツアーを受入れる「越後田舎体験」では今年、初の信濃川ラフティング体験を企画。第一陣の港区立六本木中2年生40人が21〜23日に滞在。22日にラフティングし約2時間の川下りを堪能。「すごくおもしろい」と大好評。29日は港区立高松中約百人が行う予定だ。

 ○…コースはミオンなかさと付近から城之越のほくほく線鉄橋付近まで約8`。津南のラフティング体験にも関わるパワードライブR117(庚敏久代表)がインストラクター。生徒たちはライフジャケットを着て専用ボートに乗り込み、自然が形成した河岸段丘の絶壁鑑賞や急流下りに喚声の連続。川下り中にボートがひっくり返るサプライズ体験をした野田山淳一君(13)は「まさか川に落ちると思わなかったけど、全然無事でした。教科書にある日本一の川を下る経験なんてめったにできない。一生の思い出です」と満面の笑み。なお越後田舎体験は15年目、今期は24校約2千人を受入れ。今後はラフティングを体験の目玉のひとつとしてアピールする方針だ。(本紙ホームページで動画公開中、撮影・石澤修一)

体験記(石沢修一記者)
 信濃川ラフティングに参加した。もちろん初体験。面白い、病み付きになりそうだ。ライフジャケットを着て、河畔に浮かぶボートに足を踏み入れると意外に沈み込む。ちょっと恐怖感。だが、その不安は動き出して数秒で吹っ飛んだ。パドルさばきは前掻き、後ろ掻き、これだけ。あとはインストラクターが先導し、実にスリリングに川下りを楽しませてくれる。
 
 最大の醍醐味は急流。白い波が立つ「瀬」下り。普段川を眺める時以上に流れは速い。ボートが急流に入る、思わず「わぁ―」とか「イェー」と喚声が出た。同乗7人(20代〜60代男女)みな同じ。喚声の後は自然と笑い声が出る。童心に返るとは、まさにこのことだろう。
 この日の宮中ダム放流量は毎秒62d余。インストラクターは「本当は80〜百dは最低でもほしい」と言う。実際に川底まで20aもない箇所もあり、ボートが石などに引っ掛かり止まってしまったことも。JR東日本の試験放流4年目の今年、変動型試験放流を行っている。毎秒120dの時、川がどうなるか興味深い。

 インストラクター・パワードライブR117の庚代表は話す。「ラフティングは元々ある川を使うだけ。ハード整備は少ない。川がより身近になれば、自然と環境にも関心が向く。ここは日本一の大河を間近で感じられる地域、活用しなければもったいない」。国交省の信濃川河川事務所では、ラフティング時の障害となる危険ブロック撤去を行っている。
 上流の栄村・津南地域でもラフティング活動を行い、地形的にも最適という。国内有数の「人気スポット」としてデビューする日が近い、そう感じたラフテイング初体験だった。

「ねこ」、今にも動きそう、村山正徳さん鉛筆画  7月26日号
 ◎…久々に画用紙に向い、描いた作品は「ねこ」。一見、白黒写真に見える細密画は、実は鉛筆画。10Hから10Bまでの濃淡を使い、雰囲気たっぷりに描く。昨年、「数十年ぶりかな」というブランクを経て画に向った津南町の村山正徳さん(53)。というより村山歯科医院の村山先生の方が良く知られる。この1年余りで描いた作品のうち20点余を今月27日から29日まで津南町中央部、大割野商店街の「ギャラリー泉」で個展を開く。微妙な濃淡が「ねこ」の雰囲気を絶妙に現している。

 ◎…「これだけはちょっと自慢ですが、ずっと5をもらいました」。小中高時代。美術の成績は良かった。大学、勤務医、そして開業、絵からは遠ざかっていたが、2年前の県境地震後、不眠気味になり、時間を持て余し、久々に画用紙に向った。

 ◎…「最初に描いたのは家の犬なんですが、これがひどかった。えっ、こんなだっけと、ねこを描き始めたら、すっかり夢中になってしまいました」。小中高時代のデッサン力がよみがえり、色付け前の下絵のつもりで書いた白黒の鉛筆画が「なんとも言えない雰囲気を感じましたね」と作品に。以来、鉛筆画。ピンと伸びたねこのひげ、柔らかなタッチの毛並み、子猫の愛らしい瞳など雰囲気たっぷり。時には綿棒を使いぼかす効果を出す。近所のねこも描き、絵をプレゼントしている。「人の顔を描いてみたら、などと言われていますが…」。このタッチの鉛筆画の人物、ぜひ見てみたい。作品展は27日から29日、「ギャラリー泉」(大口百貨店の道路向かい)。開館は午後1時半〜同6時半。

10代のまなざし「山本佳奈さん、十日町高3年」 夢を叶える飯山線  7月26日号
 毎日通う飯山線で、ふと思った。『夢が叶う電車』。 高校時代の集大成として取り組んだ新潟県高校演劇大会。作品づくりに向け、イメージを巡らせ、シナリオを書き出したのが1年生の学年末の頃。推敲を重ね、夏頃に書き上げたオリジナル作品が『夢電(ゆめでん)』。2年生の高校演劇大会の出場作品になった。あれからもう1年が経つ。「早いです。きっとこれからの時間は、もっと早いと思います」。

 中学時代、アニメの声優に出会い、声優という仕事を知った。その道をめざし、なんの迷いもなく高校で演劇部に入った。進学校の同校では部活動は2年生までが普通。その部活動の総仕上げ作品が、自分のオリジナル作品「夢電」だった。
 部員は1年と2年の7人。演者は3人。「夢が叶う電車」に乗った主人公の女子高生と乗客のやりとりが見せ場。夢が見つけられない女子高生。その主人公に、世相を反映させ、『心愛(ここあ)』という名前をつけた。

 「影響されやすい面は、自分に似ていると思いますが…。同世代の最近の子たちのイメージです」。夢が見つからない、否、見つけられない世代、かもしれない。混迷する世相を描く中に、同世代からのメッセージを込めた。「作品の評価は分かれましたが、自分では納得いく作品でした。やりきったという感じです」。
 高校生活はあと半年余り。「中学よりずっと時間の早さを感じています」。充実した高校生活の中で掴んだ進路が「声優への道」。今春、進学を希望する専門学校のオープンキャンパスに参加し、プロへの空気を感じた。

 この夏休みは、希望する専門学校の声優科の面接を受ける。今回も、なんら迷いはない。「アニメの声優や映画の吹き替え、ナレーションをめざします」。専門学校では、声優と共に舞台演技の実習もあり、幅広い活動が待っている。
 あす27日、十日町市の社会人劇団「劇団吟仕込(ぎんじこみ)」の公演に出演する。「楽しみです」。さらなるステップをめざす。  

赤澤城の史実に迫る、初の発掘調査、3日現地説明会  7月26日号
 6百年余り前の15世紀末から16世紀初めの戦国時代・中世の城跡として知られる津南町の「赤沢城址」の初の本格的な発掘調査を6月から津南町教育委員会が行っている。これまで戦時や軍事用の城と見られていたが、今回の調査で屋敷の柱穴や火を使った炉跡が見つかり、「有事の時だけでなく、平時の暮らしがあった」と見られることが判明し、関係者の注目を集める。信濃川段丘の突端にある赤澤城址。信州と越後の堺、さらに当時の主要街道・草津街道に通じる中世の要所の一つとして知られる「赤澤城」の史実の解明に関心が集まる。町教委は発掘調査現地説明会を来月3日開く計画だ。

 今回の発掘調査は、一帯の農地整備に伴うもので、赤澤城址エリア約7千5百平方bが対象。発掘で堀や屋敷跡、さらに堀に架かっていたと見られる橋の橋台などが見つかっている。なかでも約4千5百平方b内で8棟の屋敷跡(約5b×約10b)の柱穴が見つかっている。その一画の1b四方ほどで火を使った跡の「焼土」を確認している。
 この居住エリアは、幅4b、深さ1・5bから2・5bほどの「堀」に囲まれ、それも「二重堀」と見られるなど、同城址が重要な拠点であったことが伺える。この二重堀の外側にも2棟の屋敷跡が確認され、今回の調査エリアで10棟の屋敷跡を確認している。
さらに興味深いのは、エリア内に直径1bほどの「井戸」らしき痕跡があるほか、発掘により能登半島の珠洲焼の瓶(かめ)、すり鉢の破片のほか砥石、土器(カワラケ)などが出土。なかには茶器の天目茶器片も見つかり、同所で暮らしが営まれていたことを裏付けている。

 調査は同教委の佐藤雅一文化財専門員が主管し、現場では中世が専門の学芸員・青木利文氏(38・群馬・山下工業発掘調査部)が主導で進める。青木氏によると、津南町史にある「赤澤館」と「赤澤城址」との関係について、「従来は赤澤館に人が暮らし、赤澤城址は軍事の時に使っていたようだが、今回の調査で赤澤城址は平時でも人の暮らしがあったことが判明した。それも10棟ほどの屋敷跡が確認され、相応の暮らしが営まれていたと見られる」。さらに「誰が暮らしていたか、その手がかりも出土品やこれからの調査で手がかりが出るかもしれない」と期待感を示す。
 
 その手がかりは、住居エリア内の井戸跡や有機質が残る湿地場所などの発掘により、「木札(もっかん)」などが見つかる可能性があり、それには時代を特定する書がある場合が多く、来月10日まで発掘調査に大きな関心が集まる。来月3日の現地説明会は午後1時半から。雨の場合は翌4日。連絡先・津南町教委なじょもんрO25・765・5511。

自然素材で特産作りを、「1才サルナシ」、津南町の涌井さん  7月26日号
 植物の実を生かし地域おこしを―。山伏山など地域の山に自生している「一才サルナシ」を自宅庭に植え育てている津南町寺石の涌井昭五さん(75)。「実が熟すととっても甘くてうまいんだ。何とか地域おこしに生かしたい」と実を使って果実酒を作るなど更なる使い道を模索している。

 一才サルナシは、一般のサルナシより「若木でも実を付ける」ことからその名がついたツル性植物。津南地域の山にも多く自生し「コクワ」と呼んでいる。涌井さんは15年ほど前から自宅庭で育て毎年、小さなキーウイのような実を付けている。「今でこそ食べる人は見なくなったが、昔はみんなよく食べたもんさ」と話し、ジャムやお菓子などへの活用も考えている。
 
 涌井さんは8年前から「青いバラ」の育成に取り組み毎年、青い花を咲かせ、株も徐々に増やしているほか、自宅近くの山に自生する様々な植物の育成にも取り組んでいる。こうした「植物熱」の影響で長男・教(たかなり)さんは樹木医の資格を取得。親子で数十種類の植物を育てている。その中のひとつが一才サルナシ。民間資格の食育指導師の資格を持つ涌井さん、「津南の自然素材を地域づくりに生かしたい」と話す

金メダル坂で合宿、女子レス日本代表   7月26日号
 ○…「再び金メダルを十日町に」―。9月にハンガリーで開かれる世界選手権に向けた女子レスリング全日本女子チームの合宿が22〜27日まで十日町市の「桜花レスリング道場」で開かれ、ロンドン五輪金メダリストの吉田沙保里、伊調馨選手ら21人が道場前の「金メダル坂」と呼ばれる急坂などで猛練習。「金メダルを取って十日町市民と一緒に喜びたい」と意気込みを見せた。

 ○…金メダル坂は、道場前の7百b余りの急坂。この坂での猛特訓が金メダル獲得につながるとして栄和人監督らが命名した。23日の公開練習では、この坂を駆け上がるダッシュや仲間2人をおんぶして登るなどの練習に、選手たちは大粒の汗を流していた。世界選手権で五輪と合わせ世界大会14連覇をめざす吉田選手は「おいしいご飯を作ってくれるおばちゃんや十日町市民の応援があるから頑張られる。金メダルを取って、一緒に喜びたい」と話した。

震災復興願い小中学生200人が合唱  7月26日号
 復興を誓う美しいハーモニーが響いた。県境地震を契機に、長野県内の中学校が連携し開く「第3回絆音楽祭」は20日、栄中(和田裕校長、生徒46人)で開催。木島平中、墨坂中、高陵中、栄中の4市村の生徒が合唱を披露。今年は初めて栄小と秋山小児童、さらに栄中PTAも参加。総勢2百人余が練習を重ねた歌を披露。最後は全員で「ふるさと」を歌い、県境地震からの復興を誓った。

 同祭は県境地震後支援に感謝をと、栄中が近隣中学に呼びかけスタート。生徒会主催で継続し開く。齋藤聖矢生徒会長は「最初は支援に感謝する気持ちで始まりましたが、今は栄村の元気を発信する場。交流を通し、支援する側と支援される側の垣根を徐々になくしたい。それが復興だと思います」と話す。震災を契機に生まれた新たな交流を同祭の宮川雄大実行委員長は「音楽を通し他校、地域の人たちとの絆を深めるのが大きな目的です。僕らは卒業しますが、これからも絆を深めていってほしい」と語った。

北陸新幹線、12月に試験運行、飯山線と接続、誘客効果期待の信越地域  7月19日号
 2年後の2015年3月、長野から北陸へ延伸開業する北陸新幹線は、年内12月に冬季の走行をチェックする「雪試験」を行うための試験運行を行う計画で、長野以北に初めて新幹線が走る。試験運行により、いよいよ開業へのカウントダウンが始まり、接続するJR飯山線の活用策が沿線の大きな課題になってくる。16日、飯山線沿線地域活性化協議会を十日町市分庁舎で開き、今後、長野・新潟の両県を含む沿線12自治体、地元商工会議所、JR東などが連携し、『飯山線応援団』を立ち上げ、飯山線の利用促進策を研究し、活動する方針で合意した。1年8ヵ月後に開業する北陸新幹線。飯山線の活用策や沿線の観光誘客などの取り組みの必要が迫り、沿線の連携強化がさらに求められている。

 冬期間運行を想定した「雪試験」の試験運行は、12月から「長野ー新黒部」間で行う予定で、開業までに2シーズン実施する方針。北陸新幹線の長野・新潟エリアの雪対策は、スプリンクラー融雪で対応するが、北陸エリアは電気融雪を導入するため、実際に積雪期に新幹線を走らせ、走行データなどを収集し、開業に備える計画だ。12月の試験運行は、今年3月20日、飯山市民会館で開いた新幹線開業をテーマのシンポジウムでJR東・原口宰常務(鉄道事業本部副本部長)が基調講演の中で述べたもので、沿線は12月の試験運行を想定し、準備に入っている。

 新幹線・飯山駅の建設工事も進む。長野以北の高架鉄道、レールの敷設などは終了し、飯山駅舎も外観はほぼ完成。新幹線駅は現在のJR飯山線・飯山駅より3百b長野寄りに建設。飯山線の駅は、高架の新幹線駅舎の下に作られ、新幹線乗り換えがスムースにできる。飯山線・飯山駅の移設工事は年内にも始まる見込みだ。
新幹線開業のカウントダウンが始まっているなか、接続する飯山線の活用策模索は続く。16日の同沿線協議会総会で、十日町市の関口芳史市長は「(飯山線と接続する)新幹線の駅名がそのまま飯山駅になったのは意義深い。飯山駅という駅名が、飯山線というローカル線をイメージさせてくれる」と、北陸新幹線沿線はじめ全国の鉄道関係にすべてに流布されるため、「新幹線・飯山駅」による『飯山線』への波及効果に期待感を述べた。

 一方で昨年秋、40年ぶりに飯山線にSLが走った意義に触れ、「一つのイベントではあったが、これを将来に結びつけることが大切」と名言しなかったが、新幹線開業に合わせ飯山線にSL運行を継続し、誘客アップにつなげた意向を示唆した。
同様な思いを抱く津南町・上村憲司町長。新幹線開業により、「玄関口となる飯山駅から、どう以北に誘客するか、早急に研究したい」と就任時から方針を話し、SL運行も視野に入れるが、飯山駅からの新たなアクセス手段の研究も進めている。

 地元飯山市は、広域9市町村で『信越自然郷』を立ち上げ、新幹線開業に向け一歩先行した取り組みを見せる。同沿線協議会長の飯山市・足立正則市長は「1年8ヵ月後、飯山線は新時代を迎える。金沢や石川、輪島など西の観光エリアに対し、東のエリアは上越妙高、信越県境などがあり、広域交流エリアで観光誘客が期待される。その意味でも飯山線の存在が重要になる。飯山線は日本一の豪雪地を通る97`の鉄路。これこそ魅力的なエリアになるだろう」と、飯山線沿線の特性を観光の魅力に結びつける取り組みの重要性を強調した。

 新幹線飯山駅周辺は、同市区画整理事業で駅前広場整備を進め、駅西口にはシャトルバスターミナルを構想し、路線バス(長野電鉄)との接続など研究している。駅東口はロータリー広場を作り、長野県と飯山市で観光案内所や物産販売などの2階建て施設(雁木様式)を併設する計画だ。駅北には立体駐車場(4百台)、平面駐車場(2百台)を整備する計画。同市の新幹線周辺整備課・村上透課長補佐は「飯山駅は志賀高原、湯田中、野尻湖など上信越高原国立公園の最寄駅。この立地を誘客に結び付けたいが、これから決まるだろうが、新幹線の停車本数が大きな課題だ」と話す。沿線自治体などで要望しているが、県を越えた連携要望が求められている。

写真・建設が進む新幹線・飯山駅。前方が長野、手前が上越方向。駅舎下に飯山線が通る(7月17日、飯山市で)

明日へ「阿部正樹さん、農に取り組むライフスタイル」 ジェラードアイスで今夏挑戦  7月19日号
 「考えるより先に、まず一歩踏み出しちゃう方なんですよ」。東京生活から一転、津南の大地を相手に始めた農業。3度目の今年の夏、自信作をデビューさせる阿部正樹さん(34)。約3fの畑にイチゴ、スイートコーン、ニンジン、アスパラなどを作る。これを素材に「ジェラード」を作った。今月26日開幕の「津南ひまわり広場」で、初めて店頭販売する。「素材は100%、津南産です」。

 『農産物の生産・加工・販売 桔梗屋』。3年前、就農時に作った名刺に入れた言葉だ。『桔梗屋』は、出身の旧中里村の実家の屋号。高校時代の同級生、千里さん(34)と結婚し、長男誕生を期に帰った。「地域のために役立つ仕事を、と考えたのが農業でした」。新規就農を希望し、津南町農業公社の臨時職員として1年目は働く。
 実家は兼業農業だが、「農業経験はゼロに等しいです」。研修しながら畑作に挑戦。イチゴ、トマト、雪下ニンジンに取り組み、初年はアワ・キビも作った。「今もそうですが、日々失敗の連続です。どんな失敗ですか?、もう少し実績を積んで、思い出として話せるくらいになったら話せますが…」。農業初心者にとって、日々が勉強という。

 旧中里・桔梗原は開田の地。「曾祖父・阿部角之介」がこの地に入り米作りを始めた。その伝来の田の一部、約20eで無農薬米に取り組み、ネットで「完全無農薬米・角之介」を取り扱う。

 国道117号沿い、津南観光物産館わきの直売所「津南食彩館」にイチゴを出荷している。昨年、長岡市のアイス・ケーキ製造業者が、同館でイチゴを求めた。それが阿部さんのイチゴ。取引が始まり、『ジェラード作ってみない?』と声がかかった。めざしたのは「美味しい津南産の野菜で作るジェラード」。自作のイチゴ・カボチャ・スイートコーン・枝豆・雪下ニンジン・アスパラの6種で試作を重ね、5月完成した。「うまい津南の野菜と牛乳で作るわけですから、美味しいアイスができるのは当たり前ですね」。素材の旨味がアイスと融合し、あっさり感の中にも、味わい深い逸品ができた。商品名は『津南プレミアムアイス』。「津南の野菜自体がプレミアムですから」と自信をみせる。
 製品完成後の6月。友人の紹介で宅配ヤマトを通じた「お中元、ヤマトギフトカタログ」に商品が掲載された。すでに30件余り予約が入る。素材の野菜は、規格外品が活用できるため「多くの野菜農家の皆さんから提供いただければ、規格外品も商品になりますから」と、この野菜アイスを地域の産業に結び付けたい考えだ。

 なんとも語感の響きが良い『桔梗屋』。自作の大豆で味噌加工にも取り組む。イチゴで自家製ジャムも手がける。いま製造免許の取得をめざしている。
 加工品の企画、そのラベル・パッケージデザインなど、千里さんとアイデアを練る。1歳の長女、3歳の長男は野菜大好き。『パパが作ったんだよー』。美味しそうに、パクパク食べる。
 「そうですね、少しずつ農業での暮らしのイメージに近づきつつあるのかなと思いますが、まだまだですよ」。   (恩田昌美)
 ※※
 桔梗屋「津南プレミアムアイス」連絡先025・761・7899(FAX同)

 

10代のまなざし「内山元太さん、十日町高2年)  7月19日号
「遊ぶために生きる」、そんな父のDNAを受け継いでいる。『母の腹の中に入っている時から海に遊びに行っていた』という男児は、今はもう高校生。もちろん、今でも家族と一緒に海へ。
 「今月13〜15日の連休も柏崎でキャンプしてきたんだ。中央海岸はジェットスキーの場で、そこで親父のジェットスキーに乗るんだ。昨年9月にジェットスキーに乗れる免許も取ったし。自分のジェットスキーを持ちたいなあ」

 海行きは、5月のゴールデンウイークから10月末まで続く。父が運転するランドクルーザーでジェットスキーやバナナボートを牽引して向かう。幼少の時からの『日課』だ。
 「海での遊びは、何も考えずに夢中になれるんだ。ジェットスキーで転倒することも、もちろんあるけど、ボクはケガしたことないな。兄はバナナボートに乗って転倒し、あばら骨を折ったことがあったけど」
 海でのキャンプ。夕方、焚き火を囲んでたわいもない話をする。学校のこと、友だちのこと、そして海での遊び方など。それが家族の絆にもつながっている。

 「大学には行きたくないって話したんだ。そしたら外国へ留学したらどうだ、ってなったんだ。高校卒業したらオーストラリアに行くつもりだよ」
 ところで、海に行かない冬はどうしているのか。
 「スノーボードだよ。友だちとグリーンピアや石内丸山スキー場などに行ってるんだ」
 冬もしっかり遊んでいる。DNAは冬も健在だ。そして、学校ではダンスグループ「アイッシュ」に所属、週1回、十日町市民会館などでヒップホップやブレイクダンスで汗を流している。
 「学校の文化祭や市内の地区祭りなどで踊ったりしているんだ。ブレイクダンスで先輩はすごい技を見せるんだけど、ボクもできるようになりたいな。ちょっとムリかな」

 今月、友だちの家で誕生会を開いてもらった。そこで見事にパイ投げの祝福を。
 「友だちのお母さんが、『パイ投げはしないの?』と口を滑らせて、ちょっとネタがばれてしまった感はあったけど、まあ、楽しんだよ」
 そんな遊び男だが、将来の夢がある。
 「留学で身につけた語学力を生かして、何か会社を興したいんだ」
       (村山栄一)

津南、栄村連携し「日本ジオパーク認定」めざす   7月19日号
 「苗場山麓ジオパーク」構想を進める津南町は来年3月の日本ジオパーク認定申請に向け、早ければ今月末に観光、商工など関係者に呼びかけ「苗場山麓ジオパーク振興協議会」を設立する方針。一方、認定は広域連携と住民意識の盛り上がりが条件。隣接の栄村との連携をねらいに9日、両首長が初懇談。さらに民間有志が主催する研修ツアーが開かれるなど、認定に向けた動きが活発化している。

 9日は上村津南町長と桑原正教育長が栄村役場を訪問し、島田栄村長と齋藤家富副村長と懇談。ジオパークに関するトップ会談は初で、両自治体の二人三脚で認定をめざしたい意向を津南側が伝えた。上村町長は「リタイアした団塊世代のニーズは未知なる分野への欲求が高い。既存の観光と違い、特徴あるジオパークは流入人口の増大に繋がる。一緒に取り組みたい」と共同歩調を提案。一方、島田村長は「知らない所も多く驚いた。村でも担当部署を決め今ある資源を有効活用できるよう考えたい」と積極姿勢を見せた。発足予定の振興協議会には栄村関係者にも参加を呼びかける。さらに両自治体情報交換の場に「連絡調整会議」を作り連携を深める計画だ。

 一方で認定に大きく影響するのが「住民の盛り上がり」。地元ガイド養成など、民間の積極活動がカギとなる。この流れを受け地元有志が学習グループ「ジオエッグ」(高橋一彦代表、13人)をこのほど発足。初の学習ツアーを6日開き、町内外から30人余が参加。雄大な柱状節理が見渡せる見玉大久保公園や幻の滝「タル山の滝」、さらに古型マンモスの臼歯化石が発見された穴藤川原など秋山郷一帯の「大地の遺産」を巡り好評。高橋代表は「どこもすばらしいポイント。ジオパーク認定に向け住民の盛り上げ役を担っていきたい」と話す。ジオエッグでは今後、栄村民を招いた観察会も行う方針だ。

 ジオパークは『ジオ』(地球)を学び楽しむ『パーク』(公園)の意味。眺望地は『ジオサイト』と呼ぶ。ユネスコ支援を受けた日本ジオパーク委員会は現在25地域を認定。県内では糸魚川市が日本、さらに「世界ジオパーク」認定を受け、国内外からの観光客が増加傾向にある。認定に向け行政の本気度が問われている。

写真・秋山郷の「タル山の滝」を見学する参加者(6日)

最後の「野村狂言」、松之山で演じる  7月19日号
 ○…幽玄な雰囲気の中で演じられる、人間国宝の狂言師・野村万作、萬斎親子らによる野外公演「真夏の笑い祭典」が13日夜、松之山湯山の「山の上の能楽堂」で開かれた。住民有志の実行委委員会が平成9年から続けてきたが、集客低迷などから定期公演は今回が最終回。最後の公演を楽しもうと7百人余りがつめかけ、笑い溢れる狂言の世界を満喫していた。

 ○…当日は雨が降ったり止んだりの天候で、雨天時のための松之山体育館でも受け入れ準備を行ったが、開演時間中は雨も止み、予定通り能楽堂で実施。演目は、縛られながらも酒蔵の酒を飲む「棒縛」と、山人の昼食の藁包を食べてしまい騒ぎとなる「苞山伏」。洗練された軽妙な演技に、会場から笑いと拍手が起きていた。高橋樹男実行委員長は「定期公演は終了というひとつの節目を迎えたが、いつかまた歩み出すことができれば」と話している。

「河童」に捧げる、水難事故防止に「きゅうり祭り」  7月19日号
 ○…津南町の大割野地区(395世帯)の鎮守・熊野三社境内で毎年7月15日に行われている神事がある。通称「キュウリ祭」。正式名称は「津島神社・榊神社御祭礼」。両神社は拝殿わきの、中津川から運んだ巨石にある。同祭はその巨石前に祭壇を置き、住民が自宅で採れたキュウリを奉納。祈りを捧げた後、代わりに別の住民が供物として置いたキュウリを持ち帰る。それを食べると、家族の水難防止や病気を防ぐとされる。津南地域では珍しい神事だ。

 ○…キュウリ祭の起源は資料がなく不明な点は多い。地元老人会の大割野老裕会が97年に発刊した『大割野風土志』によると『昔は赤痢や腸チフス等が夏になると流行したり、川で水遊び等により事故死する子どもが多くあったので河童の好きなキュウリを供えた』などと記載。現代のようにキュウリが簡単に採れなかった時代、初成りを河童に捧げることで子どもや家族の安全を願ったという。15日に訪れた地元の藤ノ木トリさん(87)は「家からキュウリを2本持ってきてお供えし、1本貰うのが決まりだった。これを食べるとお腹を壊したりせず、1年間健康で過ごせると言われたよ」と祈りを捧げていた。

「命を救うヘリポート」、新十日町病院屋上に設置を   7月12日号
 救急救命に機動力を発揮する「ドクターヘリ」。新潟県は昨年10月末から県が運用を開始し、地元消防本部の要請を受け、新潟市の新潟大医歯学総合病院に常駐のドクターヘリが、全県をカバーしている。昨年からの運用で、県内では十日町地域消防本部からの要請が最多の70件。うち約30件は、実際に救急患者を長岡市や新潟市の病院に搬送している。だが、地域医療の拠点となる地元の県立十日町病院へのドクターヘリ・アクセスが整っていない。同病院は今年度中に改築に向け着工する。防災関係者は「新病院の屋上にヘリポートが必要だ」と強く要望する。これまで県病院局には、地元から「新十日町病院に常設ヘリポートを」とする公式の要望書は上がっていない。住民からも「やはり地元行政からの声が重要だ。いつ要望書を県に出すか、今でしょ」と話し、新病院屋上へのヘリポート設置を求める声は多い。

 今月5日午後3時半頃、津南町大赤沢の住民から救急要請が入った。十日町地域消防本部・南分署の救急車が向かうと共に、通報の内容からドクターヘリ要請を決定。ヘリと救急車の接点(ランデブー・ポイント=場外離着陸場)を中津小グラウンドに決め南分署員が急行し、ヘリ誘導。新潟市から約30分で到着。すぐに医師と看護師は待機していた消防車両で秋山郷へ。一方、大赤沢で救急患者を乗せた救急車も出発。医師・看護師が乗った消防車両と清水川原で合流、その場で医師が患者を診察。ここまで救急通報から40分ほど。ドクターヘリの機動力を発揮した。医師の判断で患者はヘリ搬送の必要がなく、救急車で十日町病院に搬送された。

 今回のドクターヘリの救急出動と救急搬送で、いくつかの課題が見えてくる。
 その一つが「ランデブー・ポイント(RP)」の場所。ドクターヘリの機動力が発揮されるのは、医療機関から遠い秋山郷など山間地。今回、秋山郷に一番近いRPは「中津小グラウンド」。だが、津南町内のドクターヘリ・RP場所には当初、秋山郷エリアでは旧中津峡小学校、現在の「かたくりの宿」グラウンドが記載されているが、「グラウンドが狭すぎる」などの理由で不適格になっている。
 その他の地となると、長野県に入った屋敷・秋山小グラウンドがある。十日町地域消防本部と長野・岳北消防本部は相互応援協定を結んでいるが、県レベルでの連携、特にドクターヘリの相互連携の具体化はこれからで、早急な連携締結が求められる。

 さらに課題は、山間地域の最寄の拠点病院へのヘリのアクセス。十日町病院のヘリポートは、現在は「笹山陸上競技場」、信濃川河川敷「つまりっ子広場」、「吉田クロスカントリー場」でいずれも同病院から数`の距離がある。
 防災関係者は「病院の屋上にあるのがベストだ。改築する十日町病院の屋上にヘリポートを作る絶好のチャンスと思うが」と話す。新十日町病院の実施設計は9月にはできると見られ、設計立案中の今の要望が重要という。
 特に冬場、積雪期のRPは難しい。冬場のドクターヘリの離発着は雪上となり、圧雪が必要となる。吉田クロカン場はほぼ常時、圧雪されているが、大会などと重なると使用できない。今冬、十日町消防本部前の田を圧雪して臨時ヘリポートで対応したケースもある。「雪の心配が要らないのが屋上。新十日町病院屋上にぜひほしい」と関係者は設置を求める。

 もう一つの課題は、秋山郷を通る国道405号の改良。5日の救急搬送でも、救急車と医師・看護師を乗せた消防車両は、道路事情がよければ持った短時間で合流できた。すれ違いができない狭隘な箇所がまだ多くの残り、一刻を争う救急救命にとって、早急な道路改良が求められる。 (恩田昌美)

写真・今月5日、津南町・中津小に降りたドクターヘリから降り、現場に向かう医師と看護師(5日午後4時半ごろ)

研修医受入れ、医師確保に一役、十日町中魚医師会   7月12日号
 3年前から地域医療研修医を受入れている十日町市中魚沼郡医師会(富田浩会長、会員49人)は、今年度も東京慈恵会医科大付属病院から3人を各1ヵ月間受入れる。今月1日から1人目の山口貴子医師が来市、9日には田沢小6年生(33人)を対象に「喫煙防止健康教室」を開いた。同医師会では「研修医の受入れで、課題となっている地域医師不足の解消につながってもらえれば」(同医師会地域医療研修コーディネーター・庭野敦子さん)としている。

 十日町・津南地域の住民数に対する医師数は、昨年1月に発表した富田会長によると、人口10万人当たり114人で、全国平均の212人と少なく、全国でも最低レベルという。このため少しでも医師不足の解消につながればと、3年前から開業医を中心に研修医の受入れを行っている。受入れは年3人、各1ヵ月間で、今年度で9人となる。山口医師は「実際に患者の家に行く訪問医療も行うなど、患者家族との距離感を感じとることができ、よい体験になります」と話す。
     ○
 田沢小での喫煙教室で山口医師は、スライドを用いながらタバコの危険性など分かりやすく指摘。「タバコは有毒物質がいっぱい。自分が吸わなくてもすってる人の煙も悪い。家族で吸っている人がいたら、健康によくないとアドバイスしてください」と呼びかけた。児童たちは「大人になったらちょっと吸いたいと思っていたけど、止めます」や「お父さんのタバコを取り上げたい」などと話した。
     ○
 一方、十日町税務署管内小売酒販組合(今井紀雄理事長)と十日町たばこ販売協同組合(村山幸夫理事長)では10日、十日町高校など管内の高校3校とイオンなど大型店3箇所で未成年者の飲酒、喫煙の防止を呼びかける街頭キャンペーンを展開。高校では通学生徒にPR用のティッシュを配りながら「喫煙、飲酒はしないようにしましょう」と呼びかけた。

写真・小学生に喫煙の影響を話す山口貴子医師(田沢小で)

 

10代のまなざし「八重沢夏帆さん・津南小6年」、NASAへ、宇宙飛行士めざす  7月12日号
いま、熱中しているものがふたつある。一つは水泳。十日町スイミングスクールに4歳から通い、昨年末から選手コースに変更。今は週4回練習に励む。
 「昨年の町の水泳大会で、同じ学校の友だちに平泳ぎで負けて3位だったんです。それが悔しくて、もっと練習しようと思ったんです」。
 練習で与えられた課題をこなすうち、めきめきとタイムが伸びて来た。
 「習ったことをしっかりこなせば速くなるのが面白い。速くなっているのを実感できるのが楽しいです」。
 
 今年の町水泳大会は今月26日。目標は得意の背泳ぎ50bでの新記録達成だ。
 「今自分のベストタイムは40秒91。先生からは40秒の壁を越えれば新記録だと言われています。頑張って記録達成をめざします」。
 もう一つは英会話。小学4年から週1回、ECC教室に通う。元々はヒップホップダンスをする影響から、洋楽へ興味を持ったことがスタート。いま聞く音楽は洋楽がほとんどだ。
 「あと夕方あるアメリカのテレビドラマ『ビクトリアス』という番組が好きなんです。生の英語で実際に観れたら楽しいし、英語を喋れれば世界で色んな経験ができます。英検4級の合格をめざしています」。
 
 英会話を真剣に学ぶのには他にも理由がある。
 「大きな夢ですが、将来はNASAに行き、宇宙飛行士になりたい。それには英語が絶対必要です」。
 昨年、アニメや漫画で人気の『宇宙兄弟』に魅せられ、宇宙への興味が増大。学校に提出する自主学習ノートにも自作の宇宙クイズを作ったこともある。
 「星は凄く遠く、いま見ている星の光ははるか昔の光だったりするのが不思議でしょうがないんです。月に住んだら人間はどうなるかとか、つい考えちゃいます。実際に自分の目で確認してみたい」。

 夏休みは希望でJAXA(宇宙航空研究開発機構)の筑波宇宙センターに家族で行く。人口衛星試験モデル、ロケットエンジンなど宇宙開発にかける熱意を間近で観られる施設。
 「宇宙飛行士コースなど体験はもう予約がいっぱいでダメだったんですが、今からすごく楽しみ。もっと宇宙について学んできます」。
 放課後は水泳、英会話、ダンスで週6日は埋まる。
 「どんなことも続ければ続けるほどプラスになると思います。すべて全力で取り組みたいです」。
                       (石沢修一)

水資源活用、津南町が来年、小水力発電事業化  7月12日号
 国への事業設計申請の認可が下りた津南町が取り組む「小水力発電」は、年内に基本設計を作り、同年度内に実施設計が上がると来年度に着工できる見通しだ。設置場所は、ニュー・グリーンピア津南の導入路沿い、町内源内山地域にある「源内山調整池(源内山ダム)」の用水流入部に小水力発電施設を設置する。国の電力買取制度を活用し、小水力は20年間の固定価格買い取りのため、町では売価が高いうちに発電を開始したい方針で、設計を急いでいる。

 源内山ダムは、上流域の「雑水山水路」から毎秒0・4d流入できる「占用許可」を津南郷土地改良区が津南町から取得している。同ダムは津南町が昭和48年から取り組んだ「国営苗場山麓農地整備事業」で、かんがい用水の確保から設置した。上流部の大谷地ダムからも同ダムに流入しているが、夏場だけのかんがい用水のため、通年発電ができない。計画の小水力発電は、源内山ダムに流れ込む落差16bを活用し、発電する計画。試算では45`WHの発電量が見込める。

 事業試算では、現在の買取価格「35円」で試算すると、一定した流入量が確保できると初年度から採算ベースに乗せることができる。事業費は約1億円を見込み、国は半分助成する。課題は事業主体で、水利権を持つ津南郷土地改良区がダム管理の業務の中で取り組めるが、今後の検討課題になっている。町では、事業主体が具体化しない場合、町直営も視野に入れている。

 津南町では「水力はクリーンエネルギーの最たるもの。地域の資源を有効活用していきたい」(地域振興課)としており、小水力発電のほかにも「バイオマス発電」も研究しており、今後の取り組みに関心が集まる。   (恩田昌美)

写真・手前の落差16bを活用し発電する源内山ダム

魚沼コシヒカリ、「失敗は許されない」  7月12日号
 魚沼コシヒカリの1等比率が60%という打撃的な数値となった昨年産米。「今年産米も品質が低下すれば魚沼コシのブランドは壊滅する」と危機感を募らせる魚沼地区の各JAでは、地域に入り込んでの稲作指導会を開くなど対応に懸命だ。昨年に続き「今夏も九州並みの高温傾向。高温対策が必要」(県農林水産部)と指摘されるなか、「失敗は許されない今年産米」の行方が注目される。

 昨年夏の平均気温は8月上旬が28度、中旬27度、下旬で再び28度を記録するなど九州並みの高温といわれ、地力の低い水田では「登熟後半の栄養が不足し、基部未熟や背白粒」が発生。またフェーン現象や刈り遅れに胴割粒も増加し、魚沼コシの1等比率は60%と前年の85%から大きくダウン。追い討ちをかけるように流通業者からは「北海道産や青森産の米の評価が高まっている。取引も増加傾向」(全農パールライス東日本)と販売状況が示され、魚沼コシの2年連続の品質低下は全国的な市場評価に大きく影響すると指摘された。
     ○
 危機感を募らせる魚沼米改良協会・魚沼米対策協議会では先月25日、クロス10十日町で津南・十日町地域はじめ南魚地域を含む魚沼米品質向上生産者決起大会を開き、生産者ら約5百人が「ブランドを守ろう」と決意を新たにした。

 主催の澤口茂利JA十日町経営管理委員会長は「品質低下は日本一のブランドを脅かす。高くても喜んでもらえる米を生産していかなければならない」と危機感を訴え、県農林水産部経営普及課の小林巧参事は「稲作りは積み上げてきた技術によるもの。だからひとつボタンを掛け違えると、すっと掛け違えたままになる。田植え後30日の中干しや追肥など、農家が行動してもらわねばだめなんです」と強調。今年産米の1等米比率90%以上を目標に、生産者の意識改革と取組みの必要性を訴えた。
     ○
 JA津南町では先月末まで町内10会場で栽培指導会を実施、登熟期を迎える今月も再び指導会を開き、追肥の徹底などかつてない指導体制を取っている。「津南農業の柱でもある魚沼コシのブランドは何としても守らなければならない」と風巻一文部長。昨年度、全国名稲会でダイヤモンド褒賞を受賞したグリーンアース津南の桑原健太郎代表は「決起大会も大事だが、それより各JA単位でしっかり生産者にアピールし、生育指導していくことが大事。魚沼コシのブランドを落としてはならない」と話す。今年産米の生育は今のところ順調だが、本格的な夏を迎えるこれからが正念場だ。                            (村山栄一)

「都市人間が渇望する妻有の里」、芸術祭・北川フラム氏語る  7月12日号
 「世界の美術史に残る作品が、この地には20から25点ある。守るべき作品、残すべき作品を絞っていくことも必要だ」。世界的な知名度になっている大地の芸術祭の総合ディレクター・北川フラム氏は、9日開いた次回の第6回芸術祭に向けた最初の実行委員会で、芸術祭作品のあり方を示した。さらに「終着点が見えない場当たり的な政策が行われている。世代・地域・ジャンルを越えた協働について、根底からの見直しが必要」と5回までの芸術祭を総括し、次回への取り組み姿勢の見直しを示唆した。

 北川氏は、大地の芸術祭など現代アートの経済活動は「6百億円から1千億円になっている。一方で地域全体の中で、集落が大切という大きな反省の流れを作り出している。都市の人間こそ、こうした地域を求めている。それが50万人、百万人が訪れている証しで、都市の人間が持つ地域への渇望が、この数字に出ている」、さらに「20代、30代の女性が多く来ている。この地域の暮らしがオシャレな生活として伝わり、それが成功の形となっている」と、芸術祭が新たな価値観として都市部、さらに中山間地に定着しつつある現実を述べた。

 一方で、大きな地域課題を提示した。「この地域を守っていくという地域の主体が決定的に弱い。2000年の第1回で頑張った人たちが年齢をかさみ、もうくたびれてしまっている。その意味からも、地元の高校生、あるいは全県、さらに県外からの力を求める必要がある」と、構想から20年近くが経過する現実を示した。運営の原動力となる『こへび隊』についても、「参加する魅力がなくなってきており、こへび隊にとって学びの場になっていない状態だ。その意味でも、NPO越後里山機構を安定化しないとやっていけない」と推進母体の拡充を促した。さらに、「作品が弱くなっている。世界のトップという認識がなくなってきている。厳しい面だが、重要な点だ」と語った。

 第6回への取り組みでは、「ここは日本列島の縮図、日本列島の美術館、博物館という考え方が必要。その意味でも地元企業、食文化、産業などと作品との関わりをもっと密にしていく必要がある。初心に返り、地域の特色を考えていくことも必要だ」と指摘。具体的な取り組みでは、廃校の活用、飯山線・ほくほく線の活用、中里エリアの強化など必要。パフォーマーのレジデンス受け入れなどをあげた。

 長期的視野にも言及。新現代美術館の地を全面に出し、「現代美術ベスト50がこの地にある。世界の美術史に残る作品がこの地には20点から25点ある。守るべき作品、残すべき作品を絞っていくことも必要だ」と、芸術祭の継続と平行して、世界的な視野での取り組みの必要を話した。

 第6回の2015プロジェクトでは、松代・星峠の棚田保全に日大芸術学部が関わり、津南町・旧上郷中学校舎は演劇のメッカにしていく方針。さらに来年2014年3月、雪の花火・光のアートを計画。芸術祭作家・景山健氏の協力で信濃川沿いで展開。十日町市の中心市街地では「旅・芸・市」をコンセプトに、エリアの空き地やお店などを活用し、あらゆる交流の風景を作り出していく。
第6回へ参加希望集落はすでに67集落から出ており、先月から集落に入り、調整に入っている。

 第6回は2015年7月末から9月初めまでの約50日間開く。予算は文化庁事業(3800万円)を取り入れ、十日町市(8781万円)、津南町(1218万円)、さらにパスポート売上1・5億円余りを見込み、総事業費4億1570万円で開くことが決まった。実行委員メンバーには新たに北陸信越運輸局などが加わり、人的には112人体制となっている。

喜寿に集う、旧外丸中学 昭和26年卒の「仲間たち」   7月12日号
 ◎…喜寿に集うー。終戦の混乱が残る昭和23年に中学校に入学した仲間たちが、喜寿を迎えた今年、2年ぶりに顔を合わせた。昭和26年3月、津南町の旧外丸村立「外丸中学校」卒業の101人。今は79人になったが、36人の元気な顔が揃った。7、8日、ニュー・グリーンピア津南に集まった仲間たち。「誰だっけ、と最初は分かりませんでしたが、話すと、もうすっかり当時の顔ですね」。激動という言葉では片付けられない戦後の物不足、混乱期に多感な中学校生活を送った仲間たち。両日、語りつくせぬ思い出が次々と湧き出た。
 
 ◎…この仲間たちは、卒業の年の8月、第1回同級会を開いている。同42年の第4回からほぼ2年おきに開き今回で27回目。同会の幹事の決め方がユニーク。開いた同級会で次回の幹事1人を決め、その人に全権を委任し、他の8人を指名できる権限を持つ。総勢9人の幹事で次回の準備を進める。今回の幹事のひとりは「これが我々の長く続く秘訣かな。今で言えば『絆』の強さでしょう」。出席者への配布資料には、昭和25年9月3日撮影の3年A組・B組の記念写真が添えられ、あの頃の懐かしい顔が並ぶ。

 ◎…「当時は物のない時代。野球のボールはぜんまいの綿で、グローブは厚手の布で作り、バックネットは自分たちで縄を編んで作った。今じゃ考えられないね」。「旧6ヵ村の中学対抗陸上大会でいつも広政君が優勝したな」、「俺は東京マラソンに2回出場しているんだよ」など、かつてと今の話題で盛り上がった。当時の外丸中学は現在の外丸小学校の敷地内にあった。「物不足の時代だったからこそ、皆の連帯意識が育ち、卒業後も助け合ってやって来た。皆、ふるさと思いだし、年と共にあの頃への思いが強く、深まっているよな」。尽きない思い出話しをする顔は、すっかりあの頃の中学生の顔になっていた。
 

ほくほく線、新幹線開業視野に「公設民営」浮上か  7月5日号
 2015年3月に長野から北陸まで延伸する北陸新幹線開業により、大きな収益要素の「特急はくたか」の廃止が見込まれる『ほくほく線』。開業以来16年間、黒字経営を維持し、全国の第3セクター鉄道のトップランナー。昨年度の第29期決算で過去最高の売上、収益を上げ、開業以来の内部留保が104億円を超えた。だが、2年後の北陸新幹線開業は同社経営を直撃し、『生き残り策』に迫られているなか、新たな活路が浮上している。全国の第3セクター鉄道や赤字に苦しむ民営鉄道で導入されているのが『公設民営』の経営形態。3セク鉄道の優等生の「ほくほく線」。新幹線開通後の経営の一つの姿として関心が集まる。

 先月28日、十日町市役所で同線・北越急行株式会社の決算発表があり、、大熊孝夫社長は、公設民営について「他の民営鉄道は上下分離(運営は民間、鉄路や土地は地元自治体所有)が進んでいる。これは結果的には公設民営。最終的には、どうしますかということになる」と全国で進む公設民営が、将来的な課題であると示唆した。

 特に新幹線開業後、特急の廃止で減収し、経営コストの節減が課題になる。毎年沿線自治体に支払う固定資産税(約1・7億円、24年度決算)が公設民営により必要なくなるため、経営コストの軽減が可能になる。  
 現在、県内は湯沢町、南魚沼市、十日町市、上越市、能生町、他に北陸地域を含めると29自治体に固定資産税を払う。ただ、新幹線開業後は北陸地域が関係なくなり、県内5自治体だけとなる。現状では十日町市への約8千万円が最高額になっている。

 公設民営は、特にヨーロッパの国々で「公設民営」が一般的で、固定費として経営を圧迫する鉄路や駅、車両などは行政が所有し、運行を民間が分担するという経営形態。国内でも和歌山鉄道・貴志川線などで鉄道用地や線路などを地元自治体が所有し、経営は民間が行うなど、3セク鉄道や赤字民間鉄道で鉄路存続のために「公設民営」を導入する事例が増えている。

 ほくほく線の大熊社長は、公設民営へのイメージにも言及している。「鉄道用地や鉄路などを地元自治体に無償譲渡することで、その形に近づく。日常の保守点検などメンテナンスは民間が行い、列車運行は従来通り我々がしっかり取り組む。公設民営というがちがちの形ではなくても、こうした取り組みで鉄路の維持はできる」。だが、「我々から話せることではない。まだ何も決まっていない」と話し、ほくほく線と並行在来線との関係、さらに関心が集まる「上越妙高駅」への乗り入れなど、山積する課題は「手付かず状態」という。

◇◆◇◇◆

 昨年度の第29期決算によると、営業売上は過去最高の前年比10%増、46億9120万円。これに伴う営業利益は14億3672万円で、当期純利益は11億2925万円。これにより開業以来の積み立て(内部留保)は104億7783万円になっている。大熊社長は「当初、100億円の内部留保をと言ったら笑われたが、それを超えることができた」と話す。今期の過去最高の売上、収益の要因については「安定輸送への信頼感、特に雪が降ってもしっかり動いているという安心感が大きく、運休本数が減少した点も大きい」と分析し、前年900本もの運休があり、今期は約360本ほどだった。

 一方、売上の多くが特急はくたかで過去最高の280万2千人が利用。さらに普通列車が4年連続で100万人を越え、前年比7・9%増、112万4千人と過去最高を記録している。なお同社は4年前までに借入金を全額返済し、平成22年から無借金経営となっている。           (恩田昌美)

写真・通学の高校生らで賑わう十日町駅(3日朝)

10代のまなざし「貝澤美春さん・津南中等5学年・17歳」 小説家をめざす  7月5日号
 中間テストは終わったが模試の日々が続く。「こういう時、アイデアが浮かぶんです。ですから、ルーズリーフを遠ざけています」。書き始めると、ずずーっと入り込んでしまう自分の性分を知っているので、ルーズリーフなど下書き用紙は、試験期間中は自分の周りに置かないようにしている。

 「書くのが好きです」。その言葉通り、学業の合い間に小説に取り組む日々。同時に2、3本を書き進め、いっきに書き上げるタイプ。昨秋仕上げた作品は、いつも一緒にいる友だち10人余りが登場する。4百字で20枚を超えたが、再び最初から書き直している。
 今を生きる世界、それとは別の世界を行き来するなど独特の「美春ワールド」を書く。友だちの評価が嬉しい。「この表現がいいね、この展開が面白いなどと言われ、その頃から書くのが楽しくなりました」。

 保育園の頃に見た本の面白さは、いまも鮮明だ。水木しげる作『日本妖怪めぐり』。水木が描く妖怪の世界に魅せられた。「あれから神話や伝説が好きになり、いまも好きです。家の近くの林にもいるんだろうな、などと想像するのが面白いです」。

 所属する津南中等校アート部は、文芸誌を発行するのが伝統。中学3学の時の文化祭。その文芸誌「合縁奇縁」に小説を載せた。『狐の夏祭り』。妖怪らしきものが登場する。影響を受けたのは顧問の先生から紹介された柳田国男の『遠野物語』。「私のベースには遠野物語があります。ですから竜ヶ窪も大好きで、小さい頃よく行きました。遠野物語の地に行きたいです」。

 京極夏彦の作品にも魅かれるが、ちょっと前はシャーロック・ホームズを読破。小学校の頃、学校図書館の「世界の名探偵シリーズ」をすべて読んだ。 いま気になる作家は森見登美彦。「すべて『私の視点』で書かれた一人称小説です。読むうちに気づきました。これはパラレル・ワールド(並行世界)だと。日常なんですが、非日常なんです」。
 その森見登美彦が舞台にする京都に行きたいと考えている。「小説の世界で、ごはんを食べたいです」。物書きをめざすが、受験を控える。「そろそろ大学を決めなくてはと思うんですが…」。京都がまなざしの先にある。「京都は日本の歴史の地ですから。それに妖怪の地でもありますから」。   (恩田昌美)

世界文化遺産登録の富士山、あの岡田紅陽が撮った富士山展  7月5日号
 富士山が世界文化遺産に登録され、富士山写真の第一人者とされる岡田紅陽(本名・賢治郎、明治28〜昭和47年)の出身地・十日町市では、記念の「岡田紅陽・十日町市所蔵作品展」を今月5〜19日、十日町情報館で開く。

 紅陽は岡田正平・元県知事の実弟。早大在学中に友人に借りたカメラで富士山を撮影したのを機に富士山に魅せられ、富士山撮影をライフワークにしてきた。現在の千円札の図柄は、代表作「湖畔の春」がモチーフになっている。

 展示作品は、紅陽の代表的な作品24点。同情報館の斎木文夫館長は「富士山の美しさを紅陽が写真で世界に認識させた。世界遺産登録の下地を作ってくれたといえるはず。この機会にぜひ鑑賞してほしい」と話している。

自然環境に影響、スノーモビル乗入れ規制を、津南町  7月5日号
 雪原を自由に疾走できるスノーモビルの国立公園などへの乗り入れが問題になっているなか、最近は農地や牧場、私有地にまで無断で入り、乗り回している実態があり、津南町では「広域的な取り組みと連携が必要」と問題視している。だが、どう取り組むかが課題。この問題は津南町議会6月定例化で取り上げられ、上村町長は「関係機関と連携し、乗り入れ規制を協議していきたい」と方針を示した。だが現状把握は手薄で「苦情や被害の報告は受けていない」と後手に回っており、関係者は何度も無断乗り入れを目撃し、警察を呼んだ事例もある。

 冬のモータースポーツとして人気のスノーモビル。最近は規制が厳しく締め出される場所が多く、規制がない津南地域が「あそこなら大丈夫」と情報が流れているようだ。残雪が固まる3月から4月、津南町の標高が高い雪原で多数のスノーモビルが爆音を轟かせ、疾走する姿が多数目撃されている。「早急に規制が必要。動植物への影響は大きく、春山をトレッキングで楽しむ人が増えているなか、マイナスイメージだ」と規制の必要を求める声が上がっている。
 新潟県鳥獣保護員の中山弘さん(60)は2年前の4月初め、上信越国立公園・苗場山系の通称「三ツ山(みつのやま)」山頂でスノーモビル5、6台の一行と出会った。この日は新潟・長野の医師会メンバーの要請を受け登山ガイドで同行。湯沢側から苗場山をめざした。「尾根に出ると突然、モーター音が響き、見ると三ツ山の山頂付近でスノーモビルが走り回っていた」。
 
 県鳥獣保護員として入山許可の有無を問うと、「逆に、何が悪いと反抗してきた。ならばと強く話し、警察を呼んだ」。一行は、津南町大場地区の小松原湿原入口の林道まで車で来ていたため、地元警察にその場所まで来るように要請。大場で待ち受けた警察。だが、規制する法律がないのが実情。ただ『国立公園内への車両等の乗り入れは許可が必要』に抵触するため、厳しい注意を受けた。
町議である中山さんは、この問題を6月定例議会で取り上げた。 
 「小松原湿原から三ツ山、あるいは相吉の天上原、さらに妙放牧場まで彼らは自由に乗り回している。畑の上だろうが牧場だろうがお構いなしだ。春先、動物や鳥類が動き出す。さらに雪消えの上に芽を出した樹木の新芽を踏み荒らしている。エンジン油も落ち、相当の影響を受けているはず。規制がない津南の大地が、格好のスノーモビルの遊び場になっている」と実情を説明し、規制の必要性を訴えた。

 これに対し上村町長は一定の規制方針を示すが、実情把握は手薄い状態だ。「小松原や妙法牧場でスノーモビルを乗り入れているのは町外グループと聞く。今のところ苦情や被害の報告は受けていないが、他では被害が出ていると聞く。北海道では規制地を設け罰則規定もあるが、本州地域では国立公園など自然環境保全地域以外では乗り入れ規制対象外だ。小松原は入山許可が必要で、入るスノーモビルは無許可乗り入れしているようだ。小松原は他の市町村も関係するため、関係部署や市町村と連携し、乗り入れ規制を協議していきたい」。苦情や被害の報告がないというが、現場の声は少しちがう。

 全国名水百選・竜ヶ窪の水源地域でもある同地の山側エリアの一つ、天上原でもスノーモビルが目撃されている。さらに同地から県営妙法育成牧場まで起伏に富んだ丘陵が続くため、一体がスノーモビル利用者にとって、格好の場所になっている。 
 このため昨年、地元地域で乗入れ禁止の看板を妙法牧場入口に設置した。今期は妙放牧場への乗り入れは確認されていない。地元の上段地区振興協議会役員の涌井九八郎さん(63)は、「被害報告がないというが、実情はかなり迷惑している。スノーモビル関係者の中で『津南は大丈夫』と情報が流れているのではないか。自然環境を守る姿勢を示すためにも、独自の規制が必要ではないのか」と町条例などによる規制の必要性を強調する。

  県鳥獣保護員の中山さんは「スノーモビルの2サイクルの燃焼カスが三ツ山に落ちていた。確実に高山植物に影響が出る。春先、雪の上に頭を出したハイマツなどの上を乗り回している。津南は自然が大切な資源であり、それを守るという自治体としても姿勢を明確にすべきだ」と話し、議会主導での条例化も視野に入れている。妙高高原では公園エリアの変更を国に要請し、規制を実現。他では自主規制の看板や啓発を行っているが、決め手を欠いているのが実情だ。         (恩田昌美)

写真・スノーモビルの乗入が問題になっている(資料写真、北海道・真狩村で)

ジェラード人気、竜ヶ窪温泉、経営向上めざす  7月5日号
 ☆…暑い夏、温泉あがりに冷たいジェラートはいかが―。ゆったりと入れる露天風呂が人気の津南町・竜ヶ窪温泉で昨年夏から同温泉ブランドともいえるジェラートが人気だ。昨年5月に立ち上げた手づくりの「惣菜部」に続くもので、同館では「おいしいですよ。ぜひ味わってみて下さい」と呼びかけている。ジェラートは津南牛乳を主原料にゴマ&クッキー味やイチゴ、マンゴーなど6種類を用意。昨年の「ひまわり広場」では4千個余りを販売する人気で、同館でも月平均3百個ほど売れている。1個320円(税込)で、セットで地方発送も行っている。
     ○
 同温泉施設・竜神の館を経営する株式会社竜ヶ窪温泉の第18期株主総会が先月25日開かれ、総売上80395万円に対する今期決算302万円損失の決算を承認した。売上原価を3百万円減に抑えるなど経費節減に努めたが、燃料費の増加が赤字の要因となった。涌井九八郎社長は「景気の低迷、燃料費の高騰が大きく響いた。1年でも1日でも長く継続するためにも、地域住民らからの利用を積極的に呼びかけていきたい」と話した。株主からは「ひまわり広場へのお客をもっと取り込めないか」などの意見も出、これに対し涌井社長は「ツアーバスはエージェントとの関係で難しい。マイカー客の誘導を積極的に進めたい」などと答えた。
 昨年度経営状況は、温泉収入2594万円、食堂収入2981万円、売店収入1830万円、直売所収入587万円、部屋代・ゲートボール場など施設収入45万円(数字は税込)などとなっている。

警察犬に委嘱、十日町署管内の3頭が   7月5日号
 ○…行方不明者捜索や犯人捜査に活躍する「警察犬」。新潟県警は今月1日、十日町市宮中の藤田真治さん(45)とマーク号(雄7歳)、同市中条峠の佐藤喜八さん(70)とオルガ号(雄6歳)、同市尾崎の水落憲明さん(28)とクサンビィ号(雌8歳)を警察犬指導者と警察犬に委嘱した。3頭はシェパード。県警の警察犬は全17頭、うち民間委嘱は14頭。十日町署管内は村上署の5頭に次ぐ3頭に委嘱。マーク号は6年、オルガ号は4年、クサンビィ号は3年連続。緊急時の頼もしい助っ人だ。

 ○…同署管内では昨年2回出動。うち1件は昨年10月に同市馬場地内で起きた高齢者が行方不明となった案件。遭難から3日後にマーク号が崖下にいる要救助者に反応、無事保護に至るなど活躍が光った。さらに今年はオルガ号が通常の「足跡追求」に加え、匂いの種類を識別し犯人特定に活用される「臭気選別」にも合格。県内で3頭しかいない総合合格犬となるなど、さらなる活躍が期待される。オルガ号指導士の佐藤さんは「初めての総合警察犬合格。普段から訓練に力を入れ、有事に備えたい」と意欲を語った。

九州・日高市に俵奉納、津南わら工芸部の協力で  7月5日号
 ○…伝統のワラ技術で奉納用の米俵―。相撲の土俵用俵をつくっている津南町の相撲俵生産組合(風巻宏代表)では、このほど津南わら工芸部の協力で神社に奉納する特注の米俵4個を作った。九州日高市の体育施設から注文を受けたもので、イグサの縄やしめ縄用の青ワラを使い、構想から1ヵ月余りかけ完成させた。

 ○…この米俵は、かつて俵を作った経験がある月岡守さん(83、船山新田)の指導で製作。大きさは直径40a、長さ86aの特注品。神社に奉納することから、しめ縄用のワラを使うなど素材も厳選。芯にボイド管を使うなど工夫を重ねた。「中央部分を絞るのが難しいが、何とかうまくできた」と月岡さん。同生産組合では今後、神棚などに飾るミニ俵なども作っていきたいとしている。

明日へ・地域おこし協力隊・小野彩さん、米澤健一さん、「感じる、生き方の美意識」  6月28日号
 自分の顔より大きなトウモロコシにかぶりつく1歳半の息子を見て、小野彩(あや、45)さんは感じた。「こういう生活もいいね」。十日町市が募集の地域おこし協力隊に応募し、4月から十日町の住人に。活動する希望地を聞かれ、『松之山地区』に真っ先に手を上げた。
 昨夏、松之山・坪野で大地の芸術祭作品の上演があった。音楽プレーヤーとして参加。事前準備で1ヵ月前から同地の民家で暮らした。その時の1歳の息子の姿が、この地への誘いとなった。

 『渋さ知らズ』。ジャズ・ロックオーケストラ、あるいは音楽・舞踏パフォーマンス集団などと形容される国内や世界で演奏活動する音楽グループ。そのメンバーの小野彩、小野章(あき)夫婦。大地の芸術祭にこれまで3回出演し、昨夏の第5回芸術祭では、松之山・坪野で美術家・岩間賢芸大教授作品の棚田をステージに、舞踏家・松原東洋主宰「トンデ空静」が『谷蟇(たにぐく)』を上演。小野夫婦らの即興的な音楽が、坪野の谷に響いた。

 「この子が生れてから、千葉の家で畑を始めました。ちょうど引越しの時期だったのですが、条件は畑がやれる所でした。昨年夏の坪野の1ヶ月は最高に気持ち良かったし、独特の文化を感じました」。松之山の自然環境、なかでも雪深さが育む自然と人との独特の文化を感じた。集落のまとまり、お茶飲みなど人と人との結びつきの強さ、さらに生き方までも。

 青森生まれ。岩手大で教員免許を取りながらも、その道には進まず、大学時代から音楽活動。世界を回った。地域おこし協力隊で松之山に入り、衝撃を受けた。元気で高齢のお年寄りが『迷惑をかけられない』と自殺するという事実を聞き、地域の現実も知った。だが、想起したのはカンヌ国際映画祭で大賞を受けた『楢山節考』。「すごく美しい生き方をされている方が多いです。この地を終の棲家として日々を送るなかで、それは、生き方の美意識の中の延長線上に、死をも自分の生き方に取り込んでいるように感じます」。

 担当する布川地区は9集落、140戸余り、約290人が暮らす。今年10月で地域おこし協力隊3年目に入る米澤健一さん(34)と2人で活動する。東京大大学院で中山間地域をテーマに取り組み、卒業後、つくば市の国立環境研究所で農業政策を研究した米澤さん。学生時代に十日町・枯木又や松之山・赤倉を調査研究に訪れた。『理論はいくらでもこねくり回せます。実際に地域に入り、研究した理論を、活動を通じて生かしたい』。旧保育園を事務所に『布川カフェ』を開き、地域の人たちのお茶飲み処に開放している。

 「過疎、高齢化といいますが、現実はその言葉以上に進んでいます。集落のコミュニティ維持ができなくなっている面もあります。人と人をつなぐ活動が大切になっています」。布川カフェで毎週、小野さんのピアノで歌声会や踊り練習、お茶飲み会など開く一方で、地域活動支援や行催事などの準備や実施などに2人で取り組む。

 今月16日、仮住まいから高齢化率70%余の中尾地区に越した小野夫婦。2歳半の息子の声が中尾に響く。民家2軒を借り、一軒は『渋さ知らズ』の練習場。閉校し解体寸前の旧黒倉小学校に放置されていたグラウンドピアノを譲り受け、自宅に運び込んだ。事務所の布川カフェにも、千葉からピアノを運んだ。
 
 「この地はある意味、奇跡的ともいえる世界が継続しています。だから芸術祭の時、世界のアーティストを引きつける。面白い地域ですね。火と人とのつながり作りがこの地域のテーマだと思います。ますます楽しい地域にしたいですね」。そのスタートとなる音楽ライブを計画している。 
 
 来月15日、中尾神社境内で夕涼みコンサートを開く。沖縄などで音楽活動する國仲勝男(ギター)、歌・小谷まゆみが松之山を奏でる。「これは始まりです。11月には『渋さ知らズ』が前座で、地域のお年寄りなどが18番を披露する生オケによるのど自慢大会を開く計画を進めています。渋さ知らズのメンバーも乗り気ですよ」。
 松之山・布川で、何かが始まろうとしている。
              (恩田昌美)

「まってたよー」、待望のショッピングカーが走る、JA津南町  6月28日号
 ◎…「待ってたよ。家の近くまで来てくれるなんてありがたいねぇ」。津南全域を巡るショッピングカーが21日に試験運行を開始した。JA津南町(瀧澤勝組合長)が運行する買物弱者支援の移動販売車「笑味(えみ)ちゃん号」。来訪を知らせるテーマソングは「サザエさん」。各地区で曲を鳴らすと続々と人が集まり、試験運行から7日間で250人を超える住民が利用。高齢者がメイン客層。町内米原の藤木マヨさん(87)は夫とふたり暮らし。これまで買物はバス利用か町中央部に住む家族に頼んでいた。「たくさん買物すると重く、バスでは乗り降りなど大変。刺身や肉など生鮮もあり家の近くまで来てくれるのはありがたい」と嬉しそう。

 ◎…高齢化率35・5%の津南町。進む少子高齢化を受け、ショッピングカーの導入は住民要望が高かった。今年度に専用車を約1260万円で同JAが購入。全体事業費の3分の2は国補助、町が約288万円助成し同JAの負担は1割余。同車は2d車で冷蔵・冷凍庫を完備。試験運行で利用状況、売れ筋商品など調査し、住民サービス向上を図る。滝澤組合長は「専用車は高額で人件費もかかり採算が合いにくい事業だが町支援で始めることができた。赤字にならなければいいと思っている。買物弱者は増え、特に冬は家から動けない人も多い。困っている方のために運行したい」と話している。


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