お問い合わせへジャンプ!
広告掲載のご案内へジャンプ!
購読のご案内へジャンプ!
トップページへジャンプ! 今週の津南新聞へジャンプ! テーマ別掲示板へジャンプ! なんでも掲示板へジャンプ! 妻有に生きるへジャンプ! ねっとわーくへジャンプ! リンク集へジャンプ!
home > 今週の津南新聞トピックス

2013年01月の津南新聞「トピックス」

過去の津南新聞トピックス
2013地域課題を探る「小学校統合問題」 中津小学校保護者「統合要望」を町教委に提出  1月25日号
 昨年末の12月21日、津南町教育委員会に一つの要望書が提出された。『中津小学校統合に関しての報告および要望書』。中津小学校のPTA会長、中津保育園父母の会長の連名。その要望項目の最初に「平成27年4月1日付けで、中津小学校を津南小学校に統合すること」を明記している。

 津南町は5年前の平成20年3月、「津南町立小中学校適正規模検討委員会」の答申をそのまま受け、町内小中学校の統合方針を示した。中津小学校は「平成26年度をめどに津南小へ統合」と示している。
 この町方針を受け、同年に「中津小学校を考える会」が発足。今も活動は続くが、3年前に「中津地域活性化を考える会」に改称。当初から事務局を担当する鈴木敦博さん(54)は、昨年末、PTAと父母の会が町教委に提出した要望書に、ちょっと困惑している。
「考える会は当初、中津小学校を存続したいとスタートし、そのためには中津地域の活性化により、児童数を増やすことが大切と改称した。今回の要望書提出は、当事者の要望であり、考える会とは一線を置いている」。今後、要望書提出の2団体と町教育委員会は、来月から校区に入り、統合への理解を求める方針だ。

 事務局の鈴木さんは、適正規模検討委員会の答申説明した当時の町教育委員会の言葉を覚えている。『町は統合ありきではない。地元の意向により再考する』。この言葉を受け、考える会はスタート。これまで5年余り、小学校や保育園の関係者、地域住民と意見交換、外部講師の講演会、各戸アンケートなど通算百回余の会合や検討会を開く。
 
 子ども数の減少が、事態を深刻化する。町教委が示した向こう7年間の中津小在校生数は、小学校・保育園の親にはショッキングだった。「最終的な判断材料は数なんです。ならば子どもたちを増やそう、それが考える会の活動。ただこれは本来、情報や手段を持つ町が行うべきことと思うが、中津地域で出来ることをやろうと動いている」。今春の運動会は、初めて中津地域全体が関わり、地域総出の運動会を開く。昨年は体育館で音楽コンサートを開いた。10年前からの「中津盆踊り」も地域を盛り上げている。

 子を持つ親たちは、困惑した時間を過ごしてきた。「当初は小学校を残したいという保護者が多かったが、町の説明や先に統合した三箇や津南原の様子を聞く中で、次第に統合を求める保護者が増えてきた」。今年度同校PTA会長・藤ノ木正人さん(46)は話す。さらに「地域の活性化と小学校の統合は別と思う。このままでは子どもがさらに少なくなり、地域の元気も衰退するだろう。ならば、いま元気とエネルギーがあるうちに、統合という契機を活用し、中津地域の活性化を地域上げて取り組む好機ではないのか」。当初、統合には疑問だった藤ノ木さん。多様な意見を聞く中で、自分の中にも大きな変化と共に地域づくりの必要が、確信へと変わってきた。

 その小学校を拠点に地域活性化に取り組むのが考える会。3年前の平成22年12月、『我々中津地区の住民は、中津小学校を今後も存続させるように要望する』と、上村町長に要望書を提出した。「地域活動するにも、地域に小学校があることは一番の強みである。子ども数の減少は全国的な傾向だ。だからといって、すぐに小学校を統合するのは早計。地域の人口を増やすにも、そこに小学校があるとないとでは、居住環境に大きな差が出る。地域が元気でい続けるためにも小学校の存在は重要だ」。事務局の鈴木さんは考える。同会メンバーの多くが同じ考えだ。

「小学校統合問題」外丸小学校保護者、来月1日、方針決める  1月25日号
 全く同様な場面に直面しているのが外丸小学校。町が示した統合方針は「平成25年度をめどに津南小に統合」。やはり「考える会」ができ、同会では校区を取り払い、校区外から入学できる『特認校』など具体的プランを要望する。近隣の特認校の南魚沼市・栃窪小学校、後山小学校へ出向き、現地視察している。

 同考える会代表・滝沢秀行さん(63)は、これまでの町教委の取り組みに疑問を感じる。「外丸小校区には小学校後援会組織があり、全戸が毎年2千円会費で小学校を応援している。学校を大切に思う環境の中で子どもたちは育ち、それが地域への愛着、さらに津南町への愛着につながるはず」。 
 さらに「子を持つ親たちは町教委の教育方針に大きく影響されている。『少人数では可愛そうだ。教育効果が上がらない』など、不安を煽る要素がそこにある。この規模の小学校は全国に多数ある。今ある小学校をどう充実し、特色ある小学校を作り、外から子どもを呼ぶ取り組みをなぜしようとしないのか。まだやるべきことは多くある」。
 
 昨年12月17日、小学校保護者、外丸保育園保護者対象の町教委の説明会があった。ここでも向こう7年間の児童数の推移が示され、保護者はその減少を深刻に受け止めた。
今年度PTA会長の風巻勇樹さん(37)は、まとめ役に徹している。同様な課題を抱える中津小、芦ヶ崎小のPTA正副会長らと意見交換し、先発統合した三箇、津南原の当時のPTA会長を招き、その後の様子などを聞き、保護者に判断材料を提供している。
 「考える会が提案する特認校を、地域の保護者が求めているかどうか。やはり子どもの数の少なさは、当事者にとってショッキングなこと。同級生もいない、団体活動もできないなど、保護者の多くは外丸小の児童数の少なさを深刻に考えている」。風巻会長はこれまでの意見交換から保護者の思いを強く感じている。

 来月1日、外丸小学校の学習参観日に合わせ、臨時PTA総会を開く方針だ。「この場で、小学校保護者としての方向性を出したい」と風巻会長は考える。保育園はすでに「早期の統合を」と父母の会で方針を出している。「結論を先送りしても、問題の先送りでしかない」と、2月1日は保護者全員出席の形で「統合への賛否」と取る意向だ。
 
 栃窪、後山の両特認小学校を見て、外丸はじめ津南の小規模校への導入の必要を強く感じる「考える会」滝沢会長。「適正規模検討委員会がまとめた答申で、特認校や小規模小学校の児童数を、どうしたら増やすことが出来るのか、そうした検討をされたのか疑問だ。議事録を見れば分かるだろう」と検討委員会の検証も必要という。
 さらに「国の教育方針も当時と変わり、地域ぐるみの教育の必要を掲げている。例えば特認校制度を導入し、津南町が特色ある教育、しっかり学力をつける教育に取り組めば、『津南で子育てしたい』と町外から人が来る。これは全国的な傾向にあり、学校統合問題は、実は津南町の歩む道が問われることでもある」と、町教委さらには町行政のあり方を含めた論議の必要を強調する。

 再び地元で揺れる統合問題。3年前の三箇・津南原の両校区の統合問題の再現になっている。今回、同じ問題に直面する外丸校区、中津校区、さらにこれから統合の課題が浮上する芦ヶ崎小学校校区などが、共通する課題で連携する動きも見られる。
(統合問題は次号に続く)

写真・郷土料理給食を楽しむ外丸小学校の子どもたち

10代のまなざし「根津智成さん、17歳」両親に学んだ「あきらめない」  1月25日号
 町行政の動きや広報、新聞などをよく読む。そのたびに感じることがある。
 『町の人たちの生の声が、本当に届いているのかと思います。例えば、上村町長と気軽に話す場があってもいいのでは。特に若い人たちの生の声が届くような場が必要と思います』
最近、2回読んだ本がある。全国最年少市長・夕張市の鈴木直道市長が書いた「やらなきゃゼロ」(岩波書店)。刺激を受けている。
『将来の理想論ではなく、明日の津南、明後日の津南をどうする、という視点も大事だと思います』

 2ヵ月後、津南を離れる。国家資格『言語聴覚士』をめざし、村上市の「新潟リハビリテーション大学」に進む。
 『言語聴覚士という専門資格は、1997年に出来たばかりの国家資格です。ですからまだ資格者は全国で2万人しかいません。脳梗塞や脳疾患で言葉や聴覚が麻痺した方々のリハビリを専門的に行います。病院だけでなく養護学校や小学校など、求められる分野はとても広いです』
 なぜ、の質問に自分の生い立ちから話してくれた。『これはすべて両親から聞いたことです』。小学3年の頃、自分が生まれた時の写真を見た。初めて見た誕生時の自分に、少なからずショックを受けた。
 『未熟児で生まれました。1800cと聞きました。生まれた時、大人の両手に乗るぐらい小さかったです。その小さな私を両親はしっかり撮っていてくれました。生死の境をさまよっていたと聞きました。その写真はショックでしたが、私はよく撮ってくれたと思いました。あの自分があるから、いまの自分があると思っています』

 医師からは、奇跡的に助かった、と言われた。3、4歳まで病院通いだった。両親は懸命に育てた。小学時代はアルペンスキーに取り組み、中学、高校と吹奏楽部で大きなチューバを担当。中学3年の時の県大会金賞が忘れられない。
 『生まれた時の自分を見て、今こうしている自分が、本当にたくさんの人たちから助けられ、支えられたのだと実感しています。まだ17年しか生きていませんが、これまで自分が体験した大変さが分かるので、病気の人たちに自分がしっかり寄り添えると思っています。両親は決してあきらめませんでした。それを親から学びました。何事もあきらめない。今度は私が恩返しです』

ひと足早く、桜咲く、津南中等校で合格発表  1月25日号
 ○…12の春は、試練と共に目標へのステップになった。県立中高一貫校の合格発表は20日、県下一斉に各校で行い、津南中等教育学校でも朝10時、生徒玄関前に合格者受験番号を掲示。発表を待っていた受験生や親たちが駆け寄り、自分の番号を見つけ、歓声を上げていた。津南中等では定員80人に対し92人が受験。倍率1・15倍となり、定員ちょうどの80人(男子30、女子50)が合格。今月22日午後4時までが入学手続き期限で、この時点で最終的な今春の入学数が決まる。

 ○…「医師になりたいです。そのため6年間、しっかり勉強し、大学の医学部に進みたい。病気の人が笑顔になれるような医師になりたいです」。津南小から入学を決めた中澤桜紀さんは将来の道を決めている。十日町市の西小学校、西村優花さんは、天文学者をめざす。「私は星が好きで、天文の勉強をするために大学へ行きたいです」と合格を喜び。同校のオープンスクールで進学を決めた津南小の石澤陸斗君は「コンピュータープログラマーになりたいです。将来、自分で会社を興し、人に役立つプログラムを創りたい」。同じ津南小の風巻孝仁君は「英語をもっと勉強し、世界で仕事をしたいです。できれば外交官になりたい」と、同校の創学の理念「夢の実現」をめざす。

天蚕の糸くりを実演、なじょもんで体験講座  1月25日号
 繊維のダイアモンドとも称される「天蚕」(てんさん)。ヤママユガの繭から取れる、この希少な天蚕糸を使った体験を農と縄文の体験実習館では4年前から実施。糸取り、糸より、ストラップ作りを行い、冬季限定体験として人気を集めている。

 通常の蚕(かいこ)は「家蚕」と呼ばれ現在も作られるが、淡緑色の光沢を持つ天蚕糸生産は長野・穂高市など取り組む地域は少ない。天蚕糸はかつて釣り糸にも使われ『テグス』の語源となるほど強度が強く、中心部が空洞で保湿性が高いなどで珍重。同館は冬の名物体験にとスタート。毎年2百粒余を育てるが、うち繭となるのは半分ほど。

 天蚕の糸取り体験は20日に行い、10人が体験。昭和30年代まで実際に使われた「自転車」と呼ばれる糸取り機を使用。緑色の繭を湯がき、糸を丁寧に取り出す。この機械を使える住民はもうわずかで、講師の高橋フサイさん(92、船山)はそのひとり。「昔は朝から晩まで糸よりし、機(はた)を織った。冬の貴重な現金収入で、船山にも機屋さんはいっぱいあったよ」と高橋さん。手慣れた手つきで繭から糸を取り出すと、参加者は感嘆。府中市からの村松史子さん(65)は「天蚕の体験ができる場所は東京にもありません。貴重ですね。糸取りの技術もすごくてびっくりしました」と興味深そうに天蚕糸に触れていた。
 糸より体験は27日、ストラップ作りは来月24日に開く。同館は糸取り機などの民具提供を求めている。

雪の飯山線、魅力発信、栄村民グループが旅企画  1月25日号
 飯山線の車両を借り上げて震災復興列車「雪の飯山線」を堪能する旅プランを沿線の栄村の住民グループ「むらたび倶楽部さかえ」が3月に計画し、県外などに参加を呼びかけている。
列車1両を借り上げ、貸切列車を運行する。今回の運行は長野駅から栄村・森宮野原駅まで。同区間は、千曲川(信濃川)の添って走り、雪がない長野市周辺から飯山、栄村と次第に積雪が多くなり、雪景色の濃淡が雰囲気を出し、森宮野原駅では旧国鉄時代に全国最高積雪785aを記録したの記念標が出迎える。約2時間の列車の旅。

 計画では、3月2、3日行う。初日は午後2時に森駅到着後、民家を訪ねる「お茶飲み会」、温泉めぐり「中条温泉トマトの国」、「わら細工体験・ネコつぐら名人・高橋甚治さんが指導」の3コースを用意。夜には「信濃の民話を語る会」(小滝公民館)が開かれる。3日は村内めぐり後、昼食タイムには村内青倉の「あんぼの家」で「あんぼ作り」に挑戦し、昼食交流する。
定員は50人、参加費7千円(貸切列車料、栄村郷土料理の昼食弁当、村内ガイド料、あんぼ体験料)。他の交通費、宿泊代、入浴代、体験料などは自己負担。

 企画する「むらたび倶楽部さかえ」の事務局で代表の加藤彰紀さん(66)は「雪国の雰囲気を味わってほしい。この雪は栄村の冬の観光要素になる。民家に泊ることで交流も深まる。冬の定番にしたい」と企画のねらいを話す。参加申込は来月23まで。連絡先は加藤さん090・3065・5526
メールa_kato_rindou1955@yahoo.co.jp

連載「2013地域課題を探る」 地域おこし協力隊、任期後の定住課題  1月18日号
 伝統の小正月行事「どんど焼き」を体験プログラムに組んだ「スノーバスター2013」の今冬第1回を11日から13日行った。県外から7人が参加。十日町市池谷の「NPO十日町市地域おこし実行委員会」の事務局長、多田朋孔さん(34)は、燃える青竹が破裂する音を楽しみながら、住民らと餅をあぶり、お神酒を交わした。

 3年前、総務省事業で十町市が募集の「地域おこし協力隊」に応募、採用され、池谷集落を含む飛渡地区(14集落、117戸、約6百人)の担当に就いた多田さん。生後まもない息子と妻、3人で移住。当時6世帯13人のいわゆる「限界集落」の池谷。住民は「ムラを絶やすことはできない。後を継ぐ若者はいないか」と市に地域おこし協力隊の配置を要望。多田さんは中越地震後、池谷などに支援活動する国際NGO「JEN」のメンバーだった。

 支援活動時代から取り組む一つがスノーバスター、除排雪の援護活動。今年で7年目。毎回10人を上回る参加。今回の「どんど焼き」に次ぎ、今月25日〜27日は雪かき道場、来月8日〜11日は雪遊びなどを計画。毎回、住民との交流会で郷土料理や地酒を囲み、雪談義で盛り上がる。
 地域おこし協力隊の活動は『地域に役立つすべての活動』と特に制約はない。高齢化する住民の心配の一つは、いつまで田が作れるか。多田さんは1年目に10eの田を借り、米作りに挑戦、翌年から40eに拡大。同時に池谷ブランド「山清水米」の直売、さらに池谷の自然環境や伝統文化、風土を活用した体験プログラムを打ち出し、年間通じたエコツーリズム活動を展開。地域への宿泊、農産物直売などで経済効果をはかっている。


 来月5日、3年間の地域おこし協力隊の任期を終える。昨年2月、次男が誕生、家族4人の池谷暮らしが、いよいよ本格化する。昨年4月、同実行委員会をNPO化した。これも独立への布石の一つ。2013年度の事業計画を立て、NPO会員募集を昨夏から本格化、全国から反応が届く。
 「協力隊の思いが、しっかり地域に伝えられるかどうか、これが行政の大きな役割だろう。集落・地域が求める協力隊の姿が明確なら、それに応える協力隊を送り込むことが出来るが、だた単に作業協力や援農支援だけでは、定住を含むその先が見えてこないだろう」。3年の経験から語る。 

 さらに協力隊全体のチーム活動の有効性を話す。「受け入れる行政は、協力隊を個人で見るのではなく、チーム活動として見ることで、幅広い分野の活動ができ、協力隊の孤立化も防げる」。 
多田さんは長崎・津島市の例を上げる。業務内容の分野別の専門家を募集したところ応募が殺到。「国の事業を活用し、自治体が独自事業に仕上げる、これも一つの方法だろう」と話す。
昨年、農水省の「6次産業プランナー」認定資格を取得。これも独立への一歩だ。現在、池谷はその後の移住者を含め8戸21人となり、「限界集落」を脱している。


 十日町市には今年度17人(男13、女4)が市内各所で活動。昨年11月に1人が3年間の任期を終え、地元の農業法人で働く。来月には多田さん、さらに4月2人、6月3人、7月2人が任期を迎える。新たな協力隊の受け入れと共に、定住のための仕事作りが、課題として並存する。
 
 十日町市企画政策課・協働推進係の小林良久係長は新たな取り組みを始めた。今年度から受入れ希望地域の思いを、協力隊応募者を前にプレンゼンテーションし、協力隊員と思いが合うようにしている。「受入れ地域が、自分たちの地域を今後こうしたいという思いや将来像を、しっかり描く事が協力隊の活動をさらに充実するはず。行政が落下傘的に地域に入れてもミスマッチの場合もあり、受け入れ地域の思いがより重要になっている」。

 一方で課題は3年間の任期後の受け皿。「受け入れた行政としての責任があり、どう定住に結びつけるかが課題。同時に従来の募集要素の中に、地域の経済の歯車を回すような活動などと、新たな活動要素を取り入れている」と、人材の絞込みにも取り組む方針だ。

写真・池谷での本格的な自立暮らしがいよいよ始まる多田さん(中央、13日、どんど焼きで)

新連載「10代のまなざし」 樋口杏夏さん(津南中等1年、栄村横倉)
 ドーンと、雪が落ちる音を聞くと、あの地震を思い出す。まもなく2年を向かえる長野新潟県境地震。3月12日午前3時59分。その激しい揺れは、突然来た。
 『地震体験車に乗っているようでした。隣に妹が寝ていたので、布団ごと妹に覆いかぶさりました。考えるより、身体が先に動きました』
 とっさの行動。小学2年の妹を守らなくてはと。その直後、杏夏さんが寝ていた所に、大きな本棚がドスンと倒れた。そこに居たら、大ケガをしただろう。あれからまもなく2年が経つ。
 『本当にあっという間の時間の流れです。こんなに月日の流れを早く感じたことは、これまでありませんでした。それだけ大きな出来事だったのだと思います』
 
 人と人との絆を、より強く感じたのも、震災を経てから。思いやり、助け合うというのが当たり前の生活環境の中で育つ。だから、「栄村が大好きです」とはっきり言える。それは一番身近な大人、両親の姿を見て育ったことが大きい、と感じている。
 『お父さんもお母さんも、地元の人たちを思いやり、とても楽しそうに暮らしています。そんな暮らしができることが、とても幸せなことだと思います』
 
 その大人社会。13歳の目に映る社会は、もう一つの姿を見せつけている。
 『事件や犯罪が増えているように感じます。人を思いやる人が多くいるのに、なぜ減らないのか、むしろ増えているようです。世界各地で紛争は絶えません。相手を否定するのではなく、争いで治めるのではなく、やはり話し合う場を作り、相手の意見を受け入れることが大切なのではないでしょうか』
 あのネルソン・マンデラ氏、緒方貞子氏が言った言葉を、13歳も、そのまま感じている。

 小学校時代、1年から3年まで担任だった有賀詩織先生(現在は土田先生)との出会いが、自分の進みたい道を示してくれた。
 『いつも私たちの目線で話してくれ、とても明るく、きちんと私たちに接してくれました。私も、と今は思っています』
 小学1年から続ける野球。津南中等校に入って野球部に入った。友だちと一緒に入り、野球部創部以来、初の女子選手部員が誕生。小学6年ではピッチャーでキャプテンだった。
 『セカンドかピッチャーをやりたいです。今日もキャッチボールをしてきました』
 
 いつも思っていることがある。あの震災時、多くの方々から支えてもらった。
 『ありがとう、という言葉が好きです。いつも感謝の気持ちを持ち続けたいです』

津南出身、名古屋芸大教授が国立新美術館で作品展、中澤英明氏  1月18日号
 津南町出身で名古屋芸術大学の美術学科教授の中澤英明氏(57)など国内外の現代美術作家8人を厳選した国立新美術館主催の「アーティスト・ファイル2013」が今月23日から東京・六本木の国立新美術館で開かれる。会期は4月1日まで。期間中、アーティスト・トークを開き、中澤氏は3月2日午後2時から1時間半、作品などについて語る。

 中澤英明氏は1955年8月、津南町上段生まれ。十日町高から東京芸大油絵科に進み、同大学院美術研究科修了。その後、名古屋芸大助教授となり現在、名古屋芸大美術科教授。英明氏の兄は、本紙「つまりの自然」など連載し、新潟県自然環境保護委員の中澤英正氏(津南町上段)。
 今回のアート展は、国立新美術館が国内外で注目すべき活動を展開する作家を個展形式で紹介する「アーティスト・ファイル」展で今回で5回目。同館が開館以来取り組む展覧会プロジェクトだ。今回は国内5人、外国3人の30代から60代の作家で、絵画、写真、映像、インスタレーションなど幅広い表現作品が揃った。

 中澤さんは、それまでの画風から一変し、1990年代から「子供の顔」を描く。作品名も興味深く、「子供の顔 クマ」や「子供の顔 ベサメ・ムーチョ(いっぱいキスして)」など、子たちの顔を通じて、独特の雰囲気を醸し出している。中澤氏の絵画技法は、全く性質が違うテンペラと油彩を交互に重ねていく技法で、乾燥時間など完成までに大変な時間を要す。
 
名古屋芸大ホームページに載る中澤教授のコメントをそのまま紹介する。
『絵が、ふと「呼ぶ」瞬間があります。「こう描いてほしい」「こんな色がほしい」と。作品は強引に作ろうとすると、手間ばかりかかり卑小なものになってしま います。逆に、そっと画面の聲に耳を傾け、その聲のままに筆を動かせば作品は自然と生まれてきます。絵を描く上で大切なことは、日常のありふれた事柄や物 の中から普遍的本質をすくい取ることと、それを具現化するための努力を惜しまないことです。制作行為はそれのみで完結しているわけではなく、日々の生活と 密接に関わり、人間としての豊かさや深い洞察力無しでは本質をすくい取ることもかなわないでしょう』

 なお、国立新美術館の入場料は大人千円、大学生5百円、18歳未満は無料。連絡先03・5777・8600。最寄駅は千代田線乃木坂駅、日比谷線六本木駅、大江戸線六本木駅。
 

国道353号・新十二峠トンネル実現を、高鳥氏が積極姿勢  1月18日号
 「国道353号の整備、十二峠新トンネルの実現に一歩前進したい」。年末の総選挙で返り咲いた自民・高鳥修一氏は11日、中里Uモールで開いた中里地域年賀交歓会で120人余の地元参列者を前に、総選挙への感謝と共に、懸案の同トンネル実現に踏み込み、地元の期待感を集めた。

 中里地域振興会などの主催で開く恒例の交歓会。高鳥氏にはさらに「小原バイパス整備の増額と共に、ここUモールの振興策にも取り組む。十二峠新トンネル実現への一歩前進をめざす。今年は大きく成長する舵を切った年になるはずだ」と、自民政権が打ち上げる積極的な公共事業に、地域の懸案事項を盛り込む姿勢を見せた。
一方、関口市長は、新たな自治組織の創設による地域自治活動への期待感を述べ、「人が対流し、交流することで地域は元気になれると昨年、確信した」。
 さらに中里地域の重点事業として「2つの国道が交わるこの地域を、どう玄関口として開発するか、皆さんと一緒に考えたい。次回の芸術祭では、中里に拠点が必要と北川フラム氏は指摘している。食べ、泊まって、買える中里地域の拠点化をすすめたい」と姿勢を見せた。同交歓会には村松二郎、尾身孝昭両県議も出席し、25年連続全国大会出場の貝野小学校リコーダー部を顕彰表彰した。

自然エネルギーに本腰、栄村が小水力とバイオマス発電を調査  1月18日号
 福島原発事故以来、必要性が高まる自然エネルギー。栄村は2年前に、村長諮問機関として地域資源活用研究委員会(相澤博文委員長、21人、任期2年)を発足。村内資源活用の自然エネを模索し、さらに雇用創出に繋げるのがねらい。今年度は小水力発電、木質バイオマスを焦点に絞り議論を重ねる。

 小水力発電は昨秋に現地調査を実施。16日の8回目の会合で調査結果の中間報告を行い、発電量試算が出された。調査は4ヵ所。試算では秋山郷・上野原地区タル川水系は年間発電量約34万`h(売電額約1千1百万円)、同・和山地区深沢湧水・同約21万`h(同7百万円)、秋山郷栃川・同約86万`h(同2千9百万円)、坪野・天代川農業用水同93万`h(同約3千2百万円)。建設事業費やランニングコストなど経費、取水口のゴミ付着による発電量低下、水利権など検討課題は多いが、「事業投資の回収など、長期の稼動により一定の収益が得られる見込み」と見ている。

 一方、木質バイオマス。森林が全村の9割の2万4千fを占める栄村は来年度にウッドチップ化機を購入、北野天満温泉にチップボイラーを導入する事業化を検討。計画では村森林組合が来年度森林整備する約39fで出た製材に適さない間伐材を約2千dチップ化、1d1万円で販売。うち同温泉で約250dを燃料使用、さらに残り1千7百d余を木質発電する県内他地域へ販売。試算では機械やランニングコストなど経費1千5百万円(県補助2分の1)、収入約2千万円、季節雇用1、2人を見込む。

 委員からは「身近な所で自然エネが作れると村民が感じられるように周知するべき」、「民間企業でのスタートは導入費用が高く難しい。最初村が主体となり、後に委託する形はどうか」などと村の積極性を求める意見が出ている。相澤委員長は「村の可能性を一つずつ模索したい。最も有望な小水力、木質バイオマスを中心とし、栄村らしい自然エネ確保を研究していく」と方針を話している。
 今年末までに調査結果をまとめ島田村長に答申する方針だ。

写真・昨年10月に行った秋山郷での現地視察する委員

雪もへっちゃら、今日も行く移動図書室「ひまわり号」  1月18日号
 ○…「うわーい、見たい絵本があったよ」―。津南町公民館が運営する移動図書室。大雪になろうが、今日も保育園や小学校などに絵本や児童図書などどっさり載せて専用車「ひまわり号」を走らせる。お目当ての絵本を手にした子どもたちは大雪や寒さなどそっちのけ、「これ面白そう」と大喜びだ。

 ○…町の移動図書室は昭和61年から実施。2代目となるひまわり号には約千冊の図書を載せ、町内7コース、28ステーションを毎月1回巡回している。今月16日午前は町内十二ノ木の北部保育園に到着すると、園児たちは「待ってたよ」とさっそく絵本などを物色。寒波の影響で寒さが続いていたが「面白い本があれば寒さなんか平気だよ」と読みたい絵本を手に大喜びだった。移動図書室は「大雪になろうとも出かけます」が自慢だ。

早くも春の味、温泉でイチゴ栽培  1月18日号
 ○…早くも春のあまーい香り―。すっぽりと雪に覆われたパイプハウスの中で真っ赤に熟したおいしそうなイチゴが育っている。川西地区の千手温泉・千年の湯に隣接した「いちごはうす」。温泉廃湯を活用し、長さ60bのハウス6棟で県内にしかないオリジナルブランド「えちご姫」を中心にイチゴ9千株を栽培、大きな実が付き始めている。来月上旬からは初めてとなるイチゴ狩りも開く予定だ。

 ○…栽培を始めて6年目。千手温泉の約40度の廃湯を活用して栽培床を暖め真冬でも室温12度に保っている。「石油ボイラーも使っていますが、燃料代は温泉利用により半額で済んでいます」と栽培を手がける株式会社千手の田中稔主任。収穫したイチゴは千手温泉や地元スーパーなどで販売しているが、「もっと地元の人から、このおいしさを楽しみながら味わってもらいたい」と新たに家族連れで楽しめるイチゴ狩りも計画した。真っ赤な実を付けたイチゴが待っているようだ。

2013地域課題を探る「津南のスポーツ施設、NPO設立で活路を」  1月11日号
 中山間地域再生の基盤づくりを進めたいと、2年前に総合型地域スポーツクラブの設立準備会を設立して取り組んでいるTap(タップ)は、スポーツのみならず文化活動や地域活動など幅広い活動をめざし、4月からNPО法人として取り組む方針を固めた。当面は、町の社会教育・体育事業を中心に進めていく予定だが、指定管理者制度により今春オープンする中津川グラウンドや町総合センターなど社会体育施設の運営・管理の受託も視野に入れている。独自のプログラムを組みながら活発な地域づくり活動を展開する方針だ。

 NPО法人Tapは、町観光協会の尾池三佐子会長を理事長に、理事9人で設立する方針。当面はすでに実施している歩けあるけ大会や河岸段丘を体験しながら歩く「めぐりんピック」、働き盛りを対象にした卓球教室や「鬼ゲーム」、子どもたちを対象にした「放課後クラブ」で英会話やバレーボール、手芸など各種教室、文化系では「韓国語講座」などの事業を継続する。
 一方、法人化後は収入源でもあったスポーツ振興助成事業「トト助成金」を受けず、独立運営をめざす。「いずれにしても助成金は数年で打ち切られる。今から自立しないと必ず行き詰る」とTap事務局を務める江村大輔さん。今後は指定管理者制度も導入、総合センターや中津川グラウンドなど町内の体育施設の運営・管理を受託していきたい方針だ。

 NPО法人化後、新たな活動として中津グラウンドを生かした「津南スポーツ合宿地構想」にも取り組む。長距離の第一線で活躍する津南出身のヤクルト・涌井圭介選手らとの交友から「一流選手、所属団体の合宿所を合宿に招きたい。同時に地元子どもたちとの交流も考えていきたい」と話し、「温泉があるということがアスリートにとって大きな魅力。農家から直接、食材を求めるなど、地域全体での取り組みを考えたい」と波及効果を考えた事業にしたい意向だ。また、文化系事業では、栄養・健康づくりやわら細工、竹細工、さらに歴史や動植物に詳しい地元住民らから講師になってもらい、各種教室など開くなど、行政では容易に実施できない事業も進めていきたいとしている。

 同法人理事長に就任予定の尾池氏は「人と人がつながり助け合っていくことこそ、災害に負けず力強く生きていくエネルギーになっていく。そうした地域社会の実現に向けた活動を展開していきたい」と話している。

写真・昨秋完成した中津川運動公園。その活用が大きな課題だ

故郷を盛り上げたい、東京松之山会がトップで新年会  1月11日号
 首都圏のふるさと会では有数の参加数と活発な活動で知られる東京松之山会(橋秀夫会長)の新年会は6日、東京上野・精養軒で開き、ふるさと会員85人、同数の来賓など170人余が集い、ふるさと談義で盛り上がった。

 松之山・中尾出身の橋会長は「ふるさと松之山・十日町市では昨年も明るいニュースが多かった。芸術祭に約50万人が訪れ、地域皆で応援する女子レスリングがロンドン五輪で金メダル3個を獲得。そのひとり吉田選手に世界一の松之山米を贈った。今年も故郷を皆さんで盛り上げよう」と参加者に呼びかけ、大きな拍手を受けた。

 東京にある新潟県ふるさと会の中では新年一番の新年会となった東京松之山会。新潟県人会の平辰会長は「県人会トップの新年会。昨年末、この国も衣替えした。嫌な過去は忘れて今年は進め、進めで楽しい年にしようではありませんか。その明るさをこの松之山会からぜひ広めていただきたい」と期待感を話し、「皆で来月の十日町雪まつりへ行こう」と呼びかけた。

 今回の新年会には、新潟県東京事務所・岡俊幸所長、新潟県人会副会長で東京十日町会の春日寛会長はじめ東京津南郷会・滝沢壮治事業部長、東京栄村会・石澤秀信顧問など新潟県内のふるさと会代表ら多数が出席。会は女性らの「ふるさと」大合唱でフィナーレとなった。なお同会の月刊会報誌「カントリーポエム」は今月で250号を迎えた。

伝統のチンjコロ市、新年の風物詩  1月11日号
 ◎…チンコロに今年1年の願いをー。3百年の伝統を継ぐ十日町市の冬の風物詩・節季市が10日、同市諏訪町通りで開かれた。雪が降りしきる中にも関わらず、名物のチンコロには朝9時の開店前から長い列が出来、にぎわいを見せ、お目当てのチンコロを見つけると「かわいい」などと買い求めていた。

 ◎…チンコロは、米の粉を練って作る縁起物。子犬のように愛らしい姿から名付けられ、市民に親しまれている。食紅で色付けした干支の巳や雪だるま、「猫にタイ」などで、同市の授産施設・エンゼル妻有や市民の有志「中条ちんころ伝承会」「妻有ちんころ同好会」などが受け継ぎ、今年は明治時代から続く「仙ノ助」も復活し、店を出した。この日は合わせて千2百個ほどを用意されたが、あっという間に完売。ひび割れただけ幸せが訪れるというチンコロ、この日も「よい年になってほしい」と願いをかけながら買い求める人でにぎわっていた。節季市はこの後、15、20、25日にも開かれる。

空校舎活用、地域交流の拠点に、三箇地区が鎌倉と交流  1月11日号
 少子化で閉校した空校舎が全国で増えるなか、津南町の三箇地区(142世帯441人)では、3年前/閉校の三箇校舎を使い、都市との交流を進め、3年間で7百人余を受入れ。同地区は都市部児童の宿泊受入れによる地域の活力増をめざし「高齢化が進む地区をなんとか元気にしたい」と積極活動。来月にも鎌倉小児童は同地区を訪ね、冬交流する計画だ。

 三箇地区では平成22年3月の三箇小閉校直後から横浜国立大付属鎌倉小、東京・城東小などの宿泊体験を受入れ。1年目・2団体329人、2年目・4団体168人、今年は5団体225人が宿泊。さらに今年は初めて地元住民方での農業体験も実施。今季訪れた鎌倉小児童120人は三箇の思い出を寄せ書きにし、その中には「本当に楽しかった。一生の思い出」「冬も来たい」などと自然体験、住民との交流が色濃い思い出が記されている。なお同小5年生114人は2月19、20日に再び津南を訪問。三箇小での雪遊びや秋に訪れた地元住民方を訪ね、深く交流する計画だ。

 鎌倉小の学校開放イベント「鎌倉なんとかナーレ」にこのほど三箇地区住民8人が特産品出店。売り子役は三箇を訪れた児童たち。おにぎりとけんちん汁振る舞い、コメ、もち、ギンナンなど瞬く間に完売。嬉しい再会もあった。3年前、最初に三箇校舎で宿泊体験した子どもたちが来訪。当時は小学5年生、今はもう中学1年生。三箇から人が来た、と聞きつけ30人余が顔を出した。「また三箇に行きたい」。目を輝かせ再会を喜ぶ生徒たち。受入れを進める「三箇地区都会との交流を進める会」代表の恩田稔さん(61)は話す。「3年目で交流や活性化の基礎が見えてきた。今の小学生は自然に親しむことがなく、校舎に宿泊でき、四季豊かな三箇の印象は強く残っている。これからが本番だ」。受入れ体制強化のため組織の法人化も検討している。

 鎌倉小の受入れを皮切りに、教育関係者に「三箇」の名は知れ渡り、問い合わせは増加。さらに同小で合宿した教師が転勤先の学校でも紹介。上部組織の横浜国立大学生も訪れるなど、新たな交流の芽も生まれている。
 津南町の統廃合による空施設は現在三箇小、三箇保育園(平成19年休園)、津南原保育園(同)、津南原小(同22年閉校)、上郷中(同24年閉校)の5施設。その多くが遊休施設のままで、三箇の事例は廃校舎活用のモデルケースとなっている。

写真・鎌倉小学校で行った交流会で販売を協力する子どもたち(昨年11月)

国道405号、津南中等校通り、歩道整備の見通し  1月4日号
 登下校の学生は、危険と隣り合わせの日々。「事故が起きないうちに、早急に歩道整備を」。国道405号の津南町旭町通り。国道117号との交差点から県立津南中等教育学校付近までの道路は、同校通学路だが幅50a余の歩道は形ばかり。冬はその歩道すらなくなり、学生らは車すれすれの登下校。地元要望と同校らの署名運動で昨年11月、歩道整備の検討会が立ち上がり、具体化に向けようやく動き始めた。今年県予算がつけば、歩道整備に向けて動き出す。
昨年11月16日、津南町役所で「一般国道405号大割野地内(旭町通り)道路整備検討会」の初会合を開いた。県十日町地域振興局、津南町、地元期成同盟会などメンバーで実現に向け取り組みが決まった。

 交差点から津南中等校まで約780b。この区間を含む歩道改良が必要な延長は東京電力総合制御所付近までの約1・1`。同区間を3工区に分け、要望は強い通学路の780b整備から取り組む方針だ。

 現地視察した十日町地域振興局の藤塚惣一地域整備部長は「危険性は確認しており、地元の意向を受け取り組みたい」と県方針を示す。一方、地元の旭町通り拡幅整備促進期成同盟会(石原一男会長)は「20数年前から要望する念願の整備が実現する。事故が着ないうちに、早急に歩道整備してほしい」と期待感を述べている。すでに地権者の内諾も得ており、すべては県予算次第となっている。

写真・手前は国道117号交差点、前方が国道405号・津南中等校通り(交差点、高橋理容所屋根より写す)

歌会始、津南から2人、全国1万8千から2首も  1月4日号
 新春に皇居で行う「歌会始」(宮内庁主催)で披露される入選10首に、津南町の2人が選ばれ、今月16日、天皇皇后両陛下と同席し、選歌が披露される。新潟県内では2人だけ。今回は全国から1万7800首の応募があり、歌会始で同じ市町村から2人が選ばれるのは極めてめずらしい。「津南町の文化度は高い」と関心を集めている。

 2代に渡り畳職人一筋50年の町内大割野の宮澤房良さん(69)。初出品した昨年の歌会始は佳作入選。今回の選歌入選で連続入選。
「今回は昨年より出来があまり良くなかったので、駄目かなと思っていただけに夢みたいだ。嬉しいね」。中学時代から俳句に親しんでいるが、短歌はこの歌会始に限り創作している。今回の歌会始のお題は「立」。入選選歌は、「雪国独特のものを表わしたかった。花見のように雪を愛でるような情景や雪下ろしの様子など、雪国の独特な情景を歌った」と、俳句では表現しきれない雪国の情景を詠んだ。

 宮澤さんは俳句では数々の全国入賞、3年前の第15回俳人協会俳句大賞など受賞。現在地元の「岩すげ俳句会」と全国組織の鷹羽狩行主宰の「狩」同人。「これからも俳句は続けるが、短歌は歌会始だけはやろうと思う。俳句と短歌は心構えが違うと思っている」。
1月16日の歌会始には、妻・邦子さんは地元での高齢者サポートで行けず、「東京の娘が代わりに行きます。この人はこういう文芸が好きなんですよ」と話す。昨年の宮澤さんの佳作入選は「信濃川の岸へ次次ダンプカー来ては捨てゆく町中の雪」。今回も雪を題材に詠んだ歌が選歌入選した。

歌会始、全国1万8千から津南2人、今月16日皇居で披露  1月4日号
 8年前、津南町役場退職後、小学時代の恩師から誘われ、津南短歌会に入会。初めて短歌の世界に入った町内正面の元公務員・橋健治さん(65)。月例歌会に顔を出すようになり、次第に短歌の魅力に惹かれる。「あれは倒れる1年前だったな。家内と青森旅行に行った」。その時の情景、思いを詠った作品が入賞、皇居での歌会始で披露される。

 青森旅行の前年9月、脳出血で倒れ病院へ救急搬送。1ヵ月半の入院後、リハビリを兼ねた福祉施設に6ヶ月ほど入所、昨年4月から自宅生活に戻っている。今も杖を使いながらの歩行。
 「青森の竜飛岬に立った時、風に向い立つ自分と、その後の病気、震災など逆境に立ち向かう自分を照らし合わせた。自分自身を見つめ直す、地にしっかり足をつけていくことの大切さなどを感じ、その思いを詠んだ」。その作品が皇居で披露される10選に選ばれた。
 「連絡を受け、本当の嬉しかった。5年ほど前から応募している。今回のお題は『立』で、あの旅行の情景が思い浮かんだ」、その思いを詠んだ。

 日頃から短歌ノートを持ち歩き、言葉が思い浮かんだ時に歌を書く、というタイプではない。「気が向いた時しか作らない。でも短歌は楽しみだね」。16日の皇居は、妻・美枝子さん(62)と一緒に行く。久々の夫婦旅だ。


COPYRIGHT (C)2004 TSUNANSHINBUN-ONLINE. ALL RIGHTS RESERVED
!-->