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2012年11月の津南新聞「トピックス」

過去の津南新聞トピックス
柏崎刈羽原発が安全対策を公開、「連動型地震を想定。新たな耐震評価を」  11月23日号
 東日本大震災による巨大津波で「全電源喪失」を招き、水素爆発などにより大量の放射性物質を大気中に放出した東京電力・福島第一発電所事故から1年8ヶ月が過ぎ、「フクシマの教訓」をもとに全国の原発で安全策に取り組んでいる。東京電力・柏崎刈羽原発は20日、津波から原発を守る防潮堤の建設現場や原子炉建屋内部の安全策の進捗状況を十日町記者クラブなど報道機関に公開した。同原発は7基すべてが定期検査により停止中で、地元新潟県の泉田知事の慎重姿勢などから再稼動のメドは立っていない。建設が進む防潮堤は、海と原発の間に10bの高さで建設中。来年3月に完成予定。敷地内の海抜45bに2万トンの淡水貯水池を造成。さらに原子炉建屋内が高圧になった場合、水素などを放出する「開閉トップベント」を設置し、炉心損傷で放出される放射性物質を除去する「フィルタベント」の設置を計画するなど安全策を公開。一方で、同原発地下の『活断層』については、「連動型地震の調査により、基準地震動を越える結果が出ており、旧保安院に預けており、これをクリアする必要がある」として今後、新しい基準地震動が規定された場合、再評価が必要となる方針を示した。

 柏崎刈羽原発は全7基、総出力821万2千`hを発電する世界最大級の原発。1号機は昭和60年、7号機は平成9年に運転開始。1号機から4号機は海抜5bに立地。建設中の防潮堤はコンクリート造り、高さ10b(海抜15b)が4号機までを囲む。地中には821本の杭が深さ30bから50bに打ち込まれ、防潮堤の強度を支える。5号機から7号機は海抜12bに建ち、防潮堤は3bの盛土で、津波による海水を防ぐ構造だ。両防潮堤は全長約1・5`。来年3月末、完成予定だ。

 福島第一原発事故で問題になった『全電源喪失』の対策は、事故直後から取り組み、海抜35bの高台に非常用電源車19台、ガスタービン車2台、その地中に軽油貯蔵タンク(15万g)を設置。さらに敷地内の高地、海抜45bに2万dの淡水貯水池を造成。敷地内に掘削した井戸から湧水を貯水。自然流下で各原発につなぐ。年内には満水になる。冷却水として原発7基すべてに使った場合、約1週間使用できるという。

 福島事故以降、原発建屋内部の配管の耐震補強を行い、当日公開した6号機だけで2700ヵ所を補強。福島事故で問題視された原子炉建屋内の圧力解消のための「ベント」は、大震災後、建屋上部に新たに2ヵ所「トップベント」を設置したほか、原子炉内(通常運転の場合、70気圧)が事故などにより高圧になった場合、原子炉内の炉心損傷後の放射性物質の放出を低減する「フィルタベント」の設置を決め、設計に入っている。

 現在、全7基が停止している。原発内部は、複雑な迷路のような構造で、各種配管が縦横に走る。原子炉格納容器室内は、核燃料棒が発生する熱で30度以上あり、空調の強制換気の轟音が響いていた。

写真・柏崎刈羽原発の海抜55bの展望台よりの1号機から4号機までの全景(20日、柏崎刈羽原発で)

柏崎刈羽原発・安全対策公開、横村所長「再稼動は全く道筋見えず」、活断層の連動型想定で再評価か  11月23日号
 注目の原発再稼動について、東京電力執行役員で柏崎刈羽原発の横村忠幸所長は、「道筋は全く見えていない。原子炉規制委員会は来年夏をめざし、新たな安全基準を検討しており、再稼動については分からない」としている。 一方、新潟県が示す防災計画など安全対策を求める原発から30`圏の市町村との関係について、「相互連絡協定をしているが、県が作る研究会の提案を受けて対応したい。普段からのチャンネルを持たせていただくことは大切と考えている」と、30市町村で作る「市町村による原子力安全対策に関する研究会」など、地元要望に応える方針だ。

一方、原発敷地内の活断層について東京電力では、中越沖地震後、確認されている活断層が連動して起きる地震を想定、調査を進めたが、東日本大震災後、さらに活断層帯を長く考えようと調査。横村所長は、「5`以上離れている十日町にある断層も含め、一括して動くという連動型として見直した。長くなるので当然地震は大きくなり、現状の基準地震動を若干超える、もっと大きな地震が来るという結果が出ている。この結果をもとに旧保安院に対し、この基準地震動でよければ機器強化を再評価しますと、新しい基準地震動を旧保安院に預けており、これをクリアする必要がある」として、連動型地震による影響が新たな要素として浮上していることを明らかにした。

 さらに、「ここにある断層は、自らが震源になって動く断層ではないということは明らか。長さが数百b、深さ数百bしかなく、こうした小さな面積では地面を動かせるエネルギーは出ない」と、直下の断層による影響は少ないと見ているが、巨大地震を招く『連動型地震』の研究、調査がさらなる必要を示唆している。

写真・建設が進む高さ10bの防潮堤。来年3月完成(20日、柏崎刈羽原発で)

世界が認めた津南の酒、津南醸造が「ロンドン酒チャレンジ」で金賞  11月23日号
 ヨーロッパを中心に世界16ヵ国28人のその道のプロ、酒ソムリエが審査する「第1回ロンドン酒チャレンジ」が8月20日、英国の王室御用達デパート「ハロッズ」で開かれ、日本国内の約30府県から3百点余が出品され、新潟県内では唯一、津南町の「津南醸造」(古澤有三社長)の吟醸酒「ユキモノガタリ」が最高賞の金賞を受賞。同時出品の純米酒、本醸酒も共に銅賞受賞するなど、出品3品すべてが受賞した。先月の関東国税局酒類鑑評会でも連続受賞している同蔵元。古澤社長は「寿司をはじめとして日本食が人気で、その消費と合わせて外国で日本酒が伸びており、ワインやスコッチの文化圏で、こうした評価を受けたことは嬉しい」と、国内での営業戦略への波及効果を期待すると共に、外国への進出の突破口になると新たな経営戦略を構想している。

 醸造酒・スコッチの本場、英国で開いた今回の酒チャレンジは、酒のプロフェショナル「酒ソムリエ」の組織、「酒ソムリエ・アソシエーション」(本部・ロンドン)が主催。世界で活躍する日本を含む世界16ヵ国のソムリエ28人が審査員だ。
 酒チャレンジは、出品すべての日本酒に対し、ソムリエが評価判定する。最高賞の金賞から銀賞、銅賞、さらに「コンペ基準に達していない」など、プロの厳しい審査を受ける。今回の評価は、出品の個々に対する絶対評価で評点し、比較検討による相対評価ではない。つまり最高賞の金賞に値する日本酒かどうかを28人のソムリエが判定する。

 審査は、「製品の鮮明度、外観、酒のタイプ、光沢を目で判定」、「香りと芳香を鼻で調べる」、「風味と味を口で確かめる」、「洗練度と包装」など、目口鼻を使って日本酒としての完成度を全般的に厳しく評価する。
 
 今回、津南醸造が出品し、金賞受賞の吟醸酒「ユキグニモノガタリ」は、清酒業界では使わないイメージカラーにピンクを使用。箱と瓶ラベルが目を引き、アピールチラシには日本のきもの女性を採用。さらに「ベルギーチョコレート」をコラボし、従来の日本酒にはない世界を演出。この吟醸酒は、昨年夏の販売以降、人気を集め、品切れ状態なる人気を集めた。

 英国で最高賞の評価を受けた津南醸造・古澤社長は「酒チャレンジは、日本酒に絞った評価判定。今回の金賞はハイクオリティーな日本酒として認められたもの。女性や若者などライトユーザーを広め、新たな日本酒ファンを作りたい」と話す。なかでも、全国的にも若く新潟県内では最年少杜氏、滝沢昌哉杜氏の取り組みに期待する。今回の受賞後、三菱商事や首都圏の大手デパートなどへ出向き、営業活動に取り組み、「感触はいいです」という。すでに今期の仕込みに入り、今シーズンは前年の2・5倍、約8百石を生産する計画だ。

新ライフスタイル「脚本に挑む藤田良恵さん」 劇団御の字  11月23日号
 2灯だけのスポットライトが、主役を照らした。今月17、18日、十日町市民会館講堂で開いた設立20周年記念公演「ベニクラゲの告白と、続々のお話」。今回の主役は、いずれも小千谷市在住の男女2人。「メンバーが少ないので、先ず何人が登場するのかが重要なカギになります。今回はふたり。いつもなら構想を練って書き始めるのですが、時間もなく、もうぶっつけ本番でした。アイデアはその時任せです」。作品は2ヵ月ほどで書き上げた。

 糸魚川出身。子どもの時から映画が好きだった。社会人になり、養護教諭として十日町管内で働くようになった22歳の時、同市中央公民館の青年学級で映画制作コースがあるのを知った。今につながる巡り合わせ、講師は劇団御の字の代表・二瓶光さん(43)だった。同学級で学びながら、自分のホームビデオカメラで3〜5分程度の映画を3本ほど撮った。その1本「最後」が第2回大地の芸術祭の公募ビデオで入賞した。「初めての賞、うれしかったですね」。そんな時、「演劇の脚本を書いてみないか」、そう二瓶から要望を受けた。コースは違うが、同学級で知り合ったひとりと結婚。青年学級が大きく人生を動かした。今、4歳の子の子育て真っ最中。脚本書きは夜中が多い。

 創作した演劇を見た人から『最後は温っかいように締められていますね』、そう言われる。「特に意識しているわけではないのですが、確かにそんな風になっていますね。今回は『残る』をポイントにしていますが、新婚夫婦に子どもができたということで締めくくりました」。

 もうひとつが非現実性。今回は仮面ライダーV3の人形を登場させ、人生を暗示させたりした。「映画の実写ではできないのが演劇ではできるんです。つまり『あれから5年が経ちました』とひとこと言えば、すぐに出来ますよね。映画の実写では容易にできないこと、それを演劇に出したいという気持ちはあります」。

 脚本を通して輪が広がっている。「長岡市の演劇団体から『脚本を書いてくれ』と頼まれたり、新潟市の演劇団体と知り合いになってお互いに刺激を受けたりとどんどん輪が広がっています。これはすごい財産だと思っています」。

念願の歩道整備、事業家へ一歩、国道405号大割野地区  11月23日号
 国道117号と国道405号の交差点から約1・1`、特に県立津南中等教育学校までの通学路となる約780bの歩道設置が、いよいよ事業化へ動き出した。今月16日、津南町役場で「一般国道405号大割野地内(旭町通り)道路整備検討会」の初会合を開き、県十日町地域振興局から今後の取り組み方針が示された。交差点から約1・13`に歩道設置を計画し、先ず津南中等校の学生通学路となっている中間部分の約7百bを先行させ、歩道設置する方針を示した。県はすでに現地踏査を何度も行い、朝夕の通学状態を調べ、まず当初は片側歩道を整備する方針だ。

 交差点から津南中等校までは約780b。同国道の道幅は6b、両側歩道各1b(うち側溝50a)の幅員8b道路。学生は、この50aほどの狭い歩道が通学路だが、朝夕の通学時間帯は、南魚沼地区からのバス通学や自家用車送迎を除く約350人が歩道をはみ出し登下校している。特に冬場は、現道は消雪パイプ道路だが、消え残った雪が道路わきにたまり、道路幅が狭くなり、大型除雪車なども頻繁に通り、冬は時に危険度が増す状態だ。

 この通学道路の危険性は、津南高時代から指摘され、20年余り前に、地元沿線で「国道405号(旭町通り)拡幅整備促進期成同盟会」(石原一男会長)を作り、国道405号秋山郷国道整備促進規制同盟会(吉野徹会長)と連携し、道路拡幅や歩道整備の運動に取り組んだが、沿線の合意形成などの困難性から、進展しなかった経過がある。

 だが今回、2年前から両同盟会、津南町、さらに尾身県議らが連携し、県の担当者同行で現地踏査を再三行った。昨年10月には、栄村秋山郷地域を含む沿線集落区長、津南中等校学生らが、歩道設置、道路拡幅整備を求める署名を県十日町振興局長と県知事あてに提出。県はこれを受け、今年7月17日に再度、現地踏査を実施。十日町地域振興局・藤塚惣一地域整備部長は「危険性は確認しており、地元の意向を受け取り組みたい」と県方針を話しており、今回の検討会スタートで、事業化への取り組みが本格化し、実現へ一歩踏み出した。

 今回示された構想では、約1・13`を3工区に分け、まず2工区の7百b(かねと商店〜津南中等校)の歩道整備から取り組む方針。来年1月には冬場の現地調査を行い、3月には整備方法を決め、新年度から事業化にむけ具体的に取り組む方針だ。地元の同盟会では「ようやく念願の整備が実現する。事故が起きないうちに、早急に歩道整備をしてほしい」と、事業化実現を待ち望んでいる。同盟会の取り組みでは、沿線の地権者はほぼ同意方針を示しており、長年の懸案が実現へ向け、大きく一歩踏み出される。

写真・狭い歩道を通り通学する津南中等校生

詐欺犯罪を未然防止、塩信職員や機転きかし  11月23日号
 詐欺被害を未然に防いだ功績で十日町署(廣瀬卓署長)は20日、塩沢信用金庫津南支店の窓口担当・桑原亜矢さん(28)と第四銀行十日町支店の業務係窓口担当・木志津子さん(52)に感謝状を贈呈した。

 詐欺未遂事件は共に先月3日の正午頃発生。関連はないとみている。津南での事件は町内在住の80代女性が来訪。『250万円が必要。今日担当の人が来るから』と依頼。桑原さんが理由を聞くと最初答えなかったが粘り強く問い『株を買いたいから』と返答。女性が持つ郵送されたパンフを見ると不自然な点が数多くあり詐欺と気付き、女性を支店長、同署員と共に説得。「信じ切っており警察の方にも来て貰いました。高額なお金をおろす理由を教えて貰わなければ金融機関でも気付くのは難しいと感じました」と桑原さん。金融商品詐欺とみられ、女性方に現金を受取りに来た男は同署で捜査を続けている。

 一方、十日町では同市在住の60代男性が現金6千円の振込みをしようとしたが、懸賞金当選を誤認させるような書面を持っていた。対応した窓口職員が木さんに相談、男性が持つ手紙やパンフを確認すると、中国の消印が押してあり架空請求詐欺と気付いた。『3億円の権利が当たる。何度も振り込んでいるので信用している』と聞き入れなかったが通報を受けた同署員と共に説得、連携プレーで詐欺に気付かせた。木さんは「外国の懸賞金を日本で受け取るのは難しく、詐欺と気付きました。他にも会社名など怪しいと思ったら確認しています」と語った。  すでに今年、10件3512万円の詐欺被害が出ている同署管内。廣瀬署長は「金融機関は被害防止の最後の砦。これからも人の弱みに付け込む詐欺被害を協力し防ぎたい」と感謝した。

写真・感謝状を受ける塩信・桑原さん(中央右)ら金融機関職員

信州大、震災復興支援で栄村と連携協定  11月23日号
 震災復興に向け強力なパートナーが誕生した。昨年3月の県境地震を契機に積極交流する生まれた信州大農学部(長野県南箕輪村)と栄村は「連携・協力に関する協定」を15日に締結。村役場で島田茂樹村長と中村信一郎学部長がサインを交わした。中村学部長は「末永く両者で良い関係を築きたい」と支援を確約。具体的な協議はこれからだが、同日は震災ボランティア・農援隊の継続派遣、被災水田活用のそば品種改良、栄村伝統品種野菜の研究など信州大が試案を発表。同学部と栄村で今後連携協議会を立ち上げ、具体化を図る。期間は3年間、双方合意で延長できる。今後の取り組みに関心が集まる。

 同学部は震災支援に職員、学生が積極ボラ活動。昨年から被災住宅の片付けや道普請支援など学生延べ240人が来村している。さらなる連携を求め5月に信大から申し出があり協定締結。「安心して暮らせる活力ある地域作り」「学術研究機能の向上と人材育成」を主目標に掲げ、産業振興、観光資源開発、環境保全活動など幅広い連携を視野。中村学部長は「大震災は科学技術の危うさと同時に、農林業の持つ公益的機能、美しい農山村の国土保全機能の重要性を示した。これまでと違う生き方、社会の在り方が求められている。栄村で地域活性化と次世代を担う人材育成に関わりたい」と意欲を語った。

 一方、人口2200人余、高齢化率46・6%の栄村。同大学生らが継続し地域に入る効果に期待する。島田村長は「信大の人材、若者が集落に入るのは大きい。実際、地震後の農援隊の活動は村民の大きな支えとなった。村が元気づく契機になる」と話している。

障がい者支援で焼酎「あんしんラベル」、売上寄付  11月23日号
 ○…障がい者が描いた絵が焼酎のラベルになって人気を呼んだ八海山米焼酎「宜有千萬(よろしくせんまんあるべし)」を、障がい者支援の一環として販売した十日町市の宮幸酒店(宮入和美社長)が15日、絵を提供した支援センターあんしん(樋口功会長)を訪れ、売上金の一部など7万8千円を贈った。

 ○…このラベルは、同施設を利用している福島信介さん(20)が海の中で泳ぐ魚を描いたイラスト。絵を見た宮幸酒店の関係者が発案し、八海醸造と同センターの協力で実現、7月から「あんしんラベル」として6百本販売された。この日訪れた小川亮子店長は「温かさを感じるイラストで、とっても人気でほぼ完売しました」と話すと樋口会長は「とってもありがたいこと。今後につなげていきたい」とお礼を述べた。12月からはウサギやネコなど動物を描いた冬バージョンも販売する計画だ。

国道117号「灰雨バイパス」、事業化へ  11月16日号
 新潟と長野を結ぶ国道117号の整備促進に取り組む沿線市町村組織「一般国道117号改良促進期成同盟会」は昭和47年6月に設立。道路拡幅や危険箇所改良に取り組み、ほぼ全線改良の見通しがつき、今月13日、十日町市で開いた今年度総会で今月末での解散を決めた。残る改良整備は各市町村が取り組み、津南町では「灰雨スノーシェード」改良が新規事業に載り、県十日町地域振興局は「交通の障害になっていることは認識しており、バイパスルートの検討に入る」と事業化方針を示した。

 同国道は大正9年「国道10号」と位置づけられ、両県を結ぶ物流、人的交流の重要道路として改良促進が求められ、国の国道再編で「国道117号」に改称。昭和47年6月、同組織は沿線9市町村(長岡市、小千谷市、十日町市、津南町、長野・栄村、木島平村、野沢温泉村、飯山市、中野市)で発足。豪雪地を通る国道として雪崩防柵や消雪パイプ敷設など雪国特有の整備が求められ、40年に渡り改良整備に取り組んだ。十日町市の市街地拡幅、最大の難所「大倉スノーシェード」の新トンネル化が昨年10月実現した。総会では、「一定の役割を果たした」と全会一致で解散を決めた。

 一方、最後となった要望会では、関越高速道と上信越自動車道を結ぶ同117号の「地域高規格道路化」を求め、冬季間の雪崩危険箇所、歩道除雪などの冬場の安全、安心通行の確保などを要望した。津南町から「灰雨スノーシェード」改良、十日町市は中条、山本、水沢地域の歩道整備、栄村は平滝地区カーブ解消などを要望。灰雨スノーシェード改良について十日町地域振興局は、「全幅6・5b(1車線)の道路で交通障害になっていることは認識している。バイパスルートの検討に着手した。来年度以降の早期着工に取り組みたい」(整備部長)と改良方針を示した。

写真・1車線で交通障害になっている国道117号・灰雨スノーシェード

認証米、品質低下で減量だが差別実証   11月16日号
 津南町で生産した魚沼コシヒカリの特別栽培米を自治体が品質保証する「津南町認証米」は、猛暑の影響で昨年に比べ生産面積は拡大したものの出荷数量は2万4516袋(1袋30`・昨年2万8362袋)と減少した。認証米には1俵あたり助成金1500円を生産者に支給する町独自の制度。豊作傾向から一転、猛暑により魚沼コシの1等米比率が74%(前年89%、JA津南町)と低下した今年産米。町では「認証米2年目を迎えたなかで非常に残念。生産面積は増加傾向にあるので消費者から認知してもらうためにも今後、生産増に結び付けていきたい」としている。

 今期の認証米に該当する特別栽培米の面積は約270f(前年240f)。生産は188農家(同179農家)と前年より生産が伸びた中で減農薬、減肥料の栽培基準に沿ってコメ作りを行った。出荷量は3万7183袋(同3万4177袋)と増えたものの、この中から町認証米基準であるJAS認定基準、1等米、選別基準(網目1・9_以上)、タンパク値5〜6%内などをパスした認証米数は昨年を下回る2万4516袋。認定率は猛暑の影響を受け66%(前年87%)だった。ただ、タンパク値が4%台というコメを作った十二ノ木地区の生産者もおり、「『うますぎるコメ』になって認証からはずされた」という例も出た。タンパク値が6%以上だと食味が悪くなるという研究結果は出ているが、5%未満の場合の評価は何もなく今後、こうした数値も課題となりそうだ。

 認証米は、JA津南町など集出荷業者の直接販売では、認証米専用のシールをコメ袋に貼り、店頭販売している。しかし、全農や町外のコメ卸業者などを経由しての店頭販売では、同シールを貼られることはなく、「昨年同様、差別化が目に見えない状態になっているままだ」と課題解決に至っていないのが実情だ。このため生産者から「農家に、消費者に売る戦略まで求めるのはムリで、すべてに認証米であることが分かるようにすることが大事だ」と要望する声もある。

 「今年は猛暑の影響で品質が落ち、魚沼米全体の評価は落ちているが、自治体が品質を保証する認証米は売れ残る心配はない。だからこそ安定した数量の確保も必要になってくる」とJA津南町などでは更なる増量を求めている。石橋雅博地域振興課長は「除草の集中化への対応や、やはり生産者の高齢化が課題。いかに解決していくか検討していく必要がある」と話している。

新ライフスタイル「桑原クワンさん、日本語検定2級に挑戦」  11月16日号
 『語彙』。こんな難しい漢字を、すらりと読む。「難しいから、おもしろいです」。来月2日、桑原クワン(38)は日本語検定2級にチャレンジする。  (敬称略)

 毎週水、木曜、津南町公民館が開く「ことばのキャッチボール」に欠かさず通う。3年目になる。今春、3級チャレンジを考えたが受験日が合わず見送った。でも、勉強は毎日続け、「難しいですが、2級にチャレンジします」と、自分からハードルを上げた。
日本語は、ひらがな、漢字、カタカナが組み合わさり、言語的には世界的にもかなり難しい部類に入る。その日本語に果敢にチャレンジしている。

 4年前、結婚を機に津南暮らしが始まった。タイでは、日本企業・京セラで働いた。「日本に来る前、日本語を勉強したけど、実際に使う機会が少なく、勉強だけでは覚えませんね」。ことばのキャッチボールに入り、さらに日本語への関心が高まった。
四季がはっきりしている津南に比べ、タイは温暖な気候風土。「寒いのがちょっと苦手ですね。でも、温かくしているから大丈夫です。津南は畑があり、野菜が作られるから嬉しいです」。
 タイ料理が得意。日本の何倍も辛いタイの唐辛子や葉物のクーチンサイなど、畑を耕し、自分で作る。「タイと同じように料理を作ると、辛くて家族が食べられないから、辛さはちょっと抑えています」。魚や肉、地元野菜、きのこなどを使ったタイ料理と津南の伝統食などが食卓に並ぶ。

 今年3月の津南雪まつり。イベント会場にタイ料理のお店を出した。8店が出店し賑わった。売り上げは2番目、人気を集めた。「辛い料理は、身体を温めてくれますよ」。

日本語検定に備え、あらゆる機会を活用する。ことばのキャッチボールでは率先して自分から話し、テキスト持参で練習問題に向かう。「話さないと覚えませんから」、アドバイスのスタッフと積極的に話す。JA津南町女性部にも入る。「日本の料理を学びたいし、日本語の会話をしたいので。いっぱい話すことが、日本語を理解するためには必要です」。

 日本語検定は、語彙・文法・文字などの基本試験のほか読解、聴解の3つの試験があり、基本試験では83%の正答が求められる。意識や想像など、かなりハイレベルの漢字が出る。   
「分からない言葉は、前後のひらがなで理解し、辞書で調べます。そうすると、なんとかく分かり、読めるようになります」

 来月2日は、新潟市の新潟大学五十嵐キャンパスで受験。夫の運転で向かう。「3年前、車の免許を取りました。日本語の教科書で日本の試験を受けました。合格は嬉しかったですね」。
 テレビで、本で、日常の生活で、日本語と向き合う。「難しいことが、魅力ですね」。どんどん、語彙(ごい)を増やしている。

SLの継続運行求め署名運動広がる  11月16日号
 来年以降のSL継続運行と津南町、栄村、飯山市など運行の延長も視野に、飯山線SL運行を応援する市民の会(木村喜郎会長)はSLが十日町駅に運行された10、11日、同駅前などで署名活動を行った。2日間で1300人余りの署名が集まったが、中条や下条地区などでは地域協議会を通して署名活動の依頼も行っており、今年度いっぱいは活動を行い、JR東日本新潟支社や同市に継続運行を求め提出する計画だ。

 同市民の会では、十日町駅前の街頭と同市商工会議所のSL写真展会場で署名活動を行い、街頭では「来年以降も継続して運行されるよう署名をお願いします」と呼びかけた。津南町でも高橋徹・津南駅委託管理者のSL写真展に合わせ、会場に署名用紙を置いた。特別な呼びかけは行っていないが、これまで30人余りが署名。高橋さんは「今後、津南駅や森宮野原駅、さらに飯山駅などまでSLが運行されるよう、運動を展開する母体作りが必要になっている」と、活動団体の必要性を話している。

 同市民の会の春日徹事務局長は「さらに署名活動の輪を広げていきたい。今後は運行の延伸を求め、津南町や栄村、飯山市などとの連携も考えていきたい」と広域連携を進める方針だ。

断崖が地球の歴史、津南町見玉で住民主導で公園化  11月16日号
 美しい森林を次代にと集落の共有地を公園化する活動が進んでいる。津南町見玉集落の住民らで作る「大久保クラブ」(高橋広幸・中俣和敏共同代表、6人)。赤沢台地の柱状節理が一望できる、中津川右岸沿いにある地元住民が「大久保」と呼ぶ地。耕作放棄地となっていたが、50代から60代のメンバーが間伐や地ならしなど整備作業を徐々に進める。「この素晴らしい景観を残したい」と想いは熱い。

 発起人の高橋広幸さん(66)。5年前、薪を切ろうと同地に入った時、中津川と対岸にそびえる赤沢台地が目に飛び込んで来た。改めて自然が作り出した地元の風景に感銘。「この景観を残したいと感じた。河岸段丘を作った中津川、そして苗場山の火山活動で形成された柱状節理が目に見えてわかる、他にはない景色がここにはある」。仲間を集め、集落に共有地整備を申し出た。賛同したひとりで共同代表を務める中俣さん(62)は重機を自分で購入し、公園作りに熱中する。「連れられて景観を見に行ったら、すっかり惚れ込んでしまった。整備するたびに年々森が美しくなり、紅葉も美しくなってきた。やりがいがあるよ」。終わりのない森作り。だがそれが楽しい。今は5f余を整備中で、将来はトレッキングコース制定や町が進めるジオパーク構想などとも連携し「津南の名物地にし未来に繋ごう」と意気込む。

 子どもたちにも森作りを経験してもらおうと、今月8日は地元の中津小(星名哲也校長、46人)児童と植樹会を実施。オオヤマザクラ30本を丁寧に植えた。今あるミズナラやカエデなど広葉樹の景観を活かすため、バランスよく点在させ植樹。樹齢5年余で高さ4b余の木を仲間と協力して植えた2年の高橋くるみさんは「でっかくなったら、また見に来たい。早く大きくなってね」と森の成長を願っていた。
 なお同地は崖側に安全柵などもないことから、集落の許可がないと立ち入りはできない。一般公開は3年後をめざしている。

日本海から240`、上田市にサケ帰る  11月16日号
 ◎…日本海から240`、信濃川を上り、長野県上田市の千曲川にサケが帰った。13日朝6時半頃、地元民が川に設置したアユ漁用の「やな」にかかっているサケを見つけたが、生きていなかった。背びれには捕獲タグが付いており、今月8日、下流のJR東・宮中取水ダム魚道で採捕し、上流に放流したサケと判明した。2年前にも同所でサケが採捕されており、地元の上小漁業協同組合(富岡道雄組合長)は「きれいな姿で帰って来てくれました。嬉しいですね」と話している。毎年、千曲川でサケの稚魚放流をしているNPO新潟水辺の会では「稚魚放流の成果。今後も放流を続けたい」としている。

 ◎…やなで見つかったサケはオス、体長57・5a、重さ1・7`で「bP00」のタグ番号を付けていた。オス独特の「鼻曲がり」。昭和24年設立の上小漁協によると、上田市までサケ遡上の2年前まで記録はなかった。「2年前のサケはメス。剥製にして、漁協の事務所に飾っています。今回はオス。同じように剥製にし飾ります」とサケ回帰を喜んでいる。

 ◎…今期のサケ採捕は10日で終了。十日町市のJR東・宮中ダムでは297尾を確認し、21`上流の飯山市の東京電力・西大滝ダムでは11尾となっている。中魚漁協・長谷川克一組合長は、「途中の清津川、志久見川などに上っている姿の目撃情報もあり、自然産卵しているようだ。調査が必要だ」としている。信濃川の支流、十日町市の飛渡川では今期、16尾(前年4尾)のサケ採捕を確認している。
写真・上田市の「やな」で捕獲されたサケ(13日、上小漁協提供)
 

「この雰囲気がいい」、里山の魅力、栄村小滝が独自たび企画  11月16日号
 震災から1年8ヵ月、県境地震の被災地、栄村で「地元の良さを見直し、交流を通じて将来を考えよう」と同村小滝では、昨年に続き「むらたび、小滝古道物語ツアー」を企画。秋晴れの4日、県内外から61人が参加、地元の古道復活プロジェクトのメンバーがガイド案内し、冠雪した県境の妙高山など一望できる大峠や県境地震で峰が大規模に崩落した現場、千曲川河畔の舟曳きの足跡など古道約5`を散策。昼食は小滝米の新米おにぎり、大根煮や手作りコンニャクなど郷土料理でおもてなし。参加者は、「ほっとするこの雰囲気が、また来たくなるんです」と地元民と手作り料理を囲み懇談した。

 今回の「むらたび」は初めて小滝地区が主催で開いた。震災前17戸あったが、避難生活や高齢で亡くなり、震災復興住宅完成で13戸になる。古道復活は4年前、「地域の魅力再発見」を合言葉に、志久見街道などかつては集落の生活道路だった古道復活に取り組んだ。
 だが、昨年3月12日の長野新潟県境地震。小滝は全住戸が被害を受けた。農地被害も深刻で、全水田7fの半分余りが地割れ、畦崩落など被災。高齢化により耕作放棄地が増加。「このままでは集落がなくなる」と危機感を抱き、震災前から取り組む「地域の魅力再発見」活動をさらに一歩進め、村外との交流事業を進めた。今回の「むらたび」もその一環だ。

 須坂市から初参加の樋口徳隆さん(59)。栄村の人と人との絆の深さを感じている。「住民に皆さんのつながりを温かさを感じ、それを感じながら散策すると、とても心地よい。それをまた感じたくなり、また小滝に来たくなります」。地元民も同様に感じている。今年7月、夫を病気で亡くした樋口てる子さん(73)。「ありがたいですね。こうして小滝を訪れ『良い所ですね』と言ってくれる。来てくれた人から元気をもらっています」。

 小滝古道物語の代表、樋口利行さん(65)は、手応えを感じている。「古道復活や田んぼの協業など地域復興プロジェクトは、すべて第一に集落の維持が根本にある。自分たちが暮らす地を見直し、地域外との交流で小滝の魅力、さらに将来が見えてくる」。荒廃する田を地域全体で受け「小滝米」ブランド化。米品質の均一化に堆肥投入し、有機米への取り組みも始める。一方で小滝活動への支援も集まる。東京・板橋「東京欅ライオンズクラブ」が10、11日、板橋農産物祭で小滝コーナーを設け、小滝農産物を販売するなど、交流活動が震災復興や地域づくりへの支援の輪を広げている。

40年ぶりに飯山線にSL、今度は津南・栄村に延伸運行を  11月9日号
 40年ぶりにJR飯山線に蒸気機関車(SL)が10、11日走る。今月初めから試運転を行い、沿線には多く住民や「撮り鉄」カメラマンが詰めかけている。今回は十日町駅ー長岡駅間だが、来年以降の継続運行を求める運動が高まっている。十日町市の関口市長は「ぜひ継続運行を実現したい。JRに要望する」、津南町の上村町長は「これまであらゆる機会を捉えSL運行を訴えてきている。飯山まで実現したい」と共に継続運行、特に景観が良い津南、栄村など以南への延伸運行を求める。住民レベルでも「飯山線SL運行を応援する市民の会」が継続運行の署名運動に取り組み、地域観光の大きな起爆剤としてSL継続運行の運動が巻き起こっている。

 今回のSL運行を感慨深く見ているSL写真家がいる。JR飯山線津南駅前に暮らす高橋徹さん(59、駅委託管理者)。昭和43年の高校時代、当時の越後外丸駅(現津南駅)で貨物運搬のアルバイトをしながら、毎日走るSLに魅せられ写真を撮り始める。以来、大学、社会人を通じ全国のSLを撮り、昭和50年12月、全国の鉄路からSLの営業運転がなくなるまでSLを追いかけた。その写真ネガは数万カットになる。

 今回のSL運行に合わせ、高橋さんは、飯山線・越後川口ー飯山間のSLを撮った「飯山線蒸気機関車写真展」を10日から来月2日まで、津南駅の待合室ギャラリーで開く。約50点の写真は、茅葺きの津南町小島集落を走る勇姿、全国的な名所の町内鹿渡新田の鉄橋を渡るSL、雪の中を走るSL、さらに蒸気機関車除雪車・ラッセル車、ロータリー車など貴重な写真ばかりだ。
 飯山線のSLは昭和47年3月14日、旅客車が廃止され、同年10月2日、貨物車も廃止、飯山線からSLが姿を消した。写真展では昭和47年4月に運行した「さよなら」のヘッドマークを付けた特別SL列車の写真も展示している。

 高橋さんはこれまで何度も『飯山線にSLを』の運動に取り組んだが、JRの合理化で転車台の廃止、待機線の撤去、さらに人員整理など、実現と逆行する取り組みが進み、そのつど断念してきた。昨年春、長岡ー十日町間でSL運行計画を聞き、いち早く「ぜひ津南、栄村まで」と運動したが、これも実現しなかった。だが、今回のSL運行は大きなチャンスと見ている。「地元の機運が大きく影響する。JR東は地元貢献への姿勢を見せている。今回は十日町止りだが、次回は必ず津南、栄村、せめて森宮野原駅まで走らせたい」と期開感を話す。

 今回の写真展は、地元盛り上げの一環。「写真を見ていただき、ここにも走ってほしいという機運が高まればと思う。津南、栄村の震災地を元気にするためにも、ぜひ実現したい」と写真展に願いを込める。同写真展は午前10時〜午後8時半、12月2日まで開く。津南駅025・765・2022。

写真・SL運行に合わせ継続運行を願い開く写真展と高橋徹さん

40年ぶりに飯山線にSL、継続運行へ住民署名運動  11月9日号
 10、11日の運行を前に、試験運転を行った。7日には沿線自治体関係者やマスコミに試乗を公開した。客車3両を引く蒸気機関車は、「ポッポー」と大音響の汽笛を鳴らし、「シュッ、シュッ、ポッポ」と総重量68dが緩やかにスタート。約3dの石炭と約8dの水を積み、黒煙と真っ白な蒸気を吐き出しながら、時速30〜40`で紅葉織り成す信濃川河畔や田園風景の中を走った。

 沿線のカーブや橋には、多くの撮り鉄カメラマンがいて、住宅街では多数の住民が手を振るなど、皆が笑顔で見送った。途中停車の越後岩沢、下条、魚沼中条駅で地元の保育園児らがホームで出迎え。発車時の大きな汽笛にびっくりしながらも、手を振り興味深そうに見送った。トンネルでは「車内に煙が入りますので、窓をお締めください」の車内アナウンス。朝8時51分、長岡を発車したSLは、11時18分、十日町駅に到着した。当日は、同じく運行され、転車台がないため、SLが進行方向と逆向きで運行するめずらしい姿も見られる。当日の乗車券はすべて完売している。

 
 継続運行への課題は多いが、沿線自治体の取り組み一つだ。JR東との共生事業で今回実現した十日町市の関口市長は、「ぜひ継続したいしJR東に要望していく。石炭対策や給水などクリアでき、特に問題あるとは聞いていないが、技術面のクリアが第一だろう。今後は市民の盛り上がりが大切。JRの考え方もあるが、運行エリア延伸を含め、課題もあるが飯山市、津南町、栄村、野沢温泉村には機会を得て話しているので、(継続運行は)理解が得られるものと思っている」と沿線自治体との連携を視野に入れている。
 
 7日試乗した上村町長。今回の長岡ー十日町間の運行計画が表面化後、津南、栄村への延伸を強く要望したが実現できなかった。「汽車通学していたので、懐かしい匂いとあの汽笛、とても郷愁を感じた。SLを全く知らない世代にとっては未知なるものであり、どういう感性でSLに見ているか大変興味がある」と述べ、県境以南への運転延伸については「あらゆる機会を捉え、これまで実現要望を行っている。JRの意向もあるが、最大の課題は財源。このハードルは大きい。今回の区間より、あれからの区間の風景の良さは、論を待たない、誰もが認めるだろう。もっと雄大で、もっと絵になるロケーションばかり。そういう所をぜひ走らせたい」と飯山までのSL運行の実現をめざす意向だ。

写真・試運転で黒煙をはきながら走るSL(7日、魚沼中条駅で)

新ライフスタイル「わらしべキッチンの川淵友絵」、天然酵母パンやジャム  11月9日号
 『リンゴが食べたければ、自分で剥きなさい』。小さい頃から、これが川渕家の子育てだった。名古屋市・渥美地方の安心安全な野菜を使った母の家庭料理が好きだった。「どうやら、私の食への強い関心の根っこは、母にあるようです」。川渕友絵(36)は週末の早朝、天然酵母パンを焼き上げ、長野・善光寺門前の「ぱてぃお大門」で販売している。    (敬称略)    

 栄村の農産品の一つ、「ズッキーニ」。出荷できない規格外品が多く出る。近所の栽培農家の苦労を見て、「ズッキーニジャム」を作った。皮抜きから煮込みまで手作り。淡いクリームイエローのジャムは、玄米と信州産小麦粉で作る天然酵母パンによく合う。『わらしべキッチン』のブランドで販売する。
母の手料理を間近で見て育った。小学生で魚のさばき方から漬物、味噌仕込みまで取り組み、中学生ではケーキやお菓子づくり、高校生では「趣味は天然酵母パンを作ることでしたね」。

 2007年、「人の営みの美しさが残っている」、栄村に移住。その2年前、東京大3年時に交歓留学した米国ミシガン州立大で出会ったケビン・キャメロン(38)と結婚。共に環境学を専攻。東京大大学院では「新領域創生科学研究科」という土木、経済、産業など環境学全般を研究。大手外資系企業で海外勤務や環境コンサルティング会社でLOHAS(健康と環境を志向するライフスタイル)マーケティング事業を担当するなかで、東京での生活に疑問を抱くようになり、「生きている実感」を求め、栄村へ。
 
 都会にあり、田舎にないもの。逆に、都会になくて、田舎にあるもの。「ここには未活用の資源が多くあります。都会には、その資源を活用する知恵と人材があります。オープンリソースが大切です」。オープンリソースは、資源を共有し、自己所有では時間とお金が係り、共有をネットワーク化しようという考え方。ここに『わらしべ』への思いがある。
 わらしべ。藁のシベ(乾燥ワラの芯)のこと。「今昔物語」にある「わらしべ長者」で知られる名称だ。ムラにある未活用な資源。その資源を活用し、特に食の分野で、地域再発見に取り組むのが『わらしべキッチン』。「あんなこと、こんなこと、いろいろできますよと、わらしべが一つのモデルになれたらと思っています」。

 今春、「中級・野菜ソムリエ」の資格を取得。昨年、ジュニア野菜ソムリエを取ったが、さらに幅広い専門分野が求められる中級に挑戦しライセンス取得。分野は広い。野菜・果樹の品目、原産地、栽培や交配方法、縄文期からの農業政策の歴史、農薬表示法、栽培肥料、栄養学、病気、料理方法など多分野が求められる。3次試験まであり見事パス。
 「資源を活用するには、それをしっかり裏付けられるものが必要です。野菜ソムリエもその一つです」。さらに、天然酵母玄米パン、ジャム類、さらに栄村特産のギョウジャニンニクの加工品にも取り組むため、農水省の「6次産業化認定事業者」を個人で申請し、認定された。4年計画を申請し、今年から取り組んでいる。
「これは誰でもできることです。未活用の資源を、知恵を出して使っていく、これが農を柱にした暮らしにつながり、ここでのライフスタイルに結びつくはずです」。

 「こうした美しい自然の中で子どもを育てたい」。その思いが実現し、長女・萌奈(もな)ちゃんは1月で3歳を迎える。「家族で田の畦を走り回ったり、イモ掘りをしたり、我が子にふるさとを作りたいです。ふるさととは、人生と人が結びついた空間が、ふるさとです。ここには、それがあります」。

ドクターヘリ、十日町津南管内に初飛来、新潟大病院から40分余  11月9日号
 津南町、十日町市エリアに5日、県ドクターヘリが出動し、初めて同エリアの指定着陸点に降りた。新潟大医歯学総合病院から出発したヘリは40分余で着陸点の中津小グラウンドに到着。患者を搬送中の救急車に派遣医師が乗り込み処置。今回は残念ながら救命できなかったが、中山間地でも医師の迅速な診断が行えるドクターヘリの有効性が明らかになった。

 ドクターヘリは医師と看護師を迅速に現場に運び、ヘリ内には除細動器や人工呼吸器など救急医療用機材を搭載。救命処置しながら重傷患者を運べる、空飛ぶ救急外来だ。今回のケースは紅葉狩り中のツアー客が急患。秋山郷見倉橋を散策中の世田谷区の無職・朝香忠市さん(86)が5日午前11時20分頃に突然倒れ意識不明に。同行の妻が現場におり通報、11時26分に十日町消防本部がドクターヘリを要請。同時32分に新潟大病院を離陸、中津小着は午後12時9分と所要時間はわずか42分。医師は救急車と合流、患者を応急処置し十日町病院に搬送。午後1時過ぎに大動脈溜破裂での死亡を確認した。

 先月30日に始まった県ドクターヘリ。要請は十日町消防本部が判断。要請基準は非公表だが、県内消防署共通の項目別キーワード方式で決めているという。管内では先月31日から7日までに4件の要請事案が発生。患者の容体変化や天候不順などで実際に着陸したのは5日の1件のみだが多発傾向。同本部はヘリ導入前に1ヵ月間、実際の119番通報に合わせ要請シミュレーション訓練を実施。ヘリ要請時は通信指令室職員2人体制を1人増員するなど体制強化。5日のヘリ出動時は救急搬送が5分間に4件と一気に集中したが、訓練の成果もあり支障はなかった。高橋隆之署長は「高齢化率が高く山間地が多い管内にドクターヘリは非常に有効。命を守るため、スムースな指令が出せるよう体制をさらに整備したい」と話す。

 なおヘリ発着点は小中学校グラウンドを中心に十日町市52ヵ所、津南町12ヵ所を現在設定。冬期は十日町・吉田クロカン競技場、津南町・なじょもん館駐車場の除雪体制を整えメイン着陸点とする。同本部はヘリ発着点を増やす方針だ。

写真・秋山郷での急患に臨時へリポートの中津小グラウンドに飛来したドクターヘリ(5日)

栄村振興公社、JTBとリクルートと観光事業提携   11月9日号
 被災地支援の厚労省事業「生涯現役・全員参加・世代継承型雇用創出事業」導入で観光振興を図る栄村。3年間で最大3億円の補助がある同事業を村は栄村振興公社に委託。これを受け同公社はスタッフ12人を採用。観光振興、加工品開発、伝統工芸伝承を三本柱とし取り組む。7日の激励会で、島田村長は「高齢化率46・6%の栄村だがお年寄りは元気。地域に入り、村民と一緒に観光振興に努めてほしい」と期待を述べた。

 補助金(1年間1億円)の2分の1が人件費、もう半分が特産品開発などのソフト事業費となる同事業。同公社は旅行大手のJTB中部、雑誌やウェブで旅行情報を提供する「じゃらん」のリクルートライフスタイルの2社と3年間提携契約。今年度残り半年間は5千万円の補助を受け、JTBが職員研修や村内観光資源の再発見などワークショップなど通し指導、リクルートは着地型旅行プラン考案や魅力あるパンフレット製作などを同公社職員と共に行う。激励会でJTBは「栄村の日常生活を観光資源として最大限に活かす方法を考えたい」と専門家と住民を交えた街づくりフォーラム開催など提言。リクルートは「特産品など地元ならでは商品考案がなければ現金収入には繋がらない。作成したプランはネットでも紹介する」などと方針。同公社では大手2社からノウハウを学び、栄村独自の観光力増、職員スキルアップ、さらに住民の観光意識を高め栄村全体の活性化を図る計画だ。

 同事業雇用者は同公社臨時職員9人を再雇用、新規採用は3人。県境地震被災地からの雇用が条件のひとつ。昨年2月に故郷の極野に帰り被災、自宅が一部損壊の被害を受けた藤木文憲さん(30)は新採用のひとり。「大手民間企業からマーケティングや栄村の魅力発信方法を学び、地震で大打撃を受けた故郷の役にたちたい」と語った。

 同事業計画では村民主役の観光体験プラグラム開発、どぶろく特区による「ひえ焼酎」開発、桐下駄やネコツグラなどに取り組む。

スプレーアート登場、県内数人の作家、十日町の中さん   11月9日号
 ◎…ニューヨークなど地下鉄やビル群で、車体やビル全体にオリジナル性たっぷりの絵画を描く「スプレーアート」。この魅力に取り組む新潟県内で数少ないスプレーアート作家の中豊和さん(30、十日町市)。先月の第45回十日町市展・現代美術の部で昨年の奨励賞に続き市展賞を獲得。その市展賞作家が、このほど津南町でスプレーアートを展開。地域の話題になっている。「自由に描けるところが魅力ですね」と中さん。10代の頃に描いた作品は、まだ十日町市内にそのまま残っている。

 ◎…地下鉄や廃屋に描かれた「落書き」。だが、その絵は次第にアートとして認められ、ビルや大壁面に描く芸術として大人気。80色ある「スプレーペイント」を使用するため「スプレーアート」と呼ぶ。今回、津南町正面のウェブデザイナー・内山義幸さん(パラドックス代表)方の車庫シャッターで作品展開。幅2・7b、高さ2・2bに社名からイメージする独特のデザインと書体で描いた。筆で書いたような曲線や繊細なぼかしなど、すべてスプレーペイントで吹き付けて描く。「大きいほど面白いですね。人の顔などが得意ですが、なかなか描ける場所ありません」と中さん。シャッターや家の壁、道路壁面など新たな名所作りにもなりそうだ。県内には長岡市に1人いるが、全国的にもスプレーアート作家は少ないという。

写真・津南町正面のシャッターに作品展開する中さん

県中学駅伝、吉田男女優勝で全国へ、津南女子5位で北信大会へ  11月9日号
 吉田がアベックで県制覇、2年振り全国へ―。第22回中学校駅伝大会は2日に長岡市の国営越後丘陵公園(男子6区間18・05`、女子5区間12・05`。各出場42チーム)で開かれ、男女とも吉田が優勝。男子は3度目、女子は2度目、同校2度目のアベック優勝を果たし、来月16日に山口県で開く全国へ挑む。一方、津南中は女子が5位に食い込み、今月23日に松本市で開く北信越大会の出場権を獲得。男子は9位で惜しくも入賞を逃した。

 ○…目標を北信越大会出場に定めた津南中女子。序盤から10位以内に付け徐々にペースアップ。4区の富澤花(3年)が北信越大会出場権の6位まで順位を上げタスキをアンカーの橋陽花へ。橋は区間2位の力走を見せ順位をひとつ上げた5位でゴール。絶対的なエースはいないが3年生コンビの力走を始め、5人のチームワークでタスキを繋ぎ目標達成。富澤は「3年生のプライドもあり一つでも順位を上げ繋げたかった。北信越でもみんなで楽しく走り、上位をめざしたい」と話す。橋は「ミーティングを重ね、目標意識を共有できたのが一番良かった。北信越では県大会で負けたチームより上になるよう頑張ります」と気持ちを新たにしていた。

 ○…男子は風邪や故障でコンディションが整わない選手が多く出た影響もあり、序盤は40位と大きく出遅れる展開。主力の2区小林史弥(3年)、4区宮澤真太(同)が追い上げ一時は7位まで順位を上げたが、最終結果は9位で入賞を逃した。小林は「一生懸命追い上げたが届かなかった。ただ、みんなが全力で走った結果です」と悔しさを滲ませる。区間2位の走りで上位に迫った宮澤は「自分では良い走りができたが、チームの9位は悔しい。勝ちたかった」と肩を落とした。ふたりは冬季のクロカンでの全中出場をめざす。

 県駅伝大会結果(3位まで。地元勢は順位と走者を記載)
《男子》@吉田(廣田珠輝、横山徹、柳悠、関口恭、佐野裕也、佐藤勝)1時間01分36秒A小千谷南B能生H津南(滝澤拓巳、小林史弥、津端聖耶、宮澤真太、涌井慎、樋口蒼生)O十日町(田村和彦、庭野司、大島綾志、林大雅、村山寛至、熊倉勉)
《女子》@吉田(柳妃菜、濱野愛美、馬場真穂菜、大熊百合菜、斎木美月)A鳥屋野B小千谷南D津南(村山朋絵、富澤歩美、風巻美孔、富澤花、橋陽花)G南(遠田望、宮園侑希、小嶋由希、樋口明莉、服部智子)

サケ回帰最多、300尾に迫る、宮中ダム魚道で採捕  11月2日号
 信濃川中流域に建設された2つ発電所取水ダム(西大滝ダム、宮中ダム)で河川環境が大きく変わり、自然保全の象徴でもあるサケ遡上が激減したが、今期、発電所稼動以降、最多のサケが帰ってきている。JR東・宮中取水ダムの採捕調査で1日までに280尾を確認。中魚漁協など関係者は「水量が増えた事と共に毎年の稚魚放流の成果。さらに地元要望に応えた魚道改善の成果」と喜んでいる。一方、宮中ダムの約21`上流の東京電力・西大滝ダムの採捕調査ではこれまでに11尾の確認に留まっている。途中の清津川などへ遡上しているとの見方もあるが、西大滝ダム下流域の減水対策の見直しを求める声も上がっている。

 2つの発電所取水ダム建設で、長野・飯山市西大滝から新潟・小千谷市の魚野川との合流点までの63・5`が減水区間となり、河川環境が大きく悪化した。
 2009年、JR東・宮中ダムで不正取水が発覚。水利権取消で全量放流が行われ、往時の信濃川の姿が一時的ながらよみがえった。その後の協議で翌年2010年から試験放流調査が開始され、3年目の今年、地元要望に基づいた魚道改善による新しい魚道が設置された。サケ回帰は試験放流初年度は146尾、昨年は135尾だったが、今期はいっきに前年の倍以上の280尾が帰っている。採捕調査は今月10日まで続く。

 長年、減水に苦しみ、河川環境の改善運動に取り組み、毎年稚魚放流している中魚漁協・長谷川克一組合長は、今期の目標2百尾を越え、感慨深い。「今回帰っているサケは4年魚が多く、4年前に23万尾放流した成果と共に、水量が増え、魚道改善などそれぞれの取り組みが効果を上げている。今回の遡上数を見るとやはり稚魚放流が重要で、今後の目標は毎年100万尾の放流をめざしたい」と話す。昨年は55万尾放流している。

 3年前から試験放流に取り組み、魚道改善で今期新しい魚道を設置したJR東は「過去3ヵ年と比較して最多の遡上数となっている旨は伺っていますが、検証結果については国交省が事務局の試験放流検証委員会で議論を頂いて見解が出るものと認識しています。今後も試験放流・調査を実施し、検証していただくなかで委員の皆様のご意見を伺いながら、河川環境と水利用の調和に努めてまいりたいと考えております」としている。


 一方、宮中ダムから約21`上流の東京電力・西大滝ダム魚道での採捕調査では1日現在、11尾(オス7、メス4)の確認に留まっている。両魚道での確認数の差について中魚漁協の長谷川組合長は「中津川を上るサケの目撃情報が多数ある。中津川で自然産卵している可能性がある。だが川の状態を見ると、宮中ダム下流域に小石が多く、産卵場所に適している」と、長野県境の志久見川にも遡上している可能性を語る。

 だが一方で、東京電力・信濃川発電所(津南町三箇)放流口への迷入を指摘する声もある。県を越えて組織するNPO新潟水辺の会(代表・大熊孝夫新大名誉教授)では「排水口の方が本流より水量が多く、サケは流量が多い方に行く。来年、この場所で水中カメラを使って調査する予定。途中の河川に上っている館王政もあり、聞き取り調査を行いたい」(加藤功事務局長)と話している。
 西大滝ダムからの放流量との関係もあるが、今期、宮中ダムからのサケ遡上機の放流量は毎秒60d、昨年は同80d、試験放流初年度は同100dだったため、関係者は「法流量とサケ遡上数の関係をしっかり研究する必要があり、東電の毎秒20dとの関係も考える必要がある」としている。

写真・宮中ダムで採捕したサケを測定する中魚漁協関係者(1日午前8時、宮中ダムで)

新ライフスタイル「中島恵子」、健康運動指導士、子どもたちの体力アップを
 子どもを育てるようになって保育園や小学校に足を運ぶようになった。そこで衝撃を受けた。「運動が苦手な子が多すぎる。体力もなさそう。何とか私にできることはないだろうか」。小学校時代からクロカンスキーに取り組んできた津南町中子の中島恵子(37)はそう思った。 (敬称略)

 「みんな思い切ってジャンプしてみて」。6年前ほどから健康運動指導士として町内の保育園に足を運ぶ。「幼児体力づくり教室」の指導のためだ。そして改めて実感している。「子どもたちの体力が落ちている。だからケガも多い」。ただ運動が得意な子もいることは確かだが「運動が苦手な子との差がすごく広がっているんです。その差を何とか縮めたい」と考えている。
 目を巡らせれば自然が豊かで遊ぶところもいっぱいある。だが、子どもたちの遊ぶ姿はほとんど見られない。「子どもの数が減って、友だち同士、近所で遊ぶことなどなくなっているし、それに家の中でゲームばかりしている。木登りなどしたことない子ばっかりですよ」。そうした環境にメスを入れたいという。

 保育園では何よりも遊ぶことを第一にしている。「子どもたちは遊びから学んでいくんです。下手に転べば痛いし、『このくらいの高さから飛ぶと危ないぞ』などとね。身を守るすべが分かってくるんです。同時に運動神経もどんどん発達していきます」。
 70代や80代らの高齢者を対象に11年間、寝たきりゼロ運動のインストラクターとして健骨体操や水中プールでの指導に当たってきた。今は逆に幼児が中心だ。「どちらも大切。ただ、これから成長していく子どもたちにはどう変わっていくか、楽しみがありますね」。

 活動はボランティア。それでもいきいきと出掛けていく。「子どもたちに会えるのが楽しいんです。元気をあげたいし、自分も元気をもらっています」と活動がある日を楽しみにしている。

柱千本の家、注目の耐震住宅、栄村で建設  11月2日号
 県境地震で住宅全半壊202棟の被害を受けた栄村で、「家は命を守る入れ物・柱千本の家」と呼ばれる住宅建設が進み、地域内外の関心を集めている。厚さ10・5a、幅2・1bの分厚い杉材を組み合わせ、積み上る。従来の柱主体の建築ではなく、厚い木材を面的に作り上げる工法。10年前に独自考案し、名古屋工業大学での実験では、耐震数値上限でも倒壊しなかった頑丈な強度を持つ100%木材を使った住宅だ。被災地では「とにかく地震に強い家を」が合言葉になっており、この頑丈住宅に関心が集まる。
 
 工学系のエンジニアだった柱千本の家・堀尾憲市社長(65)。「家は、その暮らす地域の気候風土で育った木材で作るのが一番。地産地消です」。森林の有効活用を考え、建築分野の産業おこしに取り組み「柱千本住宅」を考案し、実証実験を重ね工法を確立した。
 この「柱千本住宅」を栄村震災復興住宅導入に同村へ申し込んだが、工期などの関係で不採用。栄村森林組合勤務の広瀬健一さん(43)は関心を抱いた。青倉の両親家が全壊、隣接の広瀬さん方は半壊の震災被害。新築を迫られ、同社建築の岐阜県内の家を見学。「すべて木で作っている。頑丈そうだ」と決めた。

 地盤作りから始め9月に着工。 厚さ10・5a、幅20・1aの杉材で壁を積み上げ、組み合わせる。今回約30dの木材を使う。従来の柱は一本もない。このため室内の全面が木となる。
 「木は夏は断熱し涼しく、冬は保温効果で暖かく調整してくれる。結露はなく、木が人の身体に良い適度な湿度調整をしてくれる」と堀尾社長。耐震は名古屋工業大で実験。震度上限値でも倒壊しなかった。「在来工法のように柱が動き、倒壊することはない。厚い木が面で支えるため耐震度は相当強い」。さらに耐雪度も期待できる。「3b以上でも大丈夫。それだけの木を使っている」と自信を見せる。屋根は平坦タイプ。

 仕事柄、木材への関心が高い広瀬さん。「木の家というが100%の木の家はそうないでしょう。この工法は木の強度をうまく使っている。この住宅建築を地元で取り組めたら、間伐材の活用など地元林業にも貢献できるはず」と期待する。栄村森林組合は震災後、製材工場を整備し、長野県認定工場となり設備機器を充実している。

 堀尾さんは、地場産業の支援を考えている。「栄村には広大な森林がある。この工法での家作りは、地元森林の活用につながる。地域経済にも好影響を及ぼすだろう。技術指導は協力したい」と支援する意向だ。柱千本の住宅は、降雪前に完成する予定だ。

写真・建設が進む柱千本住宅(26日、栄村青倉で)

ジオパーク実現へ、津南町が推進協議会設立へ  11月2日号
 国内有数の河岸段丘や苗場山、鳥甲山の火山活動などで形成された秋山郷の柱状節理など活かし「ジオパーク」認定をめざす津南町。地質、植物、考古など専門家を集め昨年末から認定めざし協議を重ねるが、一方で課題も出ている。ジオパーク認定は町教委文化財班が中心となり進めるが、構想の具体化を図る「津南郷歴史自然環境活用検討委員会」(委員長・島津光夫新潟大名誉教授、8人)から「将来的に観光にも繋がる事業。町のトップや県の出先機関、町地域振興課、観光協会などと連携し、栄村を含め広域の推進協議会を早期に立ち上げる必要がある」と横の連帯を求める声が上がっている。

 町はNPO日本ジオパークネットワークに加盟、先月10日に準会員に登録。現在正会員25、準会員15地域。県内では世界ジオパークに糸魚川が認定、佐渡と津南地域が準会員。町教委の計画では2年後の正会員登録をめざすが、他の団体は地方公共団体の出先機関、青年会議所、森林組合や観光協会などと地域一帯で連携し申請するなか、津南町の関係団体は現在町教委財班と同検討委のみ。検討委では来年度の専門部署「津南郷ジオパーク準備室」の設置、総合的な案内看板設置と住民ガイド育成、栄村など含めた広域の推進協議会の早期発足を主な課題にあげる。

 一方、町地域振興課では来年度に秋山郷に新看板を設置予定、すでにデザイン公募を開始。ジオパーク認定をめざすなか、新看板は歩調を合わせる契機と言えるが、連携した取り組みにはまだ至っていない。地質専門家で佐渡地域のジオパーク認定にも関わる島津委員長は話す。「津南のように柱状節理や河岸段丘など一目でわかる地は少ない。多雪、縄文、鈴木牧之、地震など物語性もある。申請地域が全国で増える今、チャンスを活かさないのは惜しい」と町挙げての連携と取組みのスピードアップを促す。一方、津南町の桑原正教育長は「今はしっかり基礎となるプランをまとめ、その後に準備室、連携協議会を発足させたい。町地域振興課などにも協力を求めていく」と方針を話す。町の本気度が試されている。
    ※   ※
 第3回検討委は30、31日と開き、初めてメンバーが秋山郷を実地調査。柱状節理が顕著に見られる見玉の石落とし(屏風岩)、屋敷の布岩など秋山郷を中心に視察。会議では「雪をテーマにした申請地域はない。大きな特色となるので雪の利点を紹介する取り組みを」や「全町で盛り上げるため認定するNPO日本ジオパークネットワーク委員を招き講演会を」などと活発な意見を交わした。次回検討委は今年度末に開く。

震災復興、「年越しは福幸そばで」、被災地栄村で栽培  11月2日号
 福幸そばで年越しを―。県境地震で被災し亀裂が入り作付けできない水田を活用し生産した栄村産そばを使った「福幸(ふっこう)そば」のインスタントカップ麺と乾麺が来月販売される。予約受付は5日開始。「地震に負けずに作りました。復興支援に感謝の気持ちを込めています」とPRしている。

 地震にも負けない歩みとあきらめない勇気を届けたいと、復興祈願を込め昨年作った乾麺「福幸そば」は2・5万食を生産、テレビでも取り上げられわずか2週間で完売。今年も復旧が間に合わなかった森地区の水田3・6fでそば栽培。乾麺は昨年の倍の5万食を生産。さらにベビースターラーメンの「おやつカンパニー」(三重県)が協力、栄村産コシヒカリご飯のお供にとミニカップそば6万食分を製造。デザインは信州大学生が考え、栄村のシンボルカラー「緑」のプリントが目を引く品だ。村内外に予約で配送、森宮野原駅などで店頭販売も行う。

 森地区開田で先月24日にそばを収穫し準備は万端。約3fのうち1・8fで稲作付けができずそば栽培した廣瀬ヤスさん(77、森)は「来年はまた稲を作るのでソバ作りは最後。震災に負けずできたそばをみんなが笑って食べてくれれば嬉しいね」。乾麺は一袋2百cで3百円、ミニカップ麺は105円で販売(各税込)。予約申込みは栄村振興公社рO269(87)3115。

自立同士で連携、津南と湯澤の両議会が初懇談  11月2日号
 合併しない自治体を選択している湯沢町と津南町の両議会懇談会を31日、津南町役所で開き、農業課題や震災、原発事故など防災課題、さらに学校統合などについて意見を交わした。湯沢町議会からは「湯沢町は原発再稼動反対を決議し意見書を提出したが、津南は否決した。残念だ」など率直な意見が聞かれた。

 湯沢町議会12人、津南町議会16人の全員出席で懇談。課題ごとに津南の担当職員が現状と課題を説明し質問を受けた。「津南産の雪下ニンジンなど野菜や米が湯沢にどの程度流通しているのか」、あるいは「放射性物資の風評被害はないのか」など類似課題を質問。津南担当者は「湯沢町への農産物流通は把握していない。原発事故の風評被害はサンプル検査で随時発表し安全対策を講じている」などを説明した。

 関心が集まったのは湯沢町が3月議会で決議した「柏崎刈羽原発の再稼動反対決議」と6月に再稼動反対の意見書提出。湯沢町議員から「湯沢町は原発再稼動にノーを出した。1次産業の農業に大きな影響を与える。万一の場合、影響が出ると思うが、津南町議会はそれが否決した。残念だ」と議会の姿勢の違いを述べた。この問題提起に対する津南町議会側からの意見はなかったが、町総務課の防災担当は「原子力災害の防災計画を立ることが必要。この地(津南)が事故後、即時避難すべき地ではないと認識している」と防災計画の中に原発事故対応を盛り込むことを説明した。 

頼もしき後継者、伝統継承の赤沢神楽  11月2日号
 300年余の伝統を誇る津南町無形文化財の「赤澤神楽」。貴重な民俗芸能を次代へと活動する保存会(滝沢茂光代表)に、20代と30代の若手2人が新たに加わった。今月に入り週2回の練習を重ね、2人のデビューは今月3日の町芸能フェスティバル。伝統を担う次世代の加入に、活気が増している。

 新たにメンバー入りしたのは石田寿彦さん(30)、滝沢勇太さん(28)。共に生まれ故郷の赤沢に帰ってきた若者。取り組む演目は「剣の舞」。若手が最初に習う登竜門で、短刀を口にくわえ、さらに両手に剣を持ちでんぐり返るのが見せ場。同神楽の天狗に憧れ加入したという石田さんは「せっかく戻った地元がもっと元気になるようにと参加しました。子どもの頃はおっかなかった天狗、今は自分で演じてみたい気持ちが強いです」。津南に帰り6年、現会員に誘われ入った滝沢さんは「伝統ある神事でプレッシャーはありますが、いつか楽しめるようになるまで一生懸命やりたい」。練習にもつい熱が入る。

 2年前に本公演を行い、全演目を披露した赤澤神楽。保存会メンバーは30代から60代を中心に20人余。ベテランが足の動き方、立ち居振る舞いを伝授、若者が覚えまた次世代に伝えるサイクルはいつの時代も同じ。滝沢代表(70)は「人の目がある発表の場は成長に繋がり、教える側もまた刺激になる。後継者を育てていきたい」と話す。町芸能フェスティバルは3日午前10時から町文化センター。赤澤神楽は「獅子舞」「剣の舞」「天狗の舞」の3演目を披露する予定だ。


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