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2012年08月の津南新聞「トピックス」

過去の津南新聞トピックス
わさび栽培、栄村試験田が成功、全国マイスター・鈴木さん「津南でも」  8月24日号
 良質な水資源を活用し、わさび栽培の特産化に津南町、栄村住民などが主体で取り組み、栄村北野の湧水を活用し、昨年から試験栽培を行う。18日には全国的なわさび栽培産地、静岡・伊東市のわさび生産者で農水省認定の全国わさびマイスター・鈴木丑三さん(80、津南町出身)が北野の試験田を関係者と訪れ、生育状態を確認した。昨年、関係者と苗植えした鈴木さんは「この根の張り、素晴らしい生育ぶりだ。来春には収穫できる」と試験栽培の成功に太鼓判を押した。  

 昨年9月、北野の湧水源近くに村の協力を受け、14平方bほどの試験田を作り、鈴木さん持参のわさび苗25本を植えた。1ヵ月後に同地を訪れ、苗の活着を確認。その後、冬季は鈴木さん指導で、丸太木数本で覆うだけで冬越し。雪消え後、青々とした葉が繁り、今回の訪問でしっかりと太い株を確認。「通常は春に苗を受けるが、秋に植えてこれだけ育つのは、ここの水が合っている証拠。わさびは根張りが最大のポイント。良いわさびができる」と生育の良さを評価した。

 このわさび栽培、津南町でも栽培田作りに取り組むことになった。候補地は名水竜ヶ窪の流末水を活用し、ヨシで荒廃している「マス池」周辺を予定。鈴木さんは「竜ヶ窪の水は最適だ。最高のわさびができる。わさびは、生出荷のほか加工分野が広く、捨てるところがない作物。私が持つ技術や栽培ノウハウを提供したい。自分の生まれ故郷に恩返ししたい」と話し、資金援助も予定している。

 さらに、「津南と栄村の交流の歴史は長い。地域一体での取り組みが可能で、良質の水資源があるこの地は、わさび栽培の適地。国の6次産業化事業など導入し、一大産業に育てることができるはず。私も協力したい」と話す。鈴木氏は、全国わさびマイスターの功労で黄綬褒章、林野庁長官賞など受章。地元静岡はじめ奈良、和歌山、北海道、大分、熊本などで技術指導し、今は岐阜で栽培アドバイスをしている。

連載・私の芸術祭「五感で体感、妻有をまるごと」 十日町市桑柄沢「はさベッド」  8月24日号
 真っ白な一面のそばの花の中に、6つの「はさベッド」がある。ベッドに寝転がると、はさを通して見る空の青さ、虫の声、柔らかな風、草の香り、ベッドのかすかな揺れなど、石沢久和さん(44)は五感で楽しみ、心地よいひと時、身を委ねた。

 十日町市から南魚沼に抜ける大沢トンネル真上の集落、鍬柄沢集落。建築家、小川次郎准教授(日本工業大学)と同研究室は03年、06年に次ぎ3年連続、同集落で作品展開。今回、「昼寝に最適なベッド」を作った。集落が一望できる高台にあり、真下を県道が通り、虫の声や風の音を、時おり遮るように車のエンジン音が響く。峠越えの里山、かつては人が往来し、今は車は行き交う地だ。
 第1回大地の芸術祭の2000年。その翌年、津南町職員の石沢さんは、芸術祭事務局がある十日町広域事務組合に派遣された。第3回芸術祭の年の3月まで5年間、芸術祭事務局に関わる。以降、芸術祭のガイドボランティアとして、職務のかたわらツアーガイドなどに取り組む。
 
「芸術祭の醍醐味は、アートを見に来たにも関わらず、この地の圧倒的な自然や歴史、さらに地域の人との交流、食や産業など越後妻有のありのままを体感できる。この芸術祭は、越後妻有ファンを作ることでもあります」。ガイドでは『この蕎麦屋の看板は岡本太郎が描きました』など、地域ネタを取り入れている。
 芸術祭に初回から関り、その変遷を見てきた。「空き家作品が多くなり、素晴らしい作品がたくさんあるが、『大地』の芸術祭であり、大地の中に立つ屋外作品がもう少し多くあってもいいのでは」と感じている。

 今回、気になる作品の一つがこの「はさベット」。妻有地域の稲作農業の知恵、「はさ木」を活用。木を組み合わせ小屋風のベッドを休耕田に。いまベッドは、真っ白なそばの花の中に浮いているようだ。「五感で体感できる作品。そこが面白い」と石沢さん。
 
 芸術祭には、こへび隊はじめ地域と関わる若者の姿がある。今回、十日町市・津南町の100余の集落で作品展開され、その製作過程から多くの若者たちが、お年寄りなど地元民と交流している。「この交流の中で、地域の今後を考える新しいアイデアが生み出されている。今回までの5回の芸術祭で、その土台ができてきている」と見る。
 芸術祭を通じ、そこに関わる若者との交流を通じ、作品を受け入れている集落は、「元気が出てきていますね」。

不可解な災害住宅の入居選定、栄村、県や国との信頼関係は  8月24日号
 震災被災地の栄村で建設が進む31世帯分の震災復興公営住宅の入居決定予定書が17日、仮設住宅などの被災者に配布された。だが、入居申請した31世帯すべてではなく、再度検討が必要な世帯が出ており、月末までに決定する方針。この災害公営住宅は村が県を通じ、国の震災復興交付金事業で建設を申請し、31世帯全戸の入居を前提に進める事業。ここにきて入居選定をめぐる問題が浮上し、申請した村、それを受け国にあげた県、さらに被災入居者の内定を受け事業認可した国との信頼関係の問題に発展しかねない状態だ。31世帯の住宅建設が進むこの段階での混乱。不可解さが広がっている。

 今回、入居決定予定書が配布されなかった世帯は、「数世帯あるが、数は明らかにできない」(村住宅係)としている。今月末までに再度検討し、最終決定する方針。村は当初、入居資格を持つ入居希望世帯全戸の入居を内定していたが、今月2日作成の「長野県北部地震災害住宅の設置及び管理に関する条例」制定で、「入居条件に合致するか、聞き取り調査が必要な世帯もある」となった。

 その一つが所得制限。今回の東日本大震災対応で国は震災復興特区制度をつくり、長野新潟県境地震エリアも入る。この中で災害公営住宅入居に関する所得制限を補う法整備を合わせて行っている。これにより東北エリアでは災害公営住宅の入居希望者はほぼすべて入居でき、復興への足がかりになっている。同制度は栄村にも説明されている。

 今回の入居選定をめぐる問題。村の震災復興のあり方全般を協議する村震災復興計画策定委員会(委員長・木村和弘信州大名誉教授)への経過説明はまだないが、同住宅建設の復興交付金事業計画は同委員会を経由して県に上げているため、事業計画の変更、さらに事業内容の根幹に関わる事項だけに、同策定委員会への報告が必要だ。次回の同委員会は来月中旬、同会で村がどう説明するか注目が集まる。

 一方、建設が進む震災公営住宅の構造見学会を25日午前10時から行う。長野県産材を使って建設する同公営住宅。当日は、製材を担当する栄村森林組合製材工場を見学後、JR横倉駅前で建設中の同住宅を見学する予定だ。

地域自治、「自分たちで上郷を」、津南は初地域自治組織誕生   8月24日号
 7年前の中越地震、昨年3月の県境地震、豪雨災害などを契機に、地域間の共助、共援を組織化し、地域課題に取り組もうと津南町の上郷地区は18日、「上郷地区振興協議会」を設立した。町の新年度予算編成時期に合わせ地域課題を出し合い、同協議会として町に要望するなど、地域の独自性を全面に出す津南町初の「地域自治組織」活動をめざす。将来的には町などからの財源を一本化し、地域自治組織活動に発展させたい方針だ。
 
 上郷地区振興協議会は、旧上郷村の一部を除く17集落、約4百戸が加入して設立。今年2月に発起人会を立ち上げ、4回の準備委員会を開き、設立準備を進めた。組織的には、同協議会総会を意思決定・最高議決機関として、日常活動の運営は「地域づくり委員会」が行う。同会は旧小学校区(寺石、宮野原、大井平)から代表5〜6人、女性代表など20人で組織。この中に「総務企画」「イベント」「広報」「防災」の4部会を設置。専門分野ごとに地域課題を協議、研究、必要に応じ同協議会にかける。

 運営は、各戸年間百円会費で行い、初年度の今年は国の震災復興支援事業「地域づくり推進モデル支援」事業を取り入れ、来年度と合わせ約2百万円事業を申請し、活動財源にする方針。同事業導入で、上郷地区地域づくりビジョンを作り、活動方針を示す方針だ。

 活動内容は◎豪雪・地震など災害時における集落、地域で支えあう共助の組織づくり◎過疎化・高齢化による集落機能の維持低下対策の検討◎旧上郷中学校の利活用の検討提言◎地域住民の連帯感の醸成、親睦、絆を深めるための行事企画◎各集落、地域の要望実現に向け行政関係機関への要請活動◎地域振興策に関すること…としている。

 島田福雄・地域づくり委員長は「地域課題は多いが、各集落が個々に要望や取り組んでいたのでは、高齢化の差などで地域格差がますます広がる。上郷地域の共通課題や防災対応、遊休施設の活用など地域全体で取り組みことで、より効果的に活動でき、さらに町への要望も重点的に行うことができる。行政と連携し、地域自ら動き、地域をさらに良くする活動に取り組む」と設立のねらいを話す。

 今年度事業では、栄村と長年交流の「しなちく祭」を継続開催や地域全体の共通理解、情報共有のため広報誌を発行する。さらに地域内の独り暮らし世帯の把握、避難所の確認など上郷独自の防災計画作りにも取り組む方針。10月末前後に同協議会臨時総会を開き、町への要望事項などをまとめる方針だ。

衆参現職、さながら改選前夜、関口市長集会に顔揃える  8月24日号
 来年4月30日に任期満了を向かえる十日町市の関口市長後援会は19日、十日町クロス10で市政報告会・納涼会を開き、720人が参集。同市長は「30年先の十日町づくりを条例で定める取り組みを、市民代表38人で進めている。この条例で十日町が歩む未来が決まっていく。来年3月の市議会に提案する」と、市政方針を話し、市政継続の強い意思を示した。

 この集会で関心を集めたのは、年内にも総選挙がある衆院、さらに来年改選期を向かえる参院の各代議士が顔を揃えたこと。「出席要請はしなかったが、ぜひ出席したいと多数から連絡があった」(後援会幹部)と、民主・参院の田中直紀氏以外、6区関係の衆参代議士6人が顔を揃え、さながら国政選前夜の様相。さらに関口市政評価も「辛口」「甘口」が聞かれ、「与野党同舟」の来賓席は、いちだんと暑くなっていた。

 来賓トップの小沢新党「国民の生活が第一」の参院・森裕子氏は、ストレート表現。「国からの芸術祭交付金1億円が古着の山になったのは、理解しがたいが、多くの人が訪れているようだ」、さらに新文化ホール建設にも触れ、「地域主権でやっていくというが、今さらの感がある。私達は皆が元気になるための地域分権を進めていく」と、関口市政をチクリと刺した。

 一方、民主参院・風間直樹氏は「6区でも、県内でも代表する有能な市長だ」、自民参院・水落敏栄氏は「相手候補が出ないのではと思うが、へそ曲がりがいるので…」、自民参院・塚田一郎氏「十日町市のためにも長期政権を確実なものに…」、自民参院・佐藤信秋氏は「2期目といわず、5期、10期を…」。民主衆院・筒井信隆氏は評価には触れなかった。改選を意識した来賓の言葉に会場からは「何の集会か」と次々に登場し、自己アピールする国会議員に冷笑していた。

 一方、関口市長は、豪雪、震災、豪雨災害への取り組みなどを話し、懸案のJR東・宮中取水ダムについて「来年は大事な年になる。信濃川の水を、孫子にどう引き渡していくか、である」と来年実施の変動流況型放流の試験の重要性を示した。さらに現在17人が市内各所で活動する「地域づくり協力隊」について、「十日町市の取り組みは全校モデルになる。3年目の任期満了を向かえ、地域の農事法人や野菜工場への就職など、地域の大切な人材に育っている」と評価。市政継続の懸案である市街地活性化事業では「過去30年ほどはなかった投資家の投資が生まれてきている。確実に投資マインドが変わってきている」と、今後、億単位での投資が期待できると示唆していた。

ひまわり広場、過去最高の7万人  8月24日号
 過去最高の来場者が―。開園23年目の津南町沖ノ原ひまわり広場。昨年は東日本大震災や県境地震、新潟福島豪雨と災害により入込客を大幅に減らしたが、今夏は一気にV字回復。普通車来場は6年ぶりに1万7千台を突破、総入込は30日間で6万9524人(前年比86%増)と過去最高を記録。大地の芸術祭、晴天続きの好影響もあり、関係者は「ひまわり広場のある津南の魅力をアピールできた」と喜んでいる。

 今期は普通車1万7400台(前年7647台)、団体の大型バスは計160台(同153台)、マイクロバス17台(同11台)と大幅増。普通車は1台3・5人、マイクロバス20人、大型バス40人で換算。これにバイク来場者196台と、オープン時間外来場者数を見込みで1日平均20台余を加え、入込数を算出。来場者は県内が8割を占める。ピークは5日の普通車1572台(同995台)、入口付近で1`余の渋滞もあった。同広場のこれまでの過去最高入込は町地域振興課によると平成18年の6万8752人。
 
 町内各店で割引サービスなど受けられる好評のクーポン付マップは継続製作したが、新たな集客企画はなかった同広場。好調の理由を実行委員長の町地域振興課・石橋雅博課長は「好天が続いたのが一番大きい。地震の影響で交流人口が減った昨年と違い、人の動きが戻っている。津南のひまわり広場のロケーションの魅力は飽きられていない。継続し町内への波及効果に繋げたい」と話す。なおクーポンは芸術祭会期の来月17日まで使用できる。

米豊作傾向、真価問われる津南認証米、消費者周知が課題  8月17日号
 「津南町で作った米は美味しいです」と、生産米の品質を自治体が保証するという画期的な取り組みを昨年初めて実施した津南町。その名も「津南町認証米」制度。今期も継続し、認証米指定された米1俵あたり助成金1500円の生産農家に支給する。今期の認証米に該当する栽培面積は約256f(生産条件は特別栽培米)。来月中旬からの米収穫、出荷の成り行きに関心が集まる。町では、「今期は豊作傾向。米余りが予想され価格下落が心配されるが、こうした時こそ認証米の真価が問われる」と、昨年の米不足とは違う状況の今期、いよいよ津南町認証米の真価が問われる状況になっている。

 この制度を進める町地域振興課では「豊作傾向で米余りの状況だが、こうした時のための認証米制度である」と自信を見せる。
認証米の初年度、昨年の栽培面積は240f(特別栽培米面積)。179農家が減農薬、減肥料の栽培基準に添って米作りを行い、特別栽培米の出荷量は3万4177袋(30`、1万7088俵)。この中から町認証米基準であるJAS認定基準、1等米、選別基準(網目1・9_以上)、タンパク値5%〜6%内などの認証米基準をパスした認証米数量は2万8362袋(同、1万4181俵)。認定率は87%だった。

 今期は、栽培面積256fと前年比16fほど増え、出荷量も増える見込みだ。この認証米。課題は流通過程における価格上乗せと消費者への周知と店頭価格の動き。JA津南町など集出荷業者の直接販売(白米販売)では、認証米専用のシールを米袋に張り店頭販売している。一方、全農や町外の米卸業者などを経由しての店頭販売では、同シールを張られることはなく、「認証米という差別化が、小売の末端まで届いていない状態。そこが課題でもある」(地域振興課)としている。
 
 この課題は、生産現場も注視している。町内の個人栽培で特別栽培米の最多面積を耕作する村山文雄さん(49、7・5f)は、認証米制度を評価する一方で課題も指摘する。「まず1年目の検証をしっかりする必要がある。特に小売段階での消費者へのアピール。そうした追跡調査も必要」。さらに新潟県認証を取得し4年目を踏まえ、「生産現場の意識改革も必要。農家に消費者に売る戦略まで求めるのは無理で、共同化など連携も必要では」と課題を話している。

 一方、魚沼コシヒカリは最近、高値のために売れ残りが相次ぐケースが出ている。「価格の問題だ。やはり高値感がある。確保した魚沼産が残り、新米シーズンを迎えると抱えている魚沼米の値引きが始まるが、こうした時、特別栽培米、それも自治体がその品質を保証する認証米は売れ残る心配まずない。そこが強みであり、この認証制度のねらい」と石橋地域振興課長は話す。
 いよいよ今期の収穫、出荷を目前に控え、2年目の津南町認証米の真価が問われるシーズンを迎える。

写真・順調に生育する特別栽培米。来月中旬から収穫が始まる(津南町貝坂で)

連載・私の芸術祭、作家を通じフィリピンの里山と交流する十日町・下条地区  8月17日号
 今冬の豪雪のさなか、2月18日から1週間、十日町市下条の人たちはフィリピン「イフガオ」を18人で訪れた。3年前の第4回芸術祭で下条・塩野で作品展開したフィリピン映像作家、キドラッド・タヒミックとの交流で実現した訪問だ。
 「田植えの真っ最中だった」。メンバーの村山薫さん(67)は、急傾斜地につらなる棚田の情景を今も思い出す。「木工と米作りの地域。十日町の棚田より急傾斜で、小さい田が階段状につながっていた。驚いたのは家の造り。茅葺き民家で、かつての下条と同じ。日本の田園風景そのままだった」。

 今回の芸術祭の新企画の一つ、飯山線駅プロジェクト。「下条駅でやってくれ」と真っ先に手を上げた下条地区。『みかんぐみ+神奈川大・曽我部研究室』が同駅での作品「下条茅葺きの塔」。オモチャの家のような駅舎のわきに高さ13bの茅葺き塔が建つ。茅刈りは下条住民も手伝い、らせん状に切り込んだ茅葺き屋根が、シンボリックに建つ。中には、地元民が使っていた農具や民具を飾り、民衆の営みを現す。「かつて下条は茅葺き職人のまちだった」。

 さらに、キドラット・タヒミックと造形作家・小沢剛による下条プロジェクトもスタート。3年後の2015年芸術祭に向けた交流プロジェクトだ。下条地区とフィリピン・イフガオ地区との交流で作品展開する。今回は、下条駅前の茅葺きの塔前にイフガオの民家を建てた。それも下条地域にある素材、廃材を活用。下条オリジナルのイフガオの民家を建て、同地の伝統の生業であった茅葺きの家とコラボしている。

 ペインティング業の村山修一さん(57)は下条駅近くで暮らす。芸術祭への関わりを今年一歩踏み込んだ。ボランティアガイド登録し、ツアーバスや作品管理スタッフとして活動する。
「芸術祭は異文化との出会いが魅力。作品を通じての人と人との出会いや作家との交流が面白い。もっと地元の人たちの関わりがほしいですね」。今回、実感として強く感じている。

 茅葺きの塔の曽我部昌史デザインのオリジナルTシャツを作り販売。芸術祭シンボルの「黄色い三角」布を市街地全戸に掲げた。「地域には様々な考えがあるが、芸術祭を通じて少しつづ下条は元気になっている」。修一さんは自信を込める。
 国道117号を挟み下条駅の反対側にある地域交流の拠点「みよしの湯」がある。次回2015年、この温泉施設そのものが作品となる計画も進んでいる。「作家とこれだけの人たちが訪れる芸術祭。地域が元気になる契機に、確実になっている」と薫さんは語る。

真夏の成人式、栄村で22人が  8月17日号
 ◎…栄村の真夏の成人式は15日、村文化会館ホールで開き、該当者22人のうち19人が出席。女性はゆかたやカジュアルドレス、男性はスーツ姿などで出席し、新成人を代表し、中京大3年で長距離に取り組み全日本大学選手権出場をめざす藤木勇紀さん(21、極野)は「村外から栄村を訪れた人は、栄村は人が温かいと言う。それは日頃のあいさつ、コミュニケーションが出来ているから。あの大震災で直接の犠牲者が出なかったのも、そのおかげ。このあいさつを大切にすることで、栄村はさらに素晴らしい村になる」と県境地震を通じての思いを語り、出席の新成人や臨席した保護者や村関係者などに呼びかけた。

 ◎…同村の成人式は毎年、終戦記念日の8月15日に開催。村の次代を担う若き新成人に、島田村長は昨年の県教地震の被害状況や村の復興への取り組みを話し、全国から10億円余の義援金が寄せられていることに感謝。さらに、今回の新成人が生まれた20年前の村人口3千百人が、今は2千2百人、20年間で9百人減少。過疎・高齢化が進むなか「夢と志を失わず、目標に向かって挑戦してほしい」と新成人を激励。中学3年の恩師、酒井剛教諭も箕輪町から出席。「どこで、どんなことをしていても、栄村で育った誇りを持ち、社会に貢献することが栄村への最高の貢献だ」と5年前と同様に、熱きエールを贈った。

戦争体験を後世に、保育園疎開を経験の田辺さんが絵本寄贈  8月17日号
 「戦争の歴史を風化させないで」―。14日、父が津南町出身で横浜市在住の田辺健之(けんじ、72)さんと町内反里口出身の妻・輝子さん(72)夫妻が上村町長を訪問。健之さんがモデルとなった戦時中の保育園疎開体験を描いた児童書『けんちゃんとトシせんせい』(文・高木敏子、絵・狩野ふきこ。金の星社刊)を10冊寄贈。この日は輝子さんの実姉の樋口キミさん(75)も町長室に訪れ「津南の子どもたちにぜひ読んでほしい」と上村町長に手渡した。

  健之さんは東京生まれ。父は戦死し、昭和19年に空襲が激化するなか、全国でも珍しい保育園疎開で埼玉へ。その後東京大空襲で母と妹、祖父母を亡くし5歳で戦災孤児に。父の実家である町内堂平に引っ越し、小学1、2年時を旧中深見小で過ごした。同書はこの保育園疎開を引率した福地トシさんの昔語りを元に製作。主人公の『けんちゃん』が健之さん。家族を亡くす辛い経験と戦争の悲惨さを訴える同書は重版が続いている。「日本で戦争があった、という歴史を次の世代に伝え、記憶を風化させないでほしい」と健之さん。本は町内各小中学校、町図書室に頒布する。

100bの「そば流し」、中里で交流会  8月17日号
 ○…長さ百bの流しそばだ〜い―。大地の芸術祭飯山線プロジェクトの越後田沢駅盛り上げ特別企画として12日、同駅前で長さ百bにわたる『流しそば』が行われ、真夏の太陽が照りつけるなか、親子連れら350人が竹に流れるそばに舌鼓を打った。
 
 ○…企画したのは中里地域協議会の田沢第2地区協議会。「坂道大作戦」と名付け芸術祭とともに楽しみながら盛り上げちゃおうと、そばのマチ・十日町のPRも兼ねて実施。ところが、いざ開いてみると予想以上の人が集まり、180人分を用意したそばはあっという間になくなって足りなくなる事態に。急きょ汗だくで「増産」してした。参加した親子連れの母親は「楽しかった。こういうイベントをぜひ続けてほしいですね」と喜んでいた。

トップの走りを学ぶ、涌井圭介選手(ヤクルト)が指導会  8月17日号
 〇…津南出身のトップアスリートが子どもたちを指導―。駅伝やフルマラソンで活躍のヤクルト・涌井圭介選手(28、羽倉出身)が10日来町し、津南駅伝チーム・心友懸走会の練習に参加。小学生から一般20人余と共に走り交流。涌井選手が実業団チームで実際に行っているインターバル走を行い汗を流した。国内トップレベル選手の走りを間近で見た外丸小4の風巻陽翔君は「走り方が全然違う。あんなふうに速くなりたい」と羨望のまなざし。
 
 〇…心友懸命会(江村大輔代表)は涌井選手らが活躍した津南高陸上部出身者がコーチを務め、子どもたちに走る喜びを伝えようと週1回練習。涌井選手もメンバーに名を連ねる。以前から共同練習を呼びかけ、この日念願の実現。涌井選手は「自分も幼い頃、津南の先輩方が走る楽しさを教えてくれた。大人になり、地元の子と一緒に走るのは夢のひとつだった。こちらも元気を貰いました」と笑顔。同選手は駅伝をメインに活躍。今年2月の第61回別府大分毎日マラソンで2時間12分55秒で8位入賞などフルマラソンにも挑戦。現在は来年1月のニューイヤー駅伝出場とメンバー入りをめざし、トレーニングを積んでいる。

カゴメジュース80周年記念ボトルに津南の生産者・桑原さん家族が  8月17日号
 〇…80周年記念ボトルに津南の農業一家4人の笑顔が―。飲料製造大手「カゴメ」のトマトジュース。商品誕生80周年の今年、町内貝坂の桑原健太郎さん(57)・幸枝(52)夫妻と長男の健さん(31)・美紀さん(同)の4人がラベルに登場。トマト作り40年余の一家の笑顔付9百cボトルは全国のスーパーなどに並んでいる。
 
 〇…毎年、その年の採れたてトマトを詰めた初物ジュースに全国の生産農家の姿をプリントする特別商品を製造。「80周年記念ボトル、親子3代に渡りトマトを生産する桑原さんにぜひ」と同社の要望もあり実現。幸枝さんは「家族みんなで写り照れくさいが一生の記念ですね」。なお昨年の同商品は町内堂平の生産者の中村勝さん、幸美さん夫妻をプリント、津南の契約農家登場は2年連続。

夏休みに100`歩く  8月10日号
 〇…故郷を歩き、子どもたちの生きる力育成と地域再発見をと「第4回越後つまり百`徒歩の旅」は8日から12日行い、津南町と十日町市の4年から6年生25人がチャレンジ。河岸段丘が彩る越後妻有を走破。夜は各地の小中学校舎で宿泊。子どもたちは全員お揃いの菅笠姿で互いを励まし合いながら歩いた。

 〇…今年は全国23地域で取り組まれる同旅。十日町青年会議所(JC)やJC卒業者、地域企業が連携し実行委を組み企画。津南・十日町地域ではキナーレを発着点に沖ノ原ひまわり広場や竜ヶ窪、節黒城キャンプ場、ナカゴグリーンパークなど周遊。3回目の同旅に挑戦した津南小6年の吉野竜二君は「歩くのは疲れるけど、違う学校の子と話したり遊ぶのが楽しい」と満面の笑みを見せた。

安定収入、だが重労働が課題、カゴメ社長が農家に増産要請  8月10日号
 食品大手・カゴメとの契約栽培で、安定収入作物として45年以上の歴史を持つ津南町の加工トマト栽培。最盛期は出荷額2億円を越えていたが、真夏の炎天下での収穫作業、さらに重労働の搬出など、農業者の高齢化と共に作付け農家が激減。一方、カゴメはジュース用トマトを国内産100%をめざし、国内産地への作付け面積の拡大を求めている。今月7日、カゴメの西秀訓社長が津南町を訪れ、農家や農協に作付け拡大を直接要請した。西社長は新潟県の泉田知事とも懇談し、県内全域でも面積拡大を要望した。だが、安定収入の作物ではあるが、農家現場は、労働力確保などで面積拡大に踏み切れない事情もあり、同社の最大産地、津南町がどう取り組むか、関心が集まる。

 新潟県内のカゴメとの契約栽培は約18f(7市町村)。津南町は約14f(31農家)で、カゴメにおける津南産地への期待度は高く、栽培シーズン中、津南専任の担当社員がほぼ毎日のように農家を訪問している。

 同社の買上価格は1`44円(1箱20`880円)。10eで約7d収量が見込め約30万円になる。津南町の昨年の出荷額は約4千3百万円。ここ数年、作付け面積、栽培農家は横ばい状態。生産者の高齢化、収穫時の重労働などが面積拡大を阻んでいる。
 この課題にカゴメも支援する。収穫トマトは全量買取り、収穫容器を無償貸与など生産体制をバックアップ。さらにJA津南町は、収穫畑から市場までの運搬作業を有料受託(1箱80円)して支援策を取るが、農家負担が大きく、面積増は結びついていない。

 加工トマト部会長で3・6fを栽培するの桑原健太郎さん(57、グリーンアース津南代表)は「作れば作るだけ収量に応じた収入が見込めるが、夏の炎天下の重労働は高齢化した農家の大きな負担だ」と指摘。一方、「減反の水田転作では加工トマトは価格が安定し、新規に取り組むには良い品目だ」と、若き農業者のチャレンジを促す。
 
 トマトジュースは、健康志向に押され人気が増している。津南産完熟トマトを使った同社の夏限定商品「夏しぼり」は毎年完売状態の人気。カゴメは津南産トマトの高品質さを高く評価しており、それだけに栽培面積の拡大を求めている。 
 JA津南町営農部・内山優部長は「契約栽培は安定した農家収入が見込めるのが強み。若手農家を始め、栽培面積増をさらにお願いしていく」と協力を求める。現場労力に限りがある中、新たな就農プランやカゴメの更なる支援を求める津南独自の加工トマトプロジェクトなど、先進的な取り組みが求められる。

写真・西カゴメ社長(中央)が津南の栽培畑を視察し、増産を直接求めた(7日、沖ノ原で)

連載「私の芸術祭」 KEENハウス「DEAI」、現在・過去・未来、人がつなぐ  8月10日号
 若者に絶大の人気の米国アウトドアブランド「KEEN」。津南町にKEENが来ると聞いた柳沢佐恵子さん(32)は、「えーっ、ほんと?」と驚いた。まだ雪深い頃。友だちからのプレゼントで、5年前に初めて出逢ったKEENサンダル。以来、虜になっている。
 
 秋山郷入口、津南町太田新田の古民家で作品展開するKEENハウス「DEAI(出逢い)」の玄関で、そのKEENと、この民家の住人だった女性が編んだ「わら草履」が出迎える。
 

 KEENは2003年、米国ポートランドで産声を上げた。独特のデザインと機能性を持ち、アウトドア派の若者の人気は高い。
 棚田保全活動に関わり、「まつだい棚田バンク」に参加した2010年。その活動を支援するサンダルを製作し、大地の芸術祭オフィシャルグッズで販売。売上は「まつだい棚田バンク」の普及活動に役立てる。KEENの日本総代理店は伊藤忠。芸術祭参加を決め、野外ライブで人気のアーティストと共同で空家プロジェクトに取り組んだのが「DEAI・出逢い」。


 10年余り空き家だった民家。作品制作の準備に入ったKEENスタッフは、民家でわら草履を見つけた。
3年前に95歳で亡くなった住人、藤ノ木マツノさんが冬仕事で作ったもの。このわら草履と、ライブ舞台などの空間工作人「Bubb」(バブ)、ライブペインテイングアーティスト「Gravityfree」(グラビティーフリー)の2組の作家との出逢いから、過去・現在・未来の作品「DEAI」が生まれた。

 藤ノ木さんのわら草履(過去)、若者に人気のKEENサンダル(現在)の出逢いが、さらに地域の将来(未来)を描く拠点になる期待感を込めている。
 わら草履の編み目をモチーフに、四季をイメージする緑、青、赤、白で独特の紋様を生む。同ハウス担当の伊藤忠ホームファッションの堀友暁さん(29)。「地域の人たちの憩いの場、癒しの場に使ってほしいですね」。時にはアーティストが作品製作の拠点に活用する。同プロジェクトは次回2015年の芸術祭に完成する。「製作を継続し、同時に毎年アーティストを招き様々なイベントを開きます」。12日午後2時から、両アーティストによるペインティングライブを行い、KEEN商品の特価販売も行う。

 柳沢さんは期待する。「自然いっぱいのこの地にあることが、とてもKEENブランドと合っています。世界ブランドのKEENが津南にある、それだけでも魅力。KEENで人を呼べます」。10月には小松原トレッキングツアーを計画し、同家の畑で野菜作りも始めているKEEN。
 
 今回のアーティストは、DJライブ界では絶大の人気。今月14日午後7時からマウンテンパーク津南で開くオールナイトライブ「フーズ・バー」を主催の福原太さん(28)。「Gravityfree」と「Bubb」も出演する。「呼びたかった人たちです。町外の反響がすごく、KEENと共にこれは確実に津南の魅力になります。特に両アーティストは自然派で、津南の良さを感じ取り、津南を世界に発信してくれるでしょう」。11回目の同ライブでは自分で作る無農薬・無肥料栽培の野菜や地元の安全食材を提供する。
 DEAIは、過去・現在・未来がテーマ。人の暮らしを支えた「履き物」が出会いを創り、さらに3年後の2015年芸術祭への取り組みがつながっている。

写真・DEAIの玄関ではわら草履とKEENサンダルが出迎える(津南町太田新田で)

越後妻有文化緒h−ル、十日町高隣に建設  8月b10日号
 十日町市の新しい市民文化ホールの建設場所は、国道117号に近い、県立十日町高の東側に決まった。先月26日の市議会全員協議会で関口市長が発表。約1・4fに本格的なホールを備えた文化会館を建設する。ただ同所は民有地のため建設用地の取得が必要で、建設費増加が見込まれ、市財政との関係が今後の課題になりそうだ。

 建設候補地は、十高隣りと現在市民会館が建つ市有地の2つから、村山潤副市長をトップとする市役所庁議メンバーで評価。その結果、「用地取得費などが余計にかかるが、市内全域からのアクセス性、中心市街地活性化基本計画に盛り込む各事業との関連性から評価ん」と十高東側用地を選出し、関口市長が同場所を最終決定した。

 市によると、用地面積は1・4f、駐車約230台可能、民有地(地権者5人余)で用地取得と造成費が必要、一部に湿地帯がある。国道117号から約60b、市役所、法務局、税務署など公共施設に近いなどを評価点に上げている。

 同市民文化ホールは、s民代表を含む建設検討委員会で協議。名称は大地の芸術祭で知名度が全国ネットになっている「越後妻有文化ホール」として、馬蹄形の固定席ホール(6百〜8百席、2階構造)、舞台わきに仮設型オーケストラピッチを設ける。計画では、25年度に実施設計に入り、27年度に着工する方針だ。

写真・文化ホール建設予定地(左正面の空地、十日町高屋上から)

被災地の低炭素化を支援、日本興亜損保と津南町が売買調印  8月10日号
 東日本大震災の被災地を対象に「低炭素復興プロジェクト」に取り組む日本興亜損保と、公募選考された自治体や民間、NPOとの取引調印式は3日、仙台市の宮城県庁で行い、津南町から上村町長、町森林組合から若井岩雄部長、早川俊郎主任が出席し、取引認定された8団体と共に、日本興亜損保と排出量取引の提携調印を行った。

 今回の総取引量は5150d。実施団体の津南町森林組合は600d。取引価格は公表されていないが、CO2排出1dあたり5千円以上を見られる。日本興亜損保では「被災地の早期復興と環境にやさしい地域づくりに貢献すると共に、被災地の低炭素プロジェクトなどの支援をしたい」と継続実施の方針を示している。同取引認定は毎年行い、町森林組合では、過去5年間の森林整備で得ている排出量クレジット(JーVER)で取引する。

 調印式後、日本興亜損保・山口雄一副社長と握手した上村町長は「地域に立脚した資源を活用できる、これは大きな津南の財産。その取り組みが評価されたことはありがたい」と話ししている。なお、他の認定団体は宮城県(取引量千d)岩手県(同千d)岩手・大船渡市の団体(950d)岩手・釜石森林組合(800d)岩手・環境NPO町内会(600d)福島・磐城造林株式会社(300d)宮城・県林業公社(200d)となっている。

写真・調印後、握手を交わす上村町長(左)と日本興亜損保・山口副社長(仙台・宮城県庁で)

全国優勝めざし、津南中等・鈴木賢選手、水泳で全国中学出場  8月10日号
 第52回全国中学校水泳競技大会(21日から栃木県小山市)の男子背泳ぎ百bと2百bに津南中等校3年、鈴木賢選手が出場する。鈴木選手は「今月に入ってからの北信越大会で全国上位の記録を出しているので、優勝を狙いたい」と意欲を見せている。
 
 鈴木選手は魚沼市出身で現在は十日町市在住。小学1年から入広瀬のスイミングクラブに通い、同4年からSA小出に入部。現在も学校が終わってから母親の送迎で毎日、SA小出に通い練習を続けている。
 
 県大会は先月25、26日に新潟市で開かれ、男子背泳ぎ百bで59秒4(全国出場標準記録1分1秒8)、同2百bで2分8秒0(同2分13秒5)をマーク、標準記録を突破し全国出場を決めた。また今月6、7日に長野市で開かれた北信越大会では百b58秒9、2百b2分7秒1とともに自己新記録をマーク、全国レベルでも3指に入る記録を打ち出すなど好調だ。

  鈴木選手は小学5年からジュニアオリンピックカップなどに出場し続けており、昨年も全中大会に出場している。中学時代最後の今季、「もう一歩記録を伸ばしたい。めざすは優勝です」と健闘を誓っている。

新連載・大地の芸術祭を歩く・私の芸術祭「蓬平いけばなの家」(松代エリア) 8月3日号
 真っ赤な太陽だろうか、燃える心情だろうか、内なる情念だろうか。人の暮らしが続いた部屋いっぱいに真っ赤な花球の作品「妻有降臨」(かとうさとる、2012年作)。高橋由美子(41)さんは、その迫力に魅かれる。
 
 松代の蓬平。県立松代病院わきの県道を柏崎方面に入り、芝峠温泉前を分岐して下ると、傾斜地に家並みが見えてくる。その高台にある大きな古民家が「蓬平いけばなの家」。かつての繁栄を偲ばせるように、玄関前に池があり、宿に使えそうなほどの部屋数。その部屋すべてで作品展開。
 
 「モスラの時代」(大塚理司)は、蓬平が養蚕で生計を立てていた時代の記憶を呼び戻し、巨大な繭玉が部屋をはみ出す。「明日のために。」(宇田川理翁)は黒色化した枝や花を使い、「植物が備えた様々な力を感じる」独特の世界を展開。「花のわらしべ・てさぐりの間」(長井理一)の作品は、タイトル通り垂れ下がる白い紐で前が見えず。かき分けていくと、足元に足跡が見える。古民家の匂い、空気感を表現している。

 
 2000年の第1回芸術祭の年に、結婚を機に神奈川から津南町に来た高橋さん。「あの年は、ほとんど見ていません」。回を追うごとに全国的な関心が高まる。「これでは、まずいんじゃないの」。前回後、津南での芸術祭をバックアップする『津南あ〜ともりあげ隊』に入る。その縁で今回、芸術祭めぐりの必携「アートをめぐる旅ガイド」(美術手手帖社)の製作に協力。越後妻有全域の飲食店コーナーの津南担当の特派員となり、地域をリサーチし、取材し原稿送稿した。
 
 「地元の飲食店の皆さんは、地元素材をふんだんに使い、オリジナル性を求める努力をしています。こうした取り組みを、訪れる皆さんからぜひ知ってほしいですね」。特派員に留まらず、期間中に運行のツアーバスのボランテイアガイドにも登録。研修や情報収集に奔走している。「地元の取り組みを、ぜひ訪れる皆さんから見て、味わい、体験してほしいです」。

 蓬平いけばなの家。「この家で暮らしていたことの証しが、アートを通じて甦っている、そんな感じを受けます。力強いもの、ふわっとした感じ、丸みの美しさ、さらに足跡など、生きてきた証し。これからの時間への通過点でしょうか。この家も喜んでいると思います」。

「蓬平いけばなの家」=松代エリア、作品番号D256〜D264。8月4日〜9月1日、毎週土曜午後1時から「作家とふれ合ういけばなワークショップ」開催、毎回定員先着20人。同日程で作家が蓬平集落の家に出向く「訪問いけばな」も実施。8月12日午前11時〜午後3時、「いけばな里山学校」、定員30人。松代案内所025・597・3442。

復興のシンボル、オーストラリアハウス再建、交流j拠点に  8月3日号
 昨年の豪雪で倒壊した松之山・浦田のオーストラリアハウス。芸術祭に合わせ再建が実現。開幕前日の28日、現地で開所式を行い、駐日オーストラリア大使館のブルース・ミラー大使は「世界から訪れるすべての人に開かれている家。訪れるすべての人が集う家。日豪交流の拠点となるよう、皆さんと力を合わせ交流を深めたい」と再建を喜び、地元関口市長、日豪交流協会・マレー・マクレーン会長、地元浦田地区協議会・丸山定一会長らとテープカットし、オープンを祝った。
 
 再建したハウスは、オーストラリアが公募し、建築家・安藤忠雄氏らが選考し決定。地元浦田の丸山会長は、「再建できて嬉しい。浦田地区は12集落あるが、震災、豪雪などで人口流失した。この中での再建は復興のシンボルであり、芸術祭を通じて、地元民の意識も変わってきて、女性グループなど自分たちから何かやろうと動き始めている」と同ハウスの再建、さらに芸術祭による浦田地区への効果を話している。
 
 同ハウスは今後、作品作りに作家が宿泊、あるいは地域との交流拠点として活用する方針で、オーストラリア大使館と連携し、同国と越後妻有との交流を架け橋の場にしたい方針だ。

新しい公共、効率主義に疑問、大地の芸術祭開幕  8月3日号
 「人間は自然に内包される」、「効率主義の都市に疑問」、「新しい公共のあり方」、さらに「東北とのつながり」などをテーマに第5回大地の芸術祭は29日開幕。9月17日までの51日間、世界44の国と地域から310組のアーティストが参加し、十日町・津南の旧6市町村エリアに360の作品を展開。3年前の前回は約37万人の来場があり、今回は40万人を越える来場を見込んでいる。
 
 開会式で総合プロデューサー・福武總一郎ベネッセ会長は「過度の都市集中により、個性ある地方の文化が壊れている現代、現代美術を通じて掘り起こし、古いものを生かし、新たなものを生み出す文明をここから発信していく」と芸術祭の意義を表明。炎天下の開会式には名誉実行委員長・泉田知事の代理・大野副知事や駐日オーストラリア大使、駐日フランス大使、計画段階の文部科学副大臣・森裕子氏など作家含め約7百人が参集。恒例のアーティスト記念写真を撮り、51日間の芸術祭を開幕した。

 今回の新規作品は、29の国と地域から180組が参加、2百点余の作品を各所で展開。特に、越後妻有体験交流館キナーレが生まれ変わった「越後里山現代美術館」は、巨匠クリスチャン・ボルタンスキーの作品が話題だ。約20dの古着を使い、会場全体に「心臓の鼓動」が響き、初の野外作品に早くも関心が集まっている。

 豪雪、震災、さらに豪雨災害など、越後妻有エリアは度重なる災害を乗り越え、今回の開催を実現。実行委員長・関口十日町市長は「人間は自然に内包される、その生活がこの地にあることを改めて実感している。越後妻有の元気を世界に発信したい」と述べ、さらに「今日は2015年開催に向けたスタートの日である。作品の公募も開始したい」と、第6回開催への積極姿勢を見せた。さらに、副実行委員長の上村津南町長は「10回を一つの目標と私は考えている。今回のその折り返し。この先の開催には、今回の成果がかかっている」と、さらに一歩踏み込んだ継続開催への姿勢を見せ、関心を集めた。

津南で練習の三宅選手、ロンドン五輪で銀  8月3日号
 「やったー、銀メダルだ」。津南と縁ある女子重量挙げ48`級でロンドン五輪出場の三宅宏実選手(26、いちごグループホールディングス所属)は先月28日の本戦でトータル197`を挙げ、日本新記録で銀メダルを獲得。3度目の五輪で悲願達成。父・義行コーチ(66、メキシコ五輪銅メダリスト)と二人三脚で歩んだ成果が結実した。父と娘の親子メダル獲得は日本初と記録尽くし。三宅選手は26日からニュー・グリーンピア津南での全日本女子ウェイトリフティング合宿に来町予定で、町と同津南で祝賀会を計画している。

 三宅選手は同津南運営の光善会グループとの縁で9年前から津南で強化合宿。同津南はフロアマットなど練習用具を約1千万円で整備しサポート。三宅選手との縁で全日本チーム合宿や日韓中交流大会も行われている。同津南を運営する津南高原開発・松崎和秋社長は「銀メダル、本当におめでとうという気持ち。苦労している姿を見ており他人事ではなかった。津南に来た時は心を込めて祝いたい」と感動を語った。

写真・NGP津南で連取する三宅選手(2010年)

ヒロシマ平和記念式に今年も津南中生が  8月3日号
 67年前の戦争と核の悲劇を現代に伝える6日の第65回広島平和記念式典に、津南町は今年も中学生4人を派遣する。使節団は津南中3年の大口明日香さん、福原有佑君、西澤克海君、秋野美貴さん。津南中の長束貴英教諭が団長。町教委・小野塚均次長、総務課の丸山敦史主査が同行。町民寄付と生徒手作りの千羽鶴を捧げる。
 
 10回目の広島派遣。5日に津南をたち、被爆者が入居する原爆養護ホーム・舟入りむつみ園を訪問。見舞金を手渡し、今も原爆症に苦しむ戦災者の実体験を直接聞く。6日は式典に参列、夜は戦没者慰霊の灯篭流しを見学。7日に帰路に着く。31日に町役場で壮行式を行い、代表あいさつで大口さんは「津南の方々の分まで平和の祈りを捧げたい。広島を見て、話を聞き、学んだことを今後に活かしたい」と話した。

創部7年目の津南中等・吹奏楽部、初の県大会出場  8月3日号
 第53回県中学校吹奏楽コンクール中越地区大会が先月22日、長岡市で開かれ、中学B部に52団体が出場したなか、郡市勢からは津南中等校と十日町が金賞を獲得。あす4日、新潟テルサで開かれる県大会に出場する。津南や中里、中条などは銀賞だった。
 
 津南中等吹奏楽部(村山萌依部長、29人)は、昨年の銀賞の悔しさをバネに初の県大会出場を決めた。演奏曲は松尾善雄作曲「童夢」。比較的にソロパートが多いのが特徴で、「のびのびと演奏し、楽器の特徴をよく生かしていた」などと高い評価を受けた。
 
 村山部長は「普段の練習通りの演奏ができたと思います。県大会では銀賞以上を狙いたいです」と話し、顧問で指揮者の大矢慎教諭は「今回の中越大会と同じように、自分たちが納得できる演奏をしてほしい」と期待している。

満開ひまわりに誓う、真夏のウェディング  8月3日号
 〇…満開の大輪が祝福―。津南町沖ノ原ひまわり広場で29日、新潟市の国際ホテルブライダル専門学校企画の「第8回ひまわりウェディング」を開いた。カップルは上越市在住で8日入籍予定の星野隆広さん(30)、足立章子さん(28)と長女の璃藍(りら、9歳)ちゃん。純白ドレスの新婦とタキシード姿の新郎を、参列者30人余と共に満開のひまわりも祝福した。
 
 〇…「元気をくれるひまわりが咲く地で式を挙げるのが夢だった」という新婦の章子さん。インターネットで知り応募、10組のなかから選ばれた。6年間の交際を得て挙式したふたり。津南ひまわり広場は以前デートで訪れた思い出の地。「夢が叶いました。最高の1日です。太陽に向かって伸びるひまわりのような家庭を築きたい」と誓った。なお演出は同校ホテルブライダル科2年28人が担当。同ウェディングは同校紹介パンフレットでも取り上げられる名物イベントに定着。今後も継続予定だ。


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