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2012年04月の津南新聞「トピックス」

過去の津南新聞トピックス
「農家レストラン」開店、津南のお母さんグループ、29日店開き 4月27日号
 地産地消と地元に伝わる手作り料理を提供する農家レストランが津南町中深見「ごっつぉ市」に29日オープンする。地元農産物を活用し、伝統の野菜の煮物など郷土食を提供。料理担当は地元のお母さんたち。「津南の味をお客様に楽しんでもらい、地元の方にも味を受け継いで貰いたい」と意欲を話している。
 
 国道405号、秋山郷へと続く幹線道路わきの野菜直売所の同市。旧JA津南町中津支店を借り、2年前に「段丘風の郷生産組合」(富沢春江代表、10人)立ち上げ新鮮野菜や惣菜を販売。津南郷土食レシピを基に、ゼンマイの煮物やしょうに芋、酢豆など地域に根付いた食を年間150品余提供。さらに全町に配達、郷土食オードブルも作る。 開業当初から、来客者などから「津南は良い食材があるのに食べられる場所がない」という要望があり、開業を準備してきた。県と町から補助金約2百万円を受け店内を改装、連休前の開店に間に合わせた。
 
 富沢代表(63)は「郷土食も若い方は作り方を知らず、口にする機会も減ってきました。食べる場が作ることで津南の味を次代に繋げたい。まず一歩踏み出さないと」と話す。計画では初年度2千人、3年後3千人利用をめざす。

  レストランは室内8席、野外バルコニー8席の16席を用意。メニューは津南産コシヒカリ、地元ふれあい味噌を使ったみそ汁を基本に、旬の野菜を使った天ぷら定食、煮物定食、つなんポーク丼の3品。さらに小鉢でポテトサラダなど惣菜を2品選ぶ形にし、多彩な手作り料理を味わえる。  店長の樋口久子さん(62、反里口)は「岩手から津南に嫁に来ましたが、津南の郷土食は豊か。例えば小さいじゃが芋でも捨てずにしょうに芋にして食べる。津南の家庭の味を届けますよ」と意欲。メニューの増加、テイクアウト用弁当なども検討する。
 
 営業時間は午前11時〜午後2時。水曜定休。рO25(765)5715。

新連載「明日へーそれぞれの1歩」 生活支える作業療法士 町立津南病院・田邉まゆみさん  4月27日号
新しい年度に入り、様々な分野で新たな一歩を踏み出している人たちがいる。「明日へーさまざまな一歩」では、津南町、十日町市、栄村で新たな一歩を踏み出した人たちの思いを連載する。                             (敬称略)

 小学時代、母を病気で、父を事故で亡くした。「病院が身近でした。なにか人の役に立つことを」。そんな思いが、ずっと心の底にあった。

 町立津南病院の作業療法士として田邊まゆみ(29)は、入院や外来者の身体の機能回復に取り組み、日常生活の支援など忙しい日々を送っている。
 
 作業療法士。身体や精神の機能回復を専門の立場から取り組む。日常の動きの中に回復のための訓練メニューと取り入れ、動作に必要な補助具や動きをサポートする「自助具」を企画設計、製作まで行い、文字通り、日常の動きや作業を通じて、不自由な身体機能を回復していく国家資格の専門医療職。病院には理学療法士と共に欠くことのできない専門職だ。

 あの3・11の被災地、福島県相馬市生まれ。親代わりで育ててくれた伯父の家も激震で被災。「幸い家は大丈夫でしたが、両親のお墓は倒れていました」。
中学、高校と、いつも心の奥底にあった医療関係への道。だが大学は美術関係の学芸員をめざし跡見学園女子大の文学部人文学科。専攻はイタリア美術史。ミケランジェロの時代の画家「カラパッチ」に魅かれる。卒業後は全く別の分野、東京のコンピューター関連企業へ。この職場で十日町市の企業から出張中のシステム・エンジニアの男性と出会う。結婚。4年前、夫の帰郷と共に十日町市へ。

 ふと、考えた。心底あった「人の役に立ちたい」。小学時代、母の病気で病院が身近だった。「実は大学を卒業後、初めて作業療法士という仕事を知りました。これだ、と思いました」。その思いを、夫や家族に話した。『手に職を付けることは一生の財産』と理解してくれた。

 資格取得のため入った長岡市の専門学校。3年間のアパート暮らし。朝から夕まで授業、夜はレポート準備、睡眠3時間の日々。2回の実習を経て国家試験に挑戦。「なにより家族理解があってここまでやれたのですから、第一条件は自宅から通える職場でした」。町立津南病院を見学した時の、職場や人の好印象が決め手になった。

 内定を受けた。だが、採用条件は「国家試験合格」。3月30日の発表日。「自己採点では大丈夫と思いましたが、やはり発表の日は緊張しました」。採用決定。津南病院は不在だった人材がようやく確保できた。

 手や指の筋力回復のため「ちぎり絵」などを取り入れ、日常の料理や食事では、手が不自由の人ために片手で料理できるまな板、片手で食事ができるスプーンなどを考え、製作する。「日常の中でどう生活していくか、あらゆる分野で作業を取り入れ、訓練により機能回復をめざします。例えば認知症の方で、編み物や縫い物は身体が覚えていますから、取り入れると改善が見られます」。
リハビリテーション科の理学療法士と連携し、身体の機能が不自由な人たちの訓練支援に取り組む。

 「この地域の方々は我慢強いですね。それに皆さん、とても温かい。私がまず出来ることは笑顔で話しかけることです。積極的な声掛け、ここから始めています」。

新戦略続々、津南醸造が「KOKIA」と提携、人気アーテイストと共同企画  4月27日号
 津南町やJA津南町、酒米生産農家などが共同出資し、17年前に誕生した酒造会社「津南醸造」。経営難の同社を昨年11月引き継いだ新社長・古澤有三社長が、次々と斬新で大胆な経営方針を打ち出している。   

 今春4月1日、新商品3種を発表。21日の地元発表会では、人気の女性アーティストでデザイナーでもあるシンガー「KOKIA(コキア)」とタイアップ締結を発表。今後、「KOKIAブランド」による商品企画、新商品開発に取り組み、さらに津南醸造のイメージソングや同酒蔵のプロモーション映像なども共同制作するなど意欲的な営業戦略を打ち出している。

 今月1日全国発売した新商品は「本醸造・津南」「純米酒TSUNAN」「吟醸酒 ユキグニ モノガタリ」の3種。特に吟醸酒は、「酒業界では使わないピンク色を使った」(古澤社長)の狙いが的中し、売れ行きを伸ばしている。先月開催の「2012にいがた酒の陣」でも高い評価を受けた。  

 21日の発表会は、津南町反里口の同酒造工場で行い、「KOKIA」ミニライブでは澄み切った歌声が酒蔵に響き、県内外からの2百人余が新発表酒を手に聞き入った。東京から来た20代の会社員・西川奈津子さんは「残雪すごいですね。このお酒、とても香りがいいです。津南が気に入りました」と話している。

 今回の人気アーティスト「KOKIA」との連携は、古澤社長経営の越路商事の人的交流で実現。桐朋学園大声楽科卒のシンガーで、デザインも手がけるKOKIAさん。津南醸造の自然環境、酒造りという手造りの企業イメージに、KOKIAさんを加えることで、新たな価値観を生み出している。古澤社長は「津南のイメージをさらに高めるためにも、新たな挑戦をしていきたい。津南の皆さんと一緒になって津南を伸ばしたい」と話す。今季は3百石仕込み、新商品発売以降、売れ行き順調で「在庫不足になりそうだ」と言い、来季は1000石を酒造する計画だ。使用する酒米「五百万石」は地元津南産を活用する。

 「KOKIA」=東京都出身、桐朋学園大学声楽専攻卒。本名・吉田亜紀子、「あきこ」を逆読みし「KOKIA」。大学在学中の1998年「愛してるから」でメジャーデビュー。以降、国内外TVで楽曲を数多く使用。新潟中越沖地震での復興支援活動が評価され、青年版国民栄誉賞、福祉・教育活動分野でも、まちづくり市民財団奨励賞を受賞。内閣府の「災害被害を軽減する国民運動サポータ―」。NHK「地球イチバン」エンディングテーマソングに「世界を包む」が使用。

残雪の中、苗代づくり、いまだ50aの雪  4月27日号
 ○…田畑にはまだ1b近い雪が残っている雪国・津南。こうしたなか早目に除雪した水田では、春耕を待ちわびていた農家の人たちが、苗代づくりの作業に取り組む姿が見られている。「やっと土に触れられるようになった」などと話しながら農作業に汗を流している。
 
 ○…このうち津南町卯ノ木の宮沢幸一さん(80)宅では、自宅近くの水田で20日過ぎから家族や近所の人たちと約10f分の苗代づくりに取り組んでいる。「やっと本格的な農作業ができる感じだ。例年に比べ10日ほどの遅れだな。野菜の苗も準備ができているので、後は田畑の雪が消えてくれることだけ」と宮沢さん。「災害、豪雪などと大変なことがいっぱいあっただけに、今年は豊作などいいことがあってほしいな」。今年の田植えは5月下旬からになりそうだという。

新十日町病院、3年後開院、尾身県議が見通し  4月27日号
 地域医療の充実で期待が集まる県立十日町病院改築に伴う中核病院・新十日町病院の建設調査設計予算9300万円が県予算化され、25年度中には本体着工の見通しだ。地元の尾身孝昭県議は、「この調査設計費は大きな一歩だ。魚沼基幹病院が開院の平成27年度には、新十日町病院も一部オープンとなる」と話し、従来からの「冬季の雪置場のためにも公園化が必要」と建設場所に決っている現在地の用地確保と一体的な整備の必要を強調した。

 尾身県議は24日の地元会見で説明。新十日町病院の調査設計費(9300万円)で、現在プロポーザルコンペを行い、6月下旬に設計業者が決まる。県方針によると、現在の駐車場と外来病棟部分に新病棟(7階建て予定)を半分ずつ年次計画で建設。今の入院病棟が駐車場、現在より駐車が100台増える。

 ただ尾身県議は、隣接の国有地(裁判所)求め、さらに同病院周辺の幹線道路内エリア全体の一体的な整備の必要を強調、県要望している。「夏は公園で癒しやくつろぎの場、冬場は病院エリアの雪置場。これでさらに140台の駐車スペースが確保できる」と説明。県立新発田病院の例を上げ、「6fの病院敷地のうち4・5fは県が整備、残る1・5fは新発田市が整備し公園化した。雪国の立地を考えた一体整備が必要」と十日町市などと共に県要望している。建設事業費は約百億円を見込む。
運営母体は、「泉田知事の公設民営方針は変わらない。ただ民営母体が決らない中の設計費予算化は大きな一歩。知事へのこれまでの地元の働きかけの効果といえる」と述べた。南魚沼市に建設の魚沼基幹病院は、県や関係市町村などが共同出資の財団法人が経営する。「同じような運営財団を新十日町病院でも設置することも選択肢の一つ」と見ているが、民営部分は全く未知数という。当初いわれた厚生連は「積極姿勢が見られない」という。

 一方、建設が進む地域高規格道・上越魚沼買快速道
の八箇峠トンネルは、24年度33・5億円の国予算がつき、「あと1、2年でトンネル貫通」と見られる。ただ「八箇峠トンネルの先、十日町インターの設置が最重要課題。十日町市はこのインターに接続する市道高山ー水沢線などの整備を進めている」と八箇峠トンネルー十日町インター間の整備区間認定、同インターから松代までの調査区間指定の早期実現を強調した。

写真・新十日町病院の改築を説明する尾身県議(黄色部分が建設場所)

連載「遠い春」 豪雪の後遺症、「でも、この残雪の活用を」  4月20日号
 「今年は、残雪と新緑コントラストが楽しめるかもしれない」。春の秋山郷渓谷。深い谷の斜面は、残雪と土が織り成す「まだら模様」が特徴だが、今年は土より残雪の白が目立つ。150aを越える残雪の津南町の秋山郷観光の拠点「萌木の里」は、いまだ、春遠し。

 残雪量で18年豪雪を上回った今冬の豪雪。萌木の里の観光施設に、その爪跡を残した。温泉・食事・特産販売の「栃の実館」玄関屋根は、集中降雪で屋根雪が雪ピ状にせり出し、落雪時に屋根を破損。渓谷が一望できる自慢の露天風呂「山彦の湯」のボイラー室石垣が崩落、渓谷眺望が最高の高台に建つコテージは玄関先屋根が壊れた。
 「屋根の雪ピは、最後はノコギリで切り落としたが間に合わなかった」。萌木の里支配人の山田龍一さんは、豪雪で出来た巨大な雪ピの様子を話した。

 その分厚い残雪が萌木の里を覆う。「18年豪雪時もそうだったが、豪雪報道で道を心配する声が多く、この冬も何件も『行かれますか』と問合せがあった。『大丈夫です。万全な除雪をしていますから』と説明しても、来ませんでしたね」。

 そして春。「今度は雪崩の心配の問合せです。これも、充分に対応していますと話しても、やはり心配のようです。豪雪というだけで、春になっても、その影響が残っています」。萌木の里ホームページで情報をリアルタイムで流し、安心情報を伝えている。
残雪と新緑。「この春は、このコントラストが見られます。今年はそれに山桜が加わり、魅力アップになるでしょう」。旬の情報を流すつもりだ。

▽▽▽

 残雪量はニュー・グリーンピア津南(NGP津南)も同じ。同様に150a余の残雪が広大な施設エリアを覆う。
「この雪を楽しむ企画を提供しています」。2年前まで野外施設を除雪、使用可能にしていた。だが、「大変なコストアップ。ならば雪を活用しよう、となりました」。NGP津南の樋口明支配人は話す。
 今月の連休前まで残雪利用のソリ、スノーチューブやスノーモビル企画などを用意。「5月連休も雪が残るでしょう。テニスコートなど野外施設の一部は使用可能にしますが、ここならではの雪と新緑、さらに桜を楽しんでいただきます」。   

 来月26日にはグランドゴルフ大会、芝グラウンド使用が入る。先般、職員の手作業で消雪促進剤160袋(1袋20`)を散布した。
一方でこの時期、新たな動きも見られる。高校や専門学校、大学などの新学期スタートの時期。新入生オリエンテーション合宿が入る。先日、4百人規模で大学が貸切利用。「営業的に弱い4月の新たな要素になります。距離的な課題はありますが、さらに営業を進めたい」。残雪の影響は残るが、一方で、独立施設という利点が、新たな利用幅を広げている。

「遠い春」。ようやく梅がほころび、春一番の「マンサク」が咲き始めた。毎年降る雪、毎年の残雪。その活用の、知恵出しが求められる。      
             (終)

無投票再選、栄村・島田茂樹村長、「震災復興が最優先課題」  4月20日号
 任期満了(5月14日)に伴う栄村長選は17日告示、現職で再選を期す島田茂樹村長(71)以外に届け出はなく同日午後5時、無投票再選が決った。同村長は同日夜の当選集会で「震災復興が最優先課題。特に復興住宅は冬までには入居してもらう」と2期目の取り組み姿勢を述べた。
 
 再選が決った島田村長は取材に答え、無投票について「選挙戦の準備はしていた。(無投票は)任せていただいたと受け止めている」と述べ、「震災復興で大変な中、村長が変わるのはよくないという村民の判断」と話している。

 島田村長は2期目の基本施策7点を上げている。「震災被害の早期復旧、復興」(道路、農地の復旧、災害村営住宅整備)、「住民自治の強化、集落機能の維持と活性化」(集落支援員による応援、集落支援交付金の充実)、「高齢者が安心して暮らせる村政」(旧東部小体育館にゲートボールマット導入、除雪機械リース制度など)、「地域資源活用の都市と農村交流」(栄村ファンクラブ、絵手紙列車、伝統文化を都市部に発信、自然エネルギー活用研究)、「農商工、観光発展の仕組みづくり」(集落営農支援、特産品開発、森駅前商店街振興策、落葉堆肥化と有機農業、薪ストーブで屋根融雪)、「若者定住」(住宅建設で定住策)、「外国人観光客誘致」(絵手紙交流の中国・蘇州市と交流、中学生の海外研修)。

 今回の村長選、村議を中心に新人擁立の動きがあり、議員の多数が「島田村政を疑問視」していた。それを裏付けるように告示日の第一声には、議会代表の赤津議長以外に村議の姿はなかった。40代の男性は「無投票再選は、信任されたのかどうかさえも分からない。特に震災後の村の取り組みに疑問を抱く村民は多い。議会が今後、2期目の島田村政をどうチェックしていくか、しっかり見ていきたい」と話している。
 なお、今回の村長選の有権者数は1939人(男911、女1028)=4年前・2008年改選時は2083人(男978、女1105)。

写真・無投票で再選した島田村長(告示17日午後5時過ぎ、箕作公民館で)

 

「守られた古里、樽田の軌跡」、出身の丸山昇さん自費出版  4月20日号
 最盛期の昭和31年には軒先が重なるように家並み続き、46戸271人が暮らした津南町の「樽田」。いま、そこには人の気配はない。縄文遺跡があり、江戸期には5戸の暮らしが確認されている。その地の歴史と暮らし、年中行事、生業の歩みなどをまとめた「守られた古里 むらの軌跡ー新潟県津南町樽田」を、同地出身の丸山昇さん(70、新潟市)が自費出版した。 「故郷とは、いつまで経っても夢に出てくる場所。懐かしい思いのたっぷり刷り込まれた時空の舞台」と同地の資料を集め、保存された貴重な記録写真を載せ、「今しか出来ない」とまとめた渾身の一冊になっている。
 
 同著本編に入るトップページには、30戸余りの家並みが見える冬の樽田の写真。現在のマウンテンパーク津南・茶峠から撮ったものと見られる貴重な一枚。本編では「沿革・環境」(地質、地名、地形・位置、動植物)、「生活の場」(むらの経済、山論、境界慣習、過疎、旅するむら)、「教育と信仰」(人口、学校、神社、葬祭、庚申)、「共有施設」(大ぜき、車や、郷倉、えんの沢の用水)、「暮らし」(屋号、茅葺き民家、むらの暮らし、雪の季節、夜盗、にゅうぶり)、「生業」(越後布、医者、亜炭、樽田笠、農業)、「災害」(雪害、地滑り、炭鉱地滑り、飢餓)など。さらに時系列年表を載せている。

 地名の項では、「樽田」の由来から「えんのさわ」、「おおたきさま」、「こめなで」、「じょうばたけ」、「なぎの」など70余りを解説。「暮らし」の項目では、茅葺き屋根の普請で相互扶助の「結(ゆい)」の習慣と共に、当時の屋根吹き替え作業の写真も掲載。屋号と共に、昭和50年代の各民家を記録した貴重な写真も載っている。さらに、断崖絶壁の「堀切」の難所を冬、荷を背負い通る歴史的にも貴重な写真も共に、当時の様子を記している。
 樽田の衰退につながった「日層炭鉱の地滑り」(昭和32年)の様子も当時の写真と共に、消防団の出動記録など貴重な記述が見られ、同地域での地滑り災害などを記録している。

 新潟県職員(技術士)採用まで樽田で暮らした丸山さん。住人がいなくなった樽田には、今も9月の秋祭りに合わせ、出身者に声を掛け合い集まっている。
 丸山さんは、あとがきで「血のにじむ努力と涙と汗で、あらゆる苦労を乗り越え、かけがいのない大切な故郷を守ってくれた。人の居る濃淡、むら(斑)がある限り、むら(集落)は続く」と結んでいる。
 自費出版「守られた古里 むらの軌跡ー新潟県津南町樽田」は希望者に頒布。ハガキに住所、氏名、連絡先を明記。〒950‐2041 新潟市西区坂井東2‐15‐21 丸山昇さん。

連載「骨董屋徒然語り」A ベルリナー型蓄音機  4月20日号
 この蓄音機とレコード盤の箱には次のような書き込みがある。
  明治四十二年一月三十日 菊池清太郎 製箱  長岡市 桑原機代寄付
大聲蓄音機 代価金 六拾円  写聲平円盤 十吋 十枚代金 三拾円 外十二吋   一枚 五円    明治四十二年五月
 
 日本における蓄音機の黎明期に長岡市の篤志家桑原氏が、秋成小学校に寄付した。レコード盤を更に十枚追加しているので、百三十円位だ。この年の小学校の先生の初任月給が6円〜7円だから、いかに高額だったか分かる。私がこの秋成小学校に入学したのは、戦後だから、見ることは無かった。聞くところによると、戦前に処分したらしい。それが、ぐるぐる回って私の前に姿を現したのは三十数年前。当時、月給の数倍だったが即決で購入した。箱書きを読んだのはその後だ。この時の驚きと感激は道楽冥利に尽きる。
 
 日本で蓄音機を造るのは、その後の明治四十三年からだ。盤も舶来の機械を持ち込み、録音だけを日本で行い、母国で製造した。それを改めて輸入するのだから途方もなく高価になる。盤が国内で出来るようになるのも、やっと明治四十二年。そのことを考慮すると、これらは高価以前に、日本国内でも希有で世界最先端の品々であったことが容易にわかる。
 
 母校の子ども達に、秋成という片田舎にいても、世界の最先端の声と技術を肌で感じて欲しいと願った、桑原氏の気概が伝わってくるのは私だけだろうか。
 
 一方、同じ秋成村、この高揚期から昭和十一年までの半世紀弱、就学免除という全国にも類の無い形で、秋山郷の子ども達の教育が奪われてきた事実から目を背けてはならない。
(美宝堂店主)
 

8年ぶりに観光ガイド一新、津南町観光協会 4月20日号
 ○…津南町の新観光ガイドブックが完成した。ひまわり広場や竜ヶ窪、秋山郷などといった自然景観の紹介に加え、どんど焼や女神輿といった伝統行事、さらに津南名物に定着した河岸段丘花火など写真付で紹介。表紙の雪の結晶と夕焼けのひまわり広場が印象に残る、オールカラー16nの津南入門冊子だ。
 

 ○…観光ガイドブックのリニューアルは8年ぶり。リゾート地やスキー場が中心だった構成を変更、近年需要が高まる森林セラピーなどの自然体験学習など加えた。写真は町内のカメラ愛好者から提供を受けたベストショットを選出。発行の町観光協会は「観光はリゾートから町独自の文化や伝統を楽しむものに変化しています。観光客も地元の人が見ても楽しいガイドブック。ぜひどうぞ」。同協会、町公民館などで無償配布している。

行政もマネジメントを、十日町市が財f源確保「知恵だし」で650万円余  4月13日号
 「行政もマネイジメントが必要」―。あらゆる分野で財源確保、捻出に取り組む十日町市の関口市政。職員提案を積極的に求め、地方自治意識の自覚を促している。同市は4月から福祉施設など一部を除く市施設に設置の飲料自動販売機の設置場所料を入札し、前年の6倍を越える「場所代」収入を得ることができた。このほか市ホームページのバナー広告、広報誌広告、市封筒、指定ゴミ袋の広告掲載収入に取り組み、今年度は6百万円を越える収入を見込む。市職員5百人体制、保育園の民間委託、公共施設の指定管理など「財源を捻出、確保し、市民に還元したい」と関口市長。従来の市道除雪費の地元負担も全廃の方針で、「知恵出し」による財源確保で、市民サービス向上につなげたい方針だ。(広告収入数字は、広告営業の委託費を除いた実収入)

 飲料自動販売機の設置場所の使用料は、市内の福祉施設、指定管理施設を除く市役所、市民会館、中里総合センター、松之山自然休養センター、松代総合体育館、川西総合体育館など市内18ヵ所、自販機28台を対象に入札した。
 
 昨年度までは、すべて一律の場所使用料だったが、他市事例などを参考に「場所代」を指名競争入札にかけた。最低価格を前年までの年間3万3600円に設定。入札には市内外10社が参加。最高では年間約40万円の落札場所もあった。

 その結果、昨年度までは場所代総額は年間77万2千円だったが、新年度4月からは従来の6倍以上の511万4千円にもなった。

  一方、財源確保で5年前に始めた市封筒への広告掲載。長形の大封筒、一般的な角形封筒の2種に掲載枠を設け、両封筒で13枠を用意。大型封筒(5万枚製作)は1枠4万円、角形封筒(13万枚同)は1枠3万円。昨年度実績の広告収入は約20万円。さらに毎月2回発行の広報誌にも広告掲載。1号1枠1万5千円、23年度は18万7500円の広告収入。市ホームページにはバナー広告を掲載。1枠1ヶ月1万円、6業者が掲載し、24年度は72万円の収入を見込む。ちなみに前年23年度は1枠1ヵ月1万5千円だったため108万円の広告収入だった。
 
 さらに市では22年度から指定ゴミ袋への広告掲載も始めている。袋は大中の2種。大袋(年間58万枚製作)は1枠12万円、中袋(同73万枚製作)は1枠10万円の掲載料。23年度は25万2千円の広告収入。
 
 自販機の場所代511万4千円、各種広告収入130万9500円で、24年度は647万円余の財源確保の見通しだ。市では、「市長からの指示で、財源確保への努力をしている。常時、職員個々のアイデア提案も受け付ている」(財政課)と、さらに新たな財源確保を摸索している。

写真・自販機の「場所代」入札で前年の6倍以上の収益を得た十日町市(市民会館前で)

連載「遠い春」、震災復旧阻む残雪、「田植えできるのか」  4月13日号
 重機で雪を掘り起こした跡が、嵐の海面のように波立っている。「何もしなければ、5月中旬まで残るだろう」。
昨年3月12日の県境地震で震度6強の大きな被害を受けた栄村。昨年春は、震災で田んぼなど農地が被災し、米作りできなかった水田が多い。あれから1年が過ぎたが、震災の被災農地の災害復旧が、なかなか進まない。その遅れの最大原因になっているのが、この残雪だ。

 開田の7割ほどが被災した森地区。国道117号から山道に入り、森集落を見下ろすように農道を上がると、階段状に造成した開田が広がる。だが、いまその地は2bを越える分厚い残雪に覆われている。先月末までに、被災し、復旧が必要な田んぼは重機で掘り起こしを行い、残雪は波立っている。

 ここには約13・4fの田んぼがある。県境地震では約7割、9・58fが被災し、地割れや沈下、畦崩落などの被害が出ている。これまでに災害復旧が完了しているのは5fほど。その多くは県や村事業で、大規模な復旧工事となる国事業は、ほとんど手付かず状態だ。村では当初、順調な雪消えで今月中旬には、復旧工事に入り、5月末までにすべて完了する予定だった。

 だが、この大量の残雪で計画は大幅に遅れ、「2、3週間以上遅れている。最大限努力するが、すべての田で作付けができるかどうか」(産業建設課災害農地班)と、雪消えの遅れを心配している。計画では、田植えのリミットを6月15日としており、工事計画を再度練り直している。18日には、村や県、信州大、工事業者と災害復旧の、打ち合わせ会を開き、今後の対応を決める方針だ。
一方、地元の森開田を耕作する「森農家組合」(広瀬重信組合長、30人)は、近く評議委員会を開き、今期の対応を協議する。それは、このままでは米作りができない農家も出てくる。そういう人たちをどう救済するかだ。中山間地の直接支払金の活用を考えている」という。

 それは、直接支払い金は、半分は農家組合に、半分は個人農家に支払われる。この組合への支払金を、米作りできなかった農家の救済金にあてる方針だ。開田に26eを持ち、耕作委託している広瀬組合長は「これだけ雪消えが遅いと、工事にも取り掛かれず、相当遅れるだろう。全体の3割程度しか作付けできないようだし、標高が高く、早めに田植えをしないと減収の原因にもなる。昨年は米作り農家なのに、米を買っていた人もいた。震災の影響は大きい」と話している。今月25日には、昨年末に復旧した水路の確認に現場へ行き、27日頃に評議委員会を開き、今後の対応を決める方針だ。
 なお、同村では、水田の被災農地は878ヵ所、70・13f、被害額5・5億円におよび、復旧状況は60%程度に留まっている。

写真・2bを越える残雪の下に震災復旧を待つ田んぼがある(10日、栄村の森開田で)

食文化を食産業に、魚沼の温泉宿連携し新会社、クロス10に食工房「ユキマツリ」開く  4月13日号
 伝統食文化を食産業にと魚沼地域の温泉旅館3館が連携し、新会社を設立し8日、リニューアルオープンした「十日町クロス10」の食部門に、有機栽培の米や野菜を使ったレストラン・カフェ「manma and café ユキマツリ」(マンマ・カフェ)をオープン。地域生産の有機栽培野菜を活用し、伝統の食文化を「十日町マクロビ料理」として開発、さらに業務用加工事業にも取り組み、「食文化を食産業に」と独自のノウハウで取り組みを始めている。
温泉宿3館(松之山・千歳、湯沢・高半、湯沢・井仙)は昨年9月、合同会社「雪国食文化研究所」を設立。クロス10のレストランコンペに応募、地元の有機栽培食材を活用し、従来のファストフードにはない「じっくり味わって食べる時間を楽しむ」食文化を企画提案し、採用された。

 食材は、NPO魚沼ゆうきなど十日町や津南地域の農家と契約栽培で調達するほか、越路商事と連携し、食材残さを肥料化する循環型システムを国事業導入で取り組み、循環型産業に育てたい計画だ。

 提供メニューは「一汁三菜」を基本に、5種の汁・スープや白米、玄米などが選べ、量も3タイプ用意。さらに「今日の定食」も日替わりで提供。ソフトドリンクも多種あり、有機栽培コーヒーやオリジナルスイーツなど30種余り揃っている。素材には津南産の雪下ニンジンなどを活用している。雪国文化研究所の代表・井口智裕(38)井仙社長は「十日町から地域の食文化を変え、日本の食文化を変えていきたい。それだけの食材がここにはある」と雪国の伝統料理にオリジナル性を加えた「ユキマツリ」食文化が話題を集めそうだ。
 
写真・「ユキマツリ」が提供する有機材倍野菜などを使ったメニュー(7日、試食会で)

「アンギン」伝承活動の「ならんごしの会」、津南町の無権文化財指定  4月13日号
 「縄文の布、幻の布」といわれ、その存在が昭和28年、初めて津南町結東で発見され、秋山郷民具と共に国重要文化財指定の「アンギン(編布)」の技術伝承を、津南町が文化財指定し、後世に残す取り組みが始まっている。津南町文化財等審議会(中沢幸男会長)を先月22日開き、アンギンの作製用具と技法をグループ活動で伝承する「ならんごしの会」の活動を、町として初の無形文化財に指定した。同審議会では、明治期の造設で、遺構が残る寺石・山伏山の「風穴貯蔵庫」(養蚕種保存施設)も文化財指定した。

 アンギンは、鈴木牧之「北越雪譜」などに挿絵で描かれているが、その存在が初めて明らかになったのは昭和28年、民俗研究者・小林存氏による津南町結東での「アンギン袋」発見。以降、日本民俗学会会員の地元研究者、滝沢秀一氏が町内樽田で伝承者と共に製作民具一式と技術を記録、学会発表し、全国的関心を集めた。
当時、滝沢氏の指導で「アンギン」技術の伝承が行われ、10年前に津南町卯ノ木地区の女性グループ「らなんごしの会」が滝沢氏の指導を引継ぎ、現在も活動。農と縄文体験実習館なじょもんを拠点に、アンギン製作技術の体験教室など開き、小物製作品などを販売し、活動資金にしている。

 同会は、アンギン素材の「カラムシ」を栽培し、採取から製作まで一貫して取り組む。製作だけのグループは他にあるが、栽培からすべて取り組むのは同会だけ。この活動を継承するため、無形文化財指定した。

 一方、山伏山の「風穴貯蔵庫」は明治42年、蚕種の保存施設として設置。年間通じ6、7度の冷風が出る風穴を活用した貯蔵庫。山伏山の柱状節理の岩を重ね、大きさは深さ3・6b、奥行3・6bほど。昭和期までの使用だったが、当時の養蚕業を支えた貴重な史跡。今も冷風は当時のまま噴き出し、町では歴史遺産と共に観光史跡として保存活用する方針だ。

 今回の文化財指定について町教育委員会の文化財班長、佐藤雅専門員は「この地の歴史を語る貴重な資源であり、特にアンギンの伝承活動は全国的な関心を集めている」と重要性を語る。町教委は今回の町文化財指定と共に「アンギン技術伝承の軌跡」(津南学叢書第16集)の冊子を発刊、希望者は町教委・なじょもん。рO25・765・5511。

日本橋で雪と桜、交流で関心高まる  4月13日号
 ○…満開の桜に雪が彩り―。都心の中央区日本橋・八重洲で7、8日開催の「さくら祭り」にNPO雪の都GO雪共和国が参加し、雪4dを運び込み、桜満開の街路にカマクラや雪滑り台を製作。雪と桜の共演が今年も人気を集めた。

 ○…平成18豪雪時の交流から続く同祭参加は6回目。昨年は大震災で中止したが「今年はぜひ」と呼びかけ。雪遊び体験や秋山郷バンド・ハサンオールスターズライブを行い、170本余の桜と雪が評判を呼び来場者も増加傾向。同NPO相澤博文理事長(64)は「都心の桜と雪という他にはない祭り。交流継続がアピールに繋がる。今後も豪雪地の発信場にしたい」と話している。

葉タバコ苗、残雪の中育つ  4月13日号
 ◎…小さな緑色の葉が新鮮―。まだ2b近い残雪に覆われた雪国・津南の里。ビニールハウスの中では葉タバコの苗が、春の陽気を誘うように育っている。今月3、4日の嵐でハウス内の苗を倉庫に移動したり、ハウスも壊れるなどしたが、人海戦術で何とか被害は最小限に留めることができた。「早く雪が解けてくれないと畑に定植できないよ」と苗をポットに一本ずつ手作業で行う仮植作業に汗を流す貝坂地区の生産者。「春よ早く来い、だね」。
 
 ◎…津南町葉タバコ生産組合(桑原誠一組合長)は今年度から長岡、十日町地域の生産者も仲間入りした。昨年度に実施した生産削減で生産者は全国で4割、県内で6割が減り、中越地区でも組織の一新を余儀なくされたからだ。生産者数は津南だけで平成元年に110戸ほど数えられたが、今は長岡・十日町地区を加えても27戸(津南22戸)と激減した。それでも春一番の農作業として取り組めるだけに桑原組合長は「契約栽培だから安定している。みんなができるだけ多く出せるようにしていきたい」と話している。

県内外の小学校24校から80人入学、県立津南中等校  4月13日号
 今春初めての卒業生を送り出し、東大や京大、北大などへの進学者を出した県立津南中等教育学校は5日、入学式を行い、7期生80人を迎えた。今期は長野県栄村の栄小を含む県内小学校24校(前年28校)から入学。新たに赴任した吉原満校長は「豊かな創造力を育て、互いに切磋琢磨し、リーダーシップを発揮してほしい」と、同校の創学理念『夢の実現』に向け、激励した。
 
 今期の入学動向を見ると十日町市からの入学は前年並の54%余に対し、津南町からは2ポイント増加し31%余。さらに前年入学者1人だった栄村からは4人が入学するなど変化を見せている。一方、遠距離通学では小千谷市から2人の通学が見られ、いっそうの通学体制の整備が求められる。
  
 入学式で1年生を代表し渡辺航さんは、小学時代の入院での体験から、「病気やけがで苦しむ人たちを助ける医師になる、これが僕の夢の実現です。80人の仲間と共に、ここで学べることに感謝し、努力したい」と誓いの言葉を述べた。
 
 1年生の出身小学校の入学数は次の通り。【津南町25人】津南12、中津6、芦ヶ崎4、外丸2、上郷1【十日町市43人】十日町8、田沢6、川治5、橘5、水沢5、東4、西3、馬場3、倉俣2、松里1、孟地1【南魚沼市6人】塩沢1、石打1、五日町1、六日町1、第一上田1、薮神1【栄村4人】栄4【小千谷市2人】小千谷2。

観測史上最大32・4b、民家屋根吹き飛ぶ、2人負傷、112棟に被害  4月6日号
 猛烈に発達した「爆弾低気圧」による突風が吹き荒れた3日から4日にかけ、津南町や十日町市では強風に襲われ転倒し、大腿骨骨折など2人が重軽傷を負い、住宅や車庫、作業所などの屋根損傷やシャッター破損、農業施設崩壊などが続出し、津南町で58棟、十日町市で54棟に被害が出ている。

 この突風で3日午後4時13分、津南町の津南原アメダスで観測史上最大の秒速32・4bの、人が吹き飛ばされる猛烈な強風を記録している。同日午後4時過ぎの10分間平均でも秒速20・1bという強風が吹き荒れた。

 この突風で、町内中深見の会社員、中沢洋一さん(57)方の母屋の屋根半分が吹き飛ばされ、隣家の車庫に落下。当時、家に居た妻、直子さん(47)がその時の様子を話している。

 3日午後3時15分頃、突然、家が地震のように揺れた。「その直後、家の中が少し暗くなりました。バーンという音と共に外に出ると、屋根がありませんでした」。当時、家には高校生の二男もいたが2人とも無事だった。母屋の屋根の半分が強風で持ち上げられるように吹き飛び、隣家の車庫に覆いかぶさるように落下した。

 吹き飛んだ母屋は天井裏がむき出しになり、強風に加え雨と雷の中、ブルーシート掛けを行ったが、天井から漏れる雨で2階は水浸し。町職員の応援を受け室内にシートを張った。洋一さんは「屋根が飛んだと連絡を受け駆けつけたが、まさかこれほどとは。相当強い風が吹いたんだろう」と驚いている。

 津南町が5日までにまとめた強風被害は、4日に町内正面で歩行中の81歳の男性が強風で転倒、手や腕、顔を打撲する軽傷を負った。建物では上郷中学校体育館屋根の一部がはがれ、沖ノ原の豚舎・牛舎の屋根損壊、倒木による住宅被害など公共施設3棟(上郷中学体育館、秋成消防ポンプ小屋、赤沢消防ポンプ小屋)、住宅11棟、作業所や車庫など非住宅47棟に被害。両日に渡り秋山郷、赤沢、上郷、米原地区で452戸が停電、すべて同日中に復旧。農業施設の葉たばこ栽培パイプハウスや収納コンテナなど3棟が全壊や転倒した。

  一方、十日町市では、3日に中里・荒屋の78歳の男性が強風で転倒、左大腿骨骨折の重症。建物では東小学校体育館や浦田小学校車庫屋根など公共施設9棟が損傷。住宅は窓ガラス、シャッター破損など25棟、作業所、車庫など非住宅20棟が被害を受けている。

写真・突風で屋根が吹き飛んだ民家。家人にケガはなかった(3日午後4時45分、津南町中深見で)

連載「遠い春」 遅れる春始動、スポーツ競技に影響  4月6日号
 全国高校駅伝の都往路、大学駅伝の箱根を走った小林雅幸選手や田村英晃選手など、全国で活躍するアスリートを生み出している十日町市の笹山陸上競技場。日本陸上競技連盟公認の競技場だ。その整備されたトラック、フィールドは、まだ2b近い雪の下だ。「今月の連休前には使用できるようにしたい」と関係者は話すが、ここでも分厚い残雪が、「春始動」の妨げになっている。

 国宝・火焔土器が出土した笹山地区。その丘陵地に造られた陸上競技場と隣接の野球場。例年、今月の連休前から陸上競技の記録会などが毎週のように入る。  

 同競技場は、これまでは市スポーツ振興課と十日町市陸上競技協会が連携し、主体となって運営を行ってきた。市の行財政改革の一環で、昨年4月から、「NPO法人ネージュスポーツクラブ」(斎藤國平理事長)が指定管理者制度により、運営・管理を受託している。受託施設は市内の10ヵ所のスポーツ施設。うち8ヵ所が野外施設。今シーズン、いまだ2b前後の残雪に覆われている施設が多く、運営する「ネージュ」としても、シーズンを目前に、この残雪が大きな支障となり、課題になっている。

 市総合体育館に常駐するネージュの中島浩幸クラブマネージャーは、昨年を上回る残雪が恨めしい。「昨年4月も多くの残雪があった。指定管理を受けて初めて春を向かえ、あの大量の残雪でした。今年は、昨年以上の残雪。運営のコストアップになってしまいますね」。

 すでに地元の中学校体育連盟や高校体育連盟などから、『いつから使用できるのか』などの問合せが入っている。ネージュでは来週初めから陸上競技場のトラック、総合運動公園のテニスコートなどの除雪を行う方針だ。市所有の小型ロータリー除雪機2台を借り、溝切り除雪を行う計画。だが燃料代はネージュ負担。この2ヵ所だけでも約400gのガソリンが必要だ。

 毎冬、市は春除雪を行う。だが、スポーツ施設などは対象外。「運営・管理の指定管理制度ですが、それは施設が使えるような状態が前提。この残雪、何もしないなら5月連休まであるでしょう。それでは、利用者ニーズに応えられない。市の春除雪の中に入れてほしいですね」。

 除雪機の除雪は、地表面30aくらいまで。その先は『人海戦術』を考えている。地元の中体連、高体連などの協力を受け、「シャベル隊」を実施する。シャベルでトラックを掘り出す作業。延べ百人規模を予定している。中島クラブマネージャーは話す。「全国で活躍する人材が育っています。一日での早くトラックを使ってほしいです。この残雪を『雪国のハンディ』と片付けたくはないですね」。

 日本陸連公認の陸上競技場は、いまだ雪原状態。飛び回るウサギの足跡、散歩の人の足跡があるだけ。「早く走りたい」、選手たちの声が聞こえる。

写真・2b余の雪に覆われる篠山陸上競技場。この雪処理が課題だ(2日)

春を呼ぶ「サンヨ」、陣場下・毘沙門天  4月6日号
 ○…春を呼ぶ津南町陣場下の多聞天押合大祭が3日に行われ、「まくぞ」「サンヨ」と小学生の元気な声が境内に響いた。当日は日本海で発達した低気圧の影響で大荒れの天候となったが、押合いに支障はなかった。境内には2b余りの雪が残る中、会場には押合いを楽しもうと地域のお年寄りや子どもたちの家族らが駆けつけ、声援をおくっていた。
 
 ○…千2百年の歴史を刻む南魚沼市浦佐の毘沙門天普光寺の分院として昭和9念に開山し、戦中を除き毎年、押合いを行っている。津南の大祭役員らが毎年、普光寺に年始に訪れている関係で、今年も浦佐押合い大祭の役員らが訪れ、護摩法要など行った。境内の桜はまだ蕾をつけていないが、子どもたちの「サンヨ」の声で雪国津南にも春の雰囲気が高まっている。

ミシュラン三ツ星レストラン、東京目黒「ラッセ」人気、中里出身の村山さん  4月6日号
 イタリアのミシュラン3つ星の味を日本で―。津南高出身の村山太一さん(37)が昨年5月、東京・目黒にイタリアン・レストラン「L、asse」(ラッセ)をオープン。1年経過したが連日、満席という人気だ。今年1月には長岡市での町おこしイベントに講師として呼ばれ、8月にも再び招かれる予定など、「シェフ村山」の名が広がっている。
 
 村山さんは中里・田沢出身。津南高卒業後、長岡調理専門学校で学んだあと、国内で和食の修行を積んだが、様々な料理に触れるうちイタリア料理に魅せられ、26歳の時にイタリアに立った。ミシュラン2つ星の2店で5年間修行を積んだ後、カンネッタ村にある同3つ星の名店『ダル・ぺスカトーレ』で副料理長を2年半務めた。「毎日が緊張の連続で、これ以上のプレッシャーを味わうことは今もってないというほど厳しい指導だった」という。
 
 店名は、「イタリア料理の基礎をしっかりと支える板という思いを込めて」パスタを打つための木の板から名付けた。地球の地軸など常に回っている物の中心軸という壮大な意味もある。オープン後、雑誌の取材が殺到。著名な評論家からは「同店の名物になっているリコッタ、モッツアレッラなど4種のイタリアチーズを使ったラビオリは、コクがあり、旨味が口いっぱいに広がる妖艶な味わい」「和牛のボロネーゼを和えたフェットチーネも傑作。イタリア本国でもこれほどおいしいボロネーゼは滅多にいただけません。いまイチ押しのリストランテです」などと高い評価を受けている。
 
 村山さんは「念願の店を持ててうれしい。機会があったらぜひ、おいでください」と話している。レストランラッセрO3(6417)9250。


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