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2011年12月の津南新聞「トピックス」

過去の津南新聞トピックス
「ありがとう」でグランプリ、震災地から出場の「おやじバンド」ハサンオールスターズ  12月30日号
 被災地の栄村から出場したバンドがグランプリを獲得した。今月4日開催の「おやじバンドフェスティバルinNAGANO」で、県境地震以降、ボランティア受入れや被災地支援活動を積極的に取り組む「栄村震災復興機構・結い」代表の相澤博文さん(64)がバンド
リーダーの「ハサンオールスターズ」が長野県内エントリー39組の中でトップのグランプリに輝いた。メンバーは「我々にいただいた声援を、被災された人たちに届けたい」と話している。

 
 同フェスは毎年開き、ハサンオールスターズは初出場。長野県内の39バンドがエントリーし、各地区予選を勝ち抜いた10バンドが本選会場の長野市ホクト文化ホールに出場。会場は県内外いっぱいの6百人の観衆を前に、各バンドがオリジナル曲やホップ、ロックなど数曲ずつ演奏。いずれも地区予選を勝ち抜いてきた実力バンドばかりで、会場は熱気に包まれた。

 6番目に登場したハサンオールスターズ。秋山郷の自然への思いを歌った「ソロソロ」、県境地震への全国から届いて支援に感謝し、歌い上げた「ありがとう」、さらに同バンドの一押し曲「年」の3曲を演奏。被災地の栄村からの出場とあって、会場から大きな声援が飛んでいた。審査は、来場者の投票で決め、ハサンオールスターズが見事グランプリに輝いた。

 メンバーは、秋山郷の相澤さん(ギター・ボーカル)、山田龍一さん(津南町結東、ギター・ボーカル)、山田洋樹さん(同、リードギター)、伊東章一さん(東京、ベース)、高田直弘さん(同、ドラムス)の5人。平均年齢は53歳。メンバーの高田さんは「我々の応援団は結い関係者など4人だけのなか、会場の皆さんが選んでくれたグランプリで、驚きと共に嬉しかった。感謝の気持ちでいっぱい」と話し、リーダーの相澤さんは「多くの方々にお世話になり、その感謝を込めて歌い、それがグランプリとなり、さらに感謝を思いでいっぱいです」と話している。
 ハサンオールスターズは一昨年には、全国ナイスミドル音楽祭に全国エントリーのなか、作曲家・宇崎竜童氏の推薦で、全国特別演奏バンドに選ばれ、東京JCBホールで演奏、全国放送された。

写真・おやじバンドフエスでグランプリ受賞のハサンオールスターズ(12月4日、長野市で)

大倉トンネル実現に尽力、高鳥さん初めて現場へ  12月30日号
 ◎…「離島に橋ができたようだ」と地域の大きな喜びとなった国道117号、津南町の大倉バイパス(1・35`)の大倉トンネル(885b)。13年を要して、念願の開通を今年10月15日、迎えた。このトンネル実現に現職時代、長年にわたって要望し続けた元衆院議員、高鳥修さん(82)が22日、津南で開いた恒例の囲む集いに参加し、高鳥さんも開通を念願していた大倉トンネルを、開通後初めて訪れた。「いやぁー、本当に良かったね」と、いつもの笑顔でトンネル内を歩いた。

 ◎…「予算削減、公共事業削減の時代だったが、このトンネルは地域の生命線だと言い続けてきた。地元の町長さん、県議さんの努力だよ」と、これまた、いつもの謙虚な言葉。「僕はねぇ、古いスノーシェードには思い出があるんだよ」。37歳で初めて国政をめざした衆院選の初陣。冬の選挙だった。「すごい雪で、このスノーシェードから先には行けなかった、結局、上郷の皆さんの所には行けないままだった。本当に良いトンネルができて良かったね」。その初陣は惜敗、だが以降連続当選11回、総務大臣や経済企画庁長官などを務めた。「もう82歳だよ」と高鳥さん。津南への思いを常に抱いている。

笑顔がいちばん・清水澄江さん「波乱の人生、今じゃ茶飲み話だて」
 「げぇに、いねぇんこと書くない」。いつもの笑顔で話す顔が、今日はちょっと緊張気味。「写真は、やだなぁ」。
お待たせしました。清水澄江さんの登場です。というより『左巻きバッパ』の方が知られているでしょう。「あまり、へんなことを書かないで」は冒頭のあいさつ。へんなことどころか、新年10日で84歳を迎える清水さん。「八十路」を生き抜いてきた世代がみな歩んだように、波乱万丈の人生ドラマだ。


 信濃川には、いくつもの船着場があった。その一つ、津南町田中。今は国道117号から「田中橋」が架かるが、昭和54年までは吊り橋。その前は船だった。同地の河畔の温泉宿「しなの荘」の下流に船着場はあった。川幅が狭くなる同地。両岸をケーブルでつなぎ、それを頼りに船が行き来した。

 昭和26年。渡し舟に乗って、対岸の小下里地区から田中に嫁いだ。対岸の実家は、家の居間から見える。
元気な男の子2人を授かる。長男が4歳の時、夫がくも膜下出血で急死の悲運に。女手ひとりでは大変と、親戚などの世話で縁あって再婚。その後授かった長女共々、3人の子を育て上げた。「どこんしょも、苦労したこっつぉ。今じゃ、茶のみ話になったどもそ」。農繁期に開設された季節保育所の保母も務め、寸暇を惜しんで働いた。

『八十路の思い出』は、4年前に連載開始。「まぁーず、困まったて。こないだ、津南病院で聞かれたて。『おまえさんが書いてらんかい』と。おら、双子なんだて、なんていったら、本気にしたんだんが、すんま、あやまったて」。

 この、おとぼけが魅力。新聞を読み、「ぜひお会いしたい」、「訪ねて行ってもいいですか」、時々、連絡が入る。先日、十日町の人が訪ねてきた。「いやぁーたまげたて。話を聞くと、おら息子の近くにいらんだんが」。二男は十日町で暮らす。連載は、すでに166回を数える。

 昨年末、「昔の正月料理」の取材を受けた。新潟県内のミニコミ誌。黒豆煮、氷頭ナマス、八ッ頭芋煮、結びコンニャク、レンコン煮、煎りクルミ、そして清水さんオリジナルの「いぐりごっぽ」など10品ほど。今年も20日過ぎから材料作りを始め、大晦日までに間に合わせる。「へぇー、やめよかと思ったが、息子らが食いたがるだんが、しかたねぇ、つくらんそれ」。

 先日、町内外丸地区のお年寄りの集まりに呼ばれた。十八番の「どじょうすくい」を披露。『清水さんのどじょうすくいを見ると、元気が出る』と評判の逸品。40年余り前、農協女性部(当時婦人部)の活動で始め、年と共に円熟味を増し、今では職人芸。9月の前町長、小林三喜男さんを囲む会でも披露し、ヤンヤの喝采を浴びた。
 「たつけもねぇこと書いてらんだが、みなさん、まめで新年をむかえらっしゃい」。八十満の思い出、新しい年もよろしくお願いします。

県境地震、迫真のドキュメント「震災日記」発刊、栄村の松尾さん  12月30日号
 3月12日の長野新潟県境地震の発生当日から「震災レポート・栄村の状況」を発行し、今も「栄村復興への歩み」を出し続けている栄村在住で京都精華大教員の松尾眞さん(1950年生まれ)。震災から1ヵ月間に発行したレポートをまとめた「震災日記」をこのほど発刊した。帯にあるように「その時、人は、家は、ライフラインは、行政は、どうなるのか」と問いかけると共に、震災後の住民の動きを追い、震災時における直面する課題、問題の核心を突く迫真のドキュメントが、この1冊に収められている。

 3月12日午前3時59分発生県境地震。「ドーン、ガタン、ガタン、ガタン、ガタンという衝撃と音で瞬時に目を覚ましました」。同著は始まる。次第に明らかになる被害状況、避難所生活の実態、避難者の生の声などをレポート。7日後にはボランティア受付と共に復興支援の独自組織「栄村復興支援機構 結い」を立ち上げる。一方で3月20日には、今を見据えた復興ビジョンのあり方を提言している。

 さらに、マスメディアの震災報道が東北に集中しているなか、「栄村の状況」を震災後毎日、レポートと共にブログ発信していたため、メディアの目を県境の地、栄村に向かせ、4月6日には当時の菅首相が直接、村役場の島田村長に電話を入れる事態に。同時に同レポートは、村民の情報源ともなり、情報の共有の重要性を改めて突きつけている。

 あとがきで松尾さんは、復興へのポイントとして「村のコミュニケーション空間の創造」、「行政の情報発信の問題」、「新しい公共空間の創造―住民自信が「公」をどう考えるか」を取り上げ、問題提起し、読者の意見を求めている。

 同著「震災日記―長野県栄村、2011年3月12日〜4月12日」は、発行所・株式会社アルファベータ、1995円。問合せはNPO栄村ネットワーク 080・1987・3549。

歳末大雪、山間地で170a越える  12月30日号
 ○…一晩で150aを越える大雪が降った。津南原アメダスは25日の24時間降雪量は163aを記録。町役場前でも同日、75aの降雪を確認。クリスマス寒波により道路事情は一気に悪化。集落内道路はすれ違いも困難となり、屋根にも1b余の積雪が溜まるなど、住民は除雪に追われる3連休を過ごした。25日に津南町や十日町市に大雪警報が発令され、26日に解除となった。27日朝9時の積雪量は津南町役場137a、結東170cm、津南原アメダス153a。年末の降雪で思い出されるのはあの平成18豪雪。過去10年の町役場観測所の12月の月別累計降雪量で最も多いのは平成17年の930a、今冬は26日現在すでに累計降雪313aを記録し、2番目の数字だ。
 
 ○…一方、雪害事故も増加傾向にある。25日午前10時頃、独りで屋根除雪していた十日町市美雪町の無職・酒井富治さん(76)が倒れているのを近隣住民が発見。十日町病院に搬送、翌26日午後12時55分に脳内出血で死亡を確認。除雪中に容体が急変したとみられる。雪害での死者は十日町地域では今冬初。他にもエンジンを付けたまま除雪車のロータリーに溜まった雪を落とそうとした男性が指を巻き込まれ軽傷、融雪溝に指を挟んだ男性が軽傷となるなど26日現在3件発生しており、今後も注意が必要だ。

写真・23日からの集中降雪で山間部は170aを超えた(26日朝、津南町正面で)

震災乗り越え営業再開、さかえ倶楽部スキー場、温泉宿・トマトの国  12月30日号
 ◎…3月の県境地震で被災し、水道水源や建物損傷などの被害で震災以降、休館していた栄村の温泉宿泊施設「トマトの国」は19日、9ヵ月ぶりに営業を再開。さかえ倶楽部スキー場も23日オープン。同館の広瀬春美支配人は「休館後、いつ再開するんですかと多くの励ましをいただきました。この日を迎えられたのも皆さんのおかげです」と感謝、玄関でお客さんを迎えた。再開の当日、入浴や食事を無料サービスし、来館者3百人余が再開を祝った。

 ◎…震災で同館裏山が大崩落し、水道水源が流出、震度6強の激震で玄関が20a陥没、館内の壁や床を損傷。さらに進入路の村道も陥没する大きな被害を受けた。復旧工事はスキーシーズンに間に合うように取り組み、この日を迎えた。修復は約7千万円をかけ玄関部を大型乗入れ可能のスロープ化にし、水道水源も新たに削井した。十日町市から姉妹4人で来館した大塚キイ子さん(64)は「再開を待っていました。この温泉がいいですね。静かでゆったりできます」とさっそく温泉に入った。再開のテープカットをした島田茂樹村長は「多くの皆さんのご支援で再開できた。元気を出して、その思いに応えていきたい」と話した。同スキー場は積雪に恵まれ計画通り23日オープン。すでに積雪は1b余。被災したセンターハウスやリフト見晴台を修繕(約6千6百万円)。トマトの館、同スキー場とも震災激励の予約や新たなスキー大会が入るなど、順調にシーズンインしている。

写真・営業再開後、久々の温泉を満喫する来館者(トマトの国で)

新規就農求む、年間150万円支援、津南町が国事業で  12月23日号 
 全国の先駆け的に、16年前の1995年から津南町が取り組む新規就農者の募集。国は2012年4月からの新年度、全国の市町村で新規就農者受入れ事業を支援する。該当者には年間150万円が支給され、最長7年間、同事業支給が受けられる。いち早く同情報を察知した津南町は、先月から町ホームページで募集紹介を載せ、先進地での定着率の高さや整備が進む広大な農地、さらに受入れ住宅などを紹介し、「津南での農業ライフ」を呼びかけている。すでに2人が面接を行い、新年度からの就農への意欲を見せている。

 津南町は1995年、町単独事業で、新たに農業に取り組み津南に定住する人材を全国に募集した。当初は3年間の研修事業、月額15万円の生活支援をし、津南町農業公社で農業研修を積み、独立した。国営苗場山麓開発事業で誕生した広大な農地が、新規就農者の大きな魅力となり、2008年までに21人が新規参入し、全員が就農定着している。現在も支援金は減額したが「アグリサポート事業」で継続している。

 新年度から実施の国事業は、津南町が当初スタートした事業とほぼ同じ。年間150万円の支援金が支給され、最長で7年間受給できる。対象年齢を40歳以下としている。

 津南町は、この国事業による新規就農者を、町独自事業と同じように町農業公社や先進的畑作農業者への研修事業を組み合わせ、2年間の研修後、独立をめざす。この時、農業機械や関係装備などへの資金援助を行う用意がある。

 担当の町地域振興課では、苗場山麓開発による広大な畑地を活用し、大規模営農が可能で、野菜ではアスパラ、スイートコーン、野沢菜などを進め、就農開始時は、契約作物で価格が安定している加工トマトなどを勧める方針だ。「初めて農業に取り組む方でも、きめ細かな農業研修が受けられ、これまでの実績を見てもらえれば、津南での就農の可能性を感じていただけると思う」(同課)と、受入れに自信を見せる。

 先月のホームページアップ後、すでに2人が来町し、現地を見たり、担当職員の面接を受けている。この新規就農事業、新たな定住対策とも結びつき、全国の市町村が取り組むなか、その差別化、個別化での特色づくりが課題になっていく。

写真・広大な農地が整備されている津南町、新規就農者を求める

笑顔がいちばん「中村由美子さん・24歳、石垣田保存会けっとう」 先人の偉大を感じる 12月23日号
 腰高を越える草におおわれ、どこが田んぼか全く分からなかった。真夏の7月。滴り落ちる汗を気にせず、草を刈ると、次第にかつての田んぼが姿を現してきた。傾斜地に作られた「棚田」。それも、大小さまざまな石を積み上げ作った「石垣田(いしがきだ)」。中村由美子さん(24)は、草刈りにより姿を現した景観に、感動した。「すごい、このひと言でした。津南の「世界遺産」です」。

 秋山郷の入り口。津南町見玉地区。集落の高台に、かつて「秋成小学校」があった。その一帯は、かつて見事な石垣田だった。だが、休耕してから、夏場は草におおわれ、往時の面影はない。
昨年6月。全国に知られる「結東の石垣田」を守ろうと保存会を立ち上げた。「実は私が最年少です。じゃあ、お前が代表だな、と決っちゃいました」。活動の中で情報が入ったのが「秋成小学校」の石垣田。7月、メンバーで草刈りをした。数十年ぶりに、夏場の石垣田が姿を現した。

 「石を積み上げて田んぼを作るなんて、相当の苦労だったと思います。それだけ当時は、田んぼが必要だったんですね。しっかり、後世に残したいです」。姿を見せた石垣田には、キビやエゴマを植えた。秋の収穫感謝祭では、参加した県外からの人たちに、キビやエゴマ料理を振る舞った。「実は、私はまだエゴマを食べたことがないんです。とっても旨いと聞いていますが」。次回のチャンスを期待している。

 10月の津南町議選。自転車選挙をしている候補と、1日だけ一緒に、自転車で町を回った。河岸段丘の坂を上り、下り、ポツンと家が建つ離れた集落や国道117号、町中央部など、朝8時から夕方7時近くまで、ひたすら自転車をこいだ。「津南は広いですね。でも、車では見えないものや人との出会いがいっぱいありました。こうして、改めて津南をじっくり回ると、いい町だなぁと、思いますね」。

 夏場は町内の農場で働き、冬はホテルの客室業務と、季節ごとのメリハリある生活。今はまだ漠然としているが、描いている将来イメージがある。父は自営業で米作りも行う。今春、その家の農業を行うため、1歳違いの弟が家に入った。「これから、地域の高齢化で田んぼ作りが困難になっていく方が増えると思います。そうした方々の田んぼを請けて、米作りができないかと思います。まだ、経験は浅いですが、そんな将来イメージを抱いています」。若い世代の農業進出、その動きは、すでに各地で始まっている。

 「父の影響でしょうか。人と人との関わりを大事し、中途半端はしない。遊ぶ時は徹底的に遊ぶ。そんな父を見てきました。同じ世代の人たちが、もっといろんな人と関われば、もっといろんな活動が起こると思いますよ」。雪を見ると思い出す。小学校の頃、父が巨大なすべり台を作ってくれたことを。「最高に面白かったですね。面白いことは、いっぱいありますよ」。

先ず早期改築、新十日町病院問題、市長と議長が知事要望  12月23日号
 新十日町病院の建設は、来年いよいよ実施設計に入り、県は25年度着工に向け、本腰を入れるようだ。先月29日、十日町市の関口市長、小堺議長は揃って、県庁に泉田知事を訪問し、「早期改築」を要望した。市長、議長が揃っての要望は、関口市政では初めて。県は先月4日、国に提出した新潟県地域医療再生計画で、「新十日町病院改築」を明記し、さらに5年後の平成27年度開業とまで明記している。20日開いた市議会病院問題特別委員会で、市側は「まず早期改築。来年度、実施設計に取り組み、25年度着工と進めたい。県は方針を示している」と、県方針通りの建設に改めて大きな期待感を示し、必要に応じては新年度予算に、関連予算を配置する方針を示唆した。


 県が国に提出した同計画によると、新十日町病院は総事業費100億円。国の医療再生基金から10億円を活用し、25年の事業着手を明記している。これを受ける形で先月29日、関口市長と小堺議長が、早期建設を泉田知事に直接要望した。知事は、公設民営という言葉は使わなかったようだが、「県立でなければできない医療はない」と、従来からの言い方をしたようだ。一方で関係者は、「県立だからできる医療提供を、知事は含んでいるのではないか」などと見ている。

 20日の市議会特別委員会は、初会合以来の公開委員会となった。委員からは、「早期改築をどうすすめるか、県と市は緊密に連絡しているのか」や「県が新年度予算に十日町病院改築関係を予算化したら、市も新年度予算に関係予算を盛るのか」、さらに「今のペースで25年度着工が本当にできるのか」など、市の取り組み姿勢や方針を求めた。関口市長は出席しなかったが、尾身部長と宮室長が説明した。

 この中で「25年度着工を県が位置づけたことは、形が見えてきたことだと受けとめている。当然、予算面も確保してもらえるものと受けとめている」(尾身部長)と、県が国に提出した同医療再生計画に載せた重さを強調した。さらに「(新十日町病院の)設計は進んでいる」(宮室長)と基本設計が進み、来年度には実施設計への進む意向を示唆した。


 安保委員長は、県会常任委員会での県病院局の関川業務課長の答弁、『整備基本計画を策定しないと25年着工が間に合わない』を紹介し、「県も着工に間に合わないことを考えている。早急に詰めた議論が必要になっている」と市に最優先課題としての取り組みを求めた。なお、津南町議会12月定例会で上村町長は、新十日町病院について「公設民営の骨子は残るが、運営主体やメデイカルスタッフなど、どこにするかなど整理されてきている。今年度中にラフデザインが進み、新年度に実施設計、2年後に着手の期待ができると聞いている」と、質問に答えていた。

中国ハルビンTVがニューグリーンピア津南を取材、誘客効果期待  12月23日号
 ○…中国から韓国などからの海外旅行者受入増をねらう「インバウンド」を進める県事業を通し、中国・黒竜江省のハルビンテレビ放送局のロケ隊11人が17日、ニュー・グリーンピア津南(NGP)で撮影。ロビーに飾る国内最大級の吊るし雛や温泉、夕食バイキングの様子などをカメラに収めた。映像は中国の正月に当たる「春節」(1月23〜25日)前に黒竜江省のテレビやラジオで放映。同局インターネットでも配信する予定だ。
 
 ○…新潟県と友好交流を結ぶ黒竜江省からのロケ隊は新潟市のマリンピア日本海、松之山キョロロや美人林、まつだい農舞台など16日から19日にかけ撮影。NGPは同省のハルビン招商国際旅行社(苗宏峰社長)と5年余前から交流がある縁で来訪。同旅行社は年間5百人余のツアーをNGPに呼び込み、誘客に一役買っている。苗社長は「津南の自然は豊かで四季が明確。この自然に魅せられ、また来たくなる場所でリピーターも多い」と評価。一方、NGPの石橋昌子常務は「中国の方は和室が好評で、雪景色を気に入る人も多いです。海外からの誘客に繋がれれば」と期待していた。

着物ドレスで十日町に活、トオコングランプリは長岡大  12月23日号
 「とおかまちの地域資源を活かした新ビジネス」をテーマに、大学生がビジネスプランを提案する「トオコン」の本選会が17日、千手コミュニティーセンターで開かれ、長岡大学・松本ゼミの「着物ドレスの販売・リメイクサービス事業」が1位に選ばれ、賞金7万円を獲得した。
 
 トオコンは、大学生の提案プランと地元事業者とのマッチングによるビジネス化を目的に昨年から実施し今回が2回目。10月に実施した予選会では新潟会場に8団体、東京会場に7団体が出場、うち6団体が予選を通過して本選会に臨んだ。審査には関口市長はじめ行政、民間団体からの6人と、提案と関わりのある事業者ら16人が会場審査員として発表に耳を傾けた。
 
 長岡大学は女子メンバー3人が着物生地から製作した自作のドレスを身につけ、「和の美しさを残しながらウェディングドレスや気軽に着られるパーティードレスにできます。アイフォンでの着せ替えアプリでPRを」などと発表。また2位(賞金5万円)は長岡技術科学大学・cuhulaの「長期熟成酒で十日町をPR」、3位(同2万円)は慶応義塾大学・チームKOの「十日町活性化プロジェクト〜きものNAVI+〜」が獲得した。

  関口市長は「十日町のことをよく勉強し、その努力に感謝したい。これらの提案を何とか地元事業者からビジネスにつなげていただければ」と話している。

いきに冬本番、山間地で1b 12月b23日号
 ○…強い寒気が入り込んだ16日から翌17日にかけ、一気に津南地域に雪が降り注いだ。17日の降雪量は町役場前51a、結東観測所68aを記録。それまで降雪はほぼゼロだっただけに、ドカッと大雪となった。21日現在の積雪量は町役場前50a、結東90a、津南原アメダス70a。
 
 ○…スキー場にとっては恵みの雪。ニュー・グリーンピア津南はホテル近くの1ゲレンデが滑走可能となり17日にオープン。マウンテンパーク津南、さかえ倶楽部、中里清津、まつだいファミリー、松之山温泉の各スキー場は23日オープン予定だ。

空校舎、保育園の活用、「知恵だし」を、津南町が活用策模索  12月16日号
 小学校や保育園の統廃合で遊休施設が増えている津南町は昨年末、「空き校舎・保育園再利用検討委員会」を立ち上げ、4回の委員会後の先月末、方針を出した。教員住宅は町営住宅として活用。小学校、保育園は新たに住民代表、有識者などによる検討委員会を立ち上げ具体化したい方針。来春、上郷中統合で同校舎と教員住宅が空き、さらに遊休施設が増える。町は「新年度早い時期に具体化したい」とするが、校舎は地域の避難所でもあり、施設活用の具体化と共に防災面での必要性もあり、具体化には「知恵出し」が求められる。

 町有の遊休施設は、平成19年3月閉園の三箇保育園(新築活用開始年・平成12年)、津南原保育園(同13年)、昨年3月閉校の津南原小学校(同・昭和63年建設)、三箇小学校(同・平成5年)、両校の教員住宅が空き、来春には上郷中、教員住宅を含め8施設となる。この問題は12月議会一般質問でも風巻光明氏が取り上げた。
同検討委員会は昨年11月、上村町長の指示で庁内関係課の課長、班長など11人で組織、先月24日の第4回委員会で終了。9月の3回委員会では閉校後、都市部の小学校や大学が交流活用する三箇校区の地元グループと懇談し、活用状況を聞いた。


 同委員会で具体化したのは教員住宅。「行政財産から普通財産にし、町営住宅として活用」と一般利用をめざす。保育園と小学校は、建設時の補助金との関係があり、さらに災害避難施設との関係もあり、新たな検討委員会で研究する方針だ。

 公共施設は、建設後10年を経過すると助金返還の規制から外れるが、建設目的の使用期間が10年以上経ているのが条件。三箇、津南原の両小学校は、この条件は満たし補助金返還はない。だが津南原、三箇の両保育園は、使用期間が津南原7年、三箇8年と条件を満たさず、目的外利用の場合、補助金返還を迫られる状況にある。
今後、新たに設置する検討委員会で、この補助金問題や防災拠点施設などとの関係を、どう研究し、具体化するかが課題になる。

▼△△

 閉校校舎を活発に活用しているのが三箇校区。地元住民主導で実績を上げている。同区では、地元グループ「都会との交流を進める会」(恩田稔会長)が、同校舎を活用し、神奈川・鎌倉小学校や横浜国立大と2年越しの交流続ける。地元の棚田や山川を活用した農業体験、自然教室などの宿泊・活動拠点となり、昨年は329人が来校し、今年はこれまでに162人が使用し、今冬も鎌倉市内の小学校や横浜国大が冬季体験に来校する計画が進んでいる。恩田会長は「使いたいという要望は年々広がっている。利用者への津南町としてのメッセージが必要になっている」と、町との連携を求めている。

 遊休施設はさらに来年増える。来春3月統合の上郷中学校舎と教員住宅が空く。同校舎は県境地震で被災、耐震補強済みの特別教室棟は使えるが、耐震補強していない体育館・普通教室棟は、現状では使用できないなど、活用策をさらに難しくしている。同検討委員会では「新年度の早い時期に具体化したい。防災面を含め、総合的に研究したい」と、地元との懇談や住民アイデア募集などを検討中で、「知恵出し」が求められている。

写真・閉校後、地元住民グループが積極活用する旧三箇小校舎

連載「笑顔がいちばん」 中村幸美さん「農業は楽しく」、沖縄の食文化も  12月16日号
 時々、ふと海が見たくなる。生まれ育った沖縄では、道路を走ると、すぐわきに海がある。「見たくなると、休日に日本海を見に行くんです」。沖縄の代表的な柑橘類「シークヮーサー」と長寿で知られる本島北部、大宜味村(おおぎみそん)で育った中村幸美さん(29、中村農園)。津南の雪道の運転にも、だいぶ慣れた。

 春のアスパラ、田植え、夏の加工トマト栽培、秋の米収穫、そして今、餅加工で大忙し。自作のもち米で作る餅「田舎もち」。地域の物産店やネット販売で人気だ。

 朝8時から夕方5時までフル操業。「今月末まで続きます。もうちょっとの頑張りですね」。この時期、2人の子たちは早朝保育で朝7時半過ぎ、家を出る。

結婚前の21歳の頃。初めて津南に来た。それも冬。「雪の壁の中を車で通り、どこを走っているのか分かりませんでした。こんなにたくさん雪は初めて。『すごーい』でした」。津南原高原は国道117号沿いより一段標高が高く、雪も多い。「凍った雪道のガリゴリさが、怖いですね。それに寒いですね」。ガリゴリ、この表現、まさに体験からの言葉だ。

 2人とも美容師だった。東京の職場で知り合い、そのままゴールイン。夫・勝さん(33)と共に津南に帰り、もう3年ちょっと。「津南に帰って、農業を継ぐことは話していました」と勝さん。

海を見たくなるように、月に一度余り、無性に食べたくなるものがある。『沖縄そば』。「実家から送ってもらいます。スープ付の生めんです。ダンナも、子どもたちも好きになりました」。豚のスペアリブ(骨付き肉)を入れる「ソーキそば」も大好き。津南で沖縄の食文化を、時々、堪能している。

 「農業は楽しく」がふたりのモットー。四角豆の種類で、沖縄で栽培する「うりずんまめ」の種を沖縄から取り寄せ、津南で植えた。「ちゃんと育ちました。炒めものやてんぷらが最高です」。サヤエンドウのようなシャキシャキ食感がたまらないという。
「津南でも育つ沖縄独特の野菜があります。そうした野菜を少しずつ作り、皆さんに提供したいですね」。新たな津南の食文化が、芽生えるかも。

 津南暮らしと共に始めたカゴメ・トマトジュースとの契約栽培の加工トマト。今夏、このジュースボトルのパッケージ写真に2人が登場。「話題になりました。大手メーカーのトマトジュース原料が津南で作られていること、余り知られていなかったので、PRにもなりました」。沖縄の実家に1ケース送った。「ボトルを保存しているようです」。

 2人の子たちを通じて、食の安全を気にかける。フクシマ事故で飛散した放射性物質。津南地域にも飛んできた。「お米は、自分たちで検査しました。不検出でしたので、安心して皆さんに提供できます」。農と向き合う姿勢を感じる。

 初めて農業に取り組み3年余り。「実はトラクターなどに乗るのが好きなんです。今年は『田かき』をしましたよ」。沖縄の「おばー」手作りの、香りが強いサンニンの葉で包んだ沖縄もち『ウニムーチー』、揚げお菓子『サーターアンダギ』が時々届く。「津南の野菜は美味しいです。沖縄の食べ物も美味しいです。食べ物を通じて何か交流が出来れば面白ですね」。

被災の栄村観光施設、トマトの国が営業再開  12月16日号
 県境地震で被災し、使用ができなくなっていた栄村の温泉宿泊施設「トマトの国」は今月19日、日ぶりに営業を再開する。震災復旧工事でホテル入口を全面改良し、従来の階段をなくし、車が入れるロータリー式にし、利便性を増した。19日には、島田村長らがテープカットし、再開を祝う計画だ。


 同宿泊施設は、震災で上水道水源が崩落し、館内の一部も損傷。だが、温泉には影響なかった。改修工事は約7千万円を要し、マイクロバスが玄関に横付けできるように盛土でスロープロータリーを作り、利便性をはかった。すでに九州の高校のスキー修学旅行の予約や神奈川県総体大会も例年通り入るなど、震災支援などが寄せられている。 

写真・玄関スロープができ、車乗り入れが実現したトマトの国 

「奇跡の池谷」、NPOで地域活動、集合住宅も  12月16日号
 7年前の中越地震で被災、8世帯13人の限界集落から2世帯がムラを離れ、存亡の危機にたった十日町市池谷集落。だが崩壊寸前、全国からの被災地ボランティア受入れを契機に20代から30代の若手移住者が続出。現在は8世帯18人と人口を増やし限界集落も解消、今は「奇跡の集落」とも呼ばれる。その池谷をさらに活性化をと、村全体を挙げて来年4月、NPO法人化をめざす動きが活発化。10日に住民ら15人余で設立検討協議会を開き、百年先の集落のあり方など議論を交わした。
 
 集落あげてNPO化を図るのは全国でも珍しい取り組み。中心となるのは十日町市地域おこし実行委員会(山本浩史代表、25人)。NPO事業では中越地震震災復興基金を活用、地元住民や移住者が住める20人規模の集合住宅建設(事業費4千万円)、中山間地地区の再生モデル集落として全国過疎地の視察や研修受け入れ(50万円)、都市との交流を交えた近隣水田や畑など耕作放棄地の再開や農地保存(50万円)など計画。池谷で生まれ育った曽根藤一郎さん(75)は話す。「若者の移住でムラを残す希望が見えた。この地が好きでやって来る人には自分の技術や知恵をすべて伝える。ムラの文化や営みを引き継いで貰いたい。もちろん、若者に負けずまだまだ頑張るよ」とNPO化に期待を寄せる。
 
 同委員会は6年前に中越地震ボラ受入れ母体として発足。その後国際協力組織・JEN(本部・新宿区)の災害支援を受け、除雪や農業体験など継続し述べ2千人余を受入れ。そして昨年、地域おこし協力隊の30代夫婦とその子一家3人、さらに体験を通し集落に魅せられた20代女性2人が今年移住。それまで平均年齢が65歳を超えていた限界集落が、一気に若返った。代表理事就任予定の山本浩史さん(60)は「中越地震後は10年先の未来も語れなかったが、今は百年後の集落を考えることができる。皆様の協力のおかげ。都市と農村の交流を継続し、都会の方の知恵や力を借りながらNPOとなり新しい中山間地の事例として未来に繋がる池谷を作っていきたい」と意欲を語った。
 協力者や移住希望者は随時募集中。問合せは同委員会事務局の多田朋孔さんрO25(761)7009。

こだわりの地酒、地元どぶろくが一堂に  12月16日号
 ○…米どころ新潟の「どぶろく」が集結―。第1回新潟どぶろく博覧会は10日、ニュー・グリーンピア津南で開き、新潟県12、栄村1の計13蔵元が自慢の酒20種類余を出品。県内外から参集の150人余が舌鼓。同津南と交流ある石神井太鼓保存会・せんば太鼓演奏も行い、どぶろく談義に華が咲いた。知人と来場の十日町市の小熊好弘さん(37、高田町)は「普段はどぶろくは飲まないので新鮮。蔵で味が違うので、まとめて味を楽しめるのが嬉しい」と杯を重ねていた。
 
 ○…無農薬米使用やブナ林湧水での仕込みなど、こだわりぬいたどぶろく。「県内の特産としてアピールを」と県どぶろく研究会(佐藤健一会長・上越市ほほえみ荘)と魚沼妻有ちゃぶ台くらぶ(古澤有三代表)が初企画。当初3月実施予定だったが、県境地震で延期となっていた。古澤代表は「米どころ新潟のどぶろくの美味さをアピールし集客に繋げたい。来年も継続する。津南はまだどぶろく特区認定はないが、ぜひ取り組んでほしい」と全県レベルの博覧会開催の波及効果に期待を寄せた。

原発不安増す、津南町議会が東京電力呼び説明会  12月9日号
 「除染はどこまでできるのか」、「人為的ミス(ヒューマンエラー)をどう防ぐのか」、「フクシマ原発事故は、原発と人間の共存が問われている」。住民代表の議員から次々と原発に対する不安、疑問の声が出た。6日、津南町議会が東京電力に要請して開いた「福島第一原発事故状況と対策」、「柏崎刈羽原発の震災、津波対策」の説明会が開かれた。東京電力原子力・立地本部の担当者が説明したが、「除染でどこまで戻すのか、それによって取り組み方法は変わる」、さらに「ヒューマンエラーが起きないように複数で判断し、悪い方に行かないようなシステムを取っている」、さらに「(福島第一原発事故のように)すべて出て行くような今回の事故のような想定はしていない」など、世界規模の事故への対応の甘さと共に、危機感の希薄さが出た説明会となった。


 今回の東京電力の説明会は、津南町議会が直接要請して開かれた。東電からは、信濃川電力所・黒河内淳副所長、原子力・立地本部新潟事務所・名塚正文副所長、柏崎刈羽原発技術広報担当・熊田茂氏などが説明。黒河内副所長が「大変ご迷惑をおかけしております」とまず陳謝。福島第一原発事故状況とその後の対応、さらに柏崎刈羽原発の津波対策を持参資料で説明した。質疑は10人の議員が行い、約2時間に渡り、住民不安を代表して意見した。

 福島原発事故後、農産物から放射性物質セシウムが検出され、津南町森林組産なめからは、県検査で二度も検出された。損害賠償について東電は「具体的には聞いていないが、損害発生の場合、個別に話を伺う。ただ風評被害は難しい問題」と見解を話した。
 
 新潟県主導で取り組む緊急避難区域30`圏の取り組みついては、「該当24市町村で研究会を作り、検討している」、その圏外の津南町などへの対応は「福島の事故を踏まえ、しっかり対応したい」と述べ、地元自治体要望には応える方針だ。

  議員からは、「対策を講じたからといって、安全とはいえない。核廃棄物の最終処分地さえ決っていないなか、今回の事故で放射能汚染した地域の除染は、どこまでできるのか」と、津南地域でも放射性線量が高い場所がある不安を強調。東電は「元に戻すのか、生活レベルで問題ない状況にするのかで、その取り組みによって除染は違ってくる」と説明し、放射能汚染の深刻さが薄い言葉もあった。

 さらに議員から、「今回の原発事故で、被害を与えている認識はあるのか」と厳しい指摘も。東電は「迷惑をかけていると認識している。賠償問題など、いまここで回答はできないが、まず話を聞かせてもらうことからと考えている」と言葉を選んでの回答。  
また「柏崎刈羽原発は世界最大規模であり、恐ろしさを感じる。事故発生のシミュレーションでは、どんな被害想定をしているのか」の質問には、「(原発建設の)申請時に被害評価を提出しているが、今回の事故のような想定はしていない。福島第一原発の事故を元に検討していく」と、『最悪被害』を想定していなかったことを明らかにした。

 さらに議員から「事故の場合の被害想定をぜひ津南町にも示してほしい。これから町防災計画を見直す中で、重要な要素になる」と強く要求した。

写真・津南町議会の要請で説明する東京電力関係者(6日、議場で)

連載「笑顔がいちばん」 藤ノ木ヒルダさん 43歳 「仕事、楽しいよ」  12月9日号
 毎日、車で十日町市の職場に通っている。車免許は8年前に取った。「楽しいですよ。職場の皆さんが応援してくれます」。スーパー原信の惣菜部門のパート職。お弁当担当。「レシピ通りに、すべて自分で作り、盛り合わせもします。毎日が勉強ですね」。笑顔いっぱいで生き生きと働く藤ノ木ヒルダさん(43)。結婚で津南暮らしが始まり、もう13年が過ぎる。

 『夢が実現したら、ママとパパと一緒に暮らしたい』。小学3年のひとり娘の言葉に、涙が出た。小学入学の頃から、夢を語り出した娘。「先生になりたいと言います。それも病院の、小児科の先生なんです。親として、娘の夢をかなえて上げたいですから、いつも言っています。ママもパパも、いつまでも応援するから、と」。そんな親の思いを感じてか、学校が大好きで、勉強も好きな娘に育っている。

 インドネシアの首都、ジャカルタ生まれ。「もう都会はいいです。津南はいいですね。雪にも慣れました」。毎朝5時半に起き、娘と夫を送り出し、家事を片付け、早い昼食を取り、午後1時からのパート職に行く。

 今の仕事は今年7月から。それまで腰痛に悩まされ、1年ほど休職していた。見つけたパート職に応募。「試験がありました。漢字がいっぱいの文章を読むテストでした。惣菜など、難しかったね。でも、合格しましたよ。山下先生のおかげです」。 英語の商品も多く、その時はヒルダさんの出番だ。

 13年前、津南暮らしがスタート。津南町公民館が開いた言葉の学校「ことばのキャッチボール」に通う。元中学校長の山下克利さん、スタッフの内山みどりさん、関谷初美さんらが、言葉や生活習慣をアドバイスしてくれた。「山下先生には、本当にお世話になりました」。今もホットラインはつながっている。津南の「お父ちゃん」的な存在だ。

 ひとり娘の子育て、しっかり取り組んでいる。「わがままにならないように、小さい時が大切です。第一は勉強ですが、家の事、人としての事も大切です」。トイレ掃除、食器洗い、部屋の掃除、しっかり役割を与える。間違ったこと、してはならない事をした時は、しっかり叱る。「ママは、あなたが可愛いから叱るんだよ、としっかり話します。大きくなってからでは遅いです。いま、しっかりとした躾(しつけ)を身につけないと、将来、不幸になるのは、この子ですから」。

 多くの親が困るゲーム遊び。「ゲームは楽しいですが、分からない事は教えてくれないよ、本は教えてくれるよ。このゲームセンターで千円使うのと、美味しい物を食べるのと、どっちがいい、などと聞き、自分で判断させます。何が大切か、分かってくれていると思います」。

 あっという間の13年。「自分が選んだ道ですから。娘もパパも頑張っています。私も頑張らなくちゃ、ねぇ」。

小水力発電で北野仮設住宅に融雪マット   12月9日号
 ◎…栄村の北野湧水(毎分6d)を活用し実証実験中の小水力発電。6日、湧水に設置の発電用水車で得た電力を使い、北野天満温泉の仮設住宅玄関に融雪マットを敷いた。同住宅は4世帯6人が入居、75歳以上の独居高齢者は2人。冬期、高齢者が足を滑らせないように栄村の要望を受け、実証実験する信州大工学部の池田敏彦教授らが訪れ融雪マットを設置した。

 ◎…北野湧水の小水力発電は1年前に稼動。平均5百hを発電、最高750hを確認。一般家庭で使うコタツの電気量が約5百hという。今回設置の融雪マットは4百h。池田教授は「小水力発電は3・11後、風向きが変わった。水と落差があれば発電でき、小規模分散型であるため災害にも強い。その場で発電し使う、電気も地産地消の時代だ」と話す。栄村は再生可能エネルギーを検討する「栄村地域資源活用研究会」の初会合を13日庁舎で開く。池田教授は同会アドバイザーに就任する方針だ。

伝統の音色、統合後で初の全国、津南小リコーダー部  12月9日号
 誕生2年目の津南小リコーダーサークル、初の全国大会に―。第37回新潟県リコーダーコンテストが3日、長岡リリックホールで開かれ、小学生から社会人まで35団体が出場。全国大会には津南小はじめ連続25回目となる貝野小や馬場小など十日町地域から6団体が出場を決めた。
 
 津南小リコーダーサークルは、リコーダーに熱心に取り組む三箇小との統合などで昨年、音楽サークルのリコーダー班として発足し今年から独自のサークルとして活動している。メンバーは4〜6年生10人で、練習は週2日から3日ほどだが大会前はほぼ毎日、練習に励んできた。
 
 演奏曲目はC・シュワルツベルガー作曲「『コットンブロッサム組曲』より」でスイングジャズ系の曲。審査評では「美しいハーモニーでバランスのよい響きだった」などと高い評価を受けた反面、「中音域で音程が乱れたのが残念」と全国に向けての課題点もあげられた。
 
 部長の石沢さくらさん(6年)は「ちょっと緊張したけど、全国に行かれるのでとってもうれしい。全国大会では最高の演奏をしたいです」と話し、指揮者で指導にあたっている島田紀子教諭は「ほぼ練習通りの演奏ができたと思います。全国では、さらに意識を高め、きれいな演奏ができたらと思います」と話している。全国大会は3月25日、東京・江戸川区総合文化センターで開かれる。

 十日町地域の全国大会出場団体は次の通り。
 ▼小学校=馬場(五重奏以上、合奏)中条(五重奏以上)津南小(合奏)貝野(同)▼一般=十日町リコーダーアンサンブル(合奏)

桜色の染織手仕事、日本民藝館展で奨励賞、津南の松本さん  12月9日号
 松本さんの新作が奨励賞に―。伝統的な手仕事を中心に、全国各地の新作工芸品を集めた「日本民藝館展」の新作工芸公募展が10〜23日まで東京・目黒区駒場の日本民藝館で開かれるが、津南町の染織工房・緑風舎の松本文子さん(50、鹿渡)が出品した「桜色格子紬着尺」が奨励賞に選ばれた。
 
 松本さんは川崎市出身。京都市立芸術大学で染織を専攻、夫・英利さんとともに染織家をめざし十日町テクノスクールで学んだのを契機に津南に移り住んで24年目。専門の染織はじめ、ワラ工芸やふるさと情景を集めた年賀状用の版画など多彩な手作り作品にも取り組んでいる。

 出品作品は全国から千5百点余りが寄せられ、うち入選は約5百点、奨励賞以上の特別賞は8点だけ。松本さんは昨年のうちに桜で染め、手織り機で1ヵ月ほどかけて織った反物作品。「本業の染織で受賞しうれしい。これを励みに、さらに手仕事のよさを作品にしていきたい」と話している。

写真・松本文子さんが奨励賞受賞の「桜色格子紬着尺」。

家族会設立に尽力、障がい者理解増す、村山勇前会長が知事表彰  12月9日号
 家族会を立ち上げることで、偏見をなくそうというのが一番の思いだったな」。障がい者の福祉向上をと津南町家族会の会長を長年務め、現在同会顧問の村山勇さん(85、十二ノ木)は先月29日、県健康づくり県民大会で精神保健福祉事業功労者の県知事賞を受けた。村山さんは「家族会は、負担は薄く、福祉の光を受ける時は大きくを心掛け、入ってよかったと思える組織作りを続けてきた。受賞はみんなのおかげ」と喜ぶ。

 昭和53年に精神障がい者を抱える家族間連帯をと設立の家族会で初代会長に就任。22年間勤め、小規模作業所「すみれ作業所」(現・すみれ工房)の開設に尽力。開所後も通所者の社会復帰をサポート。平成5年からは十日町・中魚沼地区精神障がい者家族会連絡協議会副会長を7年務め、精神障がい者医療費助成制度を求め自治体要望を行うなど活動。障がい者地域生活支援センター「いこいの家」や今秋開所の就労継続支援事業A型「サンファーム」の設置にも尽力。

 福祉充実を求め活動を続ける村山さん。「障がいを持つ方が家で悶々としているだけでは本人も家族も負担が大きい。外に出る機会づくりをとすみれ作業所を作った。今は不況で仕事が減り厳しいが、企業の協力は不可欠。協力を」と支援を呼びかけた。

全国名水100選「竜ヶ窪」、大手商社系民間が飲料水事業化を計画  12月2日号
 全国名水100選の津南町の「竜ヶ窪」。毎分30dといわれる湧水は、一帯の生活水道水となり、農業用水に活用されている。営々と住民が守ってきた資源。その湧水の活用策が浮上している。大手商社系民間が飲料水販売を構想している。先月28日と1日、地元の関係集落で説明会を開いた。民間関係者も出席し、津南町からは上村憲司町長、石橋雅博地域振興課長が出席。実現への積極姿勢を見せた。

 飲料水活用の使用量は、年間湧出量約1576万dのうちの年間約6千d。同水を使いペットボトルを最大約1200万本生産の方針。同名水の近隣に製造工場を建て、地元雇用で飲料水ペットボトル製造の事業化を計画している。事業主体は同民間出資の現地法人を構想し、地元への事業税還元などを考えているようだ。

 竜ヶ窪の軟水度は「19mg/g」。飲料水業界は、この軟水を求めており、健康志向とも相まって、軟水飲料水の需要は大きく伸びている。特に軟水人気は、赤ちゃん専用やお年寄り用など、安心な健康飲料水として急速に関心が高まっている。

 住民説明会によると、地元同意が得られた場合、来年には製造工場を建設し、稼動したい方針。利用の湧水を有料購入し、加えて環境保護費も製造量に応じて支払う方針。試算では年間6千dを活用し、ペットボトルを最大で約1200万本製造し、販売する方針だ。

 活用方法では、竜ヶ窪の湧出水をそのまま使い、「竜ヶ窪のドラマ性」による商品の差別化をはかる。あるいは、隣接地に井戸を掘り、「水が空気にふれない状態」で取水する「ナチュラル・ミネラルウォーター」での商品化をめざす構想などを検討しており、具体化の第一歩は、地元同意を得てからだ。

 事業主体は現地法人を立ち上げ、地元雇用で稼動する方針だ。町では、飲料水と共に農産物、特に野菜の供給も視野に入れており、「津南農業、特に畑作の大きなチャンス。津南ブランドの確立のチャンスでもある」と期待感を寄せる。今後、地元がどう結論を出すか、関心が集まる。

笑顔がいちばん・石橋昌子さん「元気に笑顔で。こんも星空、最高です」  12月2日号
 夏の真っ暗の森。懐中電灯一つを手に道案内。ナラの木に、黒光りするものが。「カブトムシだー」。子どもの歓声が上がる。ガサッ、音ともに飛び出してきた子ウサギ。夜空を見上げると、満天の星。ミルキーウェイ、天の川が宝石を散りばめたように、くっきり見える。「いつ見ても、本当にきれいですね」。石橋昌子さん(47)は、そう思う。

 標高6百bから千bの一帯がフィールドのニュー・グリーンピア津南(NGP津南)。夏のナイトウォッチング。その案内人も務める。肩書は常務取締役とちょっと硬いが、自然大好きが講じて4年前、日本保護協会認定の自然観察指導員の資格を取る。春から秋まで、一帯の自然案内を、同津南で資格を持つ4人で担当している。「真っ暗の森は、ちょっと恐いんですが、スリルがありますね」。  

 星空観察は、星博士こと南雲敏夫さん(十日町市)が担当してくれる。「人工の光がなく、本当に星がきれいに見えます」。地元の人たちによる秋山郷散策「ふるさと案内人」も大好評だ。
昭和60年(1985年)にオープン。開業当初からのメンバー。現在62人の従業員をまとめ、冬季にはさらに50人ほど増える。「皆さん、頑張ってくれています。津南を盛り上げようと、気持ちを一つにしています」。大事にしているのは『笑顔』。毎朝、「元気が一番。元気な笑顔で」と、声かけしている。

 「昌子ちゃん、また来たよー」。常連客が、声をかけてくれる。「嬉しいですね。地震の時も、津南は大丈夫か、とたくさんの方から電話をいただきました。ありがたいことです」。従業員からのアイデアや課題、気づいたことなどを、どんどん吸い上げている。「先日もお風呂の改善の話が出ました。さっそく直しました。やはり、気持ちが第一ですね」。一流のホテルマンになるより、ニュー・グリーンピア津南のホテルマンになろうと、「NGP津南マインド」を呼びかける。「マニュアル通りでは、お客さんは満足しません。やはり、ここならではのサービス心を大切にしています」。

 実は、逆単身赴任。夫、娘2人は関東に。「もう6年になります。以前は、町内の温泉めぐりでリフレッシュしていましたが、最近は娘との長電話でしょうか」。いよいよ冬シーズン。九州や外国など、雪を知らない地域からの来客が増えている。それに雪上を歩くスノーシュートレッキング。「最高ですね。これは雪国ならではです」。雪国人の笑顔が、輝く。

津南ブランド育成、「つなんポーク」の涌井さん、全国表彰  12月2日号
 ○…津南産ブランド「つなんポーク」を提供する涌井畜産(涌井好一社長)は先月15日、長野・松本市で開いた第14回全国農業担い手サミットで「全国担い手育成総合支援協議会長賞」を個人経営部門で受賞。同賞は優れた実績が認められる優良経営者に贈られ、全国9団体が受賞している。
 

 ○…全国の農業担い手を表彰する同サミットは農水省が後援する大会。今回は皇太子の徳仁親王殿下も出席。涌井畜産は養豚で年間7千頭余を独自飼料で生産。豚肉販売に加え堆肥を使った魚沼産コシヒカリ生産やアスパラなど野菜栽培、さらに直営レストラン経営するなど、農業の6次産業化の先駆け実績を評価。養豚一筋46年の涌井社長(64)は「自分の経営方針が認められ嬉しい。TPP(環太平洋経済連携協定)の大きな波が来ているが、生産直売と付加価値作りに今後も取り組み、美味しく安全な食材を届けたい」と話している。

芸術の域の「篆刻(てんこく)」、津南町の鈴木さんが愛知県教育長賞  12月2日号
 書に欠かせない創造芸術の「篆刻」(落款などの刻印)に取り組んで7年余りになる津南町正面、鈴木敏書さん(63)が先月、愛知芸術文化センターで開かれた第16回日中書画篆刻交流展で愛知県教育長賞を受賞した。同展は両国の芸術家らが出品する権威ある交流展で、初出品で初入選は鈴木さんが初。「とてもうれしいです。篆刻が生きがいになっています」と喜んでいる。
 

 鈴木さんは中国から嫁ぎ21年目。篆刻は、中学、高校時代の同級生で、中国内では著名な「費名揺」氏から通信教育を受けている。同氏は中国の元主席や韓国の元大統領らの刻印を制作している国際的な芸術家。現在は中国・上海で創作活動を行っており、「鈴木さんの篆刻は日本で一番」と太鼓判を押しているという。
 

 受賞した作品は、染井吉野や山桜、江戸彼岸など日本の桜の名称48点をまとめたもの。それぞれ2a四方の篆刻用の石に、篆書(てんしょ)など独特の文字を明暗や細太など芸術的に彫った。「3時間ほどで一つの作品が出来ますが、ひとつ間違えると最初から。集中力が必要ですが、完成したときの喜びは大きいです」と話す。今後、「日本の都道府県や有名な観光地名などを作品にしてみたい」とさらに夢を膨らませている。

被災地応援、十日町総合高が写真でメッセージ  12月2日号
 「がんばって」とメッセージを手にする小学生の女の子、「応援ありがとう」と夫の遺影を手に感謝を記した被災地の70代の女性…全国から2千点以上の写真が集まっている『高校写真部による東日本大震災復興応援プロジェクト』。その中の千点余りを集めた巡回展が4日まで十日町情報館で開かれている。主催する十日町総合高写真部の高橋望代表は「要望があれば新潟・長野県境地震被災地でも開きたい」と話し、栄村などでも巡回展を開きたい意向だ。
 
 同プロジェクトは、「写真甲子園」などに出場している全国27の高校写真部が「被災地復興を写真で支援しよう」と始めた。現在、2千点を越す写真が集まり、3組に分かれて全国を巡回している。今回は、そのうちの2組分約千点を展示。最終日の4日には会場でメッセージ撮影会を行う計画で、多くの参加者を呼びかけている。
 
 同校写真部員たちもプロジェクト活動に参加した7月から市内樽沢や池谷集落はじめ旧川口町や山古志村などにも足を運んだほか、文化祭でも巡回展を開いてきた。上村友香理副部長は「こうした写真、巡回展で被災地を応援するきっかけになれば。県境地震で被害を受けた栄村や津南町の人たちもぜひ足を運んでほしいです」と呼びかけている。


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