お問い合わせへジャンプ!
広告掲載のご案内へジャンプ!
購読のご案内へジャンプ!
トップページへジャンプ! 今週の津南新聞へジャンプ! テーマ別掲示板へジャンプ! なんでも掲示板へジャンプ! 妻有に生きるへジャンプ! ねっとわーくへジャンプ! リンク集へジャンプ!
home > 今週の津南新聞トピックス

2011年09月の津南新聞「トピックス」

過去の津南新聞トピックス
懐かしい風景、今も健在、米作りの最高の贅沢「はざ木米」  9月30日号
 ◎…実りの秋。津南町では9月中旬から稲刈りシーズンを迎えている。機械化が進みコンバインであっという間に黄金の稲穂が刈られるなか、今でも町内各地で昔ながらの「はぜかけ」(稲かけ)した稲が見られる場所もある。
 
 ◎…杉木を稲の身長に合わせ段重ねにした「はぜ木」。かつてはどこでも見られた光景。今ははぜ木も鉄パイプが主流。だが町内田中の清水光春さん(60)は今も杉木を組む。はぜ木は8段、高さは家の2階とほぼ同じ約4b。同じ集落内を通る県道わきに作る。懐かしい日本の原風景は写真家や行楽客の目を引き、秋は必ず声をかけられる。「天日干しの味は最高。米が冷めた時の粘りが違い、手間をかける価値がある。機械乾燥にはこの味は出ない。ずっと続けるよ」。水田50eで作るコシヒカリのほとんどは自宅と親族で食べる。大地と太陽が育んだ、こだわりのはぜかけ米。最高の贅沢だ。

国道117号・大倉バイパス 15日正午開通、12年の歳月、41億円で 9月30日号
 「一時改良は終わっています」、『大型車がすれ違いできない国道が、これで改良が終わっているのか。多くの町民が毎日ここを通る。人命を守るためにも早急に改良してほしい』。21年前、津南町のトップに就いたばかりの小林三喜男前町長は、県と国にかみついた。国道117号で最後に残った最大の難所、大倉バイパスが15日正午、いよいよ開通する。

 現道の大倉スノーシェード(全長530b)は、一時改良は行われたが、大型車のすれ違いが極めて困難。特に冬場、除雪車が入ると相互通行ができない状態。さらに同国道は新潟、長野を結ぶ大動脈の物流ルートとして夜間、大型トラックの定期便が通る。広域観光化で大型観光バスのルートに入り、運転手から「あの場所は通りたくない」と業界で広まったこともあった。さらにこれまで交通事故が多発し、犠牲者多数が出ている。

 全面改良となった大倉バイパスは、改良全長1・34`、大倉トンネル885b(車道7b、片側歩道2b、管理道約2b)。従来のスノーシェードの見通しが悪いS字カーブを解消し、山側に大きく弧を描くカーブに改良した。大割野側の段野交差点は、従来の変形を解消し、十字に直交するように改良。長野側は、トンネルから水平に従来の国道に接続するように改良。同バイパスの事業着手は平成11年、トンネル着工は同16年12月、貫通は昨年3月。12年の歳月を経て完成した。同バイパスの総事業費は約41億円。

 開通式は15日10時半から大割野側で行い、新しく完成した芦ヶ崎橋の渡初め(芦ヶ崎3世代3家族)を行い、式典後、車でトンネルを通り、開通を祝う。一般開通は正午から。『任期中に開通させたい』と願っていた小林前町長。今も毎日、町森林組合に、この難所を通って通う。「感慨深い。やっと、という思いだ。これでようやく冬も安心して通れる」と、思い出深く話している。

写真・右前方が大倉トンネル、中央が芦ヶ崎橋、段野交差点は国道と直交する。手前が現道。いよいよ15日正午開通する

震災の栄村スキー場、温泉施設トマトの国、復旧再開めざし営業活動  9月30日号
 県境地震で大きな被害が出た栄村は、観光拠点である「さかえ倶楽部スキー場」のオープンを12月23日と決め、被害を受けた宿泊施設「トマトの国」も12月19日の再開オープンを決め、復旧作業を急ピッチで進めている。スキー場ゲレンデの被害は少ないが、レストハウスは被害を受け、再開に向け、復旧工事を進める。誘客営業は例年通り取り組み「震災の栄村ですね」と知名度は広まり、すでに年末、年始の予約が入るなど、観光面での震災復興が始まっている。

 同スキー場は、幸いゲレンデやリフトに被害はなく、レストハウスが2階天井や壁が落ち、浄化槽修理を含め約5千万円で修繕している。

 さらに問題は、同スキー場までに村道と中条川に架かる貝立橋。青倉集落の上部を通る同道は、各所で路肩陥没、道路に亀裂、山側が地滑りなど地震の被害が大きい。村道は国の災害復旧の対象になるため、修復工事を急いでいるが、全村で道路関係は同時進行しているが、村ではスキー場オープンまでに間に合わせたい方針だ。

 一方、宿泊施設のトマトの国は、幸い温泉には被害が出ておらず、被害を受けた上水道は新たに井戸掘削し、水道水を確保。施設は災害復旧の対象外のため、約7千万円をかけ、玄関部分を大改修。マイクロバスが玄関に横付けできるように、スロープを盛土するほか、施設前に駐車場を整備。施設内も修繕し、12月19日の再開オープンに間に合わせる計画だ。

 誘客営業は従来通り行い、九州の高校スキー修学旅行の予約も入り、年末年始の神奈川総体大会も例年通り入るなど、今のところ震災の影響は出ていない。村商工観光課の斎藤範雄課長は「震災の栄村ですねと、激励をいただいている。ありがたいことだ。計画通りオープンできるように取り組みたい」と話している。

津南認証米、初出荷、流通の差別化期待  9月30日号
 いよいよ津南町の認証米が出荷に―。特別栽培米基準に加え、指定農薬・化学肥料の津南町使用比5割減やタンパク値が5・5〜6%の範囲内など厳しい基準をクリアーして認定される「津南町認証米」の出荷検査が始まり、JA津南町では検査に合格した米袋に認証を示すワッペンを貼るなど出荷体制に入っている。
 

 津南町認証米は今年、約270fで生産され、約2万3千俵(60`)が生産予定。認証米に指定されると、一般の魚沼コシに比べ一俵(60`)当たり特別栽培米として千円を加算、さらに津南町から千5百円加算と合わせて2千5百円が上乗せされる。ただ、「対象水田のあぜに除草剤を撒いたらそれだけで認定しない」(JA津南町)など、栽培基準が厳しく、生産や管理などに手間がかかる。
 
 検査が始まったJA津南町では「残念ながら条件をクリアーできないコメが見られるのも事実。当然、認定されない」と指摘。厳しい認証米だが、生産者からは「手間がかかるだけに若手がいないとなかなか取り組めないが、津南ブランドを高める効果はあるはずだ」と認証米効果に期待している。

地域づくり協力隊受入20人、全国トップの十日町市  9月30日号
 全国に先駆けて十日町市が取り入れた総務省事業「地域づくり協力隊」。今年10月に新たに4人を受け入れ、3年前からの受入れを含め20人となり、これは全国最多数となる。市内ほぼ全域に配置し、地域活動のサポートやお年寄り世帯の支援など様々な活動に取り組む。26、27日、関口市長と16人の同隊員との懇談会を開き、各隊員から活動状況が報告され、課題も示された。


 市内吉田地区を担当する門脇洋子さん(60、逗子市)は、市内で最も高齢化する中手地区にも入る。「お年寄りが持つ技や知恵が地域の次代に伝わっていない。記録し、伝えることが地域を元気にする」と記録集づくりに取り組む活動を報告し、関心を集めた。


 一方、中越地震後、市内池谷に関係し、協力隊として家族で移住した多田朋孔さん(33、大阪市)は、地元民との関係作りと共に、移住者の生活資金作りへの取り組みを報告。「池谷の人たちには、この地を次に伝えたいという覚悟がある。それは『息子に渡すのではなく、ここに来てくれた若い人たちに渡そう』という覚悟。この思いに私たちは応えていきたい」。さらに活動資金作りに、国の事業導入を積極的に入れ、「6次産業プランナー」資格を取得するなど、各隊員の総合連携の必要を強調した。

 今年4月に協力隊で入った中川光嗣さん(33、神奈川・大磯町)は「こうした地域は初めてだが、かわら版などを発行し、高齢化が進む地域の情報交換の場を作っていきたい」など今後の活動を話した。


 全国の先進的なモデル自治体になっている十日町市の関口市長は「来られた若い人たちに地域を渡すなど、中山間地の活性化の一つのモデルになるはず。これから十日町市は新しい自治組織を作るが、人口の自然減をプラスにする取り組みの一つが、この協力隊の活動で見えてきている。期待したい」と全国モデルになっている協力隊活動への期待感を話した。

小水力発電を実証試験、津南郷土地改良区が農業用水路で  9月23日号
 低い落差で効率的に発電する小水力発電施設が津南町の太田新田に、実験的に国100%助成で今春設置され、稼動している。同発電施設は、従来の落差下部に設置ではなく、水が落ちる部分に発電機を設置し、水が落ちる牽引力を利用した発電機だ。設置後、河川からの落葉などの処理の問題があるが、最大出力9・9KWの発電能力があり、年間で約6万KWhの電力量となり、一般家庭約18戸をまかなう発電量となる。段丘地が多い津南地域の新たな再生可能エネルギーとして期待される。
 

 設置された発電機は、湘南大の北洞貴也教授(機械工学)が研究する1〜2bの極低落差発電システム。当初、石川県内に設置予定だったが、水利権の関係で断念し、国から津南町に声がかかり、同地への設置が実現した。場所は太田新田集落のわき、黒滝川からの雑水山水路からの導水管に設置。今回は有効落差約6bを利用し、減圧水槽を経由し、水が落ちる上部に発電機を設置。最大使用水量は毎秒0・314d。管理は津南郷土地改良区が行っている。藤ノ木勤事務長は「落葉など除去するスクリーンが必要だ。今年は新潟県土地改良区連合会が所有するが、24年度は津南に移管される。売電を含め、有効活用を研究したい」としている。

写真・雑水山用水に設置された小水力発電。津南郷土地改良区が管理している

津南町議選に東京大院生が出馬、桑原悠氏25歳  9月23日号
 任期満了に伴う津南町議選に、25歳の女性が起意を固めた。東京大学大学院2年に在学中の桑原悠氏(津南町貝坂)。すでに前期過程で卒業見込み単位を取得、先月4日、実家の津南町に戻り、準備を進めている。桑原氏は本紙取材に対し、「自分を育ててくれた津南町に何ができるかを考えた時、この地方政治の場で頑張ってみようと思いました」と町議選出馬への思いを語っている。今年8月で25歳になり被選挙権を得たばかり。県議を含め、県内最年少の市町村議員に挑戦する。


 桑原氏は21日、町議選出馬への思いを語った。「国など中央から変えていくことも大切だが、基礎自治体である市町村から変えていく力があれば、この国はもっと元気になる。国や県に依存しすぎず、自分たちの未来は自分たちで作り上げていくべきであり、私に何ができるかと考え、この地方政治の場、津南町議会の場で頑張ってみようと思いました」。


 今年5月、東大大学院の同期や先輩、後輩と、国政や都道府県議、市町村議員をめざす仲間で「議員をめざす会」を結成。定期的に勉強会を開く。すでに同メンバー2人が先般、津南町を訪問している。桑原氏は先の9月定例議会を傍聴した。「感じるところがありました」。同期には国会議員秘書のインターンもおり、全国ネットで情報交換している。


 9月町議会で感じたのは、高齢化率36%の津南町の現状。「シルバー・ニューディール的な取り組みが津南でできるのでは。高齢化をプラス面で考える先進的な自治体のモデルを、ここ津南で実現していく。東大ではオンデマンドバス運行システムを開発した。大学や企業、研究機関と連携し、お年寄りが元気に暮らせる先進的な町作りに取り組みたい。今の津南町の姿は、将来の都市の姿でもある。高齢社会のモデルを、この町で先進的に作り出すことができるのではないか。大学や企業の研究拠点にもなり、当然、雇用も広がるはず」。


 さらに、行政としての支援体制のあり方にも言及。「何かやりたい人や団体などを支援するシステムを作りたい。起業や創業、様々な活動など積極的に支援する町であってほしい。人材も集まってくるでしょう」と話す。地域資源では雪エネルギーに関心を寄せる。さらに水資源、特に小水力発電など再生可能エネルギーへの取り組みなど、学んだ公共政策学の実現を話す。
今春、2年に進級時、家族や津南の学友などに、秋の町議選への考えを話した。学友たちは「一緒に津南を元気にしよう」と応えてくれた。前期試験終了後をスタートと決め、今月13日、前期最後の試験終了。卒業見込み単位を取得。今週初めから関係者を回っている。


 1ヵ月の短期決戦になる。「すべてが初めてで、手探りです。多くの人と話し、多くの人に私の考えを伝えたい。まだ始まったばかりです」と方針を話している。

 今度の町議選は、欠員1人を含め、3人が今期での退任が決め、桑原さんの出馬で新人4人が揃い、数の上では定数ちょうどだ。だが今後、町議空白域などでの動きが見込め、出揃うのは来月上旬と見られる。

▽▽▼▽

 桑原氏は、津南中から国際情報高、早稲田大・社会科学学部へ。3年の秋からアメリカ州立オレゴン大に1年間留学(単位共有)。帰国後、早稲田大卒業。引き続き東京大学大学院・公共政策教育学部に進学。同大学院進学を決めた2008年秋、「3年後に津南町議選があることを意識していた」。公共政策学は、国政、県政、市町村行政などすべての公共政策を学ぶ学部だ。オレゴン大では経営学、経済学、国際政治学を学んだ。

 一方で社会経験を積むため、大学院2年の12月から翌年10月まで休学。長野・別所温泉や箱根温泉で7ヵ月働いた。さらに地元津南で農業体験を3ヵ月ほど行い、「人間性が鍛えられました」という。大学院復学後の2年で、「前期で終了見込み単位を取得」の目標通り取得している。

写真・桑原悠氏(21日、津南町貝坂の自宅で)

震災復興住宅は集合型、栄村に建設  9月23日号
 3月12日の県境地震で民家全壊33棟、災害関連死3人の犠牲者や被害が出ている栄村は、国補助で建てる震災復興住宅建設のため、来月から予定地の地質ボーリング調査に入る。震災住宅は住民アンケートなどから、個別(一戸建て)住宅ではなく、集合住宅を建設する方針だ。だが、建設場所によっては移住を迫られる入居者が出るため、個別事情にどこまで行政が対応するが、大きな課題だ。

 栄村議会9月定例会の14日、震災復興住宅の基本設計、ボーリング調査費など551万5千円の補正予算を可決。計画では、森、青倉、横倉、小滝、野田沢、大久保、北野の7集落12ヵ所を地質調査する予定。これまでのアンケートで、震災住宅への入居希望は33世帯。内訳は全壊世帯11、半壊以上22。この33世帯は、27世帯ほどが高齢者の一人暮らし、2世帯が高齢者だけの2人暮らしなど、大部分が高齢者世帯だ。

 震災復興住宅は所得制限など入居基準があり、入居費は一般の村営住宅に準じるが、「さらに新たな基準が必要になるだろう」(村住宅対策係)としている。住宅は、村や被災住民が視察に行った中越地震の被災地、山古志の震災住宅をモデルにしている。

 集合住宅は2世帯1棟タイプ、4世帯長屋タイプなどを構想している。計画では、基本設計ができる来年1月までに建設場所を決め、2月に実施設計、新年度の雪消え後、着工し、来年の降雪前には入居したい方針だ。

写真・解体作業が進み、空地が目立つ栄村青倉地区(22日)

ひまわりフォトコン、最優秀は糸日谷さん  9月23日号
 津南町沖の原ひまわり広場がテーマの「第5回ひまわり広場デジタル写真コンテスト」審査を15日実施し入賞9点を発表。最優秀賞(賞金5万円)は川崎市・糸井谷昌孝さん「笑顔の前で‥」。連続受賞だ。今後津南PRポスターやパンフレットなどで活用。入賞作は津南町観光協会ホームページで見られる。
 
 15年目の同コンテスト。応募数は68人、148点(昨年79人145点)。同協会理事の小林幸一審査委員長は「女の子とひまわりが調和し明るい雰囲気が印象的だ。今までは夕焼けなど自然風景が多かったが、子どもの笑顔はひまわりとよく似合う」と講評。審査委員は他に桑原哲夫(丸好カメラ)、内山義幸(パラドックス)、福原昇(写団猫の眼会長)の4氏。
 
 入賞作は次の通り。
◆最優秀賞=「笑顔のままで‥」(糸日谷昌孝)◆優秀賞=「サンシャワー」(吉岡義和、長岡市)、「日暮れ色」(金久保達郎、練馬区)【特別賞】▼丸好カメラ賞=「PiKA PiKA」(山本吉明、正面)▼フジミヤ賞=「花盛り」(宮前朱里、埼玉・和光市)▼村山物産賞=「盛夏」(小林員正、長野・須坂市)▼山源賞=「喝采」(渡辺伊左夫、新潟市)▼好月賞=「幸運よぶひまわり?」(杉野由美子、長岡市)▼松屋賞=「夏全開」(久保丈也、横浜市)

写真・最優秀作品「笑顔の前で…」。

震災支援、栄村北野の湧水活用、わさび栽培に挑戦、静岡の鈴木さん(津南出身)協力  9月16日号
 県境地震で被災し、地域経済が落ち込んでいる栄村や津南町などを支援したいと、地域資源の「湧水」を活用し、地場産業の有力な候補になる「わさび栽培」への取組みが始まった。技術やわさび苗を提供するのは津南町出身で、わさび産地の静岡・伊東市で大規模なわさび農園を経営する農水省認定「わさびマイスター」の鈴木丑三氏(79、天城わさびの里会長)。今月13日、栄村・北野天満温泉わきの湧水で試験田「わさび田」を作り、伊東市から運んだわさび苗を植えた。鈴木さんは「1週間から10日で葉が出るだろう。この湧水が栽培に合うかどうか。1ヵ月ほどで分かる」と話す。大量の湧水の活用を模索している同村にとって、成功すれば新たな地場産業となるだけに、今回の試験栽培に大きな関心が集まる。


 試験栽培は、同温泉わきで湧出する湧水(毎分6d)を活用。4b×3・5bの栽培田を造成。技術は鈴木さんが長年かかり考案した「畳栽培」を導入。深さ60aに、下部に大きな石30a、その上に荒い小石15a、その上に砂土15aを敷き、3層の栽培床を造成。ここに湧水が均一に流れるように入れる。水は砂土の表面を流れ、3層の下部にも浸透して流れる。「この下部のガレ層が大事。わさびの根が、この空間で張り、丈夫に育つ」。この栽培方法は鈴木さんが考案し、マイスターとして全国各地へ指導に出向き、全国の多くの栽培家が導入している。

 伊東市の自社わさび園から搬送した苗は、これも鈴木さんが開発、登録している品種「平成3号」。部外へは初の持ち出しとなる貴重品種。「辛味と見た目の綺麗さは一級品」という。

 今回の試験栽培にあたり、鈴木さんは同湧水を地元静岡の水質研究所で分析した。「栽培の支障になる成分はなく、温度も適温で、しっかり育つはずだ」。生育が早い平成3号を250本と別品種の真妻(あずま)を少し植栽した。今回の試験栽培について島田茂樹村長は「今回は実験的な栽培で、わさび成育に水が合うかどうかだ。北野天満温泉の敷地は村有地で余地があり、試験栽培が成功すれば、地元との連携を含め、更なる取組みが期待できる」と、今度の試験栽培に期待感を寄せる。

 鈴木氏は、2年前に長年のわさび栽培など地域功労で黄綬褒章受章、全国わさび生産者協議会長を務め、林野庁長官賞の連続受賞、全国わさびマイスターも務めるなど、わさび栽培の第一人者。出身の津南町の竜ヶ窪周辺での栽培に関心を寄せ、今回の成功が、広域での地場産業への足がかりになると期待される。

写真・栄村北野天満温泉わきで湧水を活用し試験「わさび田」を作り、わさび苗を植える鈴木さん(左、13日)

シリーズ連載・議会改革最前線 「定数削減算否決、問われる議員」  9月16日号
 津南町議会が変わるシナリオがスタートする場面に、町議会は自ら幕を下ろした。9月議会最終日の9日、議員提案の「定数2人削減案」は、2人の質疑、2人の賛否討論だけでの審議で終わり、記名投票の結果、「賛成4、反対10(白票1)」の賛成少数で削減案は否決された。

 1年前。津南町議会の9月議会で、同じように「2人削減案」が議員提案された。この時は、春5月から毎月1回の全議員月例協議会で、定数問題を協議した。「議員個々で地域の声を聞いて、定数問題について、住民の意見をなるべく多き集めたい」。そんな宿題を出しながら、毎月、全議員で話し合った。
その結果、9月議会で議員提案し、同様に記名投票で「賛成5、反対9、無効1(氏名なし)」で否決された。

 1年前と今回。結果的にはほぼ同じだが、その中身と背景には大きな違いがある。昨年の9月議会での審議で出たい意見はこうだ。
まず削減論。「人口減少、厳しい経済情勢の中、ますます行財政ィ改革が求められ、議員が先んじて痛みを受けることが求められる。定数削減しても議員活動は低下しない」(提案者・伊林康男氏)、さらに「削減で当選ラインを上げ、町民の厳しい審判を受けるべき」(藤木正喜氏)、「この機会に千人に議員1人という基準を」(中山弘氏)、「議員活動は定例会だけではない。365日議会であるべきで、議会改革の第一歩が、この定数削減だ」(大島知美氏)など。
 
 一方、削減反対論。「広範な津南町の全域をカバーするためにも、削減は住民にとってマイナス」(藤ノ木浩子氏)、「削減は議会の力を弱める。町民との接点が少なくなる。役に立っていない議員は要らないと、町民は選挙で判断する」(根津勝幸氏)、「定数削減より報酬削減だ」(大平謙一氏)。

 今月9日の議会本会議。議員提案の定数2人削減。今回の提案者、中山弘氏は、昨年9月の定数論議を踏まえ話した。「昨年の今と今年の今は違う。世の中がこれだけ変わっているなか、我々はこれでいいのか。次世代のために勇気を持って、私はここに立っている」。東日本大震災、県境地震、豪雨災害、立て続けの災害で地方自治体のあり方が根底から問われている現実がある。

 だが、質疑は、本質論とは遠く離れていた。「昨年9月議会で今議会での定数論議は決着している。定数、報酬共に新しい議会に委ねると意見集約したはず。その方針は個人の思いより重い」(河田強一氏)、「中山氏は4人削減論と聞いているが、今回の2人削減との整合性は」(根津勝幸氏)、一方、「住民から議員の動きが見えないという声を聞く。専任化により議員活動の見える化が必要。いつまでも先送りするのではなく、議会改革の第一歩を踏み出すことが2人削減だ」(大島知美氏)。

 昨年と今年。大きく違うのは改選期が目前ということ。現行定数で選挙を行うことが決ったが、現状は「定員割れ」が心配される。改選期目前の定数論議は、津南町議会改革の新たなシナリオのスタートに見えたが、議会は、自らその幕を下ろした。
 「住民が求める議員、住民が望む議会」。住民代表の議員の活動とは、その代表が集まる議会とは。改選まで1ヵ月に迫り、議員、議会の本質論が大きく浮上している。

9月議会の定数2人削減案の採決結果。
賛成=大島知美、福原照男、滝澤茂光、中山弘、
反対=河田強一、大口武、大平謙一、藤ノ木浩子、恩田稔、津端眞一、根津勝幸、桑原洋子、草津進
白票=伊林康男

上下流が連携、サケ遡上調査開始、JR宮中ダム・東京電力西大滝ダム  9月16日号
 信濃川・千曲川の上流と下流が連携して行うサケ遡上調査が今年も11日から始まっている。十日町市宮中のJR東・信濃川発電所宮中ダムでは10日、魚道に調査トラップ(仕掛け)を設置し、委託を受ける中魚沼漁協が翌日から調査開始。22`上流の飯山市・東京電力西大滝ダムでも10日までに魚道に調査トラップを設置し、翌日から高水漁協が調査を開始している。西大滝ダムではNPO新潟水辺の会が昨年同様、24時間体制でビデオ監視を行い、サケ遡上の調査に取り組んでいる。


 調査は上下流とも11日から11月10日まで実施。河川環境の一つの指標としてサケ遡上調査を行い、特にJR東・宮中ダムでは5年間の試験放流を実施中で、サケ遡上調査が今後の放流設定への大きな要素になっている。このため連動する上流の西大滝ダムでも試験放流実施を流域が要望するが、東京電力にはその姿勢はない。

 宮中ダムでは昨年146匹(前年160匹)のサケ遡上を確認。最多は10月25日の15匹。昨シーズンは毎秒100dの放流したが、今期は試験放流計画に従い毎秒80d。調査依託を受ける中魚漁協の長谷川克一組合長は「これまでの稚魚放流からいって、今期は400尾は帰ってほしい。100dと80dの放流量の違いもよく見たい」と、サケ遡上に期待を寄せている。魚道改善を同時に進め、来春にはすべて完成する見込だ。


 一方、西大滝ダムでは昨年のサケ遡上は3尾(同2匹)。高水漁協では、「下流で150匹前後上がっているのに、西大滝で3匹とは、どういうことか。西大滝ダム放流量との関係を調査を通じて調べたい」(相澤組合長)と話す。同様に東京電力は魚道改修に取組むが、漁協などからは「ダム構造からサケが魚道に入りにくい。抜本的な改修が必要だ」と見ている。 

 遡上サケは共に標識を付けてダム上流に放し、サケの生態調査を連携して行う。15日までにサケ遡上はまだ確認されていない。

写真・JR宮中ダムでサケ調査のトラップを設置(10日)

原発被害、「津南産なめこ」からセシウム、「風評被害が心配」  9月16日号
 「サンプル調査で津南産なめこから放射性セシウムが検出されました」。今月11日の日曜、新潟県防災局から津南町森林組合に電話が入った。心配していた農林産物からの放射性物質の検出。十日町市、津南町地域では初めて。同組合は県連絡を受け、担当職員や理事、生産者らと緊急会議を開き、取引先に結果と今後の対応策を連絡した。


 県は12日、県内農林産物で実施の放射性物質の調査結果を公表。この中に「津南町産ナメコから1`cあたり15ベクレルの放射性セシウムを検出」があった。国基準5百ベクレルを大幅に下回る微量だが検出された。同日、県職員が同組合を訪れ、調査の詳細を報告、工場などを視察。今回検出で取引咲きの一つ、スーパー・ウオロク(本社=新潟市、県内31店)は同日、なめこ取引を停止した。
 
 同組合は原発事故後、なめこに使用の「オガ」の独自調査を7月、長岡市の民間研究所で実施、不検出だった。県調査を受け13日、同組合独自になめこ検査を行い、結果は1週間後。
なめこ生産者は「今後の影響が心配。県は発表と共に風評被害も考えてほしい。我々は被害者だ」と困惑。同組合のオガ原木は県内と長野県産を使っている。
 
 近隣はどうか。JA十日町は8月、生なめこを自主検査。放射性物質は不検出。「オガの原材料地でも検出されていない。今後も自主検査を続けたい」(きのこ課)。オガ原木は岐阜や北海道から入れている。

 同組合の生なめこ取扱量は年間146d、取扱高6301万円。加工を含む総取扱量は年間約1100d、取扱高約5億円。風評被害拡大の場合、東京電力へ損害賠償する考えだ。小林組合長は「検出は微量で、取引先には検査結果を公表し理解頂いている。今後の独自調査の結果も随時伝えていく」と話している。

22時間ライブ、3000人が躍る、NGP津南で   9月16日号
 ◎…芝生グラウンドに色とりどりのテントが並び、オールナイトの22時間ライブ「TAICOCLUB Camps」が今年もニュー・グリーンピア津南で10、11日開かれた。バンドやDJなど21アーティストが出演し、2ヵ所のステージでクラブミュージックやソウルフルなサウンドなど、熱きパフォーマンスを見せた。10日は夜半まで濃霧で、カクテル光線の演出で幻想的な中、リズム感ある楽曲の演奏を、約3千人の参加者は体で感じ、踊った。


 ◎…06年の長野・木祖村で始まった同キャンプ。イベントプロデュース、こいのぼり株式会社(安澤太郎社長)が主催。入場を20歳以上に限定しているため、参加者は20代から30代が大部分で半分は女性。新潟市からの30代の会社員女性2人組。テント持参、車で来た。「タイコクラブは初めて。好きなバンドが出るので来ました。津南はひまわりで来たことがあり、のんびりできるイメージかな」。エスニックな雰囲気の出店でパスタを食べていた。4歳の娘と家族3人で上越市からの丸山輝幸さん(32)。「フジロックに行こうと思ってたが、料金が高くタイコクラブにしました。津南はいつも通過していたが、これからはちょっと気にしたいと思います」。東京・足立区からの28、29歳のカップル。テント持参、車で来た。「昨年も来たけど、この霧の津南もいいじゃないですか。この開放感がいいね」。


 ◎…主催のこいのぼり・制作部の岡田彰ディレクターは「アーティストも来場者も、津南を気に入っています。会場のコンパクトさがとてもいいです。地元スタッフ50人余りの協力がとても心強いでう。来年の大地の芸術祭と関連づけられないか検討したいです」と、来年も津南で開きたい方針だ。全館貸切で協力したNGP津南の樋口明総支配人は「若い世代の誘客効果は高く、音対策など今回の課題などを話し合い、来年の事を決めたい」と話している。

写真・芝生グラウンドに色とりどりのテントが並び、22時間ライブを満喫

フアッション甲子園、十日町総合高が6点入賞  9月16日号
 高校生がデザインの若き才能を開花させた。県立十日町総合高(星野光章校長)のデザイン技術科を専攻する生徒15人。第11回ファッション甲子園に入賞、国内デザインコンクールでも6点入賞など活躍する。将来は芸術系大学や専門学校志望の生徒が多く、受賞は大きな自信になっている。
 
 同甲子園は国内最大級のファッション祭典。全国応募3479点、入賞35点の狭き門。入賞作のデザイン担当は3年の大石航平君(18)、縫製は同・村山広大君(17)。指導者は樋口正弘常勤講師(52)。女性が多い同甲子園で男性3人チームの出品はまれ。
 
 入賞作品は一般にオセロと呼ばれるゲーム「リバーシ」を題材に製作。黒ジャケットと白ズボンの男性用スーツに駒と同じ丸穴を空け、その穴から白黒の駒が並ぶゲーム盤に見立てたチェック柄のシャツが見える仕組み。奇抜な発想が高評価を受けた。先月26日の青森での最終審査会で大石君が実際に服を着てショーに出演した。
 
 入賞の2人は共に美術部。大石君は「一見地味な男性用スーツに、シンプルだが逆転があるリバーシの奥深さを出した。入賞するとは思わなかった」と喜ぶ。村山君はデザインに合う柄がなく、すべて手作りで苦戦。手芸活動の同高ファッションサークル同好会の協力で完成。「全部手縫いで大変だった。よくできたと思う。実は裁縫はあまり得意じゃない」と苦笑い。将来はデザイナーになるのが夢の2人。同甲子園入賞を機にさらにセンスを磨いている。
 同高のデザインコンクール入賞者は次の通り(学年は全員3年)。
 ◆第11回ファッション甲子園入賞=大石航平、村山広大◆2011高校生デザイン画コンクール入賞=大石航平◆第19回BUNKAファッションデザイン画コンクール入選=関口舞、柳早苗、太田麻美◆第7回高校生ファッションデザインコンテスト入選=藤田春菜。

西大滝ダム水利権、長野・新潟量県知事が「異議なし」回答、期限内見直しも  9月9日号
 東京電力・西大滝ダム(飯山市、信濃川発電所=津南町三箇)の水利権更新申請に対し、新潟県と長野県は5日までに、国の水利権許可方針に対し「異議ありません」と、国土交通省北陸地方整備局(新潟市)に回答した。ただ、両県とも流域自治体などで作る「信濃川中流域水環境改善検討協議会」で新たな提言がされた場合、「更新期を待たずに許可内容の見直しも含めた対応をする」と要望意見をつけている。


 北陸地整局への回答は、新潟県が6月17日、長野県は今月5日。東京電力の申請内容と同じ許可方針内容を国は両県に示した。それは最大取水量毎秒171・133立方b(従前同)、通年維持流量毎秒20d(更新前、毎秒0・26〜19・71立方b)、許可期間20年。これに対し流域からは、「下流のJR東・宮中ダムでは5年間の試験放流を行い、その後に放流量を決めるが、上流でも同様な取り組みが必要だ」(十日町市)、「魚類の遡上降下をよくする。河川環境の状況に応じた柔軟な対応を」(津南町)、あるいは「更新期間を10年とする」(栄村)などの意見を県に上げていた。

 今回の両県の国への回答について東京電力は「新潟県に続き、長野県からも河川管理者に回答がなされたことにより、手続きが一歩進んだとも言え、大変ありがたく思います。河川管理者に対する回答に、いくつかの付帯事項があることは承知しており、河川管理者のご指導を踏まえて考えます」(信濃川電力所)としている。


 一方、流域の漁業権を持つ中魚沼漁協・長谷川克一組合長は「20dの根拠は示されていないが、両県知事が同意したことでやむなしと考える。今後も不備が生じた場合、改善を申し入れていきたい」と話す。一方、上流の高水漁協・相澤博文組合長は「我々の5年間の試験放流、更新は10年からいえば不満だ。今期もサケ遡上調査を行うが、魚道改善、放流量、放流方法などすべて関連があり、その検証が必要。魚類調査と共に流域の住民意識調査をしてほしい」と話している。今月中旬から2ヵ月、西大滝ダム魚道でサケ遡上調査が国とNPO新潟水辺の会が行う。両県知事の回答を受け、国は更新手続きを進めることになる。

写真・大雨で増水している西大滝ダム。いよいよ更新への国手続が始まる(9月6日)

シリーズ連載「議会改革最前線」 議員活動が見えない  9月9日号
 ここに一枚の資料がある。「今任期中の一般質問の議員別回数」。年4回の定例会、毎回質問に立つと任期4年間で16回立てる。昨春の補選組4人を除き、今議会では4人が全定例会で質問に立ち16回行った。「議員に公平に与えられた場だ。それを使わない議員は、住民代表とは言えない」。有権者の声は厳しい。


 「議員活動が見えない」。住民からよく出る議会への、議員への声だ。誰でも傍聴できる本会議は、許可を受ければ傍聴できる委員会審議、毎月の全議員月例協議会など、「自分が一票を投じた議員」の活動や発言は、こうした場で直に聞くことができる。だが、なかなか足を運ぶ有権者、住民は多くない、というより少ない。
今月6日からの9月定例会。初日と7日の一般質問には、ほぼ20席の傍聴席は埋まった。だが、一般の議案審議になると、ゼロ状態が多い。今回はひかえる町議選に関係者が傍聴しているが、議案審議の傍聴席は、記者席に1人、2人程度だ。

 「選挙の時だけ一所懸命ではなく、一票を入れた責任を、もっと住民は自覚すべきだ」。時々、傍聴でかける70代の男性は語る。一方で、「選挙の時、当選後は定例議会ごとに議会報告会を開きます、なんて言っていたが、選挙の年になると思い出したように開く。これじゃ駄目だよ」、50代の男性は、議員の「言行不一致」を嘆く。


 津南町議会は、かつて「日曜議会」を二度開いている。『平日の昼間など、傍聴に行ける人は限られる。日曜に開いてほしい』、そんな住民要望に応えて開いた、だが、用意したイスは余り、期待ほどの効果は見られなかった。さらに『夜間議会はどうか。夜なら行ける』。こんな声も出ているが、夜間議会は、まだ実現していない。議員のひとりは「夕方5時や6時に開会した場合、夜9時か10時には閉会しないと、翌日の業務に支障が出る。限られた時間の制約がある」と、開催の難しさを語る。


 そこで登場するのが議会中継。十日町市は2年前からインターネット中継をしている。3日後には録画も見られる。実は、津南町議会も2年前、音声のデジタル化を実施した時、ネット中継が出来る準備を整えている。「インターネット普及時代、できるなら早急に実施すべきだ。ネット中継なら、傍聴に来なくても、家でも携帯でも見て、聞くことができる」と議員のひとり。次期議会の課題になるだろう。


 「議員活動が見えない」。この言葉は、議員にとって厳しい言葉だ。「議員活動は、パフォーマンスではない。見えないからと言って、何もしていない事にはならない。町政のチェック、さらには予算の議決など、365日、24時間、責任の重さを背負っている。そこも考えてほしい」。議員の本音の一つだろう。

 だが、議会、議員の活動が見えないのは事実だ。行政のチェックは当然としても、議会活動の中で「議員提案」がどれだけあったのか、今議会を検証する一つの材料だろう。行政をチェックする議会、議員、その議員をチェックするのは、送り出した有権者自身であろう。

写真・9月定例会の初日午後の津南町議会。傍聴席は少ない(6日午後、議場で)

募る不安、子を守る親たちが緊急集会、愛宕幼稚園  9月9日号
 高い放射線量が検出された十日町市の私立愛宕幼稚園(小林賢有園長)で2日、臨時PTA総会を開き、市からのこれまでの調査結果や今後の取組みを聞き、参加の保護者からは、「土壌検査もしてほしい」や「継続的に調査を」など、子への影響を心配する声が聞かれた。

 市の調査で同園庭の落葉や草葉の堆積場から国の処理基準を上回る2万7千ベクレルの放射性セシウムが検出され、同PTAは今後の園活動を含め、市側との懇談の場として臨時総会を開いた。園側からは「保育時間内は外遊びはしない」、「雨に当たらないようにする」、「草取り置き場は作らない」など、測定値が出たから対応している。

 これに対し、市は「継続的に調査を行い、皆さんに公表するので、過敏な心配はしないでもいいのではと思う」と説明。だが保護者からは、「これから運動会などあり、土壌調査をしてほしい」や「子どもたちへの影響が心配。健康診断をうける必要はないのか」など多様な意見が出た。市は、保護者の心配に対し、調査結果の公表や調査への同行、健康相談などを受ける方針だ。同園の樋口絹代PTA会長(33)は「やはり親の心配は大きいです。何を信じていいのか不安です。とにかく情報がほしいです」と話している。

生きる励み、目標つかんだ定時性、意見発表会  9月9日号
 働きながら学ぶなど夜学の生徒たちが、将来の目標や学校での活動、仕事を通して感じた事などを発表する十日町高定時制(上村栄市校長、生徒124人)の「校内生徒生活体験発表会」が7日開かれ、全生徒参加の中から学年ごとに選ばれた11人が発表した。審査の結果、最優秀賞に選ばれた石橋史弥君(4年)と優秀賞の服部真緒さん(1年)の2人が今月29日、上越市・高田南城高で開かれる上中越地区大会への出場権を獲得した。
 
 体験発表は、中学校時代に不登校で苦しかった思いや、部活動を通して目標ができたことの喜び、バイト先で職場の人から励まされた体験など様々。
 
 最優秀賞の石橋君は、1日中、ゲームなどをして過ごした中学時代から一生懸命取り組める自分になりたいと入学した定時制でバドミントンに取り組み、団体戦で全国大会まで出場した経験を披露。「何事も前向きに考える事が出来るようになり、地道に自分自身を向上させていこうとする力が身につきました。この力を使って残りの高校生活、そして卒業後も頑張って行きたい」と語った。
 
 上村校長は「期待していた通り、いい発表してくれた。自分を見つめ直す事で、自分への理解も深まったのではないか」と話している。

障害者の自立を支援、サンフアームきのこ工場開所、最低賃金を保障  9月9日号
 障害者自立支援をと「株式会社サンファーム」(山田豊社長)は1日、しいたけ栽培所を津南町大割野に開所。町内外の障害者20人を雇用、生産活動を開始している。同社は「今後事業を拡大しさらに雇用を広げ、自立支援を行いたい」としている。
 
 同社のきのこ工場が「就労継続支援A型施設」で県認可。3百平方bのビニールハウスでしいたけ栽培。A型施設は障害者を一般社員で雇用。最低賃金(新潟県683円)を保障。県内で9番目、魚沼地域では魚沼市の魚沼わさび苑に続く施設。通勤エリアは津南、十日町、南魚沼で送迎バスを運行。1日4時間勤務が基本。社員スタッフ6人が作業サポート。栽培しいたけはJA津南町、中深見ごっつぉ市、十日町市場で販売。さらに販売店を拡大し、年間生産量250d、売上2千万円をめざす。
 
 2年前から開設準備を進め、社名の「サンファーム」は太陽のように明るく輝く職場にと願いを込めた。知的障害者の長男を持つ山田社長(49、十日町市新座)は「親が頑張れる間はいいが、障害者はいつか自立しなければならない。最低賃金を保障するA型施設は今後ますます必要になる。利用者と共に働き、規模を拡大し自立支援を進める」と意欲を語る。同社勤務は津南町5人、十日町市13人、南魚沼市2人。なお津南町の障害者手帳交付者(先月末付)は身体504人、知的68人、精神50人となっている。

最後の一年、思い出作りに体育祭で風船を  9月9日号
 ◎…最後の年を迎えている津南町の上郷中(中川久男校長、23人)体育祭は4日、上郷小グラウンドで開いた。生徒会(小林公介会長)主催。台風のため時おり雨が降る悪天候のなか、少人数ながら蒼軍と紅軍に別れ競い、地域住民も参加する12種目で競った。子どもたちの思い出にと両軍のオリジナルTシャツを初めて作成。スローガンの「灯せ!上郷灯。燃やせ!上郷魂」通り、泥だらけになりながら熱戦。今年もエンディングセレモニーを行い、住民50人余と共にエコ風船百個を「上中、最高!」と叫び、一斉に空に放った。
 
 ◎…土に還るエコ風船には、地域の笑顔を象徴するひまわりの種を入れ、さらに『上郷中ありがとう』など閉校する学校への想いを生徒が手書き。応援優勝した紅軍の涌井大嵩団長は「上中らしく、協力し合う熱い体育祭ができた。皆との絆と笑顔を忘れずに閉校まで頑張りたい」と感慨深そう。一方、競技優勝の蒼軍・早河太貴団長は「学校がなくなるのは寂しいが、その分最後なのでみんな盛り上がった。今日を忘れません」と応援で掠れた声で話した。来月23日に第13回上郷小中地域合同文化祭、10月30日にしなちく祭を行い、閉校記念式典は11月13日、上郷小で開く。

連載「議会改革 最前線」 津南町議会に定数削減安 提案か   9月2日号
 住民代表の市町村議員。身近ながら、なかなかその活動が見えない。津南町は今秋、改選期を向かえ、十日町市と栄村は2年後の2013年春に改選期を向かえる。改選期を近づくと出るのが定数問題。今月6日開会の津南町議会。この議会に定数案を提案する動きがある。一方、十日町市には2年後の改選に向け、議会改革特別委員会を設け、改選一年後の来年春までに定数削減を実施する方針だ。住民代表の議員で構成する議会。このシリーズで議会を、多角的に検証する。(敬称略)



 昨年4月、津南町議補選で初当選した中山弘(59)。毎月7日、町中央部の大割野区民会館で懇談会を開いている。参加数は多くないが、雨のなか来てくれた1人と、1時間以上も話し込んだこともある。

 「議会や議員への不満が大部分だ。こうした声を、なんとか形にしたい」。中山は、毎月の懇談から出る住民の言葉を議会活動に反映している。その一つが「議員定数問題」だ。

 「今のままでは、子育て世代や働き盛りはとても町議に出られない。専属で議員活動ができるように報酬を上げ、専任化することが必要だ」。

 自立をめざす津南町。町職員の協議や研究で作られた「自律計画」には、『町議員10人、報酬月額30万円』という提言がある。当時、議会側から「越権行為だ。議会のことは議会が決める」など反発の声が上がった。
だが、昨年の町議補選以降、今秋の町議改選を見越し、ここにきて定数問題が浮上している。


 今月6日開会の9月定例会。この場に「定数削減案」を議員提案する動きがある。
 1年前。実は同様な動きがあり、実際に「2人削減案」が提案された。この時は、削減派の中に、報酬引き下げを求める議員が出て、削減派が分裂した形で、「賛成5、反対9、無効1」で削減案は否決された。この時、「定数論議は次の議会に委ねる」という方針が出された。

 昨年の定数削減案に賛成した大島知美(56)は、議員個々の行政知識、情報不足、勉強不足を痛感している。「議員活動、議会活動というが、議員間での疎通が少なく、もっと情報交換や直面する問題に、議会として立ち向かう姿勢が不足している。やはり議員の専属化が必要だ。議会は行政チェックだけでなく、住民にとって必要な行政事業を議員提案することこそ大切」。毎日、役場や関係部署に行くと共に、行政事業や国や県の動き、民間の動向を見て、「津南町にとって何が必要か」と常に考える議員活動の必要を話す。そのためにも「最後は議員の質の論議になるが、やはり定数を減らし、ある程度の報酬を補償することが専属化につながる」と、定数削減を話す。

 
 一方、昨年の定数削減に反対した根津勝幸(56)。論点は明確だ。「10人のうち5人が反対するのと、20人のうち10人が反対するのでは大きく違う。住民代表の意見は多いほど良い。多くの意見の中で、あるべき方向性を出すことが大切だ」。議員数は多いほど良く、報酬を引き下げても、定数は法定上限でも良いという。

 町議選で毎回課題になる地区推薦。根津は話す。「確かに定数が少なくなれば、地区代表的な性格は薄れるが、現に最近の選挙ではすで地区丸抱え選挙は少なくなっている。有権者を信じるべきだろう」。


 同じく昨年の定数削減では、反対票を投じた河田強一(58)。「仮に今儀会に定数削減案が出た場合、あまりにも唐突過ぎる。じっくり議論する時間がなさ過ぎる。この問題、そんなに軽々に扱うべきものではない。1年前の議会で、定数問題は次の議会に託すとなっているので、それでいいのではないか」。
 
 ただ、持論はある。「公務員給与引き下げなど、行政組織全体の見直しが進むなか、議会も抜本的な改革が求められている。定数もその一つ。本会議制なのか、委員会制なのか、定例会の会期、あるいは365日議会など、取り組み方策はいろいろあり、研究と議論が必要」。議員の問題意識を問うている。

 6日からの津南町議会。10月25日告示、30日投票の町議選との関係もあり、9月議会を注目したい。

写真・昨年4月の町議補選(写真)以降、定数論議に関心が集まっている

リポート「中高一貫高への期待」、津南中等1期生、来春の進路に関心集まる  9月2日号
 新潟県内の4番目に開校した県立津南中等教育学校。多くが市部への開校で、町村部では県内唯一の中高一貫校だ。今春、6期生を迎え、ようやく中高一貫6学年の体制が整った。6年前に迎えた1期生が、来春、第1回卒業生として母校を巣立つ。その進路に、県内はじめ多くの教育関係者の目が集まっている。6年間を過ごす1期生は何を思い、初の卒業生を送り出す学校側は、どう取り組んでいるのか。唯一の町村部にある中高一貫校、津南中等教育学校の今をリポートする。

 先月末、27日の土曜、夏休み恒例のオープンスクールを開いた。これも恒例の昼食カレーは、在校生の保護者が作った。「今年は美味くできました」。和やかな雰囲気で始まった同スクール。十日町地域や魚沼エリアなどから250人が参加した。

 保護者130人余を前に、本田雄二校長は、にこやかに話した。「学力の養成、勉強する学校です。だが、勉強だけの学校ではありません」。陸上で全国高校、水泳で全国中学大会に出場の実績などを紹介。3年前の赴任時、生徒に話した。『学力だけでは社会は認めない。人間性を伴ってはじめて社会は認める』。これが本田校長の信条だ。

ΩΩΩ

 津南中等の教育方針は『夢の実現』。そのために、「50%の生徒が国公立大学に進学できる学力をつける」を目標に、「分かるまで教える」という徹底した教育を行う。主要科目の英語、数学はクラスを二分し、少人数授業に加え、この2教科の教諭数は、他の教科の2倍の配置を受け、さらに習熟度別の授業も行う。学業にメリハリをつけるため英語検定、漢字検定を組み入れ、異学年合同の授業、学習合宿など「試行錯誤を重ねている」(本田校長)実践を行い、『夢の実現』をめざしている。

ΩΩΩ

 来春、第1回卒業生となる1期生。この6年間、何を感じ、いま何を考えているのか。
肩より少し長い髪、重そうなバッグを下げる女子学生(18)。なぜ津南中等をめざしたのか。「率直に言って、オーストラリア研修に行ってみたかったんです」。その体験は、4学年で実現。「ますます外国への関心が増しました」。卒業まで半年、センター試験まで4ヵ月余り。

 津南中等は、5学年に進級する時、理系、文系に分かれる。文系は女子が多く、理系は男子の率が高い。女子学生は文系。「哲学や史学が好きです。当たり前の事をいろいろな角度から考える、とても興味を感じます」。得意科目は英語。英検3級を取得し、今は受験勉強体制。この夏休み、学習合宿に参加し、来春へ向けスパートが始まっている。

 1期生。「何かにつけて、君たちは1期生だから、と言われ続けています。そう意味ではプレッシャーはありますが、最後は自分は自分だと思います」。国公立をめざす女子学生。「自分の世界をもっと広げたい、そのための大学です。新しい世界に行くためです」。女子生徒の顔に、自信が広がった。

ΩΩΩ

 スーツが似合いそうな大人の雰囲気を感じさせる男子学生(17)。理系コースだ。「学力の保証、の通り学外で勉強する機会が多くありました。オーストラリアホームスティもそうです。英語のリスニングが実感として良くなり、文化の違いも体験できたことは、これからの自分に大きく影響すると思います」。小さな頃から機械いじりが好きだった。

 当初、『中等は勉強ばかりするところ』と言われた。実際に入学後、毎日出る自宅学習2時間分の課題は、大変だった。「でも、勉強するために入ったわけですから。半年くらいで慣れました。部活もでき、楽しい学校生活でした。あと半年ですが、僕は中等に入って良かったと、実感として思っています」。

 それを感じる出来事は、夏休みにあった。津南中等以外の他の学生との学習会に参加した。「学力がついていると、自分で分かりました」。他校の学生との差を感じた。

 だが、中高一貫6年間に、ちょっと違和感も抱いている。「中学過程の前期から高校課程の後期への進級ですが、何か区切りがないと、気持ちの切り替えがうまく行きませんでした。リセットできる機会があるといいと思います」。同じことは、女子学生も抱いた。「何らかの試験があった方が区切りがつけられるし、自覚もできるように思います」。高校受験がなく、しっかり目標に向かえるというのが、中高一貫校の最大の特徴だが、当事者からは、意外な声が聞こえている。

ΩΩΩ

 年々、出身の小学校数が増えている(表参照)。「津南中等校への期待の現われである。これは地元の教育への刺激にもなるはず」。本田校長は、地域への教育効果を期待する。
 
 広域化する通学エリア。全校の10%が南魚沼市、魚沼市から通学しており、保護者会で通学バスをチャーター、約1時間かけて通っている。在校生(434人=男子184、女子250)の内訳は、津南町と旧十日町市が36%、旧中里17%、栄村1%。すでに地元津南以外からが6割以上を占めている。

 県内6校の中高一貫校。町村部は津南中等だけ。通学面で課題はあるが、本田校長は、意に介していない。「通学に1時間かけて通ってくる学生に応えたい。内容さえ伴っていれば、不便さは克服できる。私たちは、その期待に応えていきたい」。

 来春、注目の第1回卒業生を送り出す。「旧帝大クラスに何人か入るでしょう。今の実力から、そう言えます。だが、学生たちは大学に入ることが目標ではなく、自分たちの夢の実現のための大学です」。

 27日のオープンスクール。1学年の楽しそうな授業。廊下を通る授業参観者には目もくれず、集中する6学年の姿。来春への期待が、さらに高まる。

写真・オープンスクールには250人余が参加。年々、広域から入学している

 

五輪選手が震災、水害の地を激励、つなんローラーに恩田選手ら  9月2日号
 五輪選手が被災地で激励参加―。カナダ・バンクーバー五輪出場の恩田祐一選手(UCHIDA SPORTS)、全日本ナショナルチームの木村正哉選手(同)は28日の第13回つなんローラースキー大会に特別出場。マウンテンパーク津南の全日本公認ローラースキーコース一般9`の部に参加。「全力で走ることで被災地が元気になれば」と木村選手、恩田選手でワン・ツーフィニッシュ。世界の走りを見せ、ジュニア選手の大きな刺激になった。
 

 大会は中学から一般の男女202人余が出場。両選手所属先から先月「参加したい」と町教委に連絡が入り出場決定。当日、ケガで欠場の津南出身、全日本メンバーの小林由貴選手(岐阜日野自動車)と両選手が表彰式で参加選手にメッセージ。恩田選手は「1日の目標をしっかり持ち、練習を考える。その積み重ねが大事。私は次のソチ五輪がおそらく最後のチャンスになる。日本人でも世界で活躍できると証明したい」と決意。木村選手は「高校1年の時以来、8年ぶりに津南に来た。その頃はインハイにも出られない弱い選手だったが、今は世界を狙える位置にいる。夢は達成できる」と呼びかけ、小林選手が「皆さんに支えられここまで来ました。ソチ五輪を目標に、人としてもスポーツ選手としてもステップアップしたい」と五輪に向けた想いを語り、参加選手にエールを送った。

写真・激励参加した全日本の木村選手(左から)恩田選手、小林選手

女性パワーで町に活気、おんな神輿繰り出す  9月2日号
 ◎…「ソイヤサ」「ソイヤサ」と揃いのハッピ姿とねじり鉢巻の粋な女性たちが街を巡る津南町熊野三社「女神輿」。今年も27日午後2時半、同社をスタート。約5時間かけ津南町の中心街を巡行。重さ90`余の神輿を太陽が照らし、汗で光る女性たちをさらに輝かせた。
 

 ◎…「女性の力で街に活気を」と取り組み27年。今年は町内や十日町市から10代〜40代の48人が担ぎ手。最近は幼い頃から女神輿を見て育った若き女性たちが「ぜひ私も」と参加し活気が増している。町内陣場下出身の山田円さん(18)は、大学の夏季休暇で帰省し参加。「ずっとカッコ良くて、担いでみたいと思っていました。女神輿で故郷の津南をもっと盛り上げたいですね」。友人の高橋りほさん(19、十日町市山野田)は「津南に女神輿があると初めて聞き、おもしろそうなので参加しました。神輿を担いだのは小学生以来。華やかでいいですね」。女衆の威勢よい声に沿道の住民から喝采が飛んでいた。


COPYRIGHT (C)2004 TSUNANSHINBUN-ONLINE. ALL RIGHTS RESERVED
!-->