ビッグなビジネスチャンスを筒井信隆農水副大臣が連れてやってきた。26日来日した中国の国有企業で食品最大手「中国農業発展集団(中農)」の劉身利会長が来日し、滞在4日間の限られたなか27日には筒井副大臣の案内で十日町市と津南町を訪問した。大雪が歓迎するなか、日本一の魚沼産コシヒカリや魚沼米の米粉で作った米粉パン、雪下ニンジンジュースなどを試食。劉会長は「米粉のパンは世界唯一のものではないか。美味しい」など、大雪の歓迎に驚きながらも、十日町・津南産の食材に大きな関心を示している。
筒井副大臣は昨年12月に訪中し、中農・劉会長と日本産農産物などの輸出拡大をめざす覚書を結んだ。この中で、「当面、米を年間20万d輸出し、将来は100万dをめざす」とコメ輸出の道をつけた。
今回の劉会長の来日は、中国内で人気が高い日本の農産物の現地調査や生産者、流通業者との懇談などが目的で、28日には生産団体や食品業者を対象とする説明会を開いた。中国では、富裕層を中心に日本の農産物への関心が高く、「食味がよく、安心安全な日本の農産物」と人気だ。コメ産地の十日町・津南への今回の訪問は、筒井副大臣の地元でもあるが、良質農産物の生産現場であることを裏付けている。
十日町市ではJA十日町の直売所「十日町べじぱーく」を視察。焼きたての米粉パンや農水大臣表彰を受けた妻有ポーク、雪下ニンジンジュースなどを試食。「これはうまい。このジュースの色がきれいだね」などと感想。関口市長が「この雪が美味しいコメ、美味しく安全な農産物を作り出している」と雪国の優位性を説明した。
直売所の野菜や加工品を手に取って見回った劉会長。「きれいな風景と純朴な人たちによって、農業の奇跡を作っている地域ですね。感激し、感動した」と時間延長しながら見て回った。
津南町では昼食交流。ニュー・グリーンピア津南で両市町関係者40人が出席。上村町長が「津南は日本で一番雪が多いまち。この雪と清冽な水が安全で美味しい農産物を生み出している」と話し昨年に内モンゴル自治区のホテルとNGP津南が姉妹提携したことなど紹介した。
昼食には釜炊きの魚沼米が用意され、山菜の煮物、きのこのてんぷらなどすべて地元職食材。劉会長は「美しく神秘な所にやってきた。この米、そして風景は素晴らしい。帰国したら新潟の人たちの情熱や風景、食べ物を中国に宣伝したい」と話している。滞在時間約2時間の駆け足視察だったが、「またとないビッグチャンス。この雪がこの地域を印象深くしただろう」と関係者は話し、筒井副大臣が進める中国輸出のコメ精米工場の新潟設置の実現を期待している。なおNGP津南から新幹線・越後湯沢駅までの車中では上村町長、石橋地域振興課長が劉会長と懇談し、津南をアピールした。
写真・十日町の直売所を視察する劉会長(左から2人目、26日、べじぱーく十日町で)