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2010年10月の津南新聞「トピックス」

過去の津南新聞トピックス
もう初雪、秋山で10a、「これから紅葉の本番なのに」  10月29日号
 ◎…今秋一番の強い冬型となった26、27日、各地で初雪を記録しているが、当地域でも標高8百b以上で今冬初の積雪を記録した。秋山郷の栄村栃川高原では約10aの積雪があった。同地で温泉宿を経営する相澤博文さん(63・ひだまり)は「例年より半月以上も早い雪だ。まだ何も冬の準備をしていない。ちょっと早すぎるな」と話している。秋山郷の紅葉はこれからが本番。長期予報では雪は平年より多めという。天候不順の今年、これから迎える冬の雪が心配だ。

写真・今月27日朝、秋山郷・栄村栃川高原「ひだまり」前

検証シリーズ 川はよびかえるか 「20tの検証、5年間の試験放流を」  10月29日号
 東京電力は2001年から、年間を7区分に分け試験放流している。この2年前、国土交通省主導で「信濃川中流域水環境改善検討協議会」をできた。流域の東京電力・西大滝ダム(飯山市、信濃川発電所=津南町三箇)とJR東日本・宮中ダム(十日町市、信濃川発電所=小千谷市)の両ダム下流域の慢性的な渇水状態を問題視し、専門家によるモニタリング調査を開始。これを受ける形で東京電力は01年から試験放流を始め、今も続く。


 30年前の前回の更新期。河川環境を守る「最低維持流量」の数値表記は義務化されていなかった。だが、1997年の河川法改正で「河川環境の整備と保全」が加わり、水利権更新は性格を変えた。「それまでの治水、利水が中心の河川法では河川環境の改善にはならず、悪化するだけ。ようやく法的な裏づけがされたことの意味は大きい」。川を毎日見る中魚漁協の長谷川克一組合長は話す。
 東京電力の試験法流は、冬期間(12月1日〜3月31日)が最低の毎秒0・26d。これは魚道の放流量。つまりダム水門はすべて閉じている状態だ。サケ遡上期(10月1日〜11月10日)19・71dが年間で最多量。事業化をめざすラフティングシーズンの4月1日〜5月31日5・66d、6月1日〜7月9日12・16d、7月10日〜9月10日7・81d、続くサケ遡上期まで12・16dとなっている。

◇■◇◇◇
 
 県境の宮野原橋の下流約2`、川が大きくカーブする津南町下足滝。39年前に堤防ができるまでは「大水が出ると田んぼが水をかぶり、家まで水つきになった」。今は堤防で川が見えない。家の玄関先で川の流れを聞きながら島田一二三(84)は懐かしそうに話した。
 「小学校の頃だったかな。川に丸太で足場を作り、せり出した木の上で、網がついた長い柄で川をかいているのを見た覚えがある」。網ですくうことを「かく」という。サケ漁は普通の網より網目が大きい。
 下足滝の対岸は、今井集落。「両岸から足場が出て、両方とも4ヵ所ぐらいあったかな。日に5、6匹捕っていたようだ。サケ漁は何軒かで組み、捕れると近所や隣村の旅館に売ったようだ」。1日に5、6匹、両岸8ヵ所で日に40匹以上、捕獲されたようだ。
 西大滝ダム取水開始の1939年、川は一変した。「水量がガクンと減った。以来サケが捕れなくなった」。ダム取水から70年余、サケ漁は過去の語り草となり、そんなサケ漁が目の前の川で行われていたことすら、話題にならない。

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 9月11日、宮中ダム魚道にサケ採捕のトラップを設置。今月25日には15匹、21日には大物75aのメスを採捕。28日現在137匹を確認。採捕のサケはすべてダム上流に放している。
 県境の宮野原橋まで漁業権を持つ中魚漁協の長谷川組合長。「サケは我々のロマン。毎年赤字ながら稚児放流している」。さらに「東京電力が申請の毎秒20d、本当にこれでいいのか。許可後どう検証するのか。期間20年は無理がある。5年間の試験期間を設け、しっかり20dを検証すべきだ」。東京電力の許可申請「20年」に、待ったをかけている。
 一方、約21`上流の西大滝ダムは今月1日から採捕を開始。だが28現在3匹だけ。同ダムでサケ遡上をカメラで24時間監視するNPO新潟水辺の会の加藤功事務局長。「水量と共に魚道の改善が必要。西大滝ダムの閉じられた水門前でうろうろするサケを数匹見ている」。東京電力設置の「西大滝ダム魚道構造検討会」第3回を来月4日開く。協議内容を注視している。

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 宮中ダムと西大滝ダムの採捕数に大きな開きがある。途中に清津川、中津川、志久見川が入る。東京電力は「途中の河川へ上ることが考えられ、西大滝の確認数に影響しているのでは」と推論している。
 東京電力は2007年、国土交通省ガイドラインに添う河川調査を行った、という。ただ魚類の詳しい調査はしていない。70年余に渡る河川環境の悪化の主因である西大滝ダムの取水による影響は、中流域提言にもある通り、「最低維持流量毎秒20dを流しても、かつての川に戻るものではない」と慢性的な渇水状態を厳しく指摘している。
 その環境改善の象徴の一つがサケだ。「20d放流」と東京電力は今月7日の許可申請に明記した。だが、「なぜ20dなのか」への明確な回答はない。「中流域提言を尊重」だけである。
 そもそも東京電力は、中流域提言が出る前、07年に独自で行った維持流量調査で、それまでの試験放流の年平均「毎秒7d」に近い数字が出たため、水利権更新時には「通常毎秒7d」をベースに検討していた。このため住民懇談での「7dがなぜ20dになったのか」の質問には『分からない』と回答。さらに『釈然としないものがある』と、中流域提言の毎秒20dに懐疑的な姿勢を示した。

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 ダム取水で川が激変した記憶を、流域の人たちは忘れない。川岸いっぱいの信濃川の姿が目に焼きつく清水隆平(78)は、かつて吊り橋だった県境から下流約5`の田中橋のたもとで、川と共に育った。近くに温泉宿しなの荘がある。
「しなの荘の上流にヤナ場があった。地元では『おけば』と言った。魚かき(網すくい)で取ったサケを売りにきた。筋子がいっぱい入ったサケを見たことがある。急に川の水が少なくなったのを覚えているな」。
 ダム取水で一変した流域の河川環境。「20d放流」で、どう川がかわるか。その検証が求められる。

写真・昭和初期に信濃川で行われていたサケ漁(津南百年史より)

県越えてDWAT連携、県立病院で救急訓練  10月29日号
 「救急ベッドが足りない。早く用意を」―。中越地震から6年を迎えた23日、魚沼地域の県立3病院と消防署を中心とした「魚沼地域災害時医療訓練」が行われ、負傷者の重症度や緊急度などを優先順に分類するDMAT(災害時派遣医療チーム)によるトリアージ訓練など医療現場での高度な救急活動を展開した。
 

 十日町病院と十日町消防本部が連携した訓練は、平成16年の中越大震災を教訓に翌17年から毎年行っている。今回は魚沼地域でマグニチュード7の直下型地震が発生という想定で十日町病院、六日町病院、小出病院で実施。このうち十日町地域では震度6強の強い揺れを観測し、病院などでは停電や断水となったなどという想定のもと、富山県や上越市などからDMAT3チームも支援参加。十日町病院玄関前に簡易テントによる応急救護所を設置し、次々に運ばれてくる負傷者のトリアージでは医師や看護師らが「大丈夫ですか。どこが痛いですか」などと症状を聞きながら重症度を確認、識別表にチェックしていた。


 訓練は4時間余りにわたって行い、被害や負傷者の情報収集、重症患者のヘリコプター搬送、災害現場への医療チーム派遣など様々な訓練を行った。十日町病院の塚田芳久院長や対策本部の消防関係者らは「救急・急性期医療を中心に行う地域の中核病院。災害時の広域連携や応援体制など重要で、こうした訓練を万一の災害時に生かしていきたい」などと話していた。

津南からオリンピック選手を、小林由貴選手を支援する会誕生  10月29日号
 オリンピック選手候補が所属するナショナルチームメンバーで4年後のロシア・ソチ五輪出場をめざす津南町出身のクロスカントリースキー・小林由貴選手(22、津南中ー十日町高ー早稲田大ー岐阜日野自動車)の選手活動を支援する組織が来月できる。「小林由貴選手を応援する会」(愛称・ユキんこクラブ)は、小林選手23歳の誕生日に合わせ来月1日発足する。同会会長には前町長、小林三喜男氏が就き、町あげてソチ五輪出場をめざす小林選手を支援する。実現すると津南町としては3人目のオリンピック選手誕生となる。

 
 小林選手は今年2月の世界大会U23(23歳以下)で日本選手トップの4位入賞。3月の国内ランキング1位になった。高校インターハイ、大学インカレ、国体、全日本選手権など数多くの優勝経験を持ち、今年2月のカナダ五輪出場候補に最後まで残った。
 今回の支援組織は、津南町スキークラブ・クロカン部(大口和哉部長)の呼びかけで実現。同部員62人の多くが全国大会出場経験を持つ。同部では「選手活動を続ける大変さは我々が一番良く知っている。だからこそ支援活動が必要。この地からぜひオリンピック選手を育てたい。子どもたちの目標にもなる」と話す。
 

 支援活動は会員を募り、年会費3千円を活動資金に遠征費補助や練習活動費などを支援する。シーズン前に小林選手を招き壮行会、シーズン後の報告会、さらに年度末に会報発行、ホームページ開設など活動する計画だ。副会長に大口和哉、会計・大口雅文、事務局・志賀直哉、高橋隆明の各氏が就く予定だ。
 
 支援会長に就く小林会長は「選手生活を続けるには、強い意志と不屈の精神が必要。小林さんは郷土の誇り。後輩たちの目標になるよう応援したい。ぜひ津南から3人目のオリンピック選手を誕生させたい」と協力を呼びかける。小林選手は今月30日から12月21日まで全日本海外遠征に参加。来月はスウェーデン、フィンランド、12月はドイツ、スイス、フランスを転戦する。帰国後、12月下旬の北海道での全日本大会を皮切りに国内大会に出場する。 


 なお同会では、小林選手の愛称イラストを作成。支援活動のシンボルにする方針。会員募集は開始しており、近く会費納入の郵便局口座を開設する。問合せは事務局рO25(765)2866(志賀スポーツ内)
写真・津南でトレーニング中の小林選手(今年6月、クアハウス津南で)

厳粛に龍源寺晋山式、御詠歌が響く境内  10月29日号
 御詠歌が静寂の境内に響き渡るなか、厳粛に晋山式が行われた。開山420年の津南町「深見山龍源寺」の第22世住職に就いた無端行弘和尚の晋山式と50年余り同寺住職を務めた大嶽豊成大和尚の退董式は24日、参列者4百人余が見守るなか行い、23日午後2時から始まった儀式は24日午後3時過ぎに終了した。
 
 大本山永平寺、総持寺などから僧侶60人余が同式に参列。同寺境内で同寺御詠歌・梅花講37人、十日町・智泉寺の同会47人が御詠歌を奏でるなか、参列の僧侶に囲まれ、無端行弘和尚が本堂へ。壇信徒など3百人余が参列のなか、住職に就任する晋山式を行い、参列の僧侶との問答など普段見られない仏法の厳粛な儀式が執り行われた。
 

 同寺梅花講代表の村山イチさん(75)は「御詠歌の会ができて40年です。歴史的な晋山式、退董式、とても感動いたしました」と話していた。第22世住職に就いた無端行弘和尚(53、桑原行弘氏)は祝いの会で「今日の式への皆さんの思いは、私は一生かけて恩返しします」と挨拶した。

検証 東京電力水利権更新問題 「川面からの別世界、ラフテイング事業化に期待」  10月22日号
 今年末、30年の期限切れとなる千曲川(信濃川)の東京電力西大滝ダム(信濃川発電所=津南町三箇)発電取水の水利権。東電は今月7日、その更新許可申請を「社内準備が整った」と国道交通省北陸地方整備局に提出した。提出期限の来月末を待たず、早々に事を進めた。許可申請の最大取水量は従来通り毎秒171・133d、維持流量は「毎秒20d」、許可期間は「20年」。東電は「10年間協議している中流域協議会の提言を尊重した」と20dの根拠を語る。だがこの30年間、河川法で劇的な変化があった。1997年、従来の発電取水優先の河川法か改正され、「治水」「利水」に加え『河川環境の整備と保全』が同等位置づけられた。今回東電が示した20d、これで河川環境がどう変るのか、65年ぶりに長野・上田市まで遡上したサケの生態系への影響はどうかなど、東電はその検証方針を示していない。「川は一企業のものではない」と話す東電幹部。その言葉をどう実現するか、東電の河川環境への取り組み姿勢が問われる。「川はよみがえるか」、3回に渡りレポートする。(敬称略)


 子どもの頃から身近にある信濃川。中学校の窓を開けると、すぐ下に川があった。千曲川が信濃川と名を変える県境の地で育った八重沢千晶(22)。今月16日、ラフティング初挑戦。初めて川面から生まれ育った地を見上げた。「川から見る風景は全くの別世界、感動しました。改めて自然の豊かさを実感したし、川の魅力にはまっちゃいました。ぜひまた乗りたい」。栄村の仲間たちと約10`、2時間半、川を下った。水量不足で浅瀬に乗り上げ、ボートを皆で押し、両岸の2百b以上の絶壁に歓声を上げた。初体験で、新たな観光事業への確かな期待を感じた。
 「ええとこ探し」など地域の再発見、さらに「あるがままの暮らし」を提供する『むらたび』など、独自の地域活動に取り組むNPO法人栄村ネットワーク。村内外の多用なメンバーが知恵を出し、汗を出す。
今夏8月23日、初めてラフティングを実施。村内箕作の百合居橋から県境を越え、津南町上郷まで約10`。2回目を今月16日実施。村スポーツ活動を引っ張る樋口武夫(59)は2回とも乗った。「実際に乗った者でないと分からない魅力がある。隣の群馬みなかみ町では奥利根川でラフティングし年間10万人来ている。移住者も増え、大きな効果が出ている」。千曲川は西大滝ダム取水の影響で水不足だ。「20d流すというがその倍以上ほしい。20dで河川環境がどう変るのか、その検証が必要だ。20年間もこのままじゃ困る」。村議でもある樋口。近くラフティング倶楽部(仮称)を立ち上げ、村スポーツの一つに位置づける方針だ。

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 5年前、実家の民宿業に入った飯山市戸狩温泉の庚敏久(35)。カヌーやボードなどアウトドア活動の経験豊富。各種インストラクター資格を持つ。民宿と共に千曲川でのラフテイング事業化を進める。すでに数十回、川を下る。栄村ネットワークの活動に協力、毎回ボートを出す。
 この10`の流域環境に驚く。「日本でも有数のコース。川から家が見えない、両側から絶壁が迫り、川の蛇行、緩急の流れなどダイナミックだ。こんな最適な場所は国内にそうはない」。すっかり惚れこんでいる。
 流域の津南、群馬みなかみ町、草津町など活動グループの「千曲川信濃川親水協議会」を作り、河川利用の立場から河川環境のあり方を問う。庚はJR東宮中ダム不正取水問題での地元協議会委員に選ばれ、河川利用の立場から意見した。
 「JR東は、あの問題以降、ダム放流量をリアルタイムで知らせている。東電の西大滝ダムも河川利用の立場から、ぜひその時の放流量を知らせてほしい」。川は一企業のものではない。川利用の安全性からも、ダム放流責任が問われる。

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東京電力は2001年から、中流域協議会提言を受け季節変動の7段階(毎秒0・26d〜19・71d)試験放流を開始。サケ遡上期の10月1日〜11月10日が最大放流。01年以前は魚道放流の0・26dだけ。時には「全く流れなかったこともあった」(東電)。営々と続いた慢性的な渇水。河川環境が壊滅的な影響を受けた。許可者の国土交通省(当時建設省)は1997年、河川法改正。治水、利水に「河川環境の整備と保全」を加えた。この劇的な改正を、今回の許可申請で東電はどう考え、通常20d放流後の河川環境の変化をどう検証するのか、その姿勢が見えない。

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 「一つの川のラフティングルートで、途中で川の名が変るルートなど国内にはない。この県境の川が、また大きな魅力だ」。流域の川を知り尽くす庚敏久は、事業化への自信を持つ。16日、栄村役場近くの塩尻地区で水量不足のためボート底がつかえ、皆で下りて押した。「最低でも水深は1b必要。この約2時間半のコースが全国に知られたら、相当数の人が来るだろう。それだけの魅力がある。川は一企業の持ち物ではない」。
 一緒に乗ったメンバーに村議4人がいた。「事業化に結び付けたい。若者定住につながる」。さっそく「栄村ラフティング倶楽部」(仮称)の創設に動き始めた。

日本海から230キロ、上田市でサケ捕獲、65年ぶり  10月22日号
 ◎…日本海から230`、信濃川の上流、長野県上田市の千曲川で鮭は捕獲された。20日早朝、同市上田大橋の下流に仕掛けられた「ヤナ場」にサケがいた。ヤナ漁をしている地元の中山泉さん(67)が見つけた。地元の上小漁業協同組合がサケを確認し、実に65年ぶりのサケ捕獲という。サケはすでに死んでおり、タメスで体長60a、約1・6`、地元の水産総合研究センターの鑑定によると、3年魚ですでに産卵を終えていたという。


 ◎…昭和24年創立の同組合の春原昌明組合長は「サケ捕獲の記録がなく、古老の話から65年ぶりと聞いた。西大滝ダムができる前は、結構採れたようで、捕獲網などが残っている」と驚いている。さらに「西大滝ダムと宮中ダムの魚道をこの間、漁協役員で見てきた。あれでは遡上は難しいのでは。よく、上田まできたと思う。我々もダム魚道の改善を関心を持ってみている」と話している。一方、魚道改善を強く求める中魚漁協の長谷川組合長は「毎年いくらか遡上しているはず。実際に確認されたことはビッグニュースだ。今後さらに西大滝ダム魚道の改善と放流量の確保に関心が集まる」と見ている。21日現在、宮中ダムでは77匹、西大滝ダムで4匹のサケ遡上を確認している。
 

 ◎…流域の河川環境の改善を求め、サケ遡上などを観察する新潟水辺の会・加藤功事務局長は「西大滝ダムの閉じられた排水口付近でうろうろする鮭が見られる。魚道の放流量0・26dが少なく、魚道入口が分からないようだ。魚道の構造の改善と共に早急な対応が必要」と話し、水利権更新20年間を問題視し、5年程度の試験期間を求めている。

にほんの里100選の4地区が交流、連携活動を  10月22日号
 にほんの里百選の栄村など長野県内4地区が一堂に集まり、活動課題など意見を交わす交流会を16日、栄村で開き、県南の遠山郷・下栗、下伊那郡根羽村、上水内郡小川村が集い、認定後の様子など語り合った。
 同百選(朝日新聞社と森林文化協会主催)は昨年、映画監督の山田洋次氏が選考委員長で全国2千余の候補から選出。長野県は全国最多の4地区。新潟県は松之山、松代地区が選ばれた。
 

 昨年の下栗開催に次ぎ2回目。合併せず『ネバーギブアップ宣言』で知られる根羽村は、3セク物産館「ネバーランド」を拠点の活動や地域ブランドの根羽杉供給、さらに愛知・安城市へ流れる矢作川流域の上流下流の交流、信州大や名古屋大との大学連携の活動を紹介。同村の大久保憲一振興課長は「考えられるあらゆる関係先と連携し、オンリーワンの地域づくりを進めている」と活動紹介。
 

 合併論議が尾を引く小川村の久田文一総務課長は「先の村長選結果も小差。合併論議が残っている。全国美しい村連盟に加盟しているが、高齢化で継続が難しい」など課題。同村は「おやき」で知られ、10億円産業に育っている。だが「食文化の違いが出て伸び悩んでおり、次の開発を進めている」など課題を話した。
 

 一方、合併で飯田市に入った南アルプス山麓の下栗地区。急斜面に50戸が点在、人口115人。だが自治会、里の会、生活改善グループなど活動は活発。前島道広区長は「高齢化率60%以上で、無理をしないが基本。合言葉は、生涯現役集落」と話す。日本百名山の深田久弥が『下栗ほど美しく平和な山村を私はほかに知らない』と絶賛した。農家民泊を行い、農業応援隊、地域の歴史文化語り部活動などに取り組む。
 

 地元栄村は、NPO栄村ネットワークが独自の取り組みを紹介。「栄村の日常をそのまま体験する・むらたび」の取り組みや大企業のCSR活動(企業の社会的責任)を受け入れ「企業の山村CSRプロジェクト」計画を話し、「栄村にはむららしい暮らしが残っている。これを都会の人たちから、さまざまな形で体験してもらう」と独自ブランド『むらたび』を発信していく方針を話した。同交流は来年根羽村で行い、さらに連携事業など模索する方針だ。

榮太鼓10周年、記念演奏会  10月22日号
 ☆…ドドドーン、ドーンと勇壮な和太鼓の競演がホールに響いた―。栄村の「榮太鼓」(倉科祐子代表、10人)10周年記念演奏会が16日、同村文化会館かたくりホールで開かれ、東京や松本市からのゲストも招き、和太鼓の迫力ある音をたっぷりと会場に轟かせた。ホールには親子連れなど2百人余りが参集、熱気ある公演に「すばらしい」と大きな声援をおくっていた。
 

 ☆…榮太鼓は、東京・神田明神将門太鼓の兄弟太鼓として交流を深め、今年で10年。地元小中学生の太鼓グループ「栄ふるさと太鼓」の指導にも当たり、平成11年には初の海外公演・サンフランシスコでの「北カリフォルニア桜まつり」への出演など、太鼓を通した青少年活動にも取り組む。
 

 ☆…演奏会にはゲストとして保谷和太鼓会(西東京市)と鼓龍会虚空蔵太鼓(松本市)の2団体を招待。榮太鼓は「秋山郷こだま」と「野々海太鼓」、また栄ふるさと太鼓との共演で「ふるさと祝い太鼓」を、さらにゲスト団体と一緒に「神田太鼓」を打ち鳴らした。榮太鼓の倉科リーダーは「『ふるさとは近くにありて作るもの』。小さな力が大きな励みになるよう、これからも頑張っていきたい」と話している。

ゴミ処理、広域統一化案が浮上  10月15日号
 行政経費で大きな部分を占めるゴミ収集焼却事業。当地では十日町市エコクリーンセンター(関口芳史市長)と津南地域衛生施設組合(理事長・上村憲司町長)の2つのゴミ焼却施設が稼動している。だが合併後も中里、松之山地域は津南組合に入り、十日町市内のゴミ処理業務は分断されている。十日町市は市内の統一住民サービスをめざし、5年後をメドに中里、松之山両地区を市営センター管轄に編入するため、先月末から今月にかけ、津南組合に入る津南町と栄村に方針説明した。さらに十日町センターは合併特例債の有効期間、平成27年度までに現焼却場の整備改修を行い、処理能力をアップさせる。両焼却施設とも20年の耐用年数が迫る中、広域一本化を視野としたゴミ処理事業の統合が浮上している。

 
 今回の再編計画は当面、ごみ処理(収集・焼却)に限ったもので、両組合で行うし尿処理、火葬事業は含まれていない。
 

 両ゴミ焼却施設は津南組合が平成4年、十日町は同5年建設と、共に20年の耐用年数が迫り更新期を迎える状態だ。
十日町センターと津南組合は共にゴミ袋の有料化を実施している。だが単価が違う。十日町は施設管理費用を袋に上乗せしている。 
津南組合の燃焼ゴミ袋1枚単価は事業所用(45g)14・4円、一般家庭用大7・2円、小4円。一方、十日町センターは大(50g)50円、中30円、小15円、極小10円。3倍以上の開きがある。
 

 先月27日に津南町、今月4日に栄村を十日町市の村山副市長、尾身市民生活部長が訪ね市の方針を説明した。現在の十日町施設は一日16時間稼動で90d(2炉)の処理能力。これを長寿命計画で施設改修し、24時間稼動、98d処理できる焼却施設にする方針。合併特例再を活用し5年以内、平成27年度には整備したい計画だ。
この日量98dは「中里、松之山地域を入れ、なお津南と栄村をカバーできる処理能力となる」(尾身市民生活部)という。さらに「24時間稼動により効率アップし、有害物質が出ない」なとしている。


 一方、津南組合の焼却場は8時間稼動で日量36d(2炉)の処理能力。し尿処理、火葬事業を含む同組合費は年間約3億千5百万円。構成の津南町53%、栄村8・4%、十日町市38・3%(中里25・5%、松之山12・8%)で負担している。今回の編入計画で中里、松之山が抜けた場合、津南町と栄村の負担が倍増し、両町村負担が増し、行政コストアップとなり、組合運営の困難性が懸念される。
 
 共に耐用年数が迫る両ゴミ処理施設。十日町市の呼びかけに、津南町、栄村がどう応えるか。広域一本かを視野に、ゴミ処理の統合計画が浮上している。

東京伝電力が許可申請で説明、「経営的に大きな影響  10月15日号
 今年末に水利権更新を迎える東京電力は、西大滝ダム(飯山市、信濃川発電所=津南町鹿渡新田)の水利権許可申請を7日、北陸地方整備局信濃川河川事務所に提出した。同社信濃川電力所は12日、申請に関する記者会見を開き、黒河内淳副所長は「中流域協議会の提言、毎秒20d以上を踏まえ社内検討し、通年20トン放流を判断し許可申請した」と説明し、「経営的にも大きな影響が受ける」と増放流への理解を求めた。
 

 信濃川発電所は昭和14年運転開始。平成13年まで放流量(維持流量)の規定はなく、増水時以外は魚道放流の毎秒0・26d、それ以下の状態だった。中流域協議会の提言を受け、平成13年から試験放流を開始。サケ遡上期の毎秒19・71dから冬期間の毎秒0・26dまで季節に応じ6段階放流を行っている。
 

 今回の許可申請で東電は当初、試験放流の平均値「毎秒7d」を維持流量として申請する方針だった。そのため平成19年には河川法に基づいた河川調査を行い、「7d」の方向で社内方針を決めた。だが中流域協議会は「毎秒20d以上」を提言。この提言を受ける形で今回の許可申請となった。
 

 会見で黒河内副所長は「地元行政や学識経験者などが入る中流域の調査で試験放流は一定の効果があったとしていたため、試験放流の平均値7dが当社のベースにあった。通年20dは経営的に影響を受けるものだ」と社内的な影響度の大きさを話した。
 一方、中流域提言にあったダム魚道の改善は「西大滝ダム魚道構造検討会」を設置し、これまで2回の検討会を開き協議している。魚道の水深、流量調整ゲートの改良、さらに魚道の直線化など課題が出ており、来月4日、3回目の検討会を飯山市で開く方針だ。


 西大滝ダム信濃川発電所は同社水力発電所では最大規模。年間発電量13億KWHは国内第2位(トップは電源開発・佐久間発電所)、最大出力17万7千KW(一般家庭33万世帯分)など国内有数の水力発電所。発電開始は昭和14年、西大滝ダムから約21`下流の津南町鹿渡新田の信濃川発電所へ直径6・5bの導水管で送水、落差110bで発電し、関東方面と東北電力を通じて新潟県内に供給している。

内モンゴル自治区津南・上村町長らが訪中、交流効果期待  10月15日号
 新たな観光誘客をめざす津南町は今月8日から14日まで上村憲司町長らが中国・内モンゴル自治区を町として初訪問。同行したニュー・グリーンピア津南松崎社長と同区首都フフホト市玉泉区の5つ星ホテル代長が友好交流提携を上村町長ら立会いで調印。今後、同提携を契機に玉泉区やフフホト市との自治体間交流へと発展させたい考えだ。


 内モンゴル自治区(人口約2千3千万人)は、世界的に需要が高まるレアメタル、石油など希少鉱物資源が豊富で、ここ3年間の成長率26%と飛躍的な経済成長を見せている。首都フフトホ市は人口3百万人、玉泉区約30万人。今回の津南町の訪問は、日本海側の交流拠点となる新潟への誘客と共に、雪国・津南町への観光や人的交流などを積極的に進めるため上村町長が直接訪中した。
 現地での調印や具体的な交流は15日午後の記者会見で発表。(次号詳報、写真=訪中前に本社依頼、津南町提供)

サケが帰ってきた、西大滝ダムで4匹確認  10月15日号
 ◎…サケが戻ってきた。長野・飯山市の千曲川(信濃川)東京電力西大滝ダムの魚道で12日午前、2匹のサケを確認。オス1匹(1・8`)を採補、メスと見られるもう1匹は見失った。採補サケは測定後、ダム上流に放した。先月25日からサケ遡上を観察する高水漁協(相澤博文組合長)理事の小田切勝さん(68)は「昨年より20日余り遅い。海水温が高く遡上が遅れている。元気に帰って来てくれた」と嬉しそう。千曲川のサケ捕獲は同ダム建設以来激減。1980年代に「カンバックサーモン」運動で稚魚を放流。2001年から同ダムが試験放流を開始、昨年は数十年ぶりに生きたサケをダム上流で捕獲。今期、下流のJR東・宮中ダムが遡上期に毎秒百d放流し水量が増え、今後のサケ遡上に期待が集まる。高水漁協・相澤組合長は「ダム放流量と共に魚道改善は急務。詳しい検証が必要だ」と改善を求めている。
 

 ◎…西大滝ダムでは昨年から河川環境の改善に取り組むNPO新潟水辺の会がサケ遡上期、魚道に24時間カメラを設置し観察。昨年は26匹確認し2匹を採補、上流へ放流。今期はカメラ2台を設置、サケ遡上の実態を記録し、魚道の構造や水量の関係など検証する方針。同会の加藤功事務局長は「採補のサケはまだ魚体が黒くなく、さらに遡上するサケのようだ。長野県は6年前まで799万匹のサケ稚魚を放流していたが、発電取水口への迷入防止や放流量の見直し、魚道の改善など対応がなかった」と課題を指摘し、「今期は下流の宮中ダムが百d放流し、小千谷の魚野川との合流地点で本流への流れが分かるようになり、例年以上のサケの遡上が期待できる」と話す。
 

 ◎…一方、JR東・宮中ダムでは14日現在、58匹のサケを採補し測定後、上流に放している。70a級の大型も遡上している。同ダム魚道の採補施設(トラップ)はJR東が先月11日に設置。先月中は採補はなかったが、今月に入り多い日は13匹採補するなど、昨年の160匹を上回る遡上となっている。中魚漁協の長谷川克一組合長は「今年6月までの全量放流が河川環境を少し改善し、今の百d放流が効果をあげているようだ。昨年を上回る遡上を期待できる」と話している。

写真=今月12日、西大滝ダムで採捕のサケ。計測後、上流に放流。

首都圏業者11社が十日町・津南を視察、「魅力ある特産多い」  10月15日号
 県内農林水産物の販売促進をめざす「にいがたフード・ブランド」は13、14日、津南・十日町地域で首都圏の卸売業者やホテル、レストラン関係者を招いた「産地見学会」を開いた。11社17人が十日町丸なす「梵天丸」、中里「やわ肌ねぎ」や津南のニンジン集出荷場、雪室など11箇所を視察。生産者から直接話を聞き「こんな食材があるとは知らなかった」と関心を示した。
 

 見学会は3年前から県が仲介。津南は初、十日町視察は2回目。首都圏果物卸売業ハヤシフルーツの営業本部・林博文部長代理(34)は初参加。「津南のアスパラなど扱ったことはあるが、現地を知ると販売時のイメージが違う。雪の多い時期に今度は来てみたい」。セルリアンタワー東急ホテルの仕入れ担当・斉藤寛さんは「新潟にどんな食材があるか知らない。季節で異なる農産物、そして生産者の顔が見えるのは参考になる。今回で参加3回目、雪室はおもしろい」と興味深そう。
 

 首都圏業者と生産地を直接つなぐ同見学会。長岡では伝統野菜かぐらなんばん、梨ナスなどが東京のレストラン使用が決まるなどPR効果が出ているという。県農林水産部・辻川隆規主任は「新潟は米、酒のイメージが強いが他の農水産物は知られていない。まず現場に行き、具体的な食材を食べて知ってもらうことが不可欠」とねらいを話している。

集落懇談で直接対話、栄村・島田村長  10月15日号
 新年度予算編成をひかえ栄村の島田村長は5日から全村対象に集落懇談会を開いている。事前に集約した地元要望への村対応を述べ、直面する行政課題や事業を説明、村政への住民参加を呼びかけている。懇談会は25日まで24会場で開く。
 

 13日は柳在家で開き、来春閉校の東部小校舎の活用意見が出た。「。社会教育施設に活用し、室内ゲートボール場を」。村は「教員住宅など検討中だが具体化していない。中条、志久見の教員住宅は村営住宅にできる」など方針。学校統合では「秋山小は子ども7人、先生9人だが来年5人になる。将来は栄小学校秋山分校になるだろう」と見通しを話した。

 一方で全域で出ているナラ枯れ被害対策。白鳥、平滝地区でも出た。住民は「農道や水路に枯れた木が倒伏する被害が心配」など対策を求めた。島田村長は「倒伏の未然防止を巡回対応しているが被害が全村に広がり対応に苦慮している。地区でできる対応はお願いしたい」と協力を求めた。
 

 懸案の村営スキー場経営も。「毎年多額の村のお金が投入されている。民間委託など考える必要がある」。同村長は「開業後14年が経つ。村繰入約4千万円。うち人件費3千9百万円。35億円で作ったスキー場、借金はすべて終了している」と現状を話したが、今後の方針には言及しなかった。
 青倉では除雪対策や合併浄化槽の月額管理費軽減などが出た。高齢化率44・8%の同村。「雪害救助員は15人と変わらないが、対象世帯が160戸余に増え人手不足の状態。克雪基金を設け対応しているが高齢化が深刻だ」。浄化槽管理料の軽減は「加入者が増えず、それが管理料減額に結びつかない。加入率向上が課題」と島田村長は述べた。

 
 一方、村政報告では、合併特例法が今年3月で切れ3447市町村が1727市町村になり、村は全国で184。財源確保の一つ、過疎法が今年3月で切れたが6年間延長が決まった。新過疎計画を策定し、6年間で40億円規模の事業計画を立案。懸案のTV難視聴対策の全村光ケーブル化(CATV)は、試験放送を開始し、今月15日に全村で受診可能。利用料月額千円(ネット利用は別料金)。特別養護老人ホーム・フランセーズ悠の増床計画で現70床を複数部屋化で90床に。ショート4床を合わせ定員94人。来月中旬完成。複数部屋は利用料が軽減される。野々海水利組合の事務はこれまで有線組合が受けていたが同組合解散後、村が事務を受ける。

松之山温泉で発電、来年11月から稼動へ  10月15日号
 松之山温泉を活用し、全国初となる「温泉熱発電(バイナリー発電)」の平成24年実現に向けた現地検討委員会(委員長・周藤賢治新潟大名誉教授、11人)が7日、松之山支所で開かれ、温泉発電システムの概要や事業実施計画が示された。実証試験は来年11月から1年余り行い、その間、環境モニタリングなど行いながら本格稼働させたい方針。松之山地域温泉委員会の柳靖治会長は「これからは電気自動車の時代。温泉を活用したエコ百%のエネルギーで電気自動車を充電できる松之山温泉です、とアピールできるようにしたい」と期待している。
 

 環境省事業として今年から3年計画で進める。事業主体は「地熱技術開発株式会社」と「独立行政法人・産業技術総合研究所」が合同で取り組み、松之山温泉の新温泉(97・5度)を使い、独自システムで発電化する。一般的には沸騰点百度以上の高温泉の蒸気などを活用した地熱発電だが、今回のように沸点以下での発電は全国で初めて。
 

 発電所の設置場所は、温泉街から1`余り離れた源泉のわき。地下約千百bから湧き出る温泉の熱源を利用し、タービンなどを納めた建屋で最大出力50万`hの小規模な発電を行う。実用性が確認されれば、設備は地元に無償譲渡される。
 温泉は発電に利用された後、50度ほどにまで下がるため、旅館などでこれまで温度を下げることに苦慮していた問題が解決され浴用として利用できる。
 松之山温泉合同会社「まんま」の柳一成代表は「非常に注目している事業。成功してもらいたいし、湯量に悪影響しないかよく調査してほしい」と話している。
 

東京電力、水利権更新許可を申請、流域から「唐突だ」の声  10月8日号
 水利権更新を今年末に迎える東京電力・西大滝ダム(信濃川発電所=津南町鹿渡新田)は7日、国土交通省北陸地方整備局・信濃川河川事務所に「最大取水量171・133d、維持流量毎秒20d」とする更新申請した。申請期間は平成42年までの20年間。提出期限は11月末で、50日以上前の申請となり、流域の中魚沼漁協では「余りにも一方的なやり方。地元との話し合いを河川法は明記している。順序が逆だ」と東電の申請を憤慨している。


 東京電力は7日午後1時、長岡市にある同河川事務所に東電信濃川電力所・近藤世紀管財グループマネージャーが申請所を提出。申請内容は、信濃川中流域水環境改善検討委員会の提言に添う形で維持流量「毎秒20d」。30年前の水利権取得時は、「放流量は定められていなかった」(東電)であり、中流域の提言に基づき平成13年7月から現在の冬期間の毎秒0・26dから鮭遡上期の毎秒19・71dの流動的な放流を実施している。13年以前は通年0・26dでこれ以下の場合もあった。
 

 11月の提出期限まで50日以上前に申請した東電では、「社内的な申請の準備が整い、今日(7日)の申請提出となった。中流域の提言に添う形であり、今後、地元理解を得ていきたい」(地域企画グループ)と話している。
 

 7日の申請提出は午後2時前に流域の関係5市町村(飯山市、野沢温泉村、栄村、津南町、十日町市)と関係漁協(中魚沼漁協、高水漁協)に同電力所から電話連絡が入った。中魚漁協・長谷川克一組合長は「余りにも一方的だ。先月の説明は、ただ説明しただけ。地元との話し合いを河川法は述べている。話し合い後に申請するべきで、順序が逆だ。今後、漁協と東電との間で何かが起きた場合、すべて東電の責任である」と東電の突然の更新申請の提出に憤慨している。
 

 一方、流域の津南町・上村町長は「唐突かどうかは判断が分かれるが、県知事が地元自治体へ意見を聞くことを前提に話すならば、申請を早く出したことで地元として、その示された数字がどうか検討、検証する時間を多く持てる。しっかり対応したい」と話している。先月14日の津南町への説明では「10月中に申請する」と話していたという。
 
 今後の手続きは、申請内容を北陸地方整備局が審査し、許可に値する場合、産業経済省が地元知事(新潟県、長野県)に意見聴取。知事は必要に応じて地元市町村へ意見を聞く。この地元意見が更新申請の最大のポイントとなる。
 
写真=更新で注目される放流量。東電は通年毎秒20dで申請した(昨年8月撮影)

品質低下、減収など農家を打撃、津南が緊急融資、県内初  10月8日号
 価格低下や猛暑による減収など米生産農家を救済するため津南町とJA津南町は5日、緊急特別融資を実施することを決めた。今期の不作に対しJA単独融資は例があるが、農家救済に行政が乗り出すのは県初。町やJA津南では農家借入1億円を想定し、1俵(60`)あたり3千円の低利貸付を行い、7日から受付けている。
 同緊急融資の対象は津南の米農家約千4百戸(約千3百f)。金利は町が1%利子補給し、同農協も助成し、通常2・65%をJA出荷農家0・5%、JA以外0・9%。返済3年以内。貸付金1億円を想定し、町は利子補給分3百万円を予算化する方針だ。
 

 同農協の今期の出荷予約は4380d。7日現在、出荷率48%に対し、1等米60%と低調。例年、同時期は9割以上の1等米比率で、今期の米農家の減収は町全体で3億5千万円余りが見込まれている。今回の緊急融資を決めた上村憲司町長は「消費、収量、等級減のトリプルパンチを農家は受けている。JAと協議しさらに対応を考えたい」と話している。


 米の消費減少、生産者価格引下げ、1等米比率低下とトリプルパンチの今期の米生産農家。猛暑の影響が比較的すくなかったと見られる標高550bの津南町太田新田。1・5f余を作る藤ノ木繁幸さん(63)。「いつもは1反(10e)9俵採れるが今年はよくて8俵。肥料や機械の値段も上がり、魚沼コシの値も下がり、厳しいな」。 

 大規模に経営する農業法人はさらに厳しい。約26fの耕作する農事組合法人グリーンアース津南(桑原健太郎代表)。「猛暑で籾が厚く、粒が小さい。過去最悪の2等米比率。収穫量も落ち、減収は避けられない」。


 農家現場から悲痛な声が上がっている。緊急融資を決めたJA津南町・瀧澤勝組合長は、最悪の米収穫状況を話す。「標高が低い田では1等比率が3割を切る所もあり、これほどの品質低下は初めて。農家収入は10eあたり3万5千円ほど減り、津南全体で約3億5千万円減収となるだろう」と厳しい状況を話す。今後、山間高地の出荷により最終的には1等60%を超えると見ている。
一方、今年産米仮渡金は魚沼コシヒカリ1俵(60`)一等1万6千5百円(前年1万8千7百円)、2等1万5千円と共に昨年比2200円減。この減収だけで町全体で2億円を越える減収となり、今回の不作、品質低下を含むと5億円を越える減収となり、地域経済への影響が懸念される。

NGP津南、全社体制で経営努力、資本金減資、2千万円増資、執行役員体制に  10月8日号
 津南町有施設のニュー・グリーンピア津南を経営する株式会社津南高原開発(松崎和秋社長)は6日、役員会を開き、資本金の減資を行うと共に取締役を増員し、従業員の執行役員体制を決めるなど、新たな経営体制を整えた。さらに年内を期限に増資を募る方針で、取引業者対象の説明会を月内にも開く。初代社長死去による資産譲渡で全株を受けた従業員持株会は、毎月自主的な積立を行い、増資に協力している。松崎社長は「持株により自分たちの会社という自覚が醸成されることて業績アップにつながるはず」と期待感を寄せている。
 

 役員会では、株譲渡時点での評価ゼロを受けて、これまでの資本金9950万円を995万円に減資。さらに年内に2千万円の増資(額面2千円1万株)を計画。新たに就任した役員や取引業者などを対象に募り、個人5百株(百万円)を限度とする。取引業者大正の増資説明会を今月末に予定している。
 

 新役員体制は、これまでの取締役5人を4人増員し9人体制にした。さらに部門ごとの社員4人が執行役員に就任。東京など関東圏エリアでの営業拠点として「首都圏統括本部」を設置。新役員には前町長、小林三喜男氏が入っている。
 津南高原開発と関係深い福祉施設を運営する医療福祉財団・光善会は、同財団10周年事業として、NGP津南の敷地内に老人福祉施設建設を計画している。構想では6年後から着手したい方針で、新潟県福祉計画との関係など検討を始めている。
 

 今回の新体制について松崎社長は、「この建物は開業後、25年を経ている。修繕など経費を要す。増資は経営安定への資金となるが、従業員持株による全社あげての業績アップへの契機としたい」と語る。今期はこれまでの営業努力で黒字基調を推移しており、「社員の努力によるもの。さらに首都圏地域での認知が広がり、東京都はじめ埼玉、神奈川、千葉などで指定保養施設を受け、津南が浸透してきている」など都市部での知名度アップ、さらにマスコミでの扱いが増えている点などを好調要因としている。
 今月23日には待望の地元特産直売所がオープンし、赤澤神楽で使った神楽舞台も敷地内に登場するなど、「地元との連携」を全面に打ち出している。
 

新役員体制は次の通り。
▼代表取締役・松崎和秋▼取締役・高橋政徳、小林三喜男、島田敬子、立見丞子、樋口明(専務・総支配人)、石橋昌子(常務・副総支配人)、池田徹(事務本部長)、兼田ひとみ(首都圏統括本部長)▼監査役・高原秀年▼顧問・大津司、磯部悌治(社長室相談役)▼執行役員・長津一郎(東日本本部長)、南雲昌之(行事式典本部長)、福原正秀(施設本部長)、石橋正光(首都圏センター本部長)

教育現場に絵手紙、心の教育に、栄村で全国大会  10月8日号
 全国からの絵手紙8百万通を保管し、後世に伝えるタイムカプセル館を設置する「絵手紙のむら栄村」で28、29日、学校現場で絵手紙と取り入れ、心の教育などに活用している実践校の担当教諭などを招いた「がっこう絵手紙研究全国大会」が開かれ、関係者80人余が参加。同村で絵手紙活動を取り入れる北信、東部の両小学生が参加しての公開研究授業も行い、参加した教諭からは「伝えたい気持ち、感じる気持ちから出てくる線や絵は、しっかり相手に伝わるんですね」などの感想が聞かれた。

  
 絵手紙の全国組織「日本絵手紙協会」主催で初めて開いた同全国大会。絵手紙活動で全国に知られる栄村国際絵手紙タイムカプセル館(滝沢英夫館長)が共催で開いた。学校現場に取り入れる東京・新宿区立東戸山小の前教諭・村井安成さんが「学校における絵手紙実践の効用」をテーマに講演し、日本絵手紙協会公認講師・松尾ちゑ子さんが「がっこう絵手紙の今日をさぐる」などについて全国事例などを紹介し、絵手紙による教育効果などを話した。この中で松尾さんは「身内同士の殺人や子どもの犯罪など、心を痛める事件が多く起こる時代あり、絵手紙は必ずや心の栄養となり、子たちのすこやかな成長に寄与するはず」と話した。
 

 村内の北信、東部の5、6年生48人が参加した公開絵手紙授業は、さかえ倶楽部スキー場レストランで行い、同協会公認講師の山田みちよさんが、ハガキに一文字を書く事から始め、次に「新・栄小学校へのおもい」をテーマに自分の宛名を書いたハガキに描いた。この作品はタイムカプセル館で預かり、1年後に各自に届くことになる。
 

 参加した教諭からは、次々と絵手紙教育への感想が聞かれた。長野・佐久市平根小の福島明美教諭は「
パソコンの普及で字や絵も機械で描くことが多く、個性がなくなっている。思うままに絵を描き、ひと言添える絵手紙、ぜひ子どもたちに伝えたい」、さらに新潟・南魚沼市六日町小の上村泰子教諭は「上手、下手を評価しがちな自分を反省しました。学級づくりや道徳、総合の中で絵手紙を活かしたいです」など絵手紙効果を感じていた。
 写真=全国大会で地元小学生が参加し公開授業も行った。

親子三代、菓子職人 創業50年の「松屋」  10月8日号
 「貧しくても一生懸命取り組むこと、それが長続きする」。福原松治さん(78)、サダさん夫婦が始めた菓子店。苦楽を共にした歩みは、そのまま創業50年「松屋」の歴史だ。今月3日、ニュー・グリーンピア津南で開いた記念式。昨年1月、長男・昇さん(51)が社長に就き、孫の歩さん(26)が帰り職人の道へ。親子3代、菓子職人。会長ながら現役で毎朝2時半に起きる銀白髪の松冶さん、記念式でいつもの笑顔を見せた。

  
 戦災の焼け跡が残る東京。昭和25年、18歳の松治さんは上野駅に降り立った。紹介された東京の菓子店で働く。食糧事情が上向き、「これからはパンの時代だ」と食生活の変化の風を感じ、働きながら、専門学校への学費を貯めた。3年後、念願叶いパンの専門学校へ入り、基礎からパン作り技術を習得。指導の先生に見込まれ大手パン会社へ就職、さらに経験を重ねる。
 「親父から、帰って来いと連絡が来たんですよ」。菓子店などで修行、昭和33年、知人の紹介で松之山生まれのサダさんと結婚。26歳。同時に松之山温泉街に自分の名とマイホームへの思いを合わせ小さな菓子店「松家」を開店。夜中に菓子を作り、昼間は行商。寝食を惜しんで働く。


 転機が来た。昭和35年、津南町の中央部に空家が見つかり移転。同時に「松屋」に改称。店3坪、仕事場10坪、2階に前年生まれた長男と3人で暮す。パン作りは朝が早い。「真冬、子をおぶって、裸足で家を飛び出したこともありますよ」、サダさんは思い出す。職人の厳しさは、家族にも容赦しない。東京時代、働きながら身につけたパン作りの技術が、次第に「松屋のパン」を作りあげた。
読書家の松冶さん。松下幸之助、稲盛和夫の自伝で経営哲学を学ぶ。『従業員の幸せ。お客様を第一に』を信条に。昭和44年法人化、同時に「退職後のために」と地域でいち早く全社員の社会保険加入を行った。


 午前2時半が一日の始まり。パン作りに精を出す父の背を見て育った昇さん。「特別な言葉はなかったですが、先に先にと修行先を決めるなど、父は自分のイメージがあったのでしょう」。洋菓子、和菓子、パンの全般を経験。支えるパートナーは高校時代に知り合った清美さん。支えが大きな自信となった。
 息子3人。父と同じように多くを語らない。長男・歩さんは大学で4年間経営を学び、和菓子の専門学校へ2年。卒業後、松屋へ。「継ぐのかな、という感じでしたが、学生時代、すごいお菓子に出会い、お菓子で初めて感動した。本物になりたいと思い、それからこの道です」。店に入り3年目。和菓子担当。会長や社長のチェックを受ける。


 創業50年の記念式。社長の昇さんは緊張ぎみながら、噛み締めるように挨拶した。「50年継続できたからといって、おごれる気持ちになれば、この先10年はおろか一歩も前に進むことはできません。力のない私がバトンを受け継いだ今、皆様、松屋サポーターの一層のご支援をお願いします」。向上心にあふれる従業員20人と共に、新たな歩みを誓った。
 

 全国から注文が入るヒット商品「山ぶどう羊羹」。2度の全国表彰。「どこにでもあるものでは、勝負にならない」。強い思いで開発に成功、看板商品に育った。
 親子3代、菓子職人。今年ダイヤモンド婚を迎えた夫婦の思いを、「松屋のれん」はつないでいる。

写真=10月3日の50周年式典で挨拶する社長の昇さん

女性グループ「つなん火焔太鼓」始動  10月8日号
 ○…「つなん火焔太鼓」の初披露をめざし、本格的な練習が始まった。先月25、26日にはプロの太鼓奏者で、河岸段丘花火などで津南と親交が深い林幹さんを指導に招き、町文化センターで講習会を開いた。両日とも女性を中心に10人余りが参加。「難しいけど演奏会をめざして頑張ります」と張り切っている。
 

 ○…練習会では、この日のために参加女性らが作った太鼓など用意。林さんは「何事も基本が大事。腕を振り上げるときはバチを手から放す感じで。打つ瞬間に握ろう」などと話しながら叩き方のイロハを指導した。40代の参加女性は「すごい運動になり、いい汗をかきますね。難しい部分もあるけど発表会ができるよう練習していきたいです」と意欲を語っていた。

インタビュー 夢実現、中国・成都パンダ基地勤務の阿部展子さん(津南出身)、新たね夢実現へ 10月1日号
 「帰国の直前まで、マカオに行く2歳(人間では10歳位)の亜成年パンダ2頭の専任担当をしていました。呼ぶと、あのころころの体で嬉しそうに来ます。目が合うと笑うんですよ」。  
来年、東京・上野動物園にパンダがやって来る。成都基地での経験を生かし、専門職の採用試験を受けるために帰国。上野に来るパンダは成都基地ではなく、臥龍基地からの5歳くらいのペア。その飼育担当を希望し今月、上野動物園など4施設を経営する財団法人東京都動物園協会の採用試験を受ける。もちろん希望はパンダの専任担当だ。
   

 小さい頃からパンダが好きだった。中津小6年の修学旅行。上野動物園で夢にまで見たパンダに、ついに出会った。「好き」が「興味」に変った瞬間。『いつもパンダのそばにいたい』。
 パンダに近づく努力が始まった。十日町高卒後、中国留学制度がある杏林大学外国語学部に進み、中国語を専攻。大学でも出会いがあった。4年間、中国語を指導した張志強教授。「最初の授業で、中国語は面白い、と感じました。先生のおかげです」。3年の時、大学推薦の留学生に選ばれ、河北大に1年間留学。大学卒業後、さらに語学勉強のため独自で四川大に短期留学。パンダ基地を見学するなどして、一歩ずつパンダに近づいた。
 
 だが、「もっと専門的な勉強が必要」と、難関の獣医育成の四川農業大学に自力で入学。基地での実習などを重ね、語学力をさらに磨き、4年制を学業優秀のため3年で卒業。卒業式では本科生で初の外国人卒業生として優秀表彰。そのまま学生ビザで成都基地で働く。

 基地では、飼育担当の一方、日本からの役所視察団の通訳や世界に発信するホームページの日本語版も担当した。成都基地の上司である侯蓉研究室長からは『私が会った外国人で、中国語の上手さは展子が一番だ』と太鼓判を押された。


 パンダは国際保護動物で中国の「国宝」。成都基地はパンダほか中国の絶滅危惧種の保護・繁殖に取り組む施設。同基地には世界各地に貸し出すパンダを含め約90頭がいて、職員2百人、飼育員は40人余り。中国人職員のなか唯一の日本人として、獣医養成の四川農大で学んだ専門分野を成都基地でさらに深め、経験と実績を積んだ。
 
 「飼育員は基地からパンダがいる世界各地に派遣され、パンダの生活を支援しています。上野にパンダを来ることを知り、私に出来ることがあればと希望しています。できればパンダを通じて、中国との橋渡しができればと思います」。

 成都では飼育全般を学んだが、「発情期や出産、育児などもっと深く勉強し、経験したいと思っています。パンダのそばにいたい、その思いは変わりません」。成都を発つ時、『また来ます』と手を振った。上野での勤務が決まれば、専門職とした中国との行き来など交流の機会が増える。


 2年近くパンダのそばにいて、さらに思いが強まっている。「成都基地では、飼育から野生帰化に取り組んでいます。そのトレーニングも始まり、とても興味深いプロジェクトです。私が役立てるなら、いつか力になりたいです」。
 
 今月から東京暮らし。上野動物園で働きながら東京都動物園協会の採用試験を受ける。小学6年の時の夢が、新たなステージで、また実現しようとしている。

写真・津南町前倉に帰国した阿部展子さん(9月28日)

東京電力水利権更新問題、NPO栄村ネットワークが勉強会を呼びかけ  10月1日号
 今年末に水利権更新を迎える東京電力・西大滝ダム(信濃川発電所=津南町鹿渡新田)の直下流域、栄村の住民グループが更新に関係する勉強会をスタートした。28日夜、村内集会所に集まり、国が定める水利権内容、西大滝ダムの概要、下流約20`へ導水管で送り発電する信濃川発電所の規模など集めた資料で意見交換した。「70年以上、この川の状態が当たり前になっている中、流域住民として今の水無し川をどう考えるか、ここが基本ではないか」など、かつて鮭漁など川と人の暮らしが営まれていた時代の証言などを集め、今の信濃川(千曲川)の実態を検証し、河川環境のあり方を考える方針だ。
 

 この住民グループは、栄村再発見「ええとこ探し」や村特産品の直売交流、さらにオリジナル企画「むらたび」などに取り組み、メンバーは村内外で構成。勉強会では、信濃川発電所が1939年に発電開始し、一般水力発電の累計総発電力量で国内トップ、さらに年間発電力量では電源開発・佐久間発電所に次ぐ国内第2位など基礎資料を確認。特に西大滝ダムから下流の津南町鹿渡新田の信濃川発電所まで約19・6`の導水管で水を送り、同区間約20`が慢性的な渇水状態にあるなど再確認した。
 

 一方、水利権関係では97年(平成9年)の河川法改正で新たに「河川環境の整備と保全」が加わり、「地域の意見を反映した河川環境の計画制度の導入」が入り、従来の治水・利水だけの水利権ではないなど法的な裏付けも理解した。
 
 参加者からは、「かつては川でよく遊んだ。今は誰も川に近づかない。本来の川の姿ではない」、「水利権更新の直前になっての地元説明はあまりにも急だ。東京電力はもっと情報公開すべきだ」、さらに「ラフティングなど川と親しむ活動が始まっている。流域住民や活動グループなど一堂に会し、意見を交わす場が必要では」、一方で「住民の関心は薄い。だがこのままで良いとは誰も思っていない」など多用な意見が出た。
 同グループでは来月20日、東京電力信濃川電力所と懇談会を開く計画だ。

新十日町病院の早期建設を知事要望、だが「公設民営」「県立民営」どう違うのか   10月b1日号
 県立十日町病院の中核病院化に伴う改築問題で、地元十日町市の関口市長は29日、市議会や市民説明会などで合意を得た建設場所について泉田知事に「建設地は現在地。運営主体選定などの手続きを進め、早期改築を」と要望書を提出。知事は「長い経緯の中で地域コンセンサスができ、それをまとめた要望書、大変重みがある。十日町病院の改築に向けスピードを上げ取り組みたい。まだ課題はあると思うが、引き続き協力関係を持ち、結果が出せるよう県としても頑張っていきたい」と述べた。
 

 要望書提出には村松、尾身両県議と県病院局・江口孝雄局長が同席。関口市長は建設場所決定までの経過を述べると共に付帯事項6項目にも触れ、「周辺の整備、特に駐車場確保や渋滞緩和、市道整備など市が相当な覚悟で向う必要がある。知事から建設場所はここで良いと認めていただく中で次のステップに向け頑張りたい」と市の姿勢を示した。
 
 これに対し知事は「地域の医療は病院を一つ作れば良いものではなく、地域全体での医療体系の構築が重要。ここでも住民の合意、医療機関の合意が重要であり、この辺の調整を一生懸命進め、早く結果が出るようにしていきたい」と県の基本的な姿勢を示した。


 建設場所決定を受け、知事に早期改築を求めた関口市長。だが、この日の知事要望で前田口市長時代からその認識が不明確な「公設民営」と「県立民営」をめぐり困惑する場面があった。要望会の終わりで尾身県議が「県立病院ですから…」と言うと、知事は言葉を遮るように「公設民営です」、再び尾身県議が「県立病院…」と言うと知事は「公設です」と繰り返した。
 
 この「公設民営」と「県立民営」。何が違うのか。要望後、関口市長は、知事発言について「知事が確認されたのは、どういう意味なのかという事をしっかり考えたい」と困惑気味ながら、「色々な選択があると言う事なのか。組合立など色々な可能性がある事を我々に示したのではないか。基本的には県立という事と私は考えている。民営という知事方針、それは理解している。運営主体は県が決めることである」と話した。
 
 一方、言葉を遮られた尾身県議は「知事は公設という言葉に拘りがあるようだ。公設民営、県立民営、この違い、知事の考えが分からず病院局も分からないと言っている。公設とは県立以外に考えられない」と話す。
 
 同席した村松県議は、ちょっと視点が違う。「最初から公設民営と言っていますよ、という事で、なぜこの場に来ても県立というのか、と知事は言いたいのでは。新十日町病院は県が建てることは分かりきっていること。ただ、いつまでも県が付きまとうことではなく、民営部分の良さを生かし、責任を持ち自由に病院運営をやってほしいと言う事を言いたかったのではないか」と受けとめている。
 
 知事発言に振り回される地元だが、新病院をどう描くか、青写真を作り、県をリードする積極性が地元自治体に求められる。

校区に再び子たちの声が、閉校後の三箇地区、交流で新たな芽が  10月1日号
 閉校から半年。津南町三箇地区で今春から新たな交流が始まっている。神奈川の横浜国立大付属鎌倉小学校が「生きる力」の体験の場に閉校校舎を使っている。先月23日から26日、春に植えた稲刈りを行った。今回初めて地元の子たちと交流。自己紹介後、さっそく名前を呼び合いながらグラウンドなどで遊んだ。稲刈りには地元民も「先生役」で加わり、「何にも知らねぇんだなぁ」と苦笑しながらも、嬉しそうにアドバイス。三箇小学校がなくなった寂しさから、再び子たちの声が校区に響き、新たなわくわく感が芽生えている。

 
 鎌倉小の三箇体験は、すべて子たちの自主性に委ねている。使う校舎すべての清掃、石組みかまどで炊飯、食べ物の確保、地元の人たちへの声掛けなど、引率の先生は子たちの後にいる。今回は5年40人が来校。春植えた稲刈り。途中の草取りや生育観察を含めると来校5度目の子もいる。
 毎回、課題がある。今回の合宿は『地元と関わる』。稲刈りには地元民7人も参加。稲刈り鎌の使い方、稲の結び方、はぜ掛けなど体験。地元の60代男性は「都会の子は農業を何にも知らないから、教えるのが大変だよ」と苦笑しながら、嬉しそうに手取り足取り指導。 草取りにも来た朝日出隆也君は「稲の結び方なんて適当と思っていたけど、はぜ掛けで始めて結び方に理由があると分かった。このお米、ぜったい食べたい」と目を輝かせ、田んぼでのはぜ掛けに挑戦していた。
 
   
 閉校した校舎を見ながら津南小に通う地元の子たち。25日は久々に「母校」で遊んだ。6人が参加し、鎌倉小の子たちと一緒に夕食のカレー作り。最初は緊張ぎみだったが、すぐに互いの学校生活や部活の話などで会話が弾む。今は津南小4年の原来夏さん。「都会の子もこっちの子とあんまり変わらない。友だちになれて良かった」と嬉しそう。鎌倉小の大八木宥妃さんは「津南の子と話していて、みんなとても優しいと思った。もっと遊びたい」と笑顔。学校という枠を越え、


 子たちの新たな出会いと交流が始まっている。この交流、地域を巻き込み、三箇地区の新たな地域づくり活動の芽にも育っている。
 来月6、7日、三箇地区民らは鎌倉小の文化祭に駆けつけるつもりだ。地元世話役の恩田稔さん(58)は「三箇はどんな所かと、保護者も関心を抱いているようだ。ならば出向いて行くのが一番。鎌倉でさらに交流を広めてきたい」と積極的だ。文化祭で新米おにぎりや郷土食を出店し、津南を紹介する方針だ。

大地の芸術祭商品、グッドデザイン賞受賞  10月1日号
 全国唯一の総合的デザイン評価・推奨制度の「グッドデザイン賞」(日本産業デザイン振興会認定)で大地の芸術祭「Roooots 名産品リデザインプロジェクト」が受賞した。事業展開するNPO里山協働機構では「都市で作られたデザイン受賞が多いなか、中山間地の企画では珍しい受賞。妻有のブランド化に繋げたい」と喜ぶ。応募は3136件、うち1110件が受賞。最優秀賞の大賞は11月に決まる。
 

 同プロジェクトは地元名産品PRと芸術祭グッズ通年販売化をねらいに第4回から始めた。全国1万6千人のクリエイターが登録する「loftwark.com」を通し、特産品新デザインを公募。31社55商品を事業展開。アートの薫りがするお土産と人気を集め、第4回グッズ売上は前回2倍の約8千5百万円。開催中の瀬戸内国際芸術祭でも同プロジェクトを展開。同NPO桑原康介さんは「地元業者と若手クリエイターが対話し、新しいデザインを作る取組みが評価された。この受賞を契機に全国に越後妻有を広めたい」と話す。グッズは農舞台などで販売中だ。

清津川発電取水分水問題、平行線を知事が仲介、抜本策出せるか  10月1日号
 東京電力の取水発電問題で、清津川の流量増量を求める十日町市と、魚野川へ現状通りの放流を求める南魚沼市とで意見が噛み合わないまま今年で5年間の清津川試験放流が終わる。このため泉田知事が仲介役となり28日、県庁で初の3者トップ会談を開いた。東電の水利権更新については県が仲介し今月末までに調整することで一致。しかし抜本対策の見通しは不透明だ。
 

 清津川の水は湯沢・三俣地区の清津川発電所で発電に利用された後、湯沢取水口から湯沢発電所、石内発電所に送られ、合わせて3カ所の発電所で発電され、魚野川に放流されている。
 

 旧中里村で合併前に「清津川の水は清津川に」と全量返還を求める運動が展開されたのを契機に、東電と国、県、地元が「清津川・魚野川流域水環境検討協議会」を立ち上げ、今年末まで5年間に渡る清津川への試験放流を実施。東電は「同協議会の方針に従う」との姿勢を示している。
 

 この間、東電は平成17年に同18年から今年末までの水利権更新を国に申請したが、発電用水を不正に灌漑用水に使っていることなどが発覚。申請の許可手続きが止まったまま、2年前に清津川への河川維持流量を最大毎秒1・056d確保するなど十日町市への配慮を見せて水利権補正を申請。国は「妥当」と判断して県に意見を求め、県は地元自治体に意見を求めたが調整がつかず、未認可のまま東電素案で発電取水が続いているのが現状だ。
 

 トップ会談で泉田知事は「専門家の知見を入れて可能性を検討したい」と話し、専門委員会を立ち上げ、ダムやため池整備なども検討して行く方針を示した。一方、関口十日町市長は「昭和63年の国交省ガイドラインでは、魚野川に問題がない場合は清津川に水を戻すのが妥当としている」と強調している。
 
 「ふるさとの清津川を守る会」の藤ノ木信子事務局長は「抜本対策の検討は評価できる。ただ、将来に向け『清津川の水は清津川に』という方針は何ら変わるものではない」と話している。

最高の思い出だね、来春統合の栄村東部小で学校お泊り  10月1日号
 ◎…想い出多い学校に泊ろうー。来春閉校、統合する栄村の東部小学校(大日方秀康校長)で25、26日、全校25人と親たちが一緒に「学校お泊り」を行った。普段は授業を受ける教室に布団を敷いて泊り、9時の消灯後もひそひそ話しをするなど、通いなれた校舎の最高の思い出となった。
 

 ◎…同校PTA母親委員会(斎藤和代委員長)の企画で親子50人余が参加。夕食作りはカレーだが、4組に分かれたゲームの勝敗で中に入れる肉が牛、豚、鳥、ウインナーと決まるためゲームは盛り上がった。飯ごうでご飯を炊き、輪になって夕食会。夜はグラウンドでキャンプファイヤー。燃える火を囲みダンスや歌を楽しんだ。


 ◎…お泊りを楽しみにしていた5年の福原伊吹君。「夏休みも学校で肝試しをしました。思い出多い学校です」と話した。大日方校長の理解で校舎宿泊が実現した斎藤委員長。「子どもたちにとって一番思い出多い校舎。そこに泊ったことは大切な思い出になると思います」と話す。来春統合の北信小とは定期的に交流し統合後の新生・栄小学校の校歌作りも進んでいる。東部小校区では「村外や県外の子たちの自然体験、宿泊体験の場などに活用できないか」など閉校後の校舎利用に期待している。


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