来年の本選を控え、激戦を繰り広げた津南町議補選。新人、元職の4人が新たな議席を確保した。今回の補選、6月20日投票の町長選の前哨戦の色合いも見せた。2週間余の短期決戦となった町議補選の振り返り、6月の町長選、来年10月の町議本選を展望する。
補選投票・開票日の11日。137票差で議席を逃した高橋友清陣営は、開票直前まで、祝勝ムードだった。選対責任者・高橋由二氏は「大丈夫。入るよ」と自信を示した。だが、開票発表が流れた午後8時過ぎ、開票待ちの見玉公民館は、静まり返った。「まさか。やられたな」。選対幹部のつぶやきが聞こえた。
3月末で議員辞職し、町長選出馬を決めている高橋孝男氏の地元での惜敗。友清氏は、事実上の孝男氏の後継として出馬。補選は、孝男氏の後援会幹部などと連携し、全町的に取り組んだ。告示前半から後半は上昇ムードだったが、「最終盤でやられた」と幹部は悔しがる。
一方、元職の津端眞一氏は、いち早く補選実施を見越した動きを1月頃から始めた。だが、地元上野での取り組みは思うように進まず、ひとりで全町2千戸を歩き、2度、3度と訪ね歩き、支持を訴えた。一時は「無投票ムード」が漂い、中だるみもあったが、選挙戦突入が決まると、他の陣営に押されぎみとなり、告示時点では苦戦状態だった。
最終盤、元県議で6月の町長選出馬を決めている上村憲司氏の後援会系での動きは活発化した。上村憲司後援会の副会長、草津進副議長が最終日、地元上野に駆けつけるなど、最終盤でのテコ入れが、津端氏押上げ力として作用した。
一方、「中山流」を貫いた中山弘氏。50代以下、特に30代、40代が主体となり、20代も巻き込み、独自選挙を展開。町議系では町長選出馬の半戸哲郎氏を押す議員の姿が集会などでは見られたが、「事務所にも顔を見せず、関わりはなかった」(中山選対幹部)という。勝手連的に町議系でも動きが見られたが、半戸氏の連携はなかった。
恩田稔氏は、前回町長選出馬の滝沢元一郎氏が選対副本部長に入り、地盤を広げた。6月の町長選予定者との関係は、補選では見られず、今後の取り組みに関心が集まる。共産の桑原洋子氏は、「小林町政を評価」している同党の存在が、3議席確保で増している。特に議員定数問題が、今後表面化する中で、「定数削減に反対」の同党の存在が議会内で増すことになる。
来年の本選は、この議員定数問題が最大の関心事にある。今月27、28日、町議会は全議員参加で議会報告会を全町8会場で開く。メインテーマは「議員定数」。9月議会までに方針を出す意向だが、新たに加わった4議員を含め、現議会には多様な意見があり、今回の議会報告会での住民意見が、大きく作用するものと見られる。